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ジェイムズ の商品レビュー

4.4

80件のお客様レビュー

  1. 5つ

    42

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    9

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2026/04/12

生きるか死ぬか、緊迫感に満ちた衝撃的な作品。想像を絶するなんてものじゃない、魂ふるえる読書体験でした。私にとって☆5以上です。 本書の時代設定は、『ハック・フィン』の時代設定(1830年代から40年代)より数十年後ろにずれており、途中で南北戦争が起こっています。 タイトル『ジ...

生きるか死ぬか、緊迫感に満ちた衝撃的な作品。想像を絶するなんてものじゃない、魂ふるえる読書体験でした。私にとって☆5以上です。 本書の時代設定は、『ハック・フィン』の時代設定(1830年代から40年代)より数十年後ろにずれており、途中で南北戦争が起こっています。 タイトル『ジェイムズ』を見たとき、“誰?”と思ってしまいました。『ハック・フィン』に登場した黒人奴隷ジムの正式な名前でした。黒人奴隷であるジェイムズには公式な名字がありません。『トム・ソーヤー』『ハック・フィン』、どちらも“トム”“ハック”としていない。名前からして、黒人への待遇の差があります。そして当たり前のことですが、視点が変わると見えてくるものが大きく違いました。 「“待つ”ことが奴隷生活の大きな一部」このフレーズが、ズシンと重く響きました。『トム・ソーヤー』『ハック・フィン』と違い、本作に明るさはありません。読んでいて寒気がするような、人間が人間にこんなことまでやれてしまうのかといった、辛い場面がありました。 ジェイムズ(27歳)の白人に対する歯に衣着せぬ率直な思いが綴られています。奴隷制度下で白人は優位な位置にいますが、実は内面において黒人の方が上をいっていると感じました。ジェイムズは、子供のハックにも言葉遣いからして演技をしています。しかし、ハックは真実を見抜ける純粋さをもつゆえ、ジェイムズは心を開くことができる。ジェイムズは、本を読むことでしか、自由を感じることができませんでした。1本の鉛筆は、ジェイムズにとってかけがえのないものであり、仲間との関わりの中で、深い悲しみを想起させるものでもありました。最終的にジェイムズとハックの関係性が明かされます。本当に、どきりとさせられました。 『ハック・フィン』の大きなテーマは奴隷問題でした。トウェインが世の中に提示した重いテーマを現代作家エヴェレットが、このような内容の小説で発表したことに大きな意味があると思います。日本も未だ、差別の芽が全て取り払われたわけではありません。本書を読んだことをきっかけに、アメリカ人の友人に色々聞いてみたいです。 (3026.4.7読了)

Posted byブクログ

2026/03/30

勢いで読み切れちゃう作品 トムソーヤーの冒険とかハックルベリー・フィンの小説を読んでる人はより楽しめるかも

Posted byブクログ

2026/03/20

ハックルベリーの冒険、トムソーヤの冒険を改めて読んでみようと思った。視点を変えると全く違う物語になる。

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2026/03/15

・しんどかったけど面白かった〜。 ・トムソーヤやハックルベリーはとても昔に読んだのだけど、正直話はあんまり覚えていない。解説で最後財宝を見つけて〜と書いてあったけど、そうだっけ?と思ったくらい。 ・なのでこの作品単体で楽しんだ、という感覚。 ・まぁ楽しんだ、というには当時の奴隷の...

・しんどかったけど面白かった〜。 ・トムソーヤやハックルベリーはとても昔に読んだのだけど、正直話はあんまり覚えていない。解説で最後財宝を見つけて〜と書いてあったけど、そうだっけ?と思ったくらい。 ・なのでこの作品単体で楽しんだ、という感覚。 ・まぁ楽しんだ、というには当時の奴隷の扱いがしんど過ぎたけれど。自分は他者が軽んじられる(というレベルでは無いけれど)という描写には基本苦手、しんどさを感じてしまうので。ドラマの「地下鉄道」(あれも凄かった)を思い出した。 ・とは言え、ジム(や他の黒人奴隷)の二面性(話し方を使い分ける)等、ゾクゾクする様な設定もあり、文学、社会の歴史的な意義深さ、以外にもちゃんと「不健全な「娯楽性」も存在していて、そこが凄く面白い。ブラックスプロイテーション文学、みたいな。

Posted byブクログ

2026/03/15

面白かった。ちびた鉛筆一本で吊るされる黒人の哀しみ。白人の鬼畜さ。 けどジェイムズが万能過ぎて笑 歌も上手い頭も切れる仕事もなんでもできる白人女性すら惚れる、レクター博士に惚れちゃったトマス・ハリスかよ!

