清張の迷宮 の商品レビュー
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昭和の、それも初期の頃の話だったり。 登場人物が大正生まれだったり。 貨幣価値が数円単位だったりで、もはや時代小説の感あり。前時代的なかんじ。 そういう味わいを楽しむべきなのかな。 でも、ぶった斬られる切れ味は凄いです。 以下、ネタバレです。 もう価値観違いすぎて、よくわからなかったのが 「詩と電話」「断碑」ですかね。女性の扱いに納得がいかないというか。当時では当たり前だったのかな。 「月」とか「白い闇」は好きでした。特に「月」には爽快感すら覚えました。一推しは、と訊かれると 「天城越え」かなー。「装飾評伝」も捨てがたいの、嫌ミスっぽいかんじが。「佐渡流人行」も好きですね。非情な結末とか巻末に書かれてましたけど、基本、男がバカでセコいんですよね。そして狭量で嫉妬深い。そういう主に男にとって、受け入れがたい現実が活写されているから「非情」ってことになる。くどくどと心情を述べるようなところがないのも「非情さ」を際立たせているのかも。「天城越え」は、いわゆる叙述トリックに入るのでしょうか、やられた感の残る完璧さを感じます。 ただ、出てくる小道具が古くて。川端康成「伊豆の踊子」を読んでから読むと、いっそう興が増すそうですが。
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父の影響ですっかりファンになった松本清張。 これまたファンの北村薫さんと有栖川有栖さんが選んだ短編集、となれば読まずにはいられない! ほとんどが初めて読む短編で、読んでいて本当に楽しかった。ざわざわとするような怖さや切なさや驚きもあって、素晴らしい10編でしたー! 一昨年、...
父の影響ですっかりファンになった松本清張。 これまたファンの北村薫さんと有栖川有栖さんが選んだ短編集、となれば読まずにはいられない! ほとんどが初めて読む短編で、読んでいて本当に楽しかった。ざわざわとするような怖さや切なさや驚きもあって、素晴らしい10編でしたー! 一昨年、亡父と松本清張記念館と「時間の習俗」に出てくる和布刈神社を訪れたのは良い思い出です。
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「月」という一編を読みたくて。 月の光の中で終わる「佐渡流人行」の次に「月」を置いたのは意図的な編集でしょう。 「月」のなかの老学者がとる姿勢は斜めじゃないかな?
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北村薫さんと有栖川有栖さんが松本清張作品を五作品ずつ計十作品を選んだ短編集です。 私は清張作品は新潮文庫と文春文庫の宮部みゆきさんの松本清張傑作短篇コレクション(全三巻)でブクログを始めるよりだいぶ前にほとんど読んでいます。好きなんです、清張作品。 でもこの短編集で読んだ記憶...
北村薫さんと有栖川有栖さんが松本清張作品を五作品ずつ計十作品を選んだ短編集です。 私は清張作品は新潮文庫と文春文庫の宮部みゆきさんの松本清張傑作短篇コレクション(全三巻)でブクログを始めるよりだいぶ前にほとんど読んでいます。好きなんです、清張作品。 でもこの短編集で読んだ記憶があるのは『白い闇』だけでした。『詩と電話』『上品書』『天城越え』が 特に面白く、『詩と電話』はちょっとコミカル、『上申書』は次は一体どうなるのかと思い、『天城越え』は犯人の動機がとても切なかったです。 北村薫さんと有栖川有栖さんの最後の対談も面白いです。 松本清張短編傑作選・アンソロジー収録回数 1位8回 「張り込み」「顔」 2位6回 「声」「一年半待て」「黒地の絵」 3位5回 「白い闇」「装飾評伝」「鬼畜」 「捜査圏外の条件」「空白の意匠」 「西郷札」「真贋の森」「共犯者」 だそうです。 1位と2位は全作品読んでいました。 3位も半分以上は読んでいると思います。 現代の社会派ミステリーはとても読みやすく面白いですが、松本清張のような少し古い時代の巨匠の作品はあなどれないと思います。 松本清張の未読本を読みたいのですが、どれが未読でどれが既読なのかタイトルが有名なので、読んだから知っているのか、有名だから知っているのかごちゃまぜになってしまい、二度買いしたらもったいないと思い悩みます。
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初めての松本清張でした。入門にお勧めされてるだけあって、とても良かったです。 それから?それから?と、どんどん読みたくなります。 テレビドラマや映画の原作に沢山使われている意味が分かりました。情景もストーリーも美しいし、おぉそうきたか!という驚きもあって。 私は「月」が一番好きかな。 黒皮の手帳も面白いんだろうなぁ。
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いくつか読んだものもあるが、まとまって読むと清張の幅の広さがよくわかる。短編の方が楽しめる。「天城越え」は例のやつ。大沢在昌、Ed McBainと並行して読んだが、書かれた時代を最も感じにくい。
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松本清張の短編を有栖川有栖と北村薫のふたりが五作ずつ持ち寄って編まれた清張傑作選になります。時代小説、評伝小説、推理小説と様々なジャンルから幅広く採られているのですが、個人的に一番好きなのは、「月」でした。断トツと言っていいくらい。 その「月」は、師匠には不興を買い、師匠の...
