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核分裂を発見した人 リーゼ・マイトナーの生涯
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核分裂を発見した人 リーゼ・マイトナーの生涯

シャルロッテケルナー(著者), 平野卿子(訳者)

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核分裂を発見した人 リーゼ・マイトナーの生涯

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 晶文社
発売年月日 1990/08/30
JAN 9784794958877

核分裂を発見した人

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2011/06/22

原子力という「エネルギー」は、核分裂によってうみだされる。原子は、"これ以上分けられないもの"だと、私も理科で昔習った気がするが(中学の理科だとやはりそういう説明になるのか)、前の世紀の変わり目の頃、物質の最終単位だという原子論に疑いが生じていた。リーゼ・マイ...

原子力という「エネルギー」は、核分裂によってうみだされる。原子は、"これ以上分けられないもの"だと、私も理科で昔習った気がするが(中学の理科だとやはりそういう説明になるのか)、前の世紀の変わり目の頃、物質の最終単位だという原子論に疑いが生じていた。リーゼ・マイトナーは、ボルツマンの講義のなかで、この話を聞く。 原子は、原子核(陽子と中性子の集合)とその周りをまわっている電子とで成り立っていて、電気的には中性である。自然界に存在する最も重い元素であるウラン(原子番号92=陽子の数が92)には、中性子の数の違いによって、ウラン235(中性子が143)と、ウラン238(中性子が146)とがあり、このウラン235が核分裂反応を起こすことが、オットー・ハーンとフリッツ・シュトラウスマンによって発見された。1938年のことである。 リーゼ・マイトナーは、そのウランの核分裂について、最初の理論的な説明と物理学的な解釈を成し遂げた人で、「ドイツのキュリー夫人」ともよばれた。この本は、物理学を愛し、女性が科学の世界に進むことも大学に入ることも許されなかった時代に勉強を続け、研究を続けてきたリーゼ・マイトナーの生涯を描く。 核分裂のあとにできる物質は、元のウラン核より軽くなり、その軽くなった分が大量のエネルギーとして放出される。その計算の基礎は、アインシュタインの「E=mc^2」(E:エネルギー、m:物体の質量、c:光速)、つまり質量がものすごいエネルギーになる。そのことをマイトナーは理論的に証明したのだ。 その発見は、1945年の夏に「名声」となった。新聞や雑誌の記者たちはリーゼ・マイトナーのもとへ殺到し、彼女は「原爆の発明に大きな寄与をした」と報じられ、「原爆の母」という呼び名までつけられる。混乱した状況のなかで、マイトナーが強調し続けたのは「ハーンも私も、原爆の開発にいささかなりとも関わっていません」ということだった。 1946年には新聞記事のなかでこう意見表明をしている。 ▼「人間を破滅させる爆弾の開発より、平和が続くほうが望ましいことです。わたしは、日本に原爆が投下されたという知らせを聞くまで、それが開発されたことを知りませんでした。わたしはそれがそんなにわずかのあいだに完成したことに驚きました。この科学上の開発に貢献した人は評価されて当然だと思います。しかしながら、いまや科学者が自分の努力のすべてを原子力の工業および平和利用へと向けることがもっと望ましいでしょう」(p.182) この本の著者は、おそらくマイトナーも多くの同時代人と同じように、原爆が戦争の終結を早め、より多くの犠牲者を出さずにすんだと考えていたのだろうと書いている。加えて、当時はまだ(この点については、今に至っても、という気がするが)原爆によってどれほどの被害が広島や長崎にもたらされたのか、誰も正確に知らなかった、マイトナーもそうだろう、そう考えることで、彼女が「この科学上の開発に貢献した人は評価されて当然だ」と表明した理由が理解できると、著者は書く。 核分裂発見の年、リーゼ・マイトナーはユダヤ人ゆえにドイツを追われ、ストックホルムで亡命生活に入っていた。ハーンとシュトラウスマンが実験をおこなったベルリンに、マイトナーはいなかったのである。のちに、ハーンはノーベル賞を受けるが(1944年、化学賞)、理論的な貢献をしたマイトナーは共同研究者としての名前さえあげられなかった。 女であること、ユダヤ人であること、それはマイトナーが物理学によって真実を追究しようとする道をいくらか阻んだ。彼女は、女性用トイレのない研究所で勤めていたのであり、着の身着のままで逃れた亡命生活のなかでは実験も思うようにできなかった。それでも物理学を学び、研究を続けてきたマイトナーの、真実をつかんだうれしさがこの本からはつくづく感じられる。 マイトナーにとって、自分が発見した核分裂は原子爆弾という兵器を作り出す出発点となった。彼女は原爆開発が失敗することを願っていたというが、原爆開発に携わった者たちは、原爆を手に入れるだけではなく、それを実際に使ってみたかったのだ。 科学が、「これが人間か」というものにならずにすむ道はあるのかと、そんなことも思いながら読む。この本とはべつに『リーゼ・マイトナー―嵐の時代を生き抜いた女性科学者』という本もあるので、こんどはそっちを読んでみようと思う。

Posted by ブクログ

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