ベスト・エッセイ(2024) の商品レビュー
・燃え殻「おっぱい足りてる?」 ・加納愛子「親父が倒れた」 ・カツセマサヒコ「『行けたら行く』で、本当に行く人」 ・ラランド・ニシダ「母との遭遇」 ・三浦しをん「なにを食べてる?」
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「ベストエッセイ」は2024の本作が初めて。 タイトルが示す通り、秀逸なエッセイの数々。 自分にとって「どなたですか?」という著者が多く、意外性を楽しめた。 笑ったり感心したり、とても充実した内容だった。 今後、継続して読んでいきたい。
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日本文藝家協会が2023年に新聞・雑誌等の媒体に発表された中から選りすぐった、エッセイのアンソロジー 毎年編纂され出版されているようなのだけれど、Twitterでフォローしている学者の方が選ばれたということで読んでみた 目次を見れば仰天するほど様々な分野から著名な人が選ばれていて...
日本文藝家協会が2023年に新聞・雑誌等の媒体に発表された中から選りすぐった、エッセイのアンソロジー 毎年編纂され出版されているようなのだけれど、Twitterでフォローしている学者の方が選ばれたということで読んでみた 目次を見れば仰天するほど様々な分野から著名な人が選ばれていて、単純なことだけど、これだけの書き手たちが一冊にまとまっていることそのものが贅沢だ 数あるエッセイ・アンソロジーのなかでも規模の大きさはトップクラスだろうと思う どのエッセイもおもしろかったのだけれど、エッセイはフィクションではなく、書き手が考えたことを書いているわけで、たぶんテキストから自分とは違う視点や考えがあることを知りたい、という意味ではエッセイを読むのがいいんだろうな 自分にはない物の見方を知ることは痛くてひりひりするけど、気持ちがいい 学者や芸人、俳優、作家などなど。自分にはない目線から見たものを知りたい、感じたいならこれほど多彩な目線が集まったものはない
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いやぁー、今回も盛りだくさん。盛りだくさんすぎて、なかなか感想をまとめられない。 以前、ベストエッセイに対して「チョコアソートみたい」と感想を書いたけど、今回はバイキング的にお腹いっぱい。大学受験で国語の問題に出てもおかしくないような内容から、俳優さん、タレントさんなどなど、色々な人が選ばれていて、あれこれ食べられるのは本当に楽しい。 2024と言いながら、書かれたのは2023年。世相を反映していて興味深い。ウクライナの方が書いているものもあった。もう完全にコロナ禍は終わったんだな、とも実感。時代を反映しているものとしては、AIに関するものがいくつかあったのが印象的だった。 今回も「おぉー、これいいじゃん」と思う表現を盗もうと付箋を貼りながら通勤時間に読んだ。ただ、読み終わって目次をざーっと見ても、どんな内容だったか思い出せないことの、なんと多いこと。 そして、思い出すのは案外付箋を貼ったエッセイよりも、貼らなかったほうだったりするという…。 「付箋を貼るほどの表現はなかったんだけど、なんか心に残っている」というエッセイは、たぶん私の生活のどこかに、その話と結びつくなにかがある。 バイキングで、珍しい名前の料理名を頑張って覚えようとしたけど、結局あとになって思い出すのは「あのオムレツはおいしかった!家ではできないよねぇ〜」という感じに似ている。 去年、このエッセイ集の存在を知って2021年から2023年まで1年に3つ読んだ。 毎号そうだったけど、今回も追悼多し。しかも大江健三郎と加賀乙彦が2つずつ。アントニオ猪木と瀬戸内寂聴が2つずつあった年に比べれば、私にとってあんまり馴染みのない方だからか「ま、いいんだけどさ」と流せるレベルのイマイチ感ではあるけども。目次に「追悼〇〇」って書いてあったのが、かえって目立って違和感あった。 ついでに言うと、有名人に対する追悼ではない、身近な知り合いに対する追悼には「追悼〇〇」って目次に書いてないのは、なんだかな…それも追悼なのにな…と思ってしまった。 石川直樹の、親しいシェルパに対する追悼文は相当グッときた。 編纂委員の6人+73人分のエッセイ。 てことは、編纂委員はひとり12個選んで持ち寄ってんのかな。毎月1個、自分の読んだものの中から「ベスト」なエッセイを持ち寄りパーティーしたら、「あれ、唐揚げいっぱいじゃん」「ま、いっか。どの唐揚げもちょっとずつ味違って、むしろ味比べで楽しいし!」みたいなことになるのかな。