Posted byブクログ

2026/03/11

読みやすい。ひたすら悲惨な話。奴隷のこと全然知らなくて勉強になった。今度ハックルベリーフィンの冒険も読んでみようと思う

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2026/03/06

2025年ピューリッツァー賞 2024年全米図書賞 2024年カーカス賞 やっと図書館で回ってきたジェイムズ。 楽しい冒険などではない、ジェイムズの逃亡劇で読んでいて辛くなった。 奴隷目線の物語が他にあるのかは知らないけど、少しでも彼らの絶望を想像してみることのできる貴重な本だ...

2025年ピューリッツァー賞 2024年全米図書賞 2024年カーカス賞 やっと図書館で回ってきたジェイムズ。 楽しい冒険などではない、ジェイムズの逃亡劇で読んでいて辛くなった。 奴隷目線の物語が他にあるのかは知らないけど、少しでも彼らの絶望を想像してみることのできる貴重な本だと思う。 彼らは賢く、白人が求める奴隷像を演じて気分をよくさせてあげていることに驚いた。 そして虐げられる人生を受け入れて生きている感じが悲しかった。 ノーマンとの最後の場面は胸が締めつけられた。 場面がグレアム農場になってからは急展開で目が離せない。 黒人奴隷とはなんだったかが伝わってくる凄みのある作品だった。

Posted byブクログ

2026/03/03

ピュリッツァー賞(報道分野の賞だと思っていたら文学や音楽も対象とのこと)を始め名だたる賞を受賞した作品、そして帯に大好きな中島京子さんがコメントを寄せていたので借りてきました。読み始め、ジムの口調が「~ただよ」「~ですだ」などといわゆる役割口調の訳語になっていて、これは読め通せな...

ピュリッツァー賞(報道分野の賞だと思っていたら文学や音楽も対象とのこと)を始め名だたる賞を受賞した作品、そして帯に大好きな中島京子さんがコメントを寄せていたので借りてきました。読み始め、ジムの口調が「~ただよ」「~ですだ」などといわゆる役割口調の訳語になっていて、これは読め通せないかも、といきなり不安になったものの、ほどなくジムが白人の居ない安全な状況で仲間たちと話す場面が出てきて安心しました。役割口調については、巻末の「訳者からのおことわり」に丁寧な解説があります(「訳者あとがき」も作者や作品についての丁寧な情報が整理されていながらネタバレは無いという素晴らしい文章だったので、本文よりも先にこれらを読むのも良いと思います)。タイトルや装丁の感じから、エンタメというより重厚な作品なのかなと想像していましたが、マーク・トウェインの古典名作『ハックルベリー・フィンの冒険』がベースになっており登場人物もかなり重なっているのでした。巻頭には翻訳小説によくある「登場人物紹介」があり、そこに「ハックルベリー・フィンの冒険から引き継がれている人物(記憶で書いているので表現は違ったかも)」という記述が添えられていて、その文章だけで、同じ原典の新訳というわけではなく、舞台や登場人物が共通の別作品なのだな、と認識できました。とはいえ既読ながら詳細はほとんど覚えておらず、日曜夜にやっていたほのぼのアニメのことや、「未来少年コナン」のジムシーやらがぼんやりと心に浮かんだくらい。読み始めたら夢中になって、ベースとなる作品があることは特に気にならずどんどん読み進みつつ、ところどころ唐突に感じられる展開や脈絡なく登場する人物に時々???となって、「ああこれはハック~~冒険をなぞっているからなのかも」と思いながら読みました。読了して、唐突に思われた「公爵と王様」のくだりは、その後ジムが相棒と組んでやろうとしていたことのきっかけになったのだと構成の妙に納得。黒人であることは重荷を負わされて生きていること、黒人であり女性であることは重荷を二重に背負わされていること、が物語を通じて描きだされており、大変読み応えがありました。ミンストレル・ショーが出てきたことで、昔見た映画「ジョルスン物語」を思いだしたりもしましたが、高校生のときに見たので音楽を楽しんだ、くらいの観方しかしておらず内容もあまり覚えていないです。訳者あとがきにより、話題になった映画「アメリカン・フィクション」も作者の原作小説(小説のタイトルは『消失(ERASURE)』)もこの作家の筆によるそうで、他の作品も俄然読んでみたくなりました。『トム・ソーヤーの冒険』の感想は、インジャン・ジョーが怖い、というのと、トムがクソガキ、ということばっかりでしたが、もしもインジャン・ジョーの視点で物語を見ることができたなら、まったく違うように見えるのだろうな、と想像したりしました。

Posted byブクログ

2026/03/02

冒頭に手記あり それはまた最後に あるいは途中で。 第1部 ハックとトムの登場に心躍る ジムは彼らの遊び相手になってやり、白人さまの子どもたちに対して奴隷らしく、わざと何も分からない振りして喜ばしてやる… これがジム側の、黒人たちの思想としてあるのです けっこう辛辣に白人の...