松本清張の短編を有栖川有栖と北村薫のふたりが五作ずつ持ち寄って編まれた清張傑作選になります。時代小説、評伝小説、推理小説と様々なジャンルから幅広く採られているのですが、個人的に一番好きなのは、「月」でした。断トツと言っていいくらい。 その「月」は、師匠には不興を買い、師匠の死後も主流から逸れ、地味な学問を研究していた歴史学者の人生を辿っていく物語なのですが、想像もしていなかった結末に不意打ちを食らってしまい、結構なショックを受けてしまいました。しかも簡潔で素っ気なく、そして美しい文章が、より心を抉ってきて、忘れがたい余韻を残します。未来の光に見えていたものは紛い物でしかなかったのか、と感じさせる、強烈な一撃でした。 他にも、出版社側の事情から原稿の返却をしないといけない編集者の悩みになんだか共感してしまう「理外の理」、夫の死の真相を追う妻の姿を描いた、読後感の良い「白い闇」、三十年の前の殺人の真相をめぐる、動機も印象的な「天城越え」の三篇が特に印象に残りました。
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まさに〝清張入門〟アンソロジー。初めて松本清張を読んだがこんなに面白いんだと気付かされ、終始ワクワクして読み進めた。淡々としていながら、自らの不遇の半生を投影した魂の叫びのような文章。興味から徹底し、綿密な調査や取材をしたからこそのリアリティー。特に好きだった『月』。なんとも言え...
まさに〝清張入門〟アンソロジー。初めて松本清張を読んだがこんなに面白いんだと気付かされ、終始ワクワクして読み進めた。淡々としていながら、自らの不遇の半生を投影した魂の叫びのような文章。興味から徹底し、綿密な調査や取材をしたからこそのリアリティー。特に好きだった『月』。なんとも言えない後味の悪さだが、どこか余韻を残す読後感だった。清張マニアのお二人の対談もより理解が深まりよかった。
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松本清張の文庫の新刊が読めるのは、ファンとしてもとても嬉しいかぎりです。 ましてこの短編集を編んだのが北村薫さんと有栖川有栖さんというお二方ならば尚更のこと。とても興味をそそります。お二人が選んだ10篇の短編は、1954年〜1972年に書かれた清張作品の中でも、よくぞこの作品を見...
松本清張の文庫の新刊が読めるのは、ファンとしてもとても嬉しいかぎりです。 ましてこの短編集を編んだのが北村薫さんと有栖川有栖さんというお二方ならば尚更のこと。とても興味をそそります。お二人が選んだ10篇の短編は、1954年〜1972年に書かれた清張作品の中でも、よくぞこの作品を見つけてくださった!と、唸る珠玉の短編です。編者であるお二人にも拍手を贈りたいと思います。 この本の裏表紙には“清張入門” にもうってつけ、と紹介されていましたが、私はむしろ松本清張をたくさん読んできたり、映像で観てきた読者こそ、その面白さがわかるのではないか、と感じました。 10編の短編はどれも推理小説としての趣きが違い、多彩で読み応えがあります。小学校しか出ていない松本清張がいかに博識であったか、そしてそのことが、ひがみ、ねたみ、嫉妬、焦燥‥の塊となって作品に投影されている点が否応にも読み取れゾクゾクします。誰も書かなかった、誰も書けなかったテーマでありながら、今の現代でも充分共感を得るのは、今も連綿と根付いている格差社会の中に私たちもいるからでしょう。 だから清張作品は短編であっても繰り返し映画やドラマに起用されるのだと思います。 巻末に高村薫さんと有栖川有志さんの対談がありますが、それもとても面白く、作品解説的な役割をしています。その中で このアンソロジーを『宝の森 』と称していますが、まさにこの短編集は『宝の森』そのもの。もっともっと読んでいたい、もっともっと「清張の迷宮」に浸りたい、 そう思わせる一冊です。 【目次】 理外の理 (小説新潮 1972.9月号) 佐渡流人行 (オール讀物 1957.1月号) 月 (別冊文藝春秋 1968.6月号) 白い闇 (小説新潮 1957.8月号) 詩と電話 (オール小説 1956.8月号) 装飾評伝 (文藝春秋 1958.6月号) 断碑 (別冊文芸春秋 1954.12月号) 田舎医師 (婦人公論 1961.6月号) 上申書 (文藝春秋 1959.2月号) 天城越え (1959.11月号)
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今までも松本清張の短篇アンソロジーは数々あって、出るとつい読んでしまう。どの短篇が好きとかこんなのもあったのねという以上に、最早、この選者はこれを選ぶのかこう読むのか〜ということのほうが面白くなってしまっているかもしれない。
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