現代生活独習ノート の商品レビュー
次は何を読もうかと、積読本たちをあれでもないこれでもないと10数ページ読んでは辞めてを繰り返して、壮大な長編小説も重い話も読む元気がないな、なんか気楽なのがいいな、と手に取った。 1話読んで、これだわ、ってなった。 全く劇的な事は起こらなくて、明るいわけでもないただ日常の生活を切...
次は何を読もうかと、積読本たちをあれでもないこれでもないと10数ページ読んでは辞めてを繰り返して、壮大な長編小説も重い話も読む元気がないな、なんか気楽なのがいいな、と手に取った。 1話読んで、これだわ、ってなった。 全く劇的な事は起こらなくて、明るいわけでもないただ日常の生活を切り取ったようなゆるい空気感で、それでいてユーモアで心をほぐしてくれるような話たち。温かい梅昆布茶でも飲んでいるような感じで癒される。 8話あってそれぞれ20~50ページ弱なので読みやすい。 どれも良いけど特に好きだったのは以下3話 ・レコーダー定置網漁 仕事で、SNSだとか膨大な量の情報に触れて疲れきってしまった女性が、2週間のリフレッシュ休暇中に、たまたま録画されたテレビ番組たちを見ながら、本当に少しずつ、回復していく様子を描いた話。 クイズ番組の「六歳の男性」って言い方でなんかふふっとして、靴下の毛玉取りのゆるさが良い。 週刊ムーンTV自分も見たい。 あとフライパン焼き鳥食べたい。 ・粗食インスタグラム 読んでると落ち着く。 主人公がsad desk lunchを見て落ち着いているのと同じような感覚で、この話を読んでると落ち着く。 ・イン・ザ・シティ 関係性がすごく良い。 サッパリしてて、でもちゃんと心があって。 青春。キヨもアサも加藤も、みんな幸せに生きていけますように。 この話たちは、活力みたいなものがないときでも寄り添ってくれる感じがする。元気づけてくれるじゃなくて、寄り添ってくれる。 ちょっとだけ前向きになれるみたいな、安心できるような本だった。 好き。 いつかまた読むかも。
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タイトルから期待した内容と違ったので星2つ。 この作家さんのはまだ2冊目なのだが、現実にありそうでいて、でもけっこう非現実な設定だったりするアンバランスさが面白いのかな。 面食らいながらも、さくさく読んでしまった。
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書店で見かけて面白そうだなと思ったので読んでみた。 短編集で、ちょっと疲れ気味の人が主人公の話が続く。 一見普通の人が主人公の、日常によくある話のようにみえるのだけど、どうもファンタジーの要素が混ざっていて、結局何が言いたいのかよくわからない、という内容だった。
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2025/9/7 「いつも思うのだが、もっとも気心の知れたたぐいの人とは、そのへんのファーストフード店に適当に入ってもそこそこ楽しくやれるのに、それほど気を許していない相手とは、それなりに話題性があったり、ちゃんとしているある程度以上のものを食べないといけないような気がするとい...
2025/9/7 「いつも思うのだが、もっとも気心の知れたたぐいの人とは、そのへんのファーストフード店に適当に入ってもそこそこ楽しくやれるのに、それほど気を許していない相手とは、それなりに話題性があったり、ちゃんとしているある程度以上のものを食べないといけないような気がするというのは不思議だ。」 物事を決めることに疲れた女性が食べたものをアップする「粗食インスタグラム」がすごく良かった。 わたしも美味しいもの食べに行くのは好きだけど、日々の食事は全然興味なくて3ヶ月くらい昼ごはんは「1本満足バー」を齧ってた。 今の仕事も忙しくなってくると塩にぎりと適当な味噌汁だけになる。考えるのも食べるのも面倒なんだよね。わたしも「sad desk lunch」撮りたい。そして笑ってほしい。 決めるのって疲れるよね。
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裏表紙には「張りつめた心をゆるめる短編集」とあるが そんなにのほほんとした内容ではなかった A群、B群とか要するにストーカーに付き纏われる話しだとか、なんとなく殺伐としたシングルマザーの家族の話しだったりして思ってたのとはかなり違っていてガッカリした 後、終盤に女子中学生がスケ...
