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ひとりでカラカサさしてゆく の商品レビュー

3.8

43件のお客様レビュー

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2024/09/14

80代の男女3名が猟銃自殺した。 老衰でも病死でもない意図的な死。 普通なら悲愴感に包まれる展開なのに、予想に反して穏やかに物語は進む。 読みながら思ったのは「死にゆく者の胸の内と、遺された側の思いは少しも交わらない」ということ。 置いていかれた方は、後悔したり寂しく感じたりいろ...

80代の男女3名が猟銃自殺した。 老衰でも病死でもない意図的な死。 普通なら悲愴感に包まれる展開なのに、予想に反して穏やかに物語は進む。 読みながら思ったのは「死にゆく者の胸の内と、遺された側の思いは少しも交わらない」ということ。 置いていかれた方は、後悔したり寂しく感じたりいろんな思いが溢れるだろう。 じゃあ反対に、先に逝った人はどんな気持ちなのだろう。 どれだけ想像したところで分かるはずがない。 黙って逝った、という事実しかない。 ホント、永遠の謎になってしまったな。

Posted byブクログ

2024/09/14

結局最後まで「なぜ?」の思いが消えなかった。すべてを詳らかにする必要はないけれど、どうしても思いが届かない、いまだに僕は、もどかしさの最中にある。 タイトルから受けた印象は、しなやかに、軽やかに浮世を闊歩してゆくイメージだった…のに。一筋縄ではいかない人生の一方の端と、その向こう...

結局最後まで「なぜ?」の思いが消えなかった。すべてを詳らかにする必要はないけれど、どうしても思いが届かない、いまだに僕は、もどかしさの最中にある。 タイトルから受けた印象は、しなやかに、軽やかに浮世を闊歩してゆくイメージだった…のに。一筋縄ではいかない人生の一方の端と、その向こう側。もう一方の端の、こちら側。僕自身は、どの辺に立っているのかな。 多くのことを諦め続ける人生、ひと言、自業自得で括られて、多くを望まない生き方に、すっかり慣れてしまった。それはそれで不満も不都合もないけれど、もしかしたら、なんて思うことも、ないわけではない。嫉妬したり嘆いたり、後悔だって日常茶飯事。それでもどうにか生きている。不満はないけれど満足もしていない、つまり、そういうことかな、きっと人生とは、そういうものなのだろう。 それゆえに、この物語の中で目の当たりにした、ある決断には、僕自身理解の及ばない点もあるけれど、人生の深みに思いを馳せるきっかけになった。彼らの決断は、あくまでも自分らしく、そんな生きかたを貫いた結果なのだろう。そう考えると、それはそれで、ひとつの希望だと思った。読者の立場としては、残された側の人生を“これから”として生きてゆく。その傍には、きっと、この物語の存在があるのだろう。   文庫本の帯に上白石萌音さん、彼女が解説の筆を執ったとのこと。それを見つけたのが、この物語との出会いだった。彼女の文章も、これまた味わい深く、言葉を知っている人の文章だな、と思った。萌音さんの文章、もっと読んでみたいな。

Posted byブクログ

2024/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生きて行くって いろいろな形があってもいいんだ… 誰かが 亡くなって心にぽっかり穴が空いたみたいって表現があるけど その穴は亡くなってしまった人との思い出(良いことも、悪いことも)と日常のバタバタした毎日で 埋まっていくんだなぁと おもいました。 幸せだったんですね きっと

Posted byブクログ

2024/09/08

[こんな人におすすめ] *他人の気持ちがよくわからないと思っている人  この本を読むと、家族であれ赤の他人であれ、自分以外の人間の心を完全に理解することは不可能だと教えてもらえるかもしれません。そして、それは決して悪いことではないと感じられるかもしれません。 [こんな人は次の機...

[こんな人におすすめ] *他人の気持ちがよくわからないと思っている人  この本を読むと、家族であれ赤の他人であれ、自分以外の人間の心を完全に理解することは不可能だと教えてもらえるかもしれません。そして、それは決して悪いことではないと感じられるかもしれません。 [こんな人は次の機会に] *物事をはっきりさせたいタイプの人  筋道を立てて答えを明確に出したいタイプの人はストレスがたまるかもしれません。

Posted byブクログ

2024/09/07

ラストに向かってドキドキが止まらなくなった…。 終焉、それは必ずしも悲しいものではないのかもしれない。

Posted byブクログ

2024/09/01

大晦日の夜、ホテルのバーラウンジで待ち合わせをする80代の三人の老人たち。 篠田完爾、重森勉、宮下知佐子。 彼らは若い頃、小さな出版社で知り合ってからの長い付き合いで、思い出話に花を咲かせたあと、三人で猟銃自殺を図った。 遺言どおり、指定された場所に三人の遺品を納めに、彼らの遺...

