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百年の孤独 の商品レビュー

3.8

211件のお客様レビュー

  1. 5つ

    55

  2. 4つ

    63

  3. 3つ

    44

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    8

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2025/02/09

 「この世界が滅びる前に……聴け、愛の絶叫を。見よ、孤独の奈落を。」という大仰な帯がついていた。間違ってはいないと思うけど、期待の方が上回ってしまった。  コロンビアのマコンドという架空の村の栄枯盛衰がブエンディア一族をとおして描かれる。「百年の孤独」というから100年の物語だと...

 「この世界が滅びる前に……聴け、愛の絶叫を。見よ、孤独の奈落を。」という大仰な帯がついていた。間違ってはいないと思うけど、期待の方が上回ってしまった。  コロンビアのマコンドという架空の村の栄枯盛衰がブエンディア一族をとおして描かれる。「百年の孤独」というから100年の物語だと思うが、具体的にいつからいつまでとは、作品中には示されていない。19世紀から20世紀くらいのイメージかと思うが、磁石や望遠鏡や氷を珍しがったり、錬金術に夢中になる人が出てきたりと、まだ科学の原始時代のような雰囲気がある。南米なのにジプシーが出てくるし、登場人物の寿命はやたらと長いし、現実では起こりえないことが次々起こって、いろいろな人の記憶や妄想をあらゆる角度から取り入れて、まぜて繋げたような感じがする(マジックリアリズムという手法らしい)。  著者のマルシア・ガルケスはノーベル賞をとったうえ、阿部公房に絶賛されるだけある。唯一無二の作品だと思う。ある一族の百年をおとぎ話で記すことでしか表現できない何かが確かに表現されている。忘れさられて、存在したことすら分からなくなった村、蜃気楼のようなその歴史を綴ることで何を訴えたかったのか、分かるようで分からなかったけど、とにかく読者としてマコンドとブエンディア家の最期を見届けねばという気になった。淡々とした訳もいい。  おそらく中米の人であれば「自分たちの物語」に感じるのだろう。『百年の孤独』の日本版が読みたい。

Posted byブクログ

2025/01/27
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読むの2回目。 何度読んでも面白い。面白すぎてページをめくる手が止まらない。 「マジックリアリズム」と呼ばれる手法でありていに言えばファンタジーの要素を含むけど、普通のファンタジーと違って明確な一個の目的に向かって進むわけじゃないから読んでてだるい部分がない。 つまり「全ページ、全行面白い」というのがポイント。 次から次にデタラメなホラ話みたいなエピソードが繰り出される。 民話や神話みたいな挿話ときわめて現実的な話(部族の人間関係、戦争や近代化)が入りまじる。 そのどれもがひっくり返るほど面白いアイディアで飽きない。 一つのテーマにくくられる小説ではない。 その上で自分が思ったテーマは「歴史や文明など大きな流れの中で人間はもがきながら生きるが宿命からは逃れることができない」という感じ。 禁じられた近親相姦(いとこだけど)によって結ばれ、いろいろあって村を出なければならなかったホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ。 そこで新たな村マコンドを作り、そこで生活していく。 「近親相姦の禁止」が背景に濃くあるが、一族のみなだいたい性欲、愛欲にあらがえず人生の破局へと突っ込んでいく。 戦争、近代化などいろいろなことが起こるが、その最中も結局のところブエンディア一族の多くはわけの分からない性欲、愛欲によって制御不能になり破滅をむかえる。 そして百年の月日が経って、一族最後の二人が近親相姦をしてしまい、奇形児の出産後に死に、一族が絶えることになる。 「近親相姦」によってはじまった一族が、近親相姦を避け続け、制御不能な欲望に取り憑かれながら百年の歴史を歩み、結局最後やっちゃいました…と。 「一族の血から逃れられない」という無力さを感じた。 出てくるキャラクターが愛らしく魅力的で、読んでいて応援したくなり、戦争編などは「たのむからここで死なないで〜」とか思いながら読んでいた。 けれどみな最後には惨めに破滅していく。 読み始め〜アウレリャノの戦争編あたりまではワクワクが止まらない。ブエンディア家と一緒にマコンドの繁栄と混乱を目の当たりにしているような気分。 一方後半〜一族滅亡までの鬱々とした感じ、栄えていたマコンドやブエンディア一族が衰えていき、ああ終わっていくんだなという感じはなんとも寂しく、後味が悪く荒涼とした印象。 何度読んでも面白い。小説でないと味わえない面白さを分からせてくれる。

Posted byブクログ

2025/01/23

この本がどのような内容であったのか尋ねられたことがあったのだが、外観を話すことはできても共通認識となることを細部まで説明することはできない内容であると感じます。 非常に大きな枠で言うと、あるファミリーのある世代から100年の創生から衰退の歴史です。その100年とあわせその家族が創...

