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あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2005/12/15 |
JAN | 9784152086945 |
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あなたのなかのサル
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商品レビュー
3.9
11件のお客様レビュー
本著のメッセージは明確だ。 「権力志向が強く暴力的なチンパンジーと、平和を愛する好色なボノボが人間には同居している」 人間は所詮、プリミティブな動物である。チンパンジーやボノボと大きく変わらない。彼らの人間性に驚くか、自らの猿性に気付くか、新たな発見の楽しさにページを捲る手が止...
本著のメッセージは明確だ。 「権力志向が強く暴力的なチンパンジーと、平和を愛する好色なボノボが人間には同居している」 人間は所詮、プリミティブな動物である。チンパンジーやボノボと大きく変わらない。彼らの人間性に驚くか、自らの猿性に気付くか、新たな発見の楽しさにページを捲る手が止まらない。人類を見る目が変わる。霊長類を見る目も変わる。 霊長類のオスには、他のオスが仕掛けてくる真剣勝負と、普通の行動と区別ができず、ストレスを溜めるものがいる。上下関係がハッキリしないとこうした誤解が積み重なり、オスたちはストレスを溜める。ストレスは免疫システムに打撃を与えるので、霊長類が癌になったり、心臓発作を起こしたりすることも珍しくない。凄い、人間みたいだ。そう言えば、人間も瞬時に序列を見抜き、気付くと敬語、タメ口を使い分ける(それがややこしいから全員敬語ですみたいな場面もあるが)。 本著で詳しくなるのはチンパンジーとボノボの生態。特徴が明確で、チンパンジーが競争型で暴力的、ボノボが協調型で平和主義という事がよく分かる。ボノボについては、好色な印象しかなかったが、もっと哲学的な存在なのかも知れない。チンパンジーが肉食で、人間の赤ちゃんを食べたなんていう話は知らなかった。 多くの種が自らと交尾をしていないメスの子殺しをするが、ボノボはしない。そもそも、群れで乱交するから、自らの子が区別できない。それは生きる知恵でもある。ボノボは若いメスよりも、年配のメスを好む。近親相姦を避けるという理由と実績を重視する目的だが、自らの子供が分からないからという事だ。しかし、だからこそ、群れ全体の子供として育てる。ユートピアにも見える。 人間の多くは一夫一妻制だが、テナガザルなんかも一夫一妻制のようだ。チンパンジーは、アルファオスとしてボス猿が統制するハーレム型に近い。正解は無いが、ボノボみたいだと人間では、スケコマシとか尻軽とか淫乱とか、良くない言葉に象徴されるようにポジティブなイメージが無い。本著いわく、答えは睾丸のサイズにあり、一夫一妻制、つまり人間は睾丸が大きくない。なるほど、かくあるべき哉。
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飼育下のチンパンジーやボノボの研究で知られる霊長類学者の著者が、この2種の社会性、特に他者に対する思いやりと凶暴性という相反する性質の表れ方について具体的な事例を豊富に紹介しながら、彼らから分かれた類人猿であるヒトという種の社会性のあり方を考察していく。 私としては、DNA上も形...
飼育下のチンパンジーやボノボの研究で知られる霊長類学者の著者が、この2種の社会性、特に他者に対する思いやりと凶暴性という相反する性質の表れ方について具体的な事例を豊富に紹介しながら、彼らから分かれた類人猿であるヒトという種の社会性のあり方を考察していく。 私としては、DNA上も形質もよく似ているチンパンジーとボノボの社会形式がなぜ大きく違うのかに興味があり、いろいろと書籍等を読んでみたが、なかなかはっきりした答えは見つからない。その点は残念だが、本の内容はとても面白かった。特にチンパンジーのオス同士の権力闘争やメス同士の女の友情やマウンティング合戦!の様子などの話は面白かった。 オスの地位が自分の能力次第で上下するチンパンジーと母親の地位で自動的に定まるボノボだと、チンパンジーの方が自由民主的だが、その分オスは権力闘争ストレスにさらされ死に至ることもある。自由と平和は相反的関係にあるというような話も興味深い。
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フランス・ドゥヴァールの描く霊長類は、生き生きとした描写とともに、観察によって「擬人化」された彼らの生活が魅力なのだが、何冊読んでも意外と内容が被らないところも魅力。 本書はおもにボノボの観察結果を中心に、人間の祖先としての類人猿について仮説を立て、それを検証して行くのだが、化...
フランス・ドゥヴァールの描く霊長類は、生き生きとした描写とともに、観察によって「擬人化」された彼らの生活が魅力なのだが、何冊読んでも意外と内容が被らないところも魅力。 本書はおもにボノボの観察結果を中心に、人間の祖先としての類人猿について仮説を立て、それを検証して行くのだが、化学的なようでいて実験科学とはやや性格が異なる。 ここでの著者は「主観」をフルに使い、仮説としてではなく、もはや動物に人類とほぼ同じような「感情」や「社会性」が備わっていることは自明として(前提として)いるところがおもしろい。 本書から読み取る限り、人間と霊長類の違いはわずかであると思う。男性同士の軋轢に比べて女性同士の軋轢の方が観察しにくいなど、まるで人間関係の観察記録のようだ。 また動物的な記憶力を人間がいまだに備えている点も見逃せない。例えば、生後10日の時に誘拐された赤ん坊を、6歳になって街で見かけて自分の子供だと「直観する」など、人間が類人猿の血を引くこと、動物的な記憶を持っていることを自覚させ、動物への「共感」が自分の中で強まっていくのを感じる。 動物社会での「譲り合い」や「出し抜き」、「将来を予見する」能力や「諦める」現実感など「人間らしさ」が感じられる一冊。ドゥヴァールの優れた観察力と、霊長類の生き生きとした描写がとにかく魅力的。 https://twitter.com/prigt23/status/1057613450275315712
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