くらのかみ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2024.9.22文庫版読了。 21年前、編集者の故・宇山日出臣氏の手掛けた講談社ミステリーランドの第一回配本として書き下ろされた小野不由美によるミステリー。 ミステリーランドは一流の編集者と錚々たる著者に加えて装丁は全てデザイナの祖父江慎氏によるものという本当に豪華な企画であり、本という形態そのものが好きな自分は本棚にこのシリーズが並んでいるのを見るだけで幸せになる。 尊敬する編集と大好きな著者と素晴らしいデザイナの装丁、これ以上の贅沢は無いと思う。 にも関わらず、つい文庫版を購入してしまったのはひとえにウッカリである。 なにぶん読んだのは21年前なので、途中で何となくこれ読んだことあるぞ?と気付くまでに時間がかかった。タイトルを見返してやっと『もしやミステリーランドか⁉︎』となった次第。 とは言え細部は覚えていなかったので最後までワクワクドキドキしながら読めた。 怪異(座敷童子)×ミステリーという小野不由美らしい仕掛けで、ミステリーランドのテーマである「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」の通り主人公は小中学生である。 小学生にしては度胸も発想も考え方も大人顔負けで真実味には欠けるけれど(だって親戚の家とはいえ古い日本家屋の井戸のあるような所を夜中に1人で見張るとか、大人の自分だって怖い…)ストーリーに上手く座敷童子が組み込まれているのは本当に流石としか言いようがない。 一体5人の子ども達の中の誰が座敷童子なのか、ドクゼリはどのようにお膳に入れられたのか、その犯人は誰なのか--- 散りばめられた謎に、四人ゲームや行者の祟りや井戸の怪異が絶妙に絡まって話が進んでいく。 ただ、登場人物が多く関係がよくわからないのだけが難点。途中で家系図が出てくるが、それでも読むのに苦労するのは大人達の特徴が薄いせいかもしれない。 子ども達はあれこれ話したり動いたりするが、大人達はセリフが少ないのでキャラが掴みにくい。 ともあれ300ページ弱という短さながら濃い内容に、小野不由美独特のサラリとしているのに妙に胃の腑に溜まる文体が癖になる、ホラーよりはファンタジーに寄ったミステリ作品。 子どもたちには是非文庫版でなく単行本版を勧めたい。
Posted by
行者に祟られ、座敷童子に守られているという古い屋敷に、後継者選びの為親族が集められた。 夕食時、跡継ぎの資格を持つ者のお膳に毒が入れられる事件が起こる。夜中に響く読経、子どもを沼に誘う人魂、鳴る釣瓶。相次ぐ怪異は祟りか、それとも……。 「スクエア」あるいは「雪山の四人」などの...
行者に祟られ、座敷童子に守られているという古い屋敷に、後継者選びの為親族が集められた。 夕食時、跡継ぎの資格を持つ者のお膳に毒が入れられる事件が起こる。夜中に響く読経、子どもを沼に誘う人魂、鳴る釣瓶。相次ぐ怪異は祟りか、それとも……。 「スクエア」あるいは「雪山の四人」などの名称で有名な「四人ゲーム」をしたら、子どもが一人増えていた、というホラー味のある導入から、ホラーなのかなと思いますが、どちらかというと少年探偵団系のミステリ小説です。 子ども達が、自分たちの親が狙われた毒物混入事件や怪異の謎を解くため奔走するジュブナイル作品。子供たちがとっても頭が良い。 どちらかと言えば児童向けかなと思いますが、大人が読んでも十分楽しいです。 ただ、登場人物が多く人間関係の整理が難しいのがちょっと困りました。一応本名ではなく三人息子だから一郎・次郎・三郎とか、梨花という子どもの親だから梨花おばとか、何とか分かりやすくしてくれようとはしてくれているのですが、それでも人物がごっちゃになりがち。 三郎さんとか、耕介のお父さんみたいに、親戚で集まった時子どもの世界にも理解がある大人、みたいなポジションって良いな。親戚で集まる機会なんてないんですけどね。
Posted by
単行本の刊行から20年以上経って初の文庫化なのだそうです。「四人ゲーム」は数ヶ月前に観た映画『新・三茶のポルターガイスト』で知りました。モキュメンタリーだと思い込んで観た後にドキュメンタリーだと聞いて、え、マジ!? こんなんホンマにある!?とビビりました。 その映像を思い出して...
