商品レビュー
3.7
215件のお客様レビュー
1970年代の本を令和の出版で今も読めているのが凄い。 たまにある勢いで書いたんだろうなみたいなのも含めてとにかく色んなショートショートがある。
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巧妙で軽快でなんかポワッとしたりザワっとしたりオシャレな文章たち! ひとつのおはなし10分足らずで読めるときもあり、地下鉄待ち友達待ちや信号待ちでも読んだよ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大人も子どもも楽しめるショートショート。人類は発明は得意だけど、それを使うことはあまり上手くないのかもしれない。「スピード時代」、「おみやげ」が印象的。「ネコ」、「はなとひみつ」も好きだった。 「スピード時代」 植物の成長を速める粉が開発される。果物も種を植えてから3時間で実がなるが、たくさん食べてもすぐお腹が空いてしまう。お腹の中でもスピードが衰えなかったというオチ。 果物はもがれた瞬間に完全に活動が停止するわけじゃなく、収穫後も呼吸していて、内部では代謝が続く。バナナやアボカドみたいに収穫後に熟す果物もある。 栄養の供給が断たれてからは成長というより成熟や老化に近い形で、大きくなる方向ではなく分解へ向かう。 分解まで含めて"生"なのか?と思ったし、この果物も成長だけが加速したのではなく生命の過程そのものが高速化したらしい。 そしてこんなことは無粋だけど、効率を善として追い求める現代社会のことを考えた。 タイパ重視で、スマホですぐに欲しい情報が手に入り、ファスト映画なんてものが話題になる時代。無駄を省いて必要な情報だけを効率よく得ることは悪いことじゃない。 でもじっくり向き合って考える時間。迷う時間。問いを立てたり調べたり、その過程で世界が広がること。答えが出ないまま据え置いたものが、内側で他の事象と結びつくこと。人の内面でゆっくり静かに豊かに育つもの。 そういうものまで圧縮してしまうと、結局は空洞のままなのではないか。 結果を得ることは異様に速くなった一方で、血肉として身につけることはむしろ難しくなっていて、作中の果物のように、摂取量は増えているのに飢餓感が残るようなことがあるのかも。
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