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エコロジカルな心の哲学 ギブソンの実在論から 双書エニグマ1
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 勁草書房 |
発売年月日 | 2003/06/10 |
JAN | 9784326199044 |
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エコロジカルな心の哲学
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※このレビューにはネタバレを含みます
脳科学者がテレビや本で「我々の現実は、じつは脳が生み出しているのです」と主張ているのを最近よく目にすることがあると思います。 「じゃあ、暑くて寝ぐるしい夜も、大好きな恋人も、自分の脳の産物なの?」 と疑問に感じることがあるのでしょうか? そこから、「勉強や就職ができないのは努力が足りないからだ」と、社会や環境の問題をまったく無視して、個人の責任のみを追及する風潮までは一足飛びです(これを心理主義というそうです)。 また成功や名声のみに価値をおいた自己啓発ブーム、社会に適応できないと(社会の問題かもしれないのにもかかわらず)心理的な病理のせいにする傾向もこの心理主義に根をおろしているように思えます。 本書で紹介されているギブソンの生態心理学は、心の座を個人や脳に求めるのではなく、環境との関係性で捉えなおしています。テーマは多岐にわたり、知覚や感覚だけでなく、言語や記憶について環境との関連で論考されていて興味深いです。 「実在は本質に先立つ」と言ったのは、フランスの哲学者サルトルですが、 生態心理学的にいうと、「実在と本質は分かちがたい」というカンジでしょうか。というのも、本質は我々が認識するかどうかにかかわらず、実在そのものに備わっているからです。 なにより生態心理学に惹かれるのは、『現実は主観次第で変わる夢や幻みたいなものなんだ』ではなく、『我々の知覚するモノはしっかりと世界に実在しているんだ』と、日常的な感覚を論理的、科学的な根拠をもって肯定してくれるところです。 本書は哲学的な考察に重点を置いているので、実験心理学者としてのギブソンを知るには不十分かもしれませんが、ギブソンの思想とその現代性を知るには格好の著作だと思います。
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