きりぎりす の商品レビュー
乙女の本棚シリーズ。 妻が売れっ子画家になってしまった夫に、別れの意を伝える話です。夫の反応や言葉の描写は一切無し。妻視点でしか、夫の事は分かりません。でも「いるよね、こういう人」とウンザリしたし、嫌になる気持ちに共感を覚えました。 妻も世間知らずなのでは?別れて大丈夫なのか?と...
乙女の本棚シリーズ。 妻が売れっ子画家になってしまった夫に、別れの意を伝える話です。夫の反応や言葉の描写は一切無し。妻視点でしか、夫の事は分かりません。でも「いるよね、こういう人」とウンザリしたし、嫌になる気持ちに共感を覚えました。 妻も世間知らずなのでは?別れて大丈夫なのか?と思わなくも無いけれど…。 このあと2人はどうなったのでしょうか。何ともいえない余韻の残る作品でした。
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この本は「私」に好感を持ち、共感しながら読んだ。貧乏でも楽しくて工夫しがいがあった。成功して、裕福になってももはや無口な「あなた」ではなくなってしまった。裕福になった後が本性なのかもしれないけど。 時代が違うとはいえ、24ならお別れするのも遅くないと思う。画に惹きつけられた私の見る目がなかったのか?でも、母や世間から見たらいい選択に見えるのかな。逃げ出したくなる気持ち、分かるな。
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売れない画家に惚れ込んだ奥さんが 富と名声を得た主人に別れをつげるなんてあり得ない。 しかしこの感情は意外と女性の中にある気はします。 パッっとしない男で自分だけが必要で手を尽くしている間は愛おしく、いざ自分から離れて独り立ちした男が憎らしくなる。 作中の奥さんは実は正直である...
売れない画家に惚れ込んだ奥さんが 富と名声を得た主人に別れをつげるなんてあり得ない。 しかしこの感情は意外と女性の中にある気はします。 パッっとしない男で自分だけが必要で手を尽くしている間は愛おしく、いざ自分から離れて独り立ちした男が憎らしくなる。 作中の奥さんは実は正直であるゆえに弱い人のように感じる。その弱さを不思議な感覚にできる作品でした。 人間の感情って我儘だとつくづく思うけど その我儘さを自分なりに折り合いをつけて人と関わりを上手に形成出来るのが強い人間だと年を重ねる毎に感じます。 内容もきちんと理解できない学生の頃 太宰治作品を沢山読んでました。 人間の弱さやずるさの表現の仕方が 妙に惹きつけられる作家さんですよね 30年ぶりぐらいに読んだ太宰治作品ですが…やっぱり何となくいいんですよ〜
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どんどんイヤな旦那になっていく妻の気持ちをリアルに描いていて女性の気持ちがすごく分かっていると太宰治氏の感性と文章にのめり込む。やはり心身が弱い人だったからこんな文章が書けるのかなぁと堪能しながら読了。
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理想とする、人に見えない月桂樹の冠をつけたような、天使のような美しい男性に(わたしはキリストを想像しながら読んだ)、主人公がいつか出会えたらな。アリとキリギリス のキリギリスの美しさは、人には理解されづらいのかもしれないけど、わたしも信念をもった芸術家の美しさは尊いと思うので、そういう人に主人公がほんとうに出会えたらないいなと思った。 あと主人公が貧乏暮らしを好むのは理想の男性をお支えする副産物を好むだけなのであって、夫の性格が俗にならなければ裕福な暮らしを受け入れたと思うのだけど……
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木綿のハンカチーフをしんみり聴きたくなる話でした。遠くで変わってしまう恋人へ変わらないでと歌う曲と、誰よりも近くで変わっていく夫に嫌いですと嘆く妻。変わった人だなあと少し思いながら読んでいましたので、私は奥様が嫌う側の人間のようです。でもね奥さん、私も人の悪口を簡単に言う人は嫌い...
木綿のハンカチーフをしんみり聴きたくなる話でした。遠くで変わってしまう恋人へ変わらないでと歌う曲と、誰よりも近くで変わっていく夫に嫌いですと嘆く妻。変わった人だなあと少し思いながら読んでいましたので、私は奥様が嫌う側の人間のようです。でもね奥さん、私も人の悪口を簡単に言う人は嫌いなのですよ。
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周囲の反対を押し切ってまで結ばれた、うだつのあがらない絵描きとの貧しくも幸福な結婚生活から一転、妻から夫への三下り半。 あなたは絵が売れてお金を手にしてすっかり変わってしまったわね、と。思いがけない好転と裕福さは、彼女を怯えさせた。(寄り添うようにずっとそばにいてくれる黒猫ちゃん...