裏表紙には「張りつめた心をゆるめる短編集」とあるが そんなにのほほんとした内容ではなかった A群、B群とか要するにストーカーに付き纏われる話しだとか、なんとなく殺伐としたシングルマザーの家族の話しだったりして思ってたのとはかなり違っていてガッカリした 後、終盤に女子中学生がスケボーをするのが楽しくなる話しがあるがアレって家の前でやられるとうるさくてかなり迷惑だから止めて欲しいと思った しかも夜だし 勘弁して欲しい とにかく「心をゆるめる」内容ではないような気がした
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短篇集。選択するという行為に割とストレスを感じる自分‥‥「粗食インスタグラム」に慰められた気がした。最後の「イン・ザ・シティ」の3人のその後を知りたくなった(そういえばThe Jamもトリオだった)。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2ヶ月ほど前にネットで見つけて読みたいリストへ。レコーダー定置網漁読んでいたらなんだか辛くなり、しばらく日をおいてまた読み始めた。現代生活手帖のような時代が来たらどんなだろう。粗食インスタグラム、メダカと猫と密室が個人的には共感しやすかった。粗食インスタグラム、メダカと~は、判断疲れによる気力低下を描いているが、とても実感がある。平日の夜など何が食べたいか分からなくなってしまうことがままある。結局栄養価とか考えて尚更面倒になるから冷蔵庫にあるものぶちこんだスープとか作って数日食べていたりする。フェリシティの面接は異色な感じがした。多分辛くなってきた最たる理由は、細かい設定が本当にありそうでなさそうで、そういう面倒くささをここでも感じるのかと思ったから。作者の観察力やある種の繊細さには感嘆する。
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「ポトスライムの舟」から時々読んでいる津村記久子さん、相変わらずの独特感。 その中でも「現代生活手帖」は読みやすくおもしろかった。恐らく作家さん自身のファンタジー的な願望とか反映してるのではないかと思う。 それぞれまったく違った話の短編集 現代生活とあるけど、 現実からほん...
「ポトスライムの舟」から時々読んでいる津村記久子さん、相変わらずの独特感。 その中でも「現代生活手帖」は読みやすくおもしろかった。恐らく作家さん自身のファンタジー的な願望とか反映してるのではないかと思う。 それぞれまったく違った話の短編集 現代生活とあるけど、 現実からほんの少しズレる話が多く、 それをユーモア溢れる描写で表現しているため、読者側は理解するのに時間がかかる印象になるんだと、実感。
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▼津村記久子さんの短編集。 収録作は 「レコーダー定置網漁」 「台所の停戦」 「現代生活手帖」 「牢名主」 「粗食インスタグラム」 「フェリシティの面接」 「メダカと猫と密室」 「イン・ザ・シティ」 ▼津村さんはけっこう長く、もう15年くらいか、読ませていただいています。何と...
▼津村記久子さんの短編集。 収録作は 「レコーダー定置網漁」 「台所の停戦」 「現代生活手帖」 「牢名主」 「粗食インスタグラム」 「フェリシティの面接」 「メダカと猫と密室」 「イン・ザ・シティ」 ▼津村さんはけっこう長く、もう15年くらいか、読ませていただいています。何といっても長編の最新作「水車小屋のネネ」が破格に素晴らしかったので、それとくらべちゃうとなんですが、この短編集は津村さんらしい息遣いの一冊。 ▼津村さんの文章が好きなので、基本的にはなんでも其れなりには楽しめます。割と解決するのが難しい現代的な「気分」をつかもうとする作風な気もするので、当然ながら必然の結果として 「問題提起はわくわくするが、小説としての終わり方はカタルシス満載というわけにもいかない」 ということも多いです。特に短編。 なんですが、どれも津村さんらしい言い回しが面白く。 ▼「牢名主」は人間関係を「食べる側」「食べられる側」に分けて考えた上で、「食べられる側」にまた生じる支配関係の萌芽を描く・・・・というと重いですが、描写はオモシロイ。印象に残りました。 ▼「イン・ザ・シティ」が、確か、架空の国?町?の地図や設定を作る中学生の話で、人間関係のナイーブさと語り口のドライさが、「津村記久子節」だなあと思いました。「エヴリシング・フロウズ」だったか、津村さんの「ネネ」に至る道のりを感じさせる素敵な短編でした。 ▼津村さんと、短編。で、言うと、個人的には「浮遊霊ブラジル」が圧倒的な第1位。突き抜けたオモシロサ。未読の方々には是非お勧めしたい。「駅前で100冊くらい無料で配りたい一冊」です。
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津村さん節が強烈で、この角度のユーモアを深掘りする作家さんはなかなかいないと思うので新しい読書体験ができました。 気持ちが晴れやかな日と憂鬱な日が目まぐるしく変わっていくのも別に悪いことではないんだなと感じることができました。
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