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白い果実
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 国書刊行会 |
| 発売年月日 | 2004/08/23 |
| JAN | 9784336046376 |

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商品レビュー
4.4
33件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
1997年にアメリカで出版され、翌年に世界幻想文学大賞長編部門を受賞。日本では2004年に国書刊行会から刊行。『記憶の書』、『緑のヴェール』と続く三部作の第一部。 悪魔のような独裁者が支配する都、理想形態都市(ウェルビルトシティ)。一級観相官のクレイは独裁者の命により、盗まれた白い果実を探すため属領アナマソビアに派遣される。そこでは青い鉱石と化す鉱夫、奇怪な信仰、野蛮な料理までふるまわれ、僻地での生活に傲慢な態度で調査を進めるクレイだったが、観相学者を志す美女が現れ、思わぬ事態に巻き込まれていく。 物語の筋はジェットコースターのように目まぐるしく変わって行く。世界は独裁国家のディストピアであり、理不尽で悪趣味な暴力やドラッグによる幻覚などグロテスクに満ちているが、それぞれの場面はとても幻想的で美しく、不思議と清々しい読後感だった。 登場人物の多くは、粗野で暴力的だがどこか滑稽で愛嬌がある。独裁者ビロウでさえ嫌いになれない。人物にクローズアップしていくとグロテクスさが目立つのだが、風景も含めたロングショットではとても美しい景色に変わるから不思議だ。これらの二面性がうまく組み合わされていて底の見えない不思議な物語になっている。どの場面もイメージがとにかく素晴らしい。青い鉱石になる鉱夫、島の突端から手を振るマターズ伍長、体から取り出される種子、改造され傷つきながら戦うカルーなどなど、心に引っかけるのがうまい。翻訳が素晴らしいこともあると思う。 暴力についての著者の考え方も気になる。『白い果実』では暴力はグロテクスなものであると同時に、結果的には主人公を改心させ、抑圧的な都市を崩壊させた。理想形態都市とは市民のためではなく都市のための都市であり、独裁者ビロウの思想を具現化したものだ。建築物としては素晴らしいものであることが作中でも語られる。白い果実の効能によって、崩れていく様はカタルシスがあるが、それは市民の決起によってでもクレイの策略によってでもない。この物語では暴力は正しさも美しさも関係がなく、気まぐれで理不尽なものとして描かれているように思う。 ジョージ・オーウェルの『1984年』も独裁国家のディストピアを描いたもの(主人公も役人)だが、『白い果実』には『1984年』ほどの絶望感は感じない。良くも悪くも暴力によって人が変えられる2つの作品は、個人的にどこか裏表になっているようで面白かった。不条理なファンタジーと深いテーマが、アメリカのTVアニメ『アドベンチャー・タイム』にどこか通じている気がした。 目まぐるしく変わる展開に奇抜なイメージが連なっていくが、全体の格調を損なわずにいるのは、初めから終わりまで描きたい物語のイメージを持続できているからではないだろうか。緻密に構成しているようでいながら、肩の力を抜いて楽しんで書いてるようでもある。(お陰で読みづらさはあるが)掴もうとしていつもギリギリのところで煙に巻かれるような魅惑的な物語だった。
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独裁者が支配する理想形態都市から、奇跡の白い果実盗難の犯人を捕まえるため観相官クレイが属領であるアナマソビアへ着いた時から物語がはじまる。 国のエリートであるクレイの鼻持ちならないこと甚だしい。 アナマソビアを田舎と見下し、住民たちについては人間扱いすらしない。 さて、観相官というのは、人相学と統計学とあとなんだかいろいろ複雑に合わさったもの。 これで事件を解決できたら、それは普通のミステリ小説なのだけど、独裁者は魔術を使うしクレイは薬物中毒だし、アマナソビアの土地柄なのか読者の常識を超えるような出来事がつぎつぎ起こる。 まず、アマナソビアは青い鉱石スパイアを産出しているのだが、長い間鉱夫として働いているとしまいにはスパイアになってしまうのである。 そして、クレイの前でスパイアになった老人・ビートンの孫娘が彼の運命を狂わせる。 しかし魔法と薬が見せる幻想と宗教と旅人のミイラとが織りなす世界は、何が真実で何が虚構なのかわからない。 流されるようにクレイは犯罪者として逮捕され、硫黄採掘場へと送られる。 そしてまた、ふいに罪は許され独裁者ビロウの腹心の部下として、謀反人たちのでっち上げを命令される。 ビロウは天才で、理想形態都市はすべてビロウがつくりあげたもの。 しかし、他人を信じることができず、自分以外はすべて取り換えのきく部品だと思っているビロウは、敵も味方も情け容赦なく、冷酷に殺戮を繰り返す。 ビロウ天才? 天才だったら、謀反を起こされないように善政を敷けばいいのに。 恐怖で人を支配すれば、人に背かれるのは当たり前だ。 盗まれたはずの白い果実を見つけたビロウは、それを食べた直後から体調不良に襲われる。 彼の不調は都市の破壊につながり…と、ストーリーを追うだけで大変なのでもう割愛。 この本は金原瑞人と谷垣睦美が訳してから、山尾悠子が彼女の文体に書き直したのだそうだ。 グロテスクな描写も多かったけれど、ファンタジーの皮を被ったディストピア小説。 これ、三部作らしいけど、続きはどうしようかなあ…。
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97年に世界幻想文学大賞を取った名作ファンタジー。 独特な言い回しの英文を二人の訳者が翻訳し、その訳文を山尾悠子がシニカルな文章に仕立てるという二重訳。 理想的な都市の終焉と傲慢な主人公の成長が対照的に描かれている。 恒川光太郎作品が好きな方にお勧めできる作品である。 都市の支...
97年に世界幻想文学大賞を取った名作ファンタジー。 独特な言い回しの英文を二人の訳者が翻訳し、その訳文を山尾悠子がシニカルな文章に仕立てるという二重訳。 理想的な都市の終焉と傲慢な主人公の成長が対照的に描かれている。 恒川光太郎作品が好きな方にお勧めできる作品である。 都市の支配者であるマスターが恒川光太郎作品のスタープレイヤーのように思えてならない。恒川とジェフリーフォードの世界が繋がっていると勝手に妄想しながら本作を楽しむのも悪くないだろう。
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