大晦日の夜、ホテルのバーラウンジで待ち合わせをする80代の三人の老人たち。 篠田完爾、重森勉、宮下知佐子。 彼らは若い頃、小さな出版社で知り合ってからの長い付き合いで、思い出話に花を咲かせたあと、三人で猟銃自殺を図った。 遺言どおり、指定された場所に三人の遺品を納めに、彼らの遺族や友人たちが集まる。 今まで音信不通だった親族が連絡をとり、まったく接点のなかった人たちが絡み合い、彼らの死について語り、思いを馳せ、残された人たちが亡くなった三人のまわりをぐるぐると取り囲んでいるような構図が出来上がっていた。 逝ってしまう者も、遺された者も、この世の中の誰ひとりとして同じ感情を持つ人はなく、つながりがあると思われる夫婦や親子でさえ、結局は一人で生きているような気がする。 人間の強さというか、他人が思うほど人は弱くないというか、人には知らない部分がたくさんあって、すべてを知らなくても知らないままでけっこう上手くやっていけるものなのだと思った。 この物語を読んで、私も自分の人生を誇りに思えるように強く生きていたいなと思った。

Posted byブクログ

2024/08/31

三人の老人の死を巡る群像劇。 ミステリかサスペンスのような始まりだけど、そういう感じでもなく。 死にゆく三人とその家族や知人達のその後が交互に描かれていくのだけど、死にゆく三人のターンの方がほの明るく、周囲の人達の日常にはほの暗い影が差しているような。 いやでも、そこで終わるのか...

三人の老人の死を巡る群像劇。 ミステリかサスペンスのような始まりだけど、そういう感じでもなく。 死にゆく三人とその家族や知人達のその後が交互に描かれていくのだけど、死にゆく三人のターンの方がほの明るく、周囲の人達の日常にはほの暗い影が差しているような。 いやでも、そこで終わるのかぁ…。 いくつかのエピソードは結末まで知りたかった! 登場人物の獣医師が妙に村上春樹的。 アンデルセンのエピソードが強い…(p126。 アンデルセンの自伝読んでみたくなるじゃないですか-! 人の死が創作エンタメになるって、もうずっとそうだよなってしみじみ頷いてしまいました。不謹慎な言い方になるけれど。 完爾さんのエピソードで意地悪に対する報復は憐憫と軽蔑で十分というのは、子供の頃にこの本を読めていたら刺さったろうなあとか思ったり。

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2024/08/31

江國香織さんの古い作品を読んで、好きだと再確認したので 最近文庫化したこちらを。 80代の男女がホテルで自ら命を絶つという衝撃的なあらすじ。 でもそのあらすじから受ける印象とは異なり、 ストーリーは激しいものではなく、 その死を知り驚き、そして受け止める 友人や家族の静かな物...

江國香織さんの古い作品を読んで、好きだと再確認したので 最近文庫化したこちらを。 80代の男女がホテルで自ら命を絶つという衝撃的なあらすじ。 でもそのあらすじから受ける印象とは異なり、 ストーリーは激しいものではなく、 その死を知り驚き、そして受け止める 友人や家族の静かな物語。 人は様々な面があり、 揃って命を絶つほどの親しい友人でもすべてを知るわけではなく、 家族ももちろんすべての感情を知るわけではない。 きっと歳を重ねるごとに再読したくなり、そのたびに受ける印象が変わりそう。

Posted byブクログ

2024/08/23

大晦日にホテルで3人の高齢者が猟銃て自殺する。猟銃と言う荒っぽいものでの出来事が。静かな時間で終わりになる。ほんとに親兄弟でも親子でも親友と言う中でも人はそれぞれなんだと確かにそうだなぁと思う。

Posted byブクログ

2024/08/19

80代の3人の突然の死。 日常が動き出していることで、残された人達のまとまりきらない感情をなだらかにしているように感じた。 たぶんこの先も、自分を許したり、疑問を抱いたりしながらいくんだろうな。 萌音ちゃんの解説も良かった。

Posted byブクログ