ジェイムズ の商品レビュー
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黒人奴隷の過酷さは、様々なところで資料として見ることが出来るが、黒人側からの感情の再現である本書は新たな気付きがある。 暴力での支配から逃れることが如何に難しいかとか、支配する側の心の拠り所が何かとか。 大多数の人がなんの正当性もなく過ちを犯すわけではなく、身勝手でも言い分が必要...
黒人奴隷の過酷さは、様々なところで資料として見ることが出来るが、黒人側からの感情の再現である本書は新たな気付きがある。 暴力での支配から逃れることが如何に難しいかとか、支配する側の心の拠り所が何かとか。 大多数の人がなんの正当性もなく過ちを犯すわけではなく、身勝手でも言い分が必要だということが唯一の救いかもしれない。
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★5 歴史を学べ!『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷のジム視点から描いた物語 #ジェイムズ ■背景となる作品『ハックルベリー・フィンの冒険』の導入 トム・ソーヤと共に盗賊が隠した宝を見つけ、大金を手に入れたハックルベリー・フィン。その後、ダグラス未亡人のもとに身を寄せて...
★5 歴史を学べ!『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷のジム視点から描いた物語 #ジェイムズ ■背景となる作品『ハックルベリー・フィンの冒険』の導入 トム・ソーヤと共に盗賊が隠した宝を見つけ、大金を手に入れたハックルベリー・フィン。その後、ダグラス未亡人のもとに身を寄せて暮らしていた。さらに未亡人の妹、ミス・ワトソンからは礼儀作法を仕込まれる。 酒浸りで乱暴者のハックの父親は、彼が大金を手に入れたと聞きつけ、強引にワトソン家からハックを連れ去ってしまった。しかし父親から逃げ出したハックは、ワトソン家の使用人である黒人のジムと再会する… ■本書のあらすじ ワトソン家の使用人である黒人のジム。ある日彼は自分自身が売られてしまうという情報を聞きつけ、妻と娘を置いて逃亡する。小さな島に隠れ潜んでいたジムだったが、ワトソン家のフィンと出会う。子どもと黒人奴隷の二人は一緒に逃亡の旅を続けることになるのだが… ■きっと読みたくなるレビュー ★5 楽しみながら人生を学べる一冊、死ぬまでには読みたい。よくぞ出版できたなっていうほど、黒人差別を真正面から描いています。 本作は『ハックルベリー・フィンの冒険』を背景にした物語。ハックとジム二人が冒険・逃亡する筋立てなのは同じですが、主人公はハックではありません。黒人奴隷であるジム目線で進行していくのです。 まず、この本が出版された意義ってのを考えずにはいられません。全くもって目から鱗… これまで如何に白人目線で物事を語られてきたのか、よーくわかる作品です。なんとなく映画『猿の惑星』の思い出してしまいました… 高慢さってのは身を滅ぼします。 一番の読みどころは、主人公ジムがどのように「生き抜いている」のかということ。奴隷として生きている黒人が白人と会話する場合、白人の機嫌を損ねないよう、あえて低能で田舎臭い言い回しで会話をする。それは白人のアイデンティティを守り、ひいては自身の安全のために行っていることなのです。 本作では奴隷という立場の黒人からみた白人社会を辛辣に描いているのですが、読むほどに自分勝手で卑劣なのかがよくわかります。 ひとりの人間を当たり前のように売買する、強制労働させる、できなければ鞭で打つ、殴る蹴る、そして若い女性は―― 歴史の授業では、単に事実として頭にいれるだけだけですが、本作ではアメリカの南北戦争前の現実を目の当たりにできるのです。 物語が中盤に入ると、ジムが奴隷としての生き方ではなく、人としての生き方を目指すようになってくる。ある道具がきっかけになるのですが、まさしく「動物」ではなく「人間」ということの証になるような「道具」なんです。これまで奴隷として生きてきたジム、彼を決定的に変えさせたのは何だったのか。 そして終盤は想像以上の怒涛の展開で、こんなにも夢中になったことは久しぶり。これまでの不条理、鬱憤、不安といったネガティブな感情を吹き飛ばしてくれるようなシーン… ほんとよく頑張った、胸を張っているジェイムズがクールすぎて、もう涙なしでは読めません。 昔のこと、遠い国のこと、などといって興味を持たないのは簡単。必要なことは学び、未来につないでいくのが責任のある大人だと思いました。 ■ぜっさん推しポイント 読書は人生勉強になりますね。例えば「ミンストレル・ショー」って知っています? 本作で描かれいるのですが、私は勉強不足で知りませんでしたね。奴隷制度廃止運動と同時期にあった、顔を黒く塗った白人による黒人エンターテインメントショーです。 背景だったり、効果だったり、そしてどう未来に繋がっていったのか… 教科書では教えてくれない歴史の勉強です。興味があればぜひ調べてみて下さい。 さて人種差別と言えば、我が国日本においても、被差別部落や人種、国籍、宗教による差別が少なからずありました。今後、日本でも移民政策が進んでいくと、さらに人種差別が広がるのかもしれません。歴史を学ぶってのは大切なことなのです。
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ほんとうに世の中は嘘に溢れている マーク・トゥエインの名作『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷ジムの目線から語り直した物語だそう ぜんぜん違うやないか!( ゚д゚ )クワッ!! はい、読み始め3ページで「★5じゃ足りない」が確定した『ジェイムス』です もうね、違うの...
ほんとうに世の中は嘘に溢れている マーク・トゥエインの名作『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷ジムの目線から語り直した物語だそう ぜんぜん違うやないか!( ゚д゚ )クワッ!! はい、読み始め3ページで「★5じゃ足りない」が確定した『ジェイムス』です もうね、違うのよ そんな簡単な話じゃないのよ まず作中でもちらっと出てくるが、アイロニーがエグい こんなことするのか、あーた この発想持ち込んじゃったら大変なことなるで!って思ったよ そしたらやっぱ大変なことなったよ ガルルってやっちゃうと「差別ダメやで」になっちゃうのかもしれん でもそれだけじゃ足りない色んなものが込められて大爆発しとる この大爆発をそれぞれの読み手が拾い上げる物語なんよ なので、どんなレビューもなんかちょっと違う気がするんよ なんかちょっと足りない気がするんよ やっぱあれだわ なんかやっぱ人間ダメだわって思ったり やっぱあれだわ なんかやっぱ人間て素晴らしいわ いやこれはあれだ地球の物語だわ 全くもってまとまらないレビューだが、それが正しいような気がするんよな〜
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奴隷はお金を稼ぐことができない。奴隷は人間扱いされない。奴隷として扱われるその境遇に満足している奴隷もいる。 本文を読んでいて衝撃を受ける記述が複数ありました。 世界史で習っていたものの、自分の理解の解像度がとても荒かったんだと気づきました。 読後、コテンラジオのリンカン編を聞い...
奴隷はお金を稼ぐことができない。奴隷は人間扱いされない。奴隷として扱われるその境遇に満足している奴隷もいる。 本文を読んでいて衝撃を受ける記述が複数ありました。 世界史で習っていたものの、自分の理解の解像度がとても荒かったんだと気づきました。 読後、コテンラジオのリンカン編を聞いて、奴隷に関する知識を学び直しています!
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能ある鷹は爪を隠す。 相手が蔑んで使った言葉を、皮肉として使う。 皮肉だとわからない者もいる。 井の中の蛙は、井の中しか知らない。 自分が知らない事も、描写として描かれとても貴重な1冊。 散文形式で、とてもリズミカルに読める本であり、 ジムの考え、会話がとても面白かった。 ハ...
能ある鷹は爪を隠す。 相手が蔑んで使った言葉を、皮肉として使う。 皮肉だとわからない者もいる。 井の中の蛙は、井の中しか知らない。 自分が知らない事も、描写として描かれとても貴重な1冊。 散文形式で、とてもリズミカルに読める本であり、 ジムの考え、会話がとても面白かった。 ハックルベリーフィンも読んでない方も、この本が気になったのであれば、この本を読んでもいいと思いました。 好奇心に優る気持ちを大事にしよう。
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少年の頃、ハックルベリー・フィンや トム・ソーヤーの冒険物語には 心躍らせ楽しみました。 これは上記作に登場するジムの物語です。 時はアメリカ南北戦争開戦前夜。 当時のことは知る由もないのだが ジムの心に寄り添えて、 ドキドキする作品だった。 「人間はおかしなもんだよ。 自分...