いやいや、それじゃぁ編纂の意味があんまりないような…とか思ってしまった。 ふと、自殺した知人たちのことを思い出した。風のうわさで自殺だった、と聞いた程度の関係なので、追悼と言えるほど親しくないけど。 世の中にはいろんな人がいて、いろんな考えの人がいて、その考えを文字にするのって、たしかに炎上だのなんだのリスクはある。それでも、その考えに、その言葉に、勇気をもらって生きていくことができる人もいるんじゃないかな、ってふと思った。 死にたいほどつらい思いをしている人に、迂闊なことは言えないな、って思う。 死にたいときに、本なんて手にする元気はないかもしれないな、って思う。 そうは思うけど。 「エッセイ集って、なんだかんだけっこういいですよ」って。「いろんな考えがあるってこと、書きたいこと書いていいってこと、知って生きてく力になったらそれはそれでアリかもですよ」って思う。まぁ文豪たちも自殺してんじゃん、と言われればそれまでか…。 救難信号の話が最終的に一番印象に残っている。 「助けて」という救難信号は、大きな音とは限らないんだよなぁ。どんな音なのか、どんな大きさなのか、どんな風に鳴らしているのかは人それぞれ違う。聞き逃さないようにするのって、並大抵のことじゃないんだよなぁ…。 「人のことはどうでもいい!周りを気にするな!」と夫は娘によくキレる。オマエはもう少し周りを気にしろ、と夫に対して私は思う…。そういう夫こそ、本当は救難信号を出しているのかもしれない。 来年も、どんな『ベストエッセイ』が集まるのか、楽しみにしている。願わくば、「唐揚げばっかり集まってんじゃん」な感想にならないといいのだけど。
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編纂委員作品を含む79人に及ぶエッセイ。 心に残った作品を列記する。 歌人が経験したクリーニング屋での一コマ。客の早とちりに対して、「すいません」ではなく、「こちらの説明が至らなかったかも」と、たった一言の言葉の力を思う。(P.185) ノンフィクション作家が、イタリア...
編纂委員作品を含む79人に及ぶエッセイ。 心に残った作品を列記する。 歌人が経験したクリーニング屋での一コマ。客の早とちりに対して、「すいません」ではなく、「こちらの説明が至らなかったかも」と、たった一言の言葉の力を思う。(P.185) ノンフィクション作家が、イタリアのシチリア島でタクシーのシェアで乗り合わせたおじさんの故郷が映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の映画の撮影地。当時、主人公の少年は地元の農業高校に通っていたという、エピソードに惹きつけられた。(P.241) 63歳になって鍼灸専門学校に入学した作家は、鍼灸師の国家資格取得したのだろうか?なぜか気になってしまう(P246) うまにそばの後に追加で中華丼を頼んだら、同じ具材だった。しかし、よく食べる!! まさに「孤独のグルメ」さながらだ。(P.255) 父の遺品整理で、3段チェストから赤い靴下が大量に出てきたと、ロックンローラーらしい痕跡を感じる。また横尾忠則氏との交流も素敵なエピソードだ!(P.294) コンビニで買った辛子明太子のおにぎりだと思って食べ始めたら、ねぎトロ茎わさび入りだったと云う話し、これは、あるある(P.350)
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星3.5という感じです。 たくさんの著名人のエッセイがこんなにお手軽に読めるのは初めてで、全て短編なのがまた読み易く、途中で止める時もすんなりと。 興味深い:明和政子、宮下奈都、北野勇作、合田文、本谷有希子、小佐野彈、植本一子、中村和恵 面白かった:浅田次郎、伊藤理佐、千住真理子、俵万智、西川美和、ブレイディみかこ、燃え殻、三浦しをん 心にのこる:斎藤真理子 内田樹、「助けて」というシグナルを聴き落とすなという話。大切にしたい。
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エッセイが好きな方はいいと思います。 注意点としては追悼文であったり、お堅めなものが多いということでしょうか。
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少しお堅いエッセイが多かった気がするが、相変わらず知らない方のエッセイを読むことができて楽しい。作家に限らず、俳優やお笑い芸人等書く人も様々で楽しかった。 お笑い芸人の方が書かれた父親が退院した話には父親のふてぶてしさに呆れ驚きながらもやっぱり父親を憎めない家族の様子に癒された...
