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白い果実
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 国書刊行会 |
発売年月日 | 2004/08/23 |
JAN | 9784336046376 |
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白い果実
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商品レビュー
4.3
32件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
独裁者が支配する理想形態都市から、奇跡の白い果実盗難の犯人を捕まえるため観相官クレイが属領であるアナマソビアへ着いた時から物語がはじまる。 国のエリートであるクレイの鼻持ちならないこと甚だしい。 アナマソビアを田舎と見下し、住民たちについては人間扱いすらしない。 さて、観相官というのは、人相学と統計学とあとなんだかいろいろ複雑に合わさったもの。 これで事件を解決できたら、それは普通のミステリ小説なのだけど、独裁者は魔術を使うしクレイは薬物中毒だし、アマナソビアの土地柄なのか読者の常識を超えるような出来事がつぎつぎ起こる。 まず、アマナソビアは青い鉱石スパイアを産出しているのだが、長い間鉱夫として働いているとしまいにはスパイアになってしまうのである。 そして、クレイの前でスパイアになった老人・ビートンの孫娘が彼の運命を狂わせる。 しかし魔法と薬が見せる幻想と宗教と旅人のミイラとが織りなす世界は、何が真実で何が虚構なのかわからない。 流されるようにクレイは犯罪者として逮捕され、硫黄採掘場へと送られる。 そしてまた、ふいに罪は許され独裁者ビロウの腹心の部下として、謀反人たちのでっち上げを命令される。 ビロウは天才で、理想形態都市はすべてビロウがつくりあげたもの。 しかし、他人を信じることができず、自分以外はすべて取り換えのきく部品だと思っているビロウは、敵も味方も情け容赦なく、冷酷に殺戮を繰り返す。 ビロウ天才? 天才だったら、謀反を起こされないように善政を敷けばいいのに。 恐怖で人を支配すれば、人に背かれるのは当たり前だ。 盗まれたはずの白い果実を見つけたビロウは、それを食べた直後から体調不良に襲われる。 彼の不調は都市の破壊につながり…と、ストーリーを追うだけで大変なのでもう割愛。 この本は金原瑞人と谷垣睦美が訳してから、山尾悠子が彼女の文体に書き直したのだそうだ。 グロテスクな描写も多かったけれど、ファンタジーの皮を被ったディストピア小説。 これ、三部作らしいけど、続きはどうしようかなあ…。
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97年に世界幻想文学大賞を取った名作ファンタジー。 独特な言い回しの英文を二人の訳者が翻訳し、その訳文を山尾悠子がシニカルな文章に仕立てるという二重訳。 理想的な都市の終焉と傲慢な主人公の成長が対照的に描かれている。 恒川光太郎作品が好きな方にお勧めできる作品である。 都市の支...
97年に世界幻想文学大賞を取った名作ファンタジー。 独特な言い回しの英文を二人の訳者が翻訳し、その訳文を山尾悠子がシニカルな文章に仕立てるという二重訳。 理想的な都市の終焉と傲慢な主人公の成長が対照的に描かれている。 恒川光太郎作品が好きな方にお勧めできる作品である。 都市の支配者であるマスターが恒川光太郎作品のスタープレイヤーのように思えてならない。恒川とジェフリーフォードの世界が繋がっていると勝手に妄想しながら本作を楽しむのも悪くないだろう。
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魔術師のような独裁者ビロウの頭の中の世界がそっくり現実になった未来社会、辺境の楽園伝説と永遠の白い果実を求めての探索というストーリーに主人公クレイの永遠の女性アーラへの執着と想い、そしてそれゆえの変容。第2章の地獄変のような哲学問答も面白かった。何より描写される世界が本当に美しい...
魔術師のような独裁者ビロウの頭の中の世界がそっくり現実になった未来社会、辺境の楽園伝説と永遠の白い果実を求めての探索というストーリーに主人公クレイの永遠の女性アーラへの執着と想い、そしてそれゆえの変容。第2章の地獄変のような哲学問答も面白かった。何より描写される世界が本当に美しい。
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