ひとりでカラカサさしてゆく の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
後味が良くなかった。3人の老人がホテルで大晦日の深夜に自殺する。動機がやや弱いと感じた。その3人それぞれにまつわる人についての断片。断片の時間は前後する。妊娠がわかる人物もあった。「江國ワールド」は健在だが、なにかしっくりしない。1泊10万円以上のホテルに泊まる妊婦夫婦にびっくり。断片はいろいろ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
血のつながりや戸籍といった要素を除いて、"家族"と"他人"の違いを説明しろと言われたら難しいかもしれない、と思った。他人同士でも、その時その瞬間だけは誰よりも分かり合えたような気持ちになったり、家族でもまったく知らないその人の一面が存在したり。ここで家族以外のさまざまなつながり・居場所を目撃して、奇妙に心強くなった。
Posted by
「デンマークに留学している女性」が登場すると帯に書かれていて、それに無性に惹かれて購入。(留学先がデンマークって、なかなか珍しい)買ってから、すでにもう何度も繰り返し読んだ。 非日常な設定(3人の老人が大晦日に猟銃自殺するという)なのに、なぜかサラッと読めて、説教くさくない人生観...
「デンマークに留学している女性」が登場すると帯に書かれていて、それに無性に惹かれて購入。(留学先がデンマークって、なかなか珍しい)買ってから、すでにもう何度も繰り返し読んだ。 非日常な設定(3人の老人が大晦日に猟銃自殺するという)なのに、なぜかサラッと読めて、説教くさくない人生観を感じる。 そして何度か読み返すと、「あれ?こんなシーンあったっけ?」と不思議に毎回新しい描写に出会えて、登場人物のいろんな顔が見える。 いろんな人がいる。しかし、自分の選択に責任を持って生きる、ということは、爽快で美しいのだと思わせられる。
Posted by
読書の楽しさ、醍醐味をこの本を読んだときに改めて気づけた気がしている。それは、自分がいる場所・環境・考えとはまったく違ったものに触れそれについて自分を考えを巡らせられることだと思う。 毎回読書を終える度に、この世界線にいたら自分がこの人だったらあるいは自分もこうしてみたいなど物語...
読書の楽しさ、醍醐味をこの本を読んだときに改めて気づけた気がしている。それは、自分がいる場所・環境・考えとはまったく違ったものに触れそれについて自分を考えを巡らせられることだと思う。 毎回読書を終える度に、この世界線にいたら自分がこの人だったらあるいは自分もこうしてみたいなど物語から得た世界を自分の中で反芻することが楽しいところだと再認識させてもらったように思う。(自分の変化なのか、この本のおかげなのかは明確では無いけれど)
Posted by
ページをめくると偶然にも年末年始の話だった。読み進めると、作中に出てくるおかしに偶然最近出会った……。私の生活が、物語とほんの少しだけリアルタイムでリンクしていた。3人の死は、悲しい出来事ではあっただろうと思うけれど、無関係な私との偶然があったように、人の命も出会いも偶然で紡がれ...
ページをめくると偶然にも年末年始の話だった。読み進めると、作中に出てくるおかしに偶然最近出会った……。私の生活が、物語とほんの少しだけリアルタイムでリンクしていた。3人の死は、悲しい出来事ではあっただろうと思うけれど、無関係な私との偶然があったように、人の命も出会いも偶然で紡がれていくのかもしれない。終わったけれど、続いていく物語。
Posted by
2025.1.5 読了 大晦日の夜、ホテルに集った80代の男女3人の友人同士が猟銃自殺を図った…。 あらすじが衝撃的だった割に、とても静穏で温かな話しだった。 結局3人がなぜ自殺したのか理由は分からないし、解説で萌音ちゃんが言っていたけど、ページが終わっても物語は終わらなかったし...
