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ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学 中公文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論社 |
| 発売年月日 | 1995/06/18 |
| JAN | 9784122023390 |
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ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学
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ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学
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1.世界における諸事象を人間が観測できるのは、本人の生活世界で行われる本人の知覚を通じてのみである。 2.知覚された認識は、判断中止をもって受け入れられなければならない。 3.ヨーロッパ近代科学は、数学的・幾何学的方法(超越論的方法)によって世界をよりよく理解する方法(物理学)を...
1.世界における諸事象を人間が観測できるのは、本人の生活世界で行われる本人の知覚を通じてのみである。 2.知覚された認識は、判断中止をもって受け入れられなければならない。 3.ヨーロッパ近代科学は、数学的・幾何学的方法(超越論的方法)によって世界をよりよく理解する方法(物理学)を手に入れるにいたった。 4.超越論的方法によって行われる判断は、入り組んだ複雑な過程を経るのであるが、そのそれぞれは本人の生活世界における知覚を判断中止をもって解釈することによって、近代人の共通感覚として受け入れられるものである。また、その判断の妥当性は結局本人の生活世界の知覚に基づいて行われる。 5.よって、近代的人間は、曇りなき眼で現実を見つめる(上記1.2.「生活世界における知覚」、現象学)ことに加え、数学的・幾何学的方法を内心的に用いること(超越論)によって、超越論的現象学的に現実を理解するのである。 近代科学の方法を受け入れた近代人の思考様式を説明したものであるが、いまだに物理学の方法論をより幅広い対象に適用することで成果を出す(データサイエンス)ことが近年新発見的に行われており、われわれは未だにフッサールの研究プログラムの中で生きているとも言える。 フッサールが「量子力学の成立」以外の歴史的事実を参照したのかが謎であり、当時そこまで一般化することが妥当だったのかが不明ではあるのだが、難解さの批難を恐れず一般的・抽象的な記述化に拘泥することによって、フッサールは将来きたるべきデータサイエンスを予言することに成功した。フッサールは賭けをして、そしてそれに勝ったのだ。
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読了…とは書いてみたもののカントの「純粋理性批判」の時と同じくとにかく歯を食いしばって最後まで読み通したという体たらくで理解できたとまではなかなかいかない。 7月のNHKの100分de名著で取り上げられるといったタイミングでたまたま古本市で目に留まってしまい、番組と連動してついつ...
読了…とは書いてみたもののカントの「純粋理性批判」の時と同じくとにかく歯を食いしばって最後まで読み通したという体たらくで理解できたとまではなかなかいかない。 7月のNHKの100分de名著で取り上げられるといったタイミングでたまたま古本市で目に留まってしまい、番組と連動してついつい読み始めてしまった。 現象学自体まだ何の予備知識も持たずとにかく番組にヒントをもらいながら並行して読み進めてみたが、一部と二部はともかく三部はよく分からないままとにかく読み通しただけであった。 とはいえ、フッサールが自然科学の客観性と実証性のみを重視し、一般の生活世界と乖離していく学問への危機感をもって現象学の研究を深めていったことや、当時ナチス政権下のドイツにおいて、ユダヤ人であるフッサールの不遇が彼の研究に対する情熱のこもった文章に迫力を感じた。訳者の木田元さんの著書はいくつか読んでいるが、より現象学について知りたいと思う。 西研 著「哲学的思考」読了。 フッサールの「危機書」の一部と二部はなんとか読み通せたものの、三部の遺稿はまとまった形として残すことを果たせずに粗いままとなってしまったらしく、確かに意味を掴むのがとにかく難しいと感じて途方に暮れていたときに古本屋でNHKの100分de名著の番組の指南役を務めていた西研さんのこの本を見つけた。 そこにはフッサールの提唱した現象学が対話によって共通理解を求めていく本質観取や自然科学などの学問とや社会と個人を繋いでいくためのエポケー(判断停止)など、どのように格闘していったかを著者独自の批判を交えながらわかりやすい事例とともに紹介されていて貪るように一気に読み切ってしまった。 番組の方はどちらかというとこの本に寄せて構成されているような感じもあり、2冊1セットとして見るとよく理解できた。 西研さんの本は今後もぼくの哲学探究の助けになるだろう。
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『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』は、フッサールが1935年にプラハとウィーンで行った講演を基に、1936年に『哲学叢書』に掲載された著作です。これは彼の最後の主要著作となりました。 本書でフッサールは、近代科学と哲学が陥っている深刻な危機について論じています。その危機と...
『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』は、フッサールが1935年にプラハとウィーンで行った講演を基に、1936年に『哲学叢書』に掲載された著作です。これは彼の最後の主要著作となりました。 本書でフッサールは、近代科学と哲学が陥っている深刻な危機について論じています。その危機とは、科学が数学的・客観的な方法に過度に依存し、人間の具体的な生活経験から遊離してしまったことにあります。科学は確かに大きな成功を収めましたが、その代償として「生活世界(Lebenswelt)」という、私たちの直接的な経験世界との結びつきを見失ってしまったというのです。 フッサールは特にガリレイ以降の近代科学を批判的に検討し、科学が世界を数学的に理解可能な対象として捉えることで、主観的・質的な経験の次元を捨象してしまったと指摘します。この「自然の数学化」によって、科学は確かに精密な知識を得ることには成功しましたが、人間の生きた経験から遊離し、真の意味での「理性」を見失ってしまったというのです。 この危機を克服するために、フッサールは「生活世界」の概念を導入します。生活世界とは、科学的抽象に先立って私たちが直接的に経験している世界のことです。フッサールによれば、すべての科学的認識は究極的にはこの生活世界に基礎づけられているはずなのです。 本書の重要な特徴は、現象学的方法を歴史的な文脈の中で捉え直していることです。フッサールは、ヨーロッパ精神の本質を「普遍的な理性の理念」に見出し、現代の危機をこの理念の忘却として理解します。そして、現象学こそがこの危機を克服し、真の意味での合理性を回復する道を示すことができると主張します。 この著作は、単なる科学批判にとどまらず、現代社会が直面している根本的な問題に光を当てています。科学技術が急速に発展する現代においても、「人間とは何か」「科学の真の意味とは何か」という問いを考える上で、重要な示唆を与え続けている古典的著作といえます。 この著作は、後のハイデガーやメルロ=ポンティらの実存主義的現象学、さらには現代の科学哲学や技術論にも大きな影響を与えました。特に「生活世界」の概念は、現代の社会理論や環境倫理学などでも重要な役割を果たしています。
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