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ヴェニスの商人の資本論 ちくま学芸文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房/ |
| 発売年月日 | 1992/06/25 |
| JAN | 9784480080042 |

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ヴェニスの商人の資本論
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商品レビュー
3.7
27件のお客様レビュー
どこからでも読めるエ…
どこからでも読めるエッセイ。経済学を学んでいる人は、その知的世界に圧倒される。
文庫OFF
本書はエッセイ、書評本といった印象もあるが、『ヴェニスの商人』に対してこのような資本論的解読をしたのは、岩井克人が初なのか。また、その点において、同氏の奥さんである水村美苗の影響は受けていたのか。また、こうした寓話的な解読における、経済学的意義というのはどのような点にあったのか、...
本書はエッセイ、書評本といった印象もあるが、『ヴェニスの商人』に対してこのような資本論的解読をしたのは、岩井克人が初なのか。また、その点において、同氏の奥さんである水村美苗の影響は受けていたのか。また、こうした寓話的な解読における、経済学的意義というのはどのような点にあったのか、という点を気にしながら読んだ。 文学研究の世界では『ヴェニスの商品』に登場するシャイロックの「利子」「金貸し」という動機が、キリスト教的倫理と貨幣経済の衝突を象徴しているというような解釈は古くからあり、引用されてもきた。特に、マルクス自身がシェイクスピアをよく引用している。しかし、遺産を引き継いだ娘であるポーシャを「死蔵された貨幣」と見立て、流通と使用価値の問題に接続したような解釈は、岩井克人が先駆的だったのではないだろうか。 つまり、文学解釈を超えて、経済理論における貨幣の流通・蓄蔵・象徴性を可視化するための「寓話的装置」として『ヴェニスの商人』を用いた点が独創的だった。で、その文学との融合において、小説家であり同氏の妻である水村美苗の影響があったのではないかと感じたのだ。直接的な証拠もその点における言及も見当たらないが。 で、結局のところ、寓話的な解読の経済学的意義とは何なのか。ポーシャが、貨幣っぽいね、と物語への‟当てはめ“をした所で、学術的意義は見出せない。この点に関しては、少し調べながら考えてみた。岩井は、経済学における主要概念(貨幣、利潤、流通など)を、物語に仮託することで、ポーシャ=貨幣という寓話は、貨幣の「使われない時間」こそが、実はその価値構造の根底にあることを示す。また、岩井は貨幣を「実体」ではなく「記号」として捉え「貨幣とは、〈差異の連鎖〉でしかない。」とする。 別の章で「キャベツ人形」というものが出てきて、日本でも80年代に流行ったらしい「赤ちゃん人形」だ。私は知る由もないが、「赤ちゃん人形」は何かしら人間社会に対し暗喩的に度々ブームを起こすのだ。で、こうしたポーシャやキャベツ人形が「意味の鎖」によって他者との差異を生む記号として存在するというのが岩井の主張である。 経済学においては、こうした記号論的な解釈(欲望・象徴・模倣の連鎖)を導入したことが、ひと先ずは理論への革新的な試みだったという。つまり、経済理論の中に「物語」と「比喩」という異物を持ち込み、抽象的理論の“根底”に潜む人間性・象徴性・欲望を照らし出す試みだったと。こうした所作には、小説家である奥様の価値観の融合が垣間見える気がした、という感想である。 ところで、度々起こる「赤ちゃん人形ブーム」の根底には何があるのか。本源的な部分にも興味が向いた。よくよく調べると、私の記憶していたのは、トロール人形だったが。
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資本主義について、貨幣について、他者書物の書評などが収録されている。シェイクスピアとか文化人としては必読なのだろう。
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