この本がどのような内容であったのか尋ねられたことがあったのだが、外観を話すことはできても共通認識となることを細部まで説明することはできない内容であると感じます。 非常に大きな枠で言うと、あるファミリーのある世代から100年の創生から衰退の歴史です。その100年とあわせその家族が創生し衰退した歴史でもあります。 そんな100年に起きた家族、社会などの出来事が述べられています。気になる視点でそれぞれの読者がそれぞれの感じ方のできる話であり、話に出てくる人の誰に焦点を当てて何を感じるのかは、読者次第であると思います。 私がこの本で感動したのは、その時代時代の同一人物の思考の移り変わりを丁寧に説明している点は、どの小説にもない特異点であるでしょう。

Posted byブクログ

2025/01/15

よくわからないまま一気に読みました。登場人物が多く、やや混乱しましたが、また読みたい不思議な作品でした。

Posted byブクログ

2025/01/14

南米大陸の熱気や妖気に当てられて、熱病に取り憑かれたように読んでしまった。理屈で説明できない不思議な話。久しぶりに、読んでいる間、その世界にどっぷり浸かることができた本。

Posted byブクログ

2025/01/14
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25/01/13読了 読み終わるのに半年かかった。摂取量に上限があるような感じで、するする読み進めては止まってしばらく不要ですとなる感じ。 夢と現の間をゆらゆらして、最後に儚く消える。そもそも小説なんだけど、手元にあったはずのものが現実から離れてふわっと崩れたような読後感だった。 アウレリャノとアルカディオがずーーっといるけれど入れ替わってて、ウルスラは基本的にずーっといるの、なんだろうね、余計混乱するよね…家系図と読み解きキットのありがたみがすごい。

Posted byブクログ

2025/01/13
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新刊で購入したまま積読状態だった本作。満を持してついに読み始めたが…。なんですか?これは?めちゃめちゃ読みにくいんですけど。メモを取りながら、このアウレリャノは誰?このアルカディオは誰の子?と確認しながら読み進める。「同じ名前をつけるのはやめてくれ〜」と叫びながら。 長い時間をかけてようやく読了。苦しんで読み切ったからこそ得られる格別の達成感。そして何よりラストの衝撃は凄かった。これだから海外文学はやめられない。 本作は大人のための幻想小説だと思う。 空飛ぶじゅうたん、シーツにくるまれて昇天する少女、4年降り続く雨。 虚構と現実が混ざり合う。 読みにくく戸惑いもあったが、慣れていくうちに南米の神秘的な雰囲気に徐々にのめり込んでいった。 幽霊もいれば、150歳越えで生きている人もいる。登場人物全てがクセが強い。そして同じ名前ばっかり。誰が誰だかわからくなる。 自由奔放な性で、関係が濃い。はちゃめちゃな暮らしぶりにおいて決して道徳的とは言えない。 愛が無く孤独だと言う。 珍しく愛が生まれた時には、何故か不幸が起こってしまう。 ブエンディア一族とマコンドの町の栄枯盛衰。 たどりついたラストは劇的だった。物語が見事に回収され、まとめられた。 これは忘れられない記憶となるであろう。

Posted byブクログ

2025/01/12

最初の数ページで読んだことのない世界観に驚愕した。逆に言うと、一般ウケはしないのだろう。たしかに、訳の分からないラテンアメリカの描写が続く。良くない言葉を使えば、野蛮とか未開の世界に飛び込んだようだ。決して美しい話とは言えない。名前を区別するのは難業。でも、ブエンディア家の行末が...