少年の頃、ハックルベリー・フィンや トム・ソーヤーの冒険物語には 心躍らせ楽しみました。 これは上記作に登場するジムの物語です。 時はアメリカ南北戦争開戦前夜。 当時のことは知る由もないのだが ジムの心に寄り添えて、 ドキドキする作品だった。 「人間はおかしなもんだよ。 自分の好きな嘘は信じるだけど、 都合の悪い真実は無視するだ」 というセリフが 今でもその通りでハッとした。
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ハックルベリーの冒険を黒人奴隷の視点から眺めて、特に後半は奴隷の逃亡に焦点何あっていた。奴隷の悲惨さがこれでもかっていうぐらい描かれていて読むのが辛い場面が多々あった。
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私がアメリカ文学に疎く、「トム•ソーヤの冒険」は知っていても、「ハルックベリー•フィンの冒険」は知らなかった。 その状態で本書を読んだので、ハルックベリー作品のスピンオフや後日談を楽しむ目線ではなく、本作品の世界を楽しむように読めた。 本作は黒人奴隷のジムの目線で展開されている。...
私がアメリカ文学に疎く、「トム•ソーヤの冒険」は知っていても、「ハルックベリー•フィンの冒険」は知らなかった。 その状態で本書を読んだので、ハルックベリー作品のスピンオフや後日談を楽しむ目線ではなく、本作品の世界を楽しむように読めた。 本作は黒人奴隷のジムの目線で展開されている。奴隷の扱いについて、上部だけでなくいかに酷く扱われていたことが生々しく描かれていた。時折、目を背けたくなるような表現もあったが、却って黒人奴隷の非人道さが明確に形取られていて、人権や人間の尊厳を改めて振り返られる。 物語もテンポ良く進み、ジムがいく先々で色々な出来事が起こりそれが想像もつかない事で、早く展開を追いかけたく、ページを捲るスピードが早かった。 最後の訳者の日本語に訳す上での拘りも語られていて、日本語訳の難しさと言葉の伝わり方をいかに大切にしてるかが伝わり、翻訳の仕事の尊さを感じる。
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「ハックルベリーフィンの冒険」を読んでから本を開いた。昨日まで読んでいた話だぞ…?と思っていた冒頭から、おっと目線はそっちになるのか、ほうほうほう…とアナザーストーリーに引き込まれる。 奴隷を所有する側の話を読んでいたのに対し、本作は奴隷側の話。白人と明確に線引きをして、白人の...
「ハックルベリーフィンの冒険」を読んでから本を開いた。昨日まで読んでいた話だぞ…?と思っていた冒頭から、おっと目線はそっちになるのか、ほうほうほう…とアナザーストーリーに引き込まれる。 奴隷を所有する側の話を読んでいたのに対し、本作は奴隷側の話。白人と明確に線引きをして、白人の前と黒人の中では使う言葉を変えたり、読み書きの能力を隠すなど、確かにあのジムもそうだったのかも知れないと思わせる絶妙に隙間を埋める。白人は黒人に劣っていて欲しい、なぜなら満足感を得るためなど。 しかし何故女の奴隷は2度かそれ以上に殺されなければならないのだろうという疑問が拭えずに、なんだか物語のなかにいることに冷めてしまった。人間としての尊厳を失うことと奴隷として死ぬことがイコールなのか?奴隷の時点で尊厳を失った存在だとあれほど書かれているのに?奴隷として死ぬのと自由な存在として死ぬのでは違いがあると書かれていたが、奴隷の中にはすでに何度も死んだことのできる死に方をしている者とそうでない側の者とが入り混じるのに、それはイコールで成り立つのか?とても引っかかってしまった。
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