少しお堅いエッセイが多かった気がするが、相変わらず知らない方のエッセイを読むことができて楽しい。作家に限らず、俳優やお笑い芸人等書く人も様々で楽しかった。 お笑い芸人の方が書かれた父親が退院した話には父親のふてぶてしさに呆れ驚きながらもやっぱり父親を憎めない家族の様子に癒された。甘いものが好きなおじさん(おじいさん?)ってなかなか希少なのではないだろうか。 一番好きなエッセイはカツセマサヒコさんの「『行けたら行く』で、本当に行く人」。 タイトルどおりの話だが、これを実行する人は世の中本当に少ないと思う。私は今年に入って、長年会いたいと思っていた友人を誘おうと決心し、会うことができた。とても楽しい時間を過ごせた。想像以上に楽しかった。行こうかな…やろうかな…と迷っていることは、深く考えずに実行するのも良いのかもしれない。
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2024年発行、光村図書出版の単行本。79編。去年のベスト・エッセイには今年亡くなった中村メイコのが載ってたよな、今年の分も来年にはもういない人もいるかななどと考えていたのだが、中村メイコは去年のにはのっていなかった(載ってたのは「居心地のいい場所へ」だった)。私の認識できる人が...
2024年発行、光村図書出版の単行本。79編。去年のベスト・エッセイには今年亡くなった中村メイコのが載ってたよな、今年の分も来年にはもういない人もいるかななどと考えていたのだが、中村メイコは去年のにはのっていなかった(載ってたのは「居心地のいい場所へ」だった)。私の認識できる人が少ないのと学者などの一般的知名度が高くないひともいるので知っている人は結構すくない。しかし専門分野についてのことをちょろっと書くエッセイも面白いものだと思う。(追記)中村メイコは2023年12月31日に死去、公表が2024年。 作者:山田正紀、たなかみさき、永田和宏、明和政子、ラランド・ニシダ、高瀬隼子、鵜飼秀徳、ズラータ・イヴァシコワ、阿川尚之、くどうれいん、亀山郁夫、宮地尚子、雨宮正佳、宮下奈都、浅田次郎、斎藤真理子、岩松了、伊藤理佐、菅野昭正、豊崎由美、北野勇作、合田文、宮内悠介、酒井順子、西崎憲、青柳菜摘、宮部みゆき、堺雅人、加納愛子、川島秀一、高羽彩、中沢新一、本谷有希子、内田樹、群ようこ、内田洋子、千住真理子、南木佳士、高柳聡子、中井治郎、俵万智、石川直樹、西川美和、中村文則、北大路公子、蓮實重彦、 作者(続き):ブレイディみかこ、池坊専宗、伊藤亜紗、三木那由他、温又柔、武田砂鉄、島村菜津、田口ランディ、カツセマサヒコ、松重豊、岸本佐知子、鷲田清一、伊藤比呂美、時里二郎、山村博美、小佐野彈、寺本愛、燃え殻、夏井いつき、村松友視、内田也哉子、三木卓、青来有一、黒井千次、植本一子、佐々木閑、中村和恵、林真理子、堀江敏幸、角田光代、藤沢周、町田康、三浦しをん、
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2023年に新聞・雑誌等に掲載された中から選出された79篇。 個人的に印象に残ったエッセイ。 永田和宏/AIと連歌を巻く 「表現されなかったもの」をAIが作成したものから思い描くことって確かにない…AIが小説を書いたとしても表現されなかったものを感じ取る読書はできないか。 ラランド・ニシダ/母との遭遇 テレビを観ないのでどなたなのかはさっぱり分からない(汗)けど赤裸々な文章には好感を持ちました 高瀬隼子/爪を塗る 私もめったにマニキュアをしないので共感しかなかった。たまに塗るのがいいんですよね。 鵜飼秀徳/堆肥になる やっぱりアメリカってぶっ飛んでるなぁ。私は死後、たい肥になるのはアリかなぁ…どうかなぁ 宮下奈都/二十年後の定番料理 そうそう、定番料理って変わるんですよね。 北野勇作/亀の世界 亀は変化に弱くルーティーンが変わることを嫌う。読み終わってギョッとしてしまった。身内に似ている…。 宮内悠介/図書館考 時々X(旧Twitter)を賑わす「図書館で読みました!」に対するひとつの答え。若い子は図書館使ってたくさん本を読んで幸せな読書体験を積み上げてほしい。 西崎憲/脇役たち 翻訳家のお仕事に含まれる評伝から小説家の周囲の人物、脇役に目を向けてみると…。 群ようこ/男女差 私より年上の群さん。女性の就職は長い間書かれたとおりだったし、当時は「女性らしいしなやかな感性」ってやたら目にしたなぁ、なんだったんだあれは。 千住真理子/亡き母の春巻き 冷凍保存の結末 ナイトスクープ案件(笑 伊藤比呂美/花ざかり 昭和の路地裏 読書をたまにしかしなかった時期の趣味はガーデニングでした。一度でいいのであの発泡スチロールで草花を育てるというのをしてみたい。発泡スチロール、苦手だけど。 今回は表紙は流行りのインパクトがあるイラストレーター・榎本マリコさんの絵ですが中身は穏やかでした。榎本さんのイラストが表紙の本、本屋さんでホントによくお見かけします。
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