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酒呑童子の誕生 もうひとつの日本文化 中公新書1081
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論社/ |
発売年月日 | 1992/06/25 |
JAN | 9784121010810 |
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酒呑童子の誕生
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商品レビュー
3.7
6件のお客様レビュー
酒呑童子は実はシュタイン・ドッジというドイツ人で、飲んでいた人間の血は赤ワインだったという冒頭の珍説から、本書に引き込まれました。とはいえ、本書は「酒呑童子」という怪物が生まれた文化を面白おかしく論じる本ではなく、非常に真面目な学術書です。冒頭のドイツ人説も当時の日本人にとっては...
酒呑童子は実はシュタイン・ドッジというドイツ人で、飲んでいた人間の血は赤ワインだったという冒頭の珍説から、本書に引き込まれました。とはいえ、本書は「酒呑童子」という怪物が生まれた文化を面白おかしく論じる本ではなく、非常に真面目な学術書です。冒頭のドイツ人説も当時の日本人にとっては欧米人は鬼に見え、伝説になっても不思議はないという分析もなされなされています。 異形の酒呑童子の正体については、紅毛人説、山賊説、鉱山師および鉱山労働者説など多数の説があります。その中で著者の高橋昌明さんは、酒呑童子の原像は、疫病を流行らせる疫神、とくに前近代日本の疫病中、最大の脅威であった疱瘡を流行らせる鬼神だったと推理します。鬼は境界に現れることが多いという観念から、酒呑童子の住む大江山は、老ノ坂や山陰道が山城国へ入り込む境界にあり、元来、疫病の跳梁しやすい場所であるとします。この鬼神の上にさまざまなイメージを重畳したものが酒呑童子であり、オランウータンに似た想像上の動物「しょうしょう」(けものへんに星)のイメージがあったと、唐の小説「白猿伝」と「大江山絵詞」の類似性を探ってゆきます。 さらに竜宮としての鬼が島に着目する事に依って「水神」に酒呑童子を重ね合わせたり、聖徳太子伝説も引き合いに出したりと、酒呑童子の正体の奥深さを味わうことができます。 著者の高橋昌明さんの専攻は日本中世史。「清盛以前」「湖の国の中世史」(平凡社)の著書があります。 高橋さんは「酒呑童子説話を通し、中世社会の内と外、中心と周縁、境界や排除にかかわるもろもろを考えてゆく」と「はじめに」で書いています。本書は酒呑童子から発展して、立派な日本中世史論になっています。 本書は書き終えるのに5年かかったと「あとがき」にあります。酒呑童子の世界、日本人の精神世界が味わえる力作です。
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酒呑童子=ゴリラ説は目から鱗でした。 その他「だいぶ酒呑童子から離れてしまっているような……」と思う個所もありましたが、おおむね参考になりました。
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古書店にて200円で。酒呑童子そのものではなく、鬼門や蚩尤に関する文章が気になったので購入。この系統で読んだのは永井豪先生の『闇の宴 酒天童子異聞』ぐらいだが、さすがに専攻が日本中世史となると参考文献の数も膨大で、着実な論証を目指すにはこれくらいの博捜が必須なのだと思い知らされる。酒呑童子の正体についての考察にも気づかされる点は少なくなかったが、説話の形成に影響を与えたと目される国内外の様々な説話・文学には初見のものも多く、まさに蒙が啓かれる思いだった。これぞ読書の醍醐味。
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