トラジェクトリー の商品レビュー
成長を感じられない仕事という件に考えさせられる。目的のない仕事は達成感もないしただお金を稼ぐ、生きていくためだけの仕事。 それで主人公が目的をもった仕事についたのかは不明だけど達成感のある仕事はなんだろうと考えてしまう。 職場でも生きている意味は?とか母国に帰りたいけど主人はイヤ...
成長を感じられない仕事という件に考えさせられる。目的のない仕事は達成感もないしただお金を稼ぐ、生きていくためだけの仕事。 それで主人公が目的をもった仕事についたのかは不明だけど達成感のある仕事はなんだろうと考えてしまう。 職場でも生きている意味は?とか母国に帰りたいけど主人はイヤだと言ってると話題になり自分がやりたい事が伴侶によって妨げとなっているので思うような人生にはならないのかとまたまた生きている意味を考えて読了。
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外から見た日本人の姿や、 外国籍で日本で働いている人達の目線からみた日本をのぞいているようで新鮮な気持ちで読み進めた。 でも日本での生活にどこか暗澹とした雰囲気が漂うのは日本が閉鎖的なんだろうかと思いを巡らせたりした
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何かに辿り着くわけではない。これは自国を出て日本で暮らすことを決めた外国人の物語。 寄る辺のない、帰るところもなく、生きる国でどのように生きるべきか、自分は何者なのか、心もとなさをつぶさに観察してその心の移ろいを切に描写する。 外国人ではなくとも、今の時代あらゆる人が「自分は何者...
何かに辿り着くわけではない。これは自国を出て日本で暮らすことを決めた外国人の物語。 寄る辺のない、帰るところもなく、生きる国でどのように生きるべきか、自分は何者なのか、心もとなさをつぶさに観察してその心の移ろいを切に描写する。 外国人ではなくとも、今の時代あらゆる人が「自分は何者なのか」問い続けてるかもしれない。ゆえに共感してしまう。
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表題作。面白いと思ったのは、悪役だったり鼻つまみ者的な扱いをされがちな中高年男性カワムラさんが、その内面に何かを秘めた人間としてミステリアスな性格付けをされ、主人公の英会話講師と対になる存在として描かれているところ。二人がレッスンでなぞるアポロ11号の挿話も、月という目標へ向け放...
表題作。面白いと思ったのは、悪役だったり鼻つまみ者的な扱いをされがちな中高年男性カワムラさんが、その内面に何かを秘めた人間としてミステリアスな性格付けをされ、主人公の英会話講師と対になる存在として描かれているところ。二人がレッスンでなぞるアポロ11号の挿話も、月という目標へ向け放たれた軌道上で営まれる宇宙飛行士たちの何気ない日常会話に、登場人物の諦めと希望がないまぜになった感情が重ねられる。 故郷に根を張るでもグローバルに飛翔するでもなく、たまたま今ある場所に宙づりにされているような主人公の寂寥感が伝わってくる。
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日本で働いている白人男性の物語。表題作は英語学校のネイティブ講師、もう一編の『汽水』は日本の大学の職員が主人公です。両方とも大きな展開もなく、淡々とした内容です。 どちらも外国人が日本で就職して働く違和感といったものを取り上げています。日本人から見ればマイノリティを取り扱ってい...
日本で働いている白人男性の物語。表題作は英語学校のネイティブ講師、もう一編の『汽水』は日本の大学の職員が主人公です。両方とも大きな展開もなく、淡々とした内容です。 どちらも外国人が日本で就職して働く違和感といったものを取り上げています。日本人から見ればマイノリティを取り扱っていると思うのですが、なんか違った感じかしました。うーん、上位者からみた孤独感といった感じでしょうか。 ただの中年男性の悩みが書かれていようでもあり、なんか視点が違う、なんとも複雑な読書体験でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
すごく不思議な読後感の小説だった。 海外から移住して来た故に感じる「自分の場所じゃない」感覚。同時に故郷のアメリカも既に「知っている場所」ではなくなってしまっていて、アイデンティティがどこにあるのか定まらない気持ち。 海外への移住経験どころか旅行経験すらもないのだが、高校進学を機に生まれ育った街を離れた私には少しだけ覚えのある感情だった。 ふとした瞬間に感じる疎外感と、帰郷するたびに知らない街になっていく故郷。その切なさを少しだけ思い出した。 他の言語を習得したとしてもその国の一部になれるわけではないし、もしかしたら馴染めば馴染むほど「余所者」の感覚が強くなっていくのかもしれない。 筆者も日本に来て日本語を話し日本語で本を書いていても、たまにふと寂しくなったりするのかな、と思った。
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トラジェクトリー(trajectory)は、一般的に「軌道」「進路」「方向性」を意味する言葉。 作者自身を感じるられる、静かなモノローグが好きだ。まだ40才を越えたばかりの彼はどこを目指すのだろう。
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初めは『アメリカ出身作家が端正な日本語で描く、新たな「越境文学」』という話題性に惹かれて、半ば興味本位で手に取りました。 読んでみて圧倒されたのは、やはり第二言語として身に付けたというのが信じられないほどの日本語表現の見事さでした。日本語ネイティブでもこれほどの文章を書ける人は...
初めは『アメリカ出身作家が端正な日本語で描く、新たな「越境文学」』という話題性に惹かれて、半ば興味本位で手に取りました。 読んでみて圧倒されたのは、やはり第二言語として身に付けたというのが信じられないほどの日本語表現の見事さでした。日本語ネイティブでもこれほどの文章を書ける人はそうそういません。 日本人が英語を学ぶより、欧米の出身者がひらがな・カタカナ・漢字が入り混じる日本語を身につける方がよほど難しそうですが、世界規模の話者数で見れば「辺境の言語」ともいえそうな日本語を身につけるためにどれほどの時間と努力を注ぎ込んだのかと考えると、それだけでも尊敬に値します。 物語ももちろん面白かったです。日本という国、とりわけ地方都市の寂れた感じの描き方がとてもリアルだと感じました。これは外からやってきて実際に長年住んだ人にしか書けないと思います。 過去に自分が読んだ作品で言うと、多和田葉子さんの「エクソフォニー 母語の外へ出る旅」に近いものものを感じました。異国に住む人の感覚には通じるものがあるのでしょう。
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作者が日本人ではないということは傍に置いて、日本語で書かれた一つの小説として読んだ。 英語学校の描写がリアルだし、登場人物の思いや考えに共感するところもあって全体としてはよかった。少しわかりにくいところ、わざと謎めかせていると思われるところもあり、自分の理解力が十分に至らない感じ...
作者が日本人ではないということは傍に置いて、日本語で書かれた一つの小説として読んだ。 英語学校の描写がリアルだし、登場人物の思いや考えに共感するところもあって全体としてはよかった。少しわかりにくいところ、わざと謎めかせていると思われるところもあり、自分の理解力が十分に至らない感じがして若干消化不良。
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初めて開墾地を読んだ時の衝撃は少し薄まってしまいましたが、同じテーマでさまざまな視点でアイデンティティを追求しているところは一貫。結局人は上下や前後じゃなくて横にしか動けないんじゃないかな。と新たな観点の気づき。
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