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ケンスケの王国 児童図書館・文学の部屋
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 評論社/ |
発売年月日 | 2002/09/20 |
JAN | 9784566012998 |
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ケンスケの王国
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ケンスケの王国
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商品レビュー
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1988年、家族世界一周ヨットの旅の途上、英国少年マイケルが南の島で遭難した。孤島に流れ着き、不思議な老人に出会った。彼は旧日本兵。ケンスケと名乗った。約2年後、少年はひとり助け出されるけど、ケンスケから「少なくとも10年間は自分のことは口外するな」と約束させられる。それから10...
1988年、家族世界一周ヨットの旅の途上、英国少年マイケルが南の島で遭難した。孤島に流れ着き、不思議な老人に出会った。彼は旧日本兵。ケンスケと名乗った。約2年後、少年はひとり助け出されるけど、ケンスケから「少なくとも10年間は自分のことは口外するな」と約束させられる。それから10年後、マイケルは初めて語りだす…。 淳水堂さんのレビューを読んで紐解きました。設定を知ったとき、まるで「ロビンソン・クルーソー」と70年代横井さん小野田さん発見物語を足して2で割ったような話だな、と思ったら、正に作者がそのように記していたらしい。もう一つ「宝島」も加わっていたけど。 しばらくすると、ありったけの記憶をたどってみても、もう日本については何も話すことがなくなってしまった。それなのに、彼はまだ聞いた。 「最近の日本では、確かに戦争はないんだね」 それについてはぼくも自信があったので、そうだと答える。 「原爆が落とされたあと、長崎は復興されたんだね」 そうだと答え、まちがっていないことを祈った。(173p) ケンスケは妻と息子を長崎の街に残していた。戦後間もない頃、彼は上陸していた米兵から日本の敗戦、広島・長崎への原爆投下を盗み聞きして、妻子の故郷の全滅を疑わずに45年間島で暮らしてきた。決して人に見つからないように生きてきた彼の複雑な気持ちを、想像しないではいられない。マイケルと共に、わたしたち読者は「どうすれば一番良かったんだろうか」と考えずにはいられない。 ヨット世界一周旅行、遭難の危機、漂着した島でのサバイバル、相棒犬のステラの存在、大先輩ケンスケとの出会い。少年の好きな冒険譚がてんこ盛り。2000年英国「子どもの本賞」受賞。今年、初めて外国でアニメ化されたようだ。日本未公開。
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教育出版5年生教科書紹介本。 アニメ化もしてケンスケの声は渡辺謙らしい。 === 両親の失業をきっかけに、マイケルの一家はヨットで世界一周の旅に出ることにした。危険で無謀だが両親は腹を決めたのだ。 海に出るための航海術をしっかり学び、準備万端。さあ、ぼくたち家族のヨット、ペギー...
教育出版5年生教科書紹介本。 アニメ化もしてケンスケの声は渡辺謙らしい。 === 両親の失業をきっかけに、マイケルの一家はヨットで世界一周の旅に出ることにした。危険で無謀だが両親は腹を決めたのだ。 海に出るための航海術をしっかり学び、準備万端。さあ、ぼくたち家族のヨット、ペギー・スー号で海に出よう。 アフリカ、ブラジル、セントヘレナ島、喜望峰を回ってオーストラリアへ。魚やイルカたちの姿も見た。嵐も乗り越えた。家族は、家族以上の船員仲間のようになっていた。 だが南洋を航海中のある波の高い夜、マイケル少年と犬のステラはペギー・スー号から海に投げ出されてしまった。 マイケルが目を覚ましたのは砂浜だった。 実はここは小さな無人島で、マイケルはこの島に隠れ住む老人のケンスケに助けられたんです。ケンスケは最初は少年のマイケルに敵意を剥き出しにする。その反面一人ぼっちのマイケルに食料を運んでくれるなど、マイケルがこの無人島で生きるにはケンスケの助けが不可欠となる。 二人の仲が縮まったのは、マイケルが大怪我をした時。ケンスケは自分の洞窟につれ帰り看病する。 この時からケンスケは生きる手段、魚を獲ること、水を貯めること、植物を編んだり漂流物を使って必要なものを作ること。 ケンスケの生活は、清潔で、きちんと片付け、必要以上には求めない。そして島中にいるサルたちと心を通じあわせている。 その代わりにケンスケはマイケルから英語を教わる。二人は身の上話を語り合う。 ケンスケは日本の長崎出身の医者だった(イギリスに留学したこともあるのですこーしだけ英語も話せる)。 第二次世界大戦の時に軍医として軍艦に招集される。 1945年8月9日、艦の無線で長崎に原爆が落とされたことを知る。そしてケンスケの乗った軍艦は爆撃され、たった一人無人島に漂流した。軍艦から物資を運び出し、島に住むサルたちと暮らすことにした。 この周辺には船が通ることもある。そしてこの島に船に乗った人が降りることもある。だが日本兵であるケンスケは、故郷長崎に原爆を落とした連合軍から隠れ、船から降りる人が遊びでサルを撃つ姿に深く傷つき、人間不振を募らせていた。 同じ船に乗った仲間は死んだ。 故郷は破壊された。 妻も長に息子も死んだのだろう。 自分は他の人間から離れてこの平和な島でサルたちを守って暮らそう。 ケンスケにとってマイケルとの出会いは思いもかけない宝となった。このまま二人で共に暮らそう。 マイケルが了解したのは、半分は本心だった。両親のもとに帰らなければいけない。でもケンスケを残してはいけない…。 === 冒頭。アメリカの不況のような社会状況、一家が船を海に出すまでの準備や覚悟も書かているので話に入りやすいです。 海外小説や映画で、戦時中の日本や日本人を好意的、同調する目で語るものは少ない印象でしたが、このお話は元日本兵(医師だけど)の哀切が感じられました。主人公が少年のため、昔戦争した国という先入観もなく、今自分を助けてくれた寂しそうな老人という個人を見るという語り方が良いのかもしれません。 ケンスケが戻らなかったのは、本人が語っているような破壊された故郷や残酷な世界を見たくないとか、島の猿を守るためというだけでしょうか。帰りたい。帰れない。帰ってはいけない…。複雑な心を考えてしまいます。
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ケンスケはそんなに口数が多くないけれど、ひとつひとつの動作に感情がこもっている。それを言葉で描写している、著者のその表現力もまた、素晴らしいです。
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