2025.1.5 読了 大晦日の夜、ホテルに集った80代の男女3人の友人同士が猟銃自殺を図った…。 あらすじが衝撃的だった割に、とても静穏で温かな話しだった。 結局3人がなぜ自殺したのか理由は分からないし、解説で萌音ちゃんが言っていたけど、ページが終わっても物語は終わらなかったし、この先もずっと終わらない話しだった。 「生者よりも死者の方を身近に感じるなんてへんですね」
Posted by
3人の決断はあまりに悲しいし、自分の親にこれをされたら堪らない。ただ、なぜそこに至ったのかは説明されていないし、説明しないのが江國香織さんなんだなと、すとんと納得できました。 悲しいけれど、3人の生き方、死ぬことも自分で選択できた人生は豊かなものだったかもしれない、とも。 いろい...
3人の決断はあまりに悲しいし、自分の親にこれをされたら堪らない。ただ、なぜそこに至ったのかは説明されていないし、説明しないのが江國香織さんなんだなと、すとんと納得できました。 悲しいけれど、3人の生き方、死ぬことも自分で選択できた人生は豊かなものだったかもしれない、とも。 いろいろな登場人物のその後が気になりますが(そのあたりも読者の自由な想像に委ねるのが江國さんらしい)、勇樹が無事に妻と円満別居ができたかは、特に知りたいと思いました。 勇樹もそうだけど、葉月も、順一も、夫と一緒じゃないと気になる中華料理屋にも入れないと思っていた翠さえも、「ひとりで」生きていく決意をしている。そのことに、共感しきりでした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図らずも大晦日に読了 3人の老人の猟銃自殺とその後の家族の話という陰惨なミステリーにもなりうる題材を江國香織らしく淡々とドラマティックに盛り上がることもなく、何かが解決することもなく、家族たちの人生は続いていく 死を受けて、故人に思いを馳せる これにより多少の変化はあれど、劇的に変化していく訳ではない、それがセンセーショナルな自殺であってもだ これこそが日常だなと 人間は人と接する時に自身のある側面を押し出して接する 家族、仕事、趣味人…人の多面性についても考えさせられる 家族だから全てを知ってると思っていると不意に見せられる別の顔に戸惑いを隠せない 藍洙の息子のエピソードもそれを表す1つのエッセンスだろう 最後に死に向かう3人 東京のネオン 3人の気持ちはこれから起こることセンセーショナルさとはまるで違って淡々としている 死というものはこの世とあの世を分断する大きな出来事のように思っていたが、人生という線のただ延長線上にあるものに過ぎないのかもしれない
Posted by
大晦日の夜、ホテルに集った80代の3人の旧友が猟銃自殺を図った。 ショッキングなあらすじからは想像もつかない穏やかな物語だった。 残された家族や親戚、友人たちの視点がシームレスに切り替わり、その後の月日を追う。彼らの人生はそれなりに波瀾万丈だったりもするのだが、独白形式で紡がれる...
大晦日の夜、ホテルに集った80代の3人の旧友が猟銃自殺を図った。 ショッキングなあらすじからは想像もつかない穏やかな物語だった。 残された家族や親戚、友人たちの視点がシームレスに切り替わり、その後の月日を追う。彼らの人生はそれなりに波瀾万丈だったりもするのだが、独白形式で紡がれる文章を追いかける時間は、凪のような静かな時間が刻々と流れる感覚。 自殺した3人が、悪くない人生だったと自分の人生に及第点をつけているような気がして、それは残された人たちにとっての希望に見えた。
Posted by
登場人物がたくさんなので最初は少し目まぐるしかったけれど、死から繋がる人間関係があるということなんだろうと思った。解説でも書かれているように、結末を求めて、終わりを求めて読み進めていたけれど終わらない物語だった。 あらすじがとても衝撃的な内容(3人の老人が猟銃自殺)だったにもかか...
登場人物がたくさんなので最初は少し目まぐるしかったけれど、死から繋がる人間関係があるということなんだろうと思った。解説でも書かれているように、結末を求めて、終わりを求めて読み進めていたけれど終わらない物語だった。 あらすじがとても衝撃的な内容(3人の老人が猟銃自殺)だったにもかかわらず、人と人とのつながりやそれぞれの人生の歩み方が描かれていてじんわりと温かみを感じる、江國さんらしい文章だと感じた。
Posted by