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彼方なる歌に耳を澄ませよ 新潮クレスト・ブックス
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2005/02/25 |
| JAN | 9784105900458 |

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彼方なる歌に耳を澄ませよ
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商品レビュー
4.3
24件のお客様レビュー
雨の休日に、ずいぶん久しぶりに読んだ。 スコットランドから大西洋を渡ってきた一族の歴史へ、島の岬に打ち寄せる波の音とゲール語の歌声へと、ゆっくりと心が戻ってゆく。 1745年にスチュアート朝復興を支持して蜂起したスコットランドハイランダーたちは決定的な敗北を喫し、厳しい弾圧の末...
雨の休日に、ずいぶん久しぶりに読んだ。 スコットランドから大西洋を渡ってきた一族の歴史へ、島の岬に打ち寄せる波の音とゲール語の歌声へと、ゆっくりと心が戻ってゆく。 1745年にスチュアート朝復興を支持して蜂起したスコットランドハイランダーたちは決定的な敗北を喫し、厳しい弾圧の末に伝統文化を奪われる。 時が下ってのハイランド・クリアランスによってさらに生きる土地を失ったハイランダーたちは、英国植民地である北米大陸へと渡ってゆく。 カナダ東部ケープ・ブレトン島と、スコットランドモイダートを大西洋を挟んで繋ぐのは、マクドナルドクラン(氏族)の血筋だけではない。 二百年余の時を経ても繰り返し反芻し続けてきた戦いの記憶と、公用語として禁止された時代を生き延びて伝えられてきたゲール語が、人々を繋ぎ合わせるのだ。 “彼女は全部ゲール語で言ったんだけど、私もみんなにゲール語でしゃべりはじめていたの。 私のなかの深いところに流れていた地下水が、突然吹き出してきたみたいな。 それから、みんな、いっせいにしゃべり出して、私のほうに身を乗り出してきたの。まるで、しゃべりながら、遠くてよく聞こえないんだけどよく知ってるラジオ番組の電波を捉えようとするみたいにね。” ミレニアムを控えた世紀末に、矯正専門の歯科医として成功を収めてる“私”の胸に去来するのは、自らがスコットランドゲール語文化の最後の世代だという痛切な自覚と、そして一族と伝統に対するやましさにも似た負い目だろう。 “私”と、双子の妹の二人が学問を納め、成功者の仲間入りをしてゆくと共に一族の暮らしから離れたことと、彼らの子供たちの世代にとってゲール語文化が過去のものへとなってゆくことは、ある意味では避けようもない21世紀に向けた時代の趨勢だ。 だが、 中年となった彼らの胸には、子供時代の記憶や忘れえぬ人々や、家族でたびたび歌った歌が鮮明に甦ってくる。 “みんなが同じ過去を生きてるわけじゃないけど、過去のほうが追いついてくる” という長兄キャラムの言葉の通りに。 記憶は、誇りと共に喪失の悲しみを誘う。 言語が滅びてゆくとき、ゲール語の歌は途絶え、一族の血のつながりもまた少しづつ薄れてゆくだろう。 本書では何度も、大西洋を望む岬の突端に立つキャラム・ルーアの墓の情景が語られる。 岬の崖は荒波に削られ続けて、いつの日か墓石代わりの岩も海に落ちて消えてゆくだろう。 だがしかし、風雪に晒されてもまだ岩は、一族のカナダにおける出発の地にて、クロウン・キャラム・ルーア(赤毛のキャラムの子供たち)の過去と行く末を見つめながら、しっかりと立ち続けてているのだ。 それはノスタルジーを超えた、アリステア・マクラウドの信念の象徴のように思えてくる。 ーたとえ失われたとしても、残るものがきっとあるー、そう伝えていると思うのだ。 その想いが故に、この物語は文化も世代も違う僕にも響いてくるのだ。 ーー 邦題の、『彼方なる歌に耳を澄ませよ』という響きが好きだ。 原題の『No Great Mischief(大したことのない損失)』に込められた悼み以上に、本書の魅力を伝えてくれる。 2014年にアリステア・マクラウドも亡くなった。 2020年にはスコットランドゲール語は、消滅危機言語へとリストアップされた。 それでも、本を開き耳を澄ませば、僕が一生聞くことも話すこともない歌声を胸に想い浮かべることができる。 そう思って、またいつか読む日まで本を閉じる。
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過去と現代を行ったりきたり。 語り継がれてきた一族の歴史。 「誰でも、愛されるとよりよい人間になる」
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「クロウン・キャラム・ルーア」――赤毛のキャラムの子供たち 物語は、18世紀末最初にケープ・ブレトン島に立ったキャラム・ルーアと、その20世紀の子孫である「私」アレクサンダー・マクドナルドの家族の出来事を明らかにしていく。 かつて、フランスとイギリスはアメリカ大陸の覇権をめぐ...
「クロウン・キャラム・ルーア」――赤毛のキャラムの子供たち 物語は、18世紀末最初にケープ・ブレトン島に立ったキャラム・ルーアと、その20世紀の子孫である「私」アレクサンダー・マクドナルドの家族の出来事を明らかにしていく。 かつて、フランスとイギリスはアメリカ大陸の覇権をめぐって争っていた。18世紀末、猛勇果敢なハイランダー(スコットランドのハイランド地区の人たち)は、戦争のために多くがカナダに移ることになった。 生きるために、キャラム・ルーアは12人の子供と妻、親戚を連れて大西洋を渡り、ケープ・ブレトン島にたどり着く。 子供たちはたくましく生き抜き、その子孫はカナダ東部に広がったり再びスコットランドに戻ったりして各地で生きるも、血のつながりが何よりも大切とされ、同族とわかるとゲール語で歌い合い酒を飲みかわす。 「赤毛で双子が多く、古いスコットランドの言葉である「ゲール語」の歌をこよなく愛する人たち」。 出だしは、アルコール依存症の貧しい兄を、高額な歯科医療を仕事として持つ「私」が訪ねる場面から始まる。 …なぜ、「私」はこの兄のもとに通うのか? ここからこの壮大な叙事詩が幕を開ける…。 浸りきってしまった。 ページを閉じた後も、しばらく、暗い海と灯台が見えていた……。
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