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黄金比の縁 の商品レビュー

3.8

28件のお客様レビュー

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2025/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

理系の男性が多く就職するような、男女日が9:1の、時代に追いつけていない化学企業の新卒採用の話。 主人公は、「女性」という理由で難癖をつけられ、自分がやりたい仕事から人事部へと移動させられた。 そんな進むべき「前(志をもって進むべき目的)」を奪われた主人公は、採用担当としての権利を活かし、会社を徐々に崩壊させる復讐を、新しい「前」に設定する。 それは、「顔の黄金比」のみで学生を選対すること。 顔の黄金比のいい学生は、離職率が高く、会社にいつまで経ってものさばるような「凡人」にはなる確率が低いからだ。 複数の基準を持って人間を総合的に評価する「新卒一括採用」とは、全くの矛盾の行動だが、そもそもそんなシステムは欺瞞であり、成り立たない。 だからこそ、顔の黄金比での採用基準がまかり通る… 日本の採用システム、会社組織の不条理さと、正しくはないが「自分の美学・信念」を持って職務を全うする主人公の皮肉さが相待って、とても痛快な部分もあった。

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2025/11/05

採用側の視点で就活をみられるのが面白い。主人公が復讐をするための行動で、周囲からは評価されてしまうのも皮肉が効いてるな、と。 ラストの展開までどう決断するのかワクワクして読めました。

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2025/10/27

主人公の淡々とした皮肉が面白かった。最後、コネ入社の彼の採用はどうするんだろうとドキドキもし、ゾッとした。

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2025/10/15

就活を描く小説は数あれど、“会社にもっとも損害を与えることのできる採用“を行おうとする人事担当目線の小説はさすがに初めて読んだ。 淡々と進む展開が気持ちよく、皮肉が効いていて面白い!石田夏穂さん初読みですが、他の作品もかなり気になります。 新卒でも中途でも就職活動をしている身と...

就活を描く小説は数あれど、“会社にもっとも損害を与えることのできる採用“を行おうとする人事担当目線の小説はさすがに初めて読んだ。 淡々と進む展開が気持ちよく、皮肉が効いていて面白い!石田夏穂さん初読みですが、他の作品もかなり気になります。 新卒でも中途でも就職活動をしている身としてはズブズブに落ち込んでいたあの頃の私にあげたい本。 流石にここまでの(ある意味)美学をもって採用活動している人はそう居ないと思うけれど、採用側も意外とこんなもんだよ、というかそもそも人が人を選び採るってめちゃくちゃ傲慢じゃん、採用基準って結局好みじゃん、みたいな、うっすら感じていたことが言語化されていて少しスッキリ。

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2025/10/07

自分が勤める会社への復讐として人事の採用基準を顔面の黄金比で決める。これだけでも内容として十分に面白いが文章のいたるところでブラックユーモアが効いていてそれもまた良い。

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2025/09/21

純文学っぽくもあり、大衆小説のような読みやすさもありました。世の小説はどちらかに分かれると思っていたけれど両立もしうるのか...と。 思わず鏡を確認してしまいましたね。 ただ黄金比の顔の人を主人公が好き好んで選ぶわけではなく、ちゃんと主人公の中で確立された理屈があってそうなのだ...

純文学っぽくもあり、大衆小説のような読みやすさもありました。世の小説はどちらかに分かれると思っていたけれど両立もしうるのか...と。 思わず鏡を確認してしまいましたね。 ただ黄金比の顔の人を主人公が好き好んで選ぶわけではなく、ちゃんと主人公の中で確立された理屈があってそうなのだということから、理系っぽさが感じられますね。こういう人事の人いそうだな。

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2025/09/15

あっという間に読めました。それは、文章が短いから、という意味と、没入できるからという意味です。 就職活動で被採用側の小説はいくつか読んだが、採用側の視点の作品は初めてかもしれない。 何かをジャッジすると言う事は、そこに責任が発生する。なんとなくジャッジするのではなく、ある一定の基...

あっという間に読めました。それは、文章が短いから、という意味と、没入できるからという意味です。 就職活動で被採用側の小説はいくつか読んだが、採用側の視点の作品は初めてかもしれない。 何かをジャッジすると言う事は、そこに責任が発生する。なんとなくジャッジするのではなく、ある一定の基準に照らしてジャッジするということが大切である。意外とこんな単純なことが世間ではなされておらず、再確認させられる小説だった。

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2025/09/06

報復人事とはまた違う、人事で復讐するという発想。 発想が面白く、文体もすごく好みでこの著者の別の作品も読むのが楽しみ!絶対読む。

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2025/08/24

採用担当ってそうそう…と、あるあるに頷きつつ、なんてフワフワしているのかと言われて目から鱗。そういうものだと思い込んだまま、かつて5年の期間を過ごしていたよ。 この主人公、ハマれば大活躍する人「財」だったろうに、ボタンの掛け違いがもったいない。

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2025/08/24

舞台は 女性社員比率が全体の一割 年の採用人数が50人程度の (株)Kエンジニアリングの人事。 物語としての抑揚はきっちりあるのだけれど、 そういったあらすじの部分よりも 各所にちりばめられた要素の 社会構造への皮肉のような部分の方が読みどころ。 解説の朝井リョウの文章も秀逸...

舞台は 女性社員比率が全体の一割 年の採用人数が50人程度の (株)Kエンジニアリングの人事。 物語としての抑揚はきっちりあるのだけれど、 そういったあらすじの部分よりも 各所にちりばめられた要素の 社会構造への皮肉のような部分の方が読みどころ。 解説の朝井リョウの文章も秀逸で 今後の石田夏穂作品も楽しみになる。

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