単行本の刊行から20年以上経って初の文庫化なのだそうです。「四人ゲーム」は数ヶ月前に観た映画『新・三茶のポルターガイスト』で知りました。モキュメンタリーだと思い込んで観た後にドキュメンタリーだと聞いて、え、マジ!? こんなんホンマにある!?とビビりました。 その映像を思い出してしまう本作の冒頭シーン。けれど怖いのはそこだけで、子ども向けのファンタジーホラーらしく安心して読めます。親たちに降りかかりそうな災難の真相を子どもたちが解決しようと奮闘する。何巻目かで中断したままの『ゴーストハント』をまた読みたくなります。 映画『新・三茶のポルターガイスト』の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/57d74a8794541c982376f72e2cd6cae2
Posted by
四人ゲームから話が始まって、どうなるんだろうかと思ったんですが、あっさり終わってしまったような気がします。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本屋で見かけたとき、表紙のイラストや帯の文言から、本格的なホラーを想像してしまいました。 けれど、読み始めてみるとどうも様子が違う気が…… 難しい言葉や漢字が少なく感じられ、児童書っぽい雰囲気がします。ネットで本作について調べてみると、やはり2003年に発表された子供向けの作品とのこと。 それもあってか、怖さや緊迫感にかける気がして、なかなか作品にのめり込めません。加えて登場人物が非常に多く、起きている状況の理解が難しかったことも、没入が難しかった要因のように感じます。 また、ホラーを期待していたのに途中で本格ミステリっぽくなったことも、期待とは違った的な印象につながってしまいました。 なかなかのめり込めず、何かの合間合間に少しずつしか読むことができなかったため、ボリュームがそんなにないのに読み終えるのに二週間以上かかってしまいました。 十二国記や屍鬼は楽しんで読めたのですが、本作は私には合わなかったようです。
Posted by
面白かった!ホラー風味ミステリ。児童文学なのでサラサラと読める一方で大人たちの相続をめぐるドロドロと少しの怖さが重なり合ってどこかほろ苦さを感じるところが好き。座敷童子も六部殺しも定番のモチーフだけど小野先生の手にかかるとこうなるんですね。好き。
Posted by
死人遊びの後に増えた座敷童子は誰なのか、子供が生まれても育たない家系、夕食時の毒の混入事件、夜中に響く読経、子供を沼に誘う人魂といった不可解な怪異は祟りや因縁の類いなのか…というホラー仕立てのミステリーで、どちらかといえば怖さよりも『世にも奇妙な物語』の世界で子供たちが謎を解い...
死人遊びの後に増えた座敷童子は誰なのか、子供が生まれても育たない家系、夕食時の毒の混入事件、夜中に響く読経、子供を沼に誘う人魂といった不可解な怪異は祟りや因縁の類いなのか…というホラー仕立てのミステリーで、どちらかといえば怖さよりも『世にも奇妙な物語』の世界で子供たちが謎を解いていくジュブナイルで全体的に読みやすく、座敷童子の正体や結末の納得感など大人になった今になって読んでも面白かった。
Posted by
小野不由美さんの作品は、怪異の入り込み方が絶妙。今回は途中までそこに紛れ込んでた存在を忘れてしまう話の運びだったけど、不要な要素にはなりきらず、呼び込まれた謎にひと癖を与えた上に全体に不穏な空気をばら撒いた。やっぱり怪異はこうでなきゃ!主張をするな、即物的になるな、お前たちは存在...
小野不由美さんの作品は、怪異の入り込み方が絶妙。今回は途中までそこに紛れ込んでた存在を忘れてしまう話の運びだったけど、不要な要素にはなりきらず、呼び込まれた謎にひと癖を与えた上に全体に不穏な空気をばら撒いた。やっぱり怪異はこうでなきゃ!主張をするな、即物的になるな、お前たちは存在しないもの。
Posted by
入りの死人あそびの話は面白かった! ただ、途中から親戚の系図がわからなくなってきた。自分には想像力がないのか本から間取りを想像するのが苦手なんだと思った。
Posted by
20年前に読んでいた作品が文庫になっていて読み返した。夏休みの素敵な思い出とミステリー度ホラーが混じった良い作品。子どもたちにたくさん読まれてほしいと改めて思った。
Posted by