冒頭に手記あり それはまた最後に あるいは途中で。 第1部 ハックとトムの登場に心躍る ジムは彼らの遊び相手になってやり、白人さまの子どもたちに対して奴隷らしく、わざと何も分からない振りして喜ばしてやる… これがジム側の、黒人たちの思想としてあるのです けっこう辛辣に白人のことを馬鹿にしているジムの家族。妻のセイディーのレシピでミス・ワトソンが焼いたトウモロコシパンを「これ食べなきゃダメ?」と娘がこき下ろす。明日感想を聞かれたらなんと答えるか、話し方、つまり奴隷言葉の練習を娘たちにさせるジム 白人が優越感に浸れるような言葉を使う それがこの世界で賢くたちまわる黒人の生き方なのです しかしジムは人知れず判事の図書館に入り独学で本を読み、いつか家族と自由州で暮らすのを夢見ている。 ハックフィンの物語どおり、ジムは自分だけがニューオリンズに売られると知り逃亡、ハックは父親から逃げるために自分を殺してきて… 二人は隠れていた無人の島で出会ってしまう。そうして あのなつかしい物語の中のできことをジムの目線から語っていく ジムは残してきた家族のことばかり考えているようにも見えるのだけどやっぱりハックを守ってくれる。 時々まともな言葉で話してしまったり、賢さを垣間見たハックにあやしまれたりするところにはくすっと笑える。 ペテン師の伯爵と王様(あのなつかしいビルジウォーター公しゃくに、おうたいし!)とのてんやわんやと白人による黒塗りの楽団とか、うろ覚えの人たちも登場!しかし、ヤツらもしっかり白人でムカつく。 そうして白人たちが奴隷に対してやってきた非人道的な描写が語られてゆく。 これこそが ジェイムズの物語なんだ… 鍛冶屋の奴隷イースターに蹄鉄の作り方を教わりながらの会話が核心をついている。 _「そうやって熱して冷ますことを繰り返すことで鋼の硬さが増す」とイースターは言った。 「メタファー(比喩)だね」と私は言った。 「わしらにはそれしかない」とイースターは言った。_ 実はとても知的なジェイムズが素敵だし、ハックはいいやつだし、 おもしろく読めてしまうけど、 鉛筆のエピソードなど、つらい真実も読まねばならない… あと 第3部 やばいです! 最後まで読んだら、冒頭の手記をもう一度読んでみてください。 いろいろ考えられます 誰かと語りたくなります。

Posted byブクログ

2026/02/23

当初、ハックルベリーのパロディーだと思って読み出したが、奴隷制度を黒人の視点から語る、非常に辛く息苦しい内容だった。 日本にも士農工商や土佐藩の上士と下士などの身分制度があったが、奴隷制度という、人が通貨として流通する制度の過酷さはその比ではないと思う。 その過去から、今の平等と...

当初、ハックルベリーのパロディーだと思って読み出したが、奴隷制度を黒人の視点から語る、非常に辛く息苦しい内容だった。 日本にも士農工商や土佐藩の上士と下士などの身分制度があったが、奴隷制度という、人が通貨として流通する制度の過酷さはその比ではないと思う。 その過去から、今の平等と言う考えがどうして根付いていったんだろうか? アメリカと言う国が 超大国である理由がそこにあるように思う。 この物語の先のジェイムスが自由を得られたとは思えない。ただ自由を求めることの積み重ねが人々を自由にしていったのかと思う。 本を貸してくれた後輩に「今の日本はとても恵まれた国だと思う」と話した。だが後輩は「今の日本に自由はない」と話す。感じ方はそれぞれだと思う。私の見えていない不自由があるのだろう。それはもしかすれば私達をさらに自由にしてくれるかもしれない。 ただ私はこの本を読んで今の幸福に感謝したい。

Posted byブクログ