最初の数ページで読んだことのない世界観に驚愕した。逆に言うと、一般ウケはしないのだろう。たしかに、訳の分からないラテンアメリカの描写が続く。良くない言葉を使えば、野蛮とか未開の世界に飛び込んだようだ。決して美しい話とは言えない。名前を区別するのは難業。でも、ブエンディア家の行末が気になる。マジックリアリズムとはよく言ったもので、新しいファンタジーかのように読めた。揺さぶられる読書体験で個人的には非常におもしろかった。誰かと感想を分かち合いたいが、なんと表現すべきかもよくわからない。いわゆる文学を読み慣れている人におすすめしたい。

Posted byブクログ

2025/01/12

一旦家系図とかは確認せずに、強烈なキャラクタやエピソードに驚いたり顔をしかめたりしつつ、わからなさも一緒に押し流される様にスピード感をもって読んでいきたい。そんなことも思いながら読み進めるうちに、ひとりのキャラクタ、一世代目、村を開拓した世代の女性に注目しながら読んでいた。 「よ...

一旦家系図とかは確認せずに、強烈なキャラクタやエピソードに驚いたり顔をしかめたりしつつ、わからなさも一緒に押し流される様にスピード感をもって読んでいきたい。そんなことも思いながら読み進めるうちに、ひとりのキャラクタ、一世代目、村を開拓した世代の女性に注目しながら読んでいた。 「よそでは見られないくらい、変人ぞろいの屋敷」に暮らす一族、反復される名前と性格と喪の期間、世界、社会や自然にも翻弄させられながらも、負けずに強烈さと「とてつもない粘りづよさ」をもって、それらを護りコントロールしようとする、妻、母、祖母、タフな女性、あるいはクイーンであるこのキャラクタの物語だ、と思うと腑に落ちる気がしてきた。 そして、クイーンはその後の物語、一族の歴史の中に更に登場する。4世代目に外部から加わる「かつての女王見習い」の屋敷での「権力は不動のものにな」るし、1,2世代の名前を受け継いだ彼女の娘は、留学先から絹の紐の先に繋がれた夫と、一族が持つことのなかった「現代的で自由な精神」を持って帰還し、終わりかけた屋敷を再建しようとする。一族の中の3枚のクイーンを中心とした物語、いや、一族の他の女性たちも、外部からこの一族に関わる女性たちも自らの人生をコントロールしようとしているクイーンだった。そんな彼女たちの物語としても読んでいた、読みたい、そう思いながら、彼女たちの、一族の、コントロールを失ってしまった世界の、物語の最後を読んだのだった。 「それぞれ興味のある読み解きかたが可能な」小説の最初の一回はそんな風に読んだ。小説はフィジカル的に読み終わってしまうし、物語の反復も円環も終わったかのように見えるけれど、こんな強烈な小説には、また最初の頁を捲りたくなってしまうような魅力がある。もう一度繰り返される様々な描写では、多分また別の解釈で新しい物語が読める気がする。それに、他の人の"読んだ”彼女、彼らの物語の話も聞きたいから、OK、「百年の孤独」の話もしようぜ!と思う。 "シーン"の"ブーム"みたいなものにはわりと影響を受けてしまうので、そこで取り沙汰されるものは直ぐには読まないことが多いのだけれど、読んでいる友人や読もうと言っていた友人とのやりとり、それにやっぱり"ブーム”にも背中を押されて手に取ったクラシック。ここでも素晴らしい体験が出来た。これもタイミングからの贈り物、だっ たぽい。 「文学は人をからかうために作られた最良のおもちゃである」という物語のなかの言葉が、この小説に当てはまるかはわからないけれど、そんな風に思ったり、悪ノリでデカ目のほら話みたいなことを勘ぐりながら読むこともあって。そんなことを踏まえたうえで"真面目に"解釈したり考えたりする、もしかしたら意味のないものに意味を見出していくのは、めちゃくちゃ重要な遊びだと思っていたりします。

Posted byブクログ

2025/01/10
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※このレビューにはネタバレを含みます

話題に乗って、ようやく読み終えたー。噂にたがわぬ面白さでありました。濃厚なラテンアメリカの土地の匂いが立ち上ってくるような描写、ところどころ普通に入ってくる超常現象もすべて飲み込む感じ。最後の幕切れもよかった、長い夢だか、マジックショーだかを見ていた気分になる。 なんとなく、マジックリアリズムというのは熱い地域に似合う気がするな。

Posted byブクログ