バリ山行 の商品レビュー
通読1回目。 今の段階では自分に落とし込むことができず、ピンと来ないところもあったが、肉体的な生存と社会的な生存の比較に関しては今後心の奥にこのモヤモヤを置いておこうと思った。 私自身マラソンをやっていて、肉体的な限界に到達する感覚は分かる。バリとはまた全然違う世界だがバリの感...
通読1回目。 今の段階では自分に落とし込むことができず、ピンと来ないところもあったが、肉体的な生存と社会的な生存の比較に関しては今後心の奥にこのモヤモヤを置いておこうと思った。 私自身マラソンをやっていて、肉体的な限界に到達する感覚は分かる。バリとはまた全然違う世界だがバリの感覚を理解できないわけではなかった。 また何年後かに通読したいと思える作品に出会えて良かった。
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なんだかピンとこなかった。 バリエーション山行の描写は本人の体験によるものだろうか、とても詳しく書かれている。しかしその動機づけや意味づけは違和感が始めから終わりまであった。自分も藪漕ぎこそやらないが、時には命の危険に晒される山行もやる。だからバリエーション山行、広義にはなぜ山に...
なんだかピンとこなかった。 バリエーション山行の描写は本人の体験によるものだろうか、とても詳しく書かれている。しかしその動機づけや意味づけは違和感が始めから終わりまであった。自分も藪漕ぎこそやらないが、時には命の危険に晒される山行もやる。だからバリエーション山行、広義にはなぜ山に登るのかということについては人それぞれだということをよく知っているし、もちろん一過言ある。故になぜ「バリ山行」をやるのかというところは相容れないまま終わってしまったのだろう。 以下は自分が感じた違和感の分析。 バリエーション山行に潜む危険、それを感じることが「本物」で、日常のことは些細なこととは思わない。日常の雑多は雑多に違いないが、どう捉えても消えてなくならない。主人公が言うように山行から戻ればまだそこにあるのだ。日常から自分を一時的に切り離しているに過ぎないのだ。気の置けない仲間との楽しい山行や、ランニング、キャンプだって自分を日常から切り離してくれる。一人になるために誰もいないところに行く必要もない。一人で縦走している時、走っている時、焚火を見つめている時、没頭していると視覚、聴覚を通して認知されていた周辺の人々は環境と一体化していき、自分一人になれる。 純文学小説を持ち込んでこんなことを言うのも野暮だと思うが、本書を読んで「自分もソロでバリ山行やろう」と安直な行動を起こす人が増えないことを願う。身近な題材だっただけに俗な思考から抜けられない。
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サンショウウオと比較して「地に足が付いてる」印象を持った。小説は虚構とは言ってもある程度リアリティがあった方がイメージしやすく、登山の話、建築業の会社の話、妻と幼い子供の家庭の話、丁寧に描写されて現実味があってそれがうまくストーリーと絡み合ってる。物事には正解のルートはないと自然...
サンショウウオと比較して「地に足が付いてる」印象を持った。小説は虚構とは言ってもある程度リアリティがあった方がイメージしやすく、登山の話、建築業の会社の話、妻と幼い子供の家庭の話、丁寧に描写されて現実味があってそれがうまくストーリーと絡み合ってる。物事には正解のルートはないと自然の山とどっしりと構える妻鹿さんが教えてくれる流れかと思いきやそれは生活から現実逃避してるだけだと気付き波多が怒りを覚える展開も、会社も家庭も噛み合わなくなってく最後の腑に落ちるような落ちないような終わり方もそれはそれでアリだと思う。
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人生は登山に喩えられることがよくあるが、この小説を読むとやはり両者に共通するものが多分にあると思った。 バリ山行という言葉は初めて知った。山岳小説であまり扱われていないであろう住宅地近くの低山でのサバイバルを題材にして、山行も、仕事や生活の厳しさもどちらもリアルに臨場感をもって描...
人生は登山に喩えられることがよくあるが、この小説を読むとやはり両者に共通するものが多分にあると思った。 バリ山行という言葉は初めて知った。山岳小説であまり扱われていないであろう住宅地近くの低山でのサバイバルを題材にして、山行も、仕事や生活の厳しさもどちらもリアルに臨場感をもって描かれており、引き込まれて読んだ。
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年に1〜2回の登山をするが山登りの専門用語をネットで調べながら読んだ。登山道から外れたバリ山行と自身のサラリーマン人生を重ねて考えるようになった主人公波多。 サラリーマンなら誰でもはっと自分に置き換えて考えてします小説だと思った。 登山をしたことがある私はより楽しめる作品だった。
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主人公の波多が会社にしがみつこうと踠いている姿は、資本主義に搾取された悲しい人物に感じた。妻鹿さんのように自分のできることをやって、自分の力ではどうにもならないことは潔く諦めてる方が健全な生き方な気がする。
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妻鹿さんは魅力的だったが、主人公が自分の気持ちに疎く少し序盤は小説の遅さを感じた。 山の描写は良かったが、本当に小説でしかできないことがこの小説にあるとは思えなかった。
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登山ルートから外れた道を行く「バリ」 初めて知った。 会社での立場や振る舞いと掛け合わせた匠さ。 でもやっぱり、バリ山行は危険だし、おすすめはしないかな。 人に迷惑をかけず、でも我が道をいく、難しい。
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メガさんっっ!!と熱い想いになるほど、心を奪われていたようだ。言葉でなく、存在で人の人生に影響を与える人もいるのだ。
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整えられた道をいく山登りとバリ山行、流れに身を委ねる働き方と、我が道をいく仕事。後者の魅力のようなものに触れ、理解しようと試みるも、噛み合わず(その生き方の怖さに怯える結果となり)、むしろ距離を置く展開。 時間をおいて現実に向き合えば、状況が様変わりしていることに戸惑う。しかも、...
整えられた道をいく山登りとバリ山行、流れに身を委ねる働き方と、我が道をいく仕事。後者の魅力のようなものに触れ、理解しようと試みるも、噛み合わず(その生き方の怖さに怯える結果となり)、むしろ距離を置く展開。 時間をおいて現実に向き合えば、状況が様変わりしていることに戸惑う。しかも、何故か束の間の前進ムードにある。 そんな不安な状況に、共に行動した経験と、妻鹿さんの行動に触発され、自らの生き方を見直すきっかけをつかむ。 よく練られたストーリーと思う。そして、山への強い想いが文章に滲み出ている。
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