英国王と愛人たち 英国王室史夜話

森護(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社/
• 発売年月日: 1999/08/20
• JAN: 9784309223537

商品レビュー

2025/08/12

昔読んだ「女王たちのセックス」を読み返そうかなーと思ったんですが、似たようなものを探してみようと借りてきたのがこちら。

12世紀のヘンリー1世から20世紀のエドワード8世まで、そのタイトル通り王の愛人たちを語っていきます。

勝手に親近感を覚える英国王室ですが、日本の将軍家や皇室とは随分異なることが幾つもありますよね。男子優先、年齢順という共通点はあれど女子しかいなければその子が王位継承出来ますし、側室という制度が確立してない故に愛人（妾）が既婚だろうがなんだろうが気にしない。当然大奥なんてないし、中宮には五摂家からとか、天皇のお側侍りは伯爵以上の独身娘とかそんなのも勿論ない。女子に継承権があるから（継承の可能性が2倍になるから？）なのかも知れませんが王妃の子供じゃないと王権が継げないってのも大きな違い。日本だと生母の出自を気にするとはいえ男子1人となれば必然的に世継ぎとなれるし。

わざと書いてるだけなんでしょうけども「好色」とか「淫蕩」という表現はどこまで適切なのか。
歴代英国王で最も子供が多いとしてもせいぜい21人でしょ？しかも生涯で関わった愛人が100人程度？これで好色とか淫蕩とか言われてもねぇ。みたいな。その子たちに公位を与えたおかげで王室の藩兵、いくつかの公爵家が残ってるわけだし。
そもそも若い男がやることといえば一つしかないし。さらに地位と金と時間があるならなおのこと。

ガーター勲章の起源初めて知った。
ホモ王（エドワード3世）への復讐でケツから焼き火箸を突き刺して処刑する王妃イザベル。
エドワード3世死去。指輪を抜き取り枕頭の宝石を奪って逃げる愛人。
「パンのためにやったこと」と愛人宅から逃げる若い燕を咎めないチャールズ1世。
金銭を求めなかった女優（チャールズ2世愛人）
浮気の作法（わざと旦那は留守にする、ネグリジェのような格好で迎える）

チャールズ2世のとこが1番好きかな。
絵画はお父さんのチャールズ1世（ファンダイク）の方が好きだけど。

当時の戯れ歌がいいですね。
（チャールズ2世とネル）

彼女は彼の見事な棒を、
まことにうまくまさぐったものだ。
しかし棒は棒でも王笏（セプター）にだけは、
彼女は全く手を触れなんだ。

2012/05/04

英国王室史は愛人の歴史でもあります。長い王制で、愛人のいなかった君主の方が少ないぐらい。
まさに、歴史は夜つくられる。
しかし、一口に愛人と言っても色々あります。絵に描いたような悪女もいれば、悲劇の愛人もいます。寵愛した君主の方も実に様々。
本書は、そんな一癖も二癖もある君主と愛人について書かれたもの。有名な愛人から世にあまり知られていない愛人まで。
王宮で繰り広げられた愛憎劇と、それに起因する政争、振り回されながらも噂話に目を輝かせたであろうロンドン雀たちのエピソードが満載。
正史の裏側の意外な事実を知ることができる、一冊です。