白い果実 の商品レビュー
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独裁者が支配する理想形態都市から、奇跡の白い果実盗難の犯人を捕まえるため観相官クレイが属領であるアナマソビアへ着いた時から物語がはじまる。 国のエリートであるクレイの鼻持ちならないこと甚だしい。 アナマソビアを田舎と見下し、住民たちについては人間扱いすらしない。 さて、観相官というのは、人相学と統計学とあとなんだかいろいろ複雑に合わさったもの。 これで事件を解決できたら、それは普通のミステリ小説なのだけど、独裁者は魔術を使うしクレイは薬物中毒だし、アマナソビアの土地柄なのか読者の常識を超えるような出来事がつぎつぎ起こる。 まず、アマナソビアは青い鉱石スパイアを産出しているのだが、長い間鉱夫として働いているとしまいにはスパイアになってしまうのである。 そして、クレイの前でスパイアになった老人・ビートンの孫娘が彼の運命を狂わせる。 しかし魔法と薬が見せる幻想と宗教と旅人のミイラとが織りなす世界は、何が真実で何が虚構なのかわからない。 流されるようにクレイは犯罪者として逮捕され、硫黄採掘場へと送られる。 そしてまた、ふいに罪は許され独裁者ビロウの腹心の部下として、謀反人たちのでっち上げを命令される。 ビロウは天才で、理想形態都市はすべてビロウがつくりあげたもの。 しかし、他人を信じることができず、自分以外はすべて取り換えのきく部品だと思っているビロウは、敵も味方も情け容赦なく、冷酷に殺戮を繰り返す。 ビロウ天才? 天才だったら、謀反を起こされないように善政を敷けばいいのに。 恐怖で人を支配すれば、人に背かれるのは当たり前だ。 盗まれたはずの白い果実を見つけたビロウは、それを食べた直後から体調不良に襲われる。 彼の不調は都市の破壊につながり…と、ストーリーを追うだけで大変なのでもう割愛。 この本は金原瑞人と谷垣睦美が訳してから、山尾悠子が彼女の文体に書き直したのだそうだ。 グロテスクな描写も多かったけれど、ファンタジーの皮を被ったディストピア小説。 これ、三部作らしいけど、続きはどうしようかなあ…。
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97年に世界幻想文学大賞を取った名作ファンタジー。 独特な言い回しの英文を二人の訳者が翻訳し、その訳文を山尾悠子がシニカルな文章に仕立てるという二重訳。 理想的な都市の終焉と傲慢な主人公の成長が対照的に描かれている。 恒川光太郎作品が好きな方にお勧めできる作品である。 都市の支...
97年に世界幻想文学大賞を取った名作ファンタジー。 独特な言い回しの英文を二人の訳者が翻訳し、その訳文を山尾悠子がシニカルな文章に仕立てるという二重訳。 理想的な都市の終焉と傲慢な主人公の成長が対照的に描かれている。 恒川光太郎作品が好きな方にお勧めできる作品である。 都市の支配者であるマスターが恒川光太郎作品のスタープレイヤーのように思えてならない。恒川とジェフリーフォードの世界が繋がっていると勝手に妄想しながら本作を楽しむのも悪くないだろう。
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魔術師のような独裁者ビロウの頭の中の世界がそっくり現実になった未来社会、辺境の楽園伝説と永遠の白い果実を求めての探索というストーリーに主人公クレイの永遠の女性アーラへの執着と想い、そしてそれゆえの変容。第2章の地獄変のような哲学問答も面白かった。何より描写される世界が本当に美しい...
魔術師のような独裁者ビロウの頭の中の世界がそっくり現実になった未来社会、辺境の楽園伝説と永遠の白い果実を求めての探索というストーリーに主人公クレイの永遠の女性アーラへの執着と想い、そしてそれゆえの変容。第2章の地獄変のような哲学問答も面白かった。何より描写される世界が本当に美しい。
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広義の意味でサイバーパンク的というか。私がこっそり名づけている狂都市ものというか。ビロウという男(支配者)が頭の中で構築した理想の都市が具現化されていて、そこでへまをやって属領に送り込まれた男が主人公。結局そこでもへまというか云々あってもっとひどい島に送り込まれてというなかなか壮...