周囲の反対を押し切ってまで結ばれた、うだつのあがらない絵描きとの貧しくも幸福な結婚生活から一転、妻から夫への三下り半。 あなたは絵が売れてお金を手にしてすっかり変わってしまったわね、と。思いがけない好転と裕福さは、彼女を怯えさせた。(寄り添うようにずっとそばにいてくれる黒猫ちゃんがめちゃ可愛い。) 別人のようになった夫の一挙手一投足にそら恐ろしさを覚える日々にいよいよ限界がきた様子で、そのときの心情が淡々と綴られていく。 「あなたは、気違いです。」はちょっと辛辣すぎて笑ったけど、でもとても心の綺麗な奥さん。夫よ、これは失ってから気づかせるタイプの大切さだぞ……。 読み終え、「おわかれ致します。」という、冒頭の一文に込められた強く凛とした決意がとても美しかった。 〈この世では、きっと、あなたが正しくて、私こそ間違っているのだろうとも思いますが、私には、どこが、どんなに間違っているのか、どうしても、わかりません。〉
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はい、というわけで47オネェは治ちゃんの『きりぎりす』ですよ これで『乙女の本棚』は既刊全部読んで追いついちゃったのかな? 作品集はあるけど、それはまぁ読む(見る?)気は今のところありません はいはい、治ちゃんね これはね〜 なんか非常にすっとした 清貧のこころよね ひと言...
はい、というわけで47オネェは治ちゃんの『きりぎりす』ですよ これで『乙女の本棚』は既刊全部読んで追いついちゃったのかな? 作品集はあるけど、それはまぁ読む(見る?)気は今のところありません はいはい、治ちゃんね これはね〜 なんか非常にすっとした 清貧のこころよね ひと言で言うと 成功してなんか卑しくなっちゃった夫に、こんなはずじゃあとがっかりした妻が別れの決意表明!というお話です 俗に言う「がっかりこん」ですな(初耳!) いやでも、うんうん治ちゃん分かるわ〜となりました 『乙女の本棚』なので、絵にも触れたい 絵のタッチとしては非常に好み!なんだけど、切り取り方がね うーん、そこじゃないよな〜とあまりピンと来なかった なんていうか、文章読んで簡単に思い描けるシーンを絵にしてもらう必要ないのよね わいが『乙女の本棚』に期待するのは、担当した絵師の方々が、その物語をどう解釈してどう表現しているのかなのよ その絵をさらにどう解釈するのかというやり取りなのよ 勝負なのよ絵師さんとわいの オネェってそういうことだからね! オネェってつまり勝負師ってことだから! (うん、ぜんぜん違うし、そもそもオネェって誰も言ってない)
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太宰治文学忌、入水遺体が発見された日 1940年昭和15年の短編 太宰治30歳 売れない画家へ望んで嫁いだ女性 結婚後徐々に世間に認められる夫 名声と共に失われる清貧 金にも地位にも固執していく 価値観の相違に耐えられなくなった妻からの 5年目の夫への別れ きりぎりすの鳴き声...
太宰治文学忌、入水遺体が発見された日 1940年昭和15年の短編 太宰治30歳 売れない画家へ望んで嫁いだ女性 結婚後徐々に世間に認められる夫 名声と共に失われる清貧 金にも地位にも固執していく 価値観の相違に耐えられなくなった妻からの 5年目の夫への別れ きりぎりすの鳴き声を背骨にしまって生きていく 物語は理解しやすいが、最後コオロギの声を女は認識しながらきりぎりすへと言葉を転換させる さらっと読むと不思議な一節となる ご本人も名声と仕事が欲しかったのではと思うのですが、それを逆手に取った戒めでしょうか しまざきジョゼさんのイラストは昭和前半の雰囲気があり良かったです きりぎりすとコオロギは古語では、ほぼ同じかな?
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乙女の本棚シリーズから、太宰治さんとしまざきジョセさんのコラボ作品『きりぎりす』です。ようやく図書館に入りました♪しまざきジョセさんのイラストを見るのは初めてなんですが、この作品にぴったりでした!どこまでも、日本チックな感じが好きです(*´∀`*) この作品は主人公の「私」...
乙女の本棚シリーズから、太宰治さんとしまざきジョセさんのコラボ作品『きりぎりす』です。ようやく図書館に入りました♪しまざきジョセさんのイラストを見るのは初めてなんですが、この作品にぴったりでした!どこまでも、日本チックな感じが好きです(*´∀`*) この作品は主人公の「私」が周囲の反対を押し切ってまで結婚したにも関わらず、夫が変わっていく様をみて失望して…というストーリーです。 普通は夫が成功して裕福になれば妻はラクできるし良いことずくめなのでは??とか思っちゃう自分がいます。でも「私」はそうではないんですよね!貧乏のほうがよかった…そう思えるのって、そこまで愛してたんでしょうね!時代背景もあるんでしょうけど、そんな風に人を愛せるなんて羨ましい気持ちにもなりました。
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