魂婚心中 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
芦沢央さんの新境地とも言える作品群からなる新作短編集。 サイン会でサインを頂いた紙書籍で読了。 確かにいつもと随分と印象が違う。SFミステリ短編集と言う触れ込みだが著者があとがきで書いておられるようにこれってSFなのか? と言う作品もある。 個人的には「9月某日の誓い」が好きだと思った。これだってSFなのかファンタジーなのか曖昧だが。あと「二十五万分の一」はショートショートだが,結末に切れがあって良い。「ゲーマーのGlitch」についてはゲーム実況というものに1ミリも興味がない私にはよくわからない作品。最期に軽くどんでん返しがあるのが肝なのだろうが。「この世界には間違いが七つある」もよくわからない作品だった。ラストでどういう世界観だったのかは理解できたのだが。ストーリー的には一読しただけでは分からなかった。 「閻魔帳SEO」はよくそんな発想に至ったものだと感心してしまう作品。これもまぁファンタジーの部類だろう。しかしラストの一文がなぁ。これを書きたいがためにストーリーを組み立てたのだろうか。これは好みの分かれるところだろう。 タイトル作の「魂々心中」。冥婚というものの意義が理解できない私には共感しにくい話。しかし読む前にTwitter等で流れていた事前情報から,もう少し明るい話を想像していた。そもそも「推し活」とは喜びではないのかな。芦澤さんが当初想定していたエンディングの話というのも読んでみたかった。
Posted by
SFっぽい世界観の短編集。アイデアがどれも面白い 表題作は、推しとの死後婚、マッチングアプリなど最近っぽい設定。主人公の選択を知った時のなるほど感は強い ゲーマーのグリッチは、架空のゲームのRTA実況という多分初めてのテーマで、そこにも近未来的な要素があって面白かった。このゲ...
SFっぽい世界観の短編集。アイデアがどれも面白い 表題作は、推しとの死後婚、マッチングアプリなど最近っぽい設定。主人公の選択を知った時のなるほど感は強い ゲーマーのグリッチは、架空のゲームのRTA実況という多分初めてのテーマで、そこにも近未来的な要素があって面白かった。このゲームやってみたい 7つの間違い、も世界観に気づいた時の面白さとオチの意味に気づいた時のなるほど感が良かった 閻魔帳〜 もありそうで無かったテーマ。別のしょぼい悪行で罪深い悪行を塗り替えるという発想とかは本当にありそうで面白い 最後な作品も、まさかの展開だった。 能力が突飛なものではあるけど、伏線をしっかり貼っていて納得感があり面白かった。
Posted by
冥婚×マッチングアプリという発想が斬新で面白かったが、その他の物語はSF要素が強く、できれば一冊で冥婚についての話が読みたかったなあと思ったので★×2とする。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
独身のまま死んだ者同士が結婚するためのアプリ、って。死者と生者の結婚の冥婚なら実際にそういう風習もあるけれど、死者同士の死後のためマッチングアプリってすごい発想。でもそこで終わらないのが芦沢央。 そこに「推し」活をぶつけてくるだから、生々しいったらありゃしない。もしかすると実際にそういうアプリできちゃうんじゃないの、って思ってぞわぞわした果ての、ラスト。うひゃ、ってなっちゃうね、まったく。 そんな表題作から始まる6つのぞわぞわSF。設定でびっくり、そしてラストでひっくりかえる。 ゲームを全くやらないので二話目にはついて行けなかったけれど、切なくなったりニヤリとしたり、情動刺激型SF短編集で芦沢央の新しい魅力堪能。
Posted by
最近読んだ本の中で1番面白かった。 独特の世界観。現実のものとして捉えようとすると到底理解できないはずなのに、何故かリアルさを感じる。 「ゲーマーのglitch」が個人的には1番好きだった。RTAを文章で読む感覚、面白い。テンポもRTA実況ままで読める。 タイトルにもなっている「...
最近読んだ本の中で1番面白かった。 独特の世界観。現実のものとして捉えようとすると到底理解できないはずなのに、何故かリアルさを感じる。 「ゲーマーのglitch」が個人的には1番好きだった。RTAを文章で読む感覚、面白い。テンポもRTA実況ままで読める。 タイトルにもなっている「魂婚心中」は、とにかくオタクの解像度が高い!w 主人公の気持ち、分かる、分かるよ!と思いながら読んだ。 「九月某日の誓い」は他の短編と少し毛色が違う感じがしたけど、登場人物の感情が言語化されてこちらに伝わってくる感覚がとても好きで、切ない。続きがあるのだとしたら彼女たちのその後は気になる。
Posted by
超★5 今年イチ推しのSF&ミステリー作品集、発想力と深堀力と文筆力にシビレまくり! #魂婚心中 ■きっと読みたくなるレビュー 超★5 おもろい! 作品をあつめた短編集の括りだったら、今のところ今年No1です。素晴らしい! 最初の一行から一気に世界に引き込み、ラスト一...
超★5 今年イチ推しのSF&ミステリー作品集、発想力