広義の意味でサイバーパンク的というか。私がこっそり名づけている狂都市ものというか。ビロウという男(支配者)が頭の中で構築した理想の都市が具現化されていて、そこでへまをやって属領に送り込まれた男が主人公。結局そこでもへまというか云々あってもっとひどい島に送り込まれてというなかなか壮大な物語ですごく面白く読んでいたんだけど、なんか後半がな。 主人公、すっごい傲慢でイヤな男なんだけど島での強制労働で心を入れ替えてしまう。しかも結局理想的な都市よりも緑が合って光があるだけで幸せを感じられる素朴な村での生活がシアワセって。本当は☆3ぐらいだけど、三部作らしく、ラストには「百年の孤独」も驚くしかけが用意してあるとあとがきに書いてあったので期待を込めた☆ですこれは。
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この語り手はほんっとうにいいとこなしで、中盤を経てもまだ傲慢。 それなのに読ませるのは奇想オンパレード(顔ビーム女!)と、 やっぱり文章だ。 「ミネハハ」方式に初めは眉をひそめていたが、山尾悠子は偉大。そして金原氏も偉大。
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世界幻想文学大賞に恥じぬ読み応えのある一冊。3回読んでも新たに楽しい、が。3部作・・・続きを買おうにも近くの書店になく、アマゾン待ち中。ただの印象だけれど、ロバート・アーウィンのアラビアン・ナイトメアにちょっと感じが似ている。
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幻想の中では、醜悪や恐怖もまた美である。 しかしこの本の美しさは、山尾悠子氏の文体によるところも大きいのだろう。 楽園の禁断の果実を巡る物語。 そして一つの帝国の崩壊。
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冒険活劇、幻想的な世界観、次々登場する空想上の生物たち、空想上の機械たち、空想上の都市、国家、世界。 そんな、作り上げられた世界に「入り込む」ことがSFやファンタジーの醍醐味だとするならば、本書はその醍醐味を存分に味あわせてくれます。読めば読むほど頭から飲み込まれてしまいます。そ...
冒険活劇、幻想的な世界観、次々登場する空想上の生物たち、空想上の機械たち、空想上の都市、国家、世界。 そんな、作り上げられた世界に「入り込む」ことがSFやファンタジーの醍醐味だとするならば、本書はその醍醐味を存分に味あわせてくれます。読めば読むほど頭から飲み込まれてしまいます。それくらいの傑作ファンタジー。 ただ、傑作は傑作でもオーソドックスさはどこにもありません。とにかく独特。 しかし、読めばわかりますが、見たことない世界なのにスッと景色が見えてきます。カラフルでグロテスクで陰鬱で息苦しい世界が良く見えてきます。否応なしにそんな世界に引きずり込まれてしまいます。 派手なストーリーではありませんが、世界観、登場人物、浮き彫りに描かれる欲望や罪の意識などすべてが魅力的な小説です。今までにない世界にどっぷりつかりたい方は是非どうぞ。
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大人のファンタジー。主役は普通かっこいいものだけれども、全然かっこよくなく嫌な奴だったが、話に引き込まれてしまった。 とても幻想的で、霧の中の世界を見ているような不思議な感覚を味わった。 天から地へ、地から這い上がり、主人公が一人の権力者ビロウによって人生を翻弄される。彼を中心ではなく、物語の上に主人公が載っている感じ。しかも物語の波から落っこちそうな。物語自体がビロウ自身なのかもしれない。 猿人間、狼人間、彼の人、青い炭坑?の人たち、硝子の中の世界 各種族がそれぞれの文化や宗教観、世界観が別々でそのおのおのの世界を楽しめた。 備忘録: 顔でその人の生りを判断する仕事。ある種、むちゃくちゃな職業。そんな彼が失敗をしでかし、不思議な力がある果実を探して、青い炭坑の街へ行く。そこで一目惚れをし、、、、 彼の人と愛しい人を助けるために戦う、、、、
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これ、読みづらい小説だ~と最初は思ったけど、意外とさくさく読めて、冒険小説であるな、これは、と。そして、魅力的なキャラクターが多過ぎて是非とも映画化希望です。映像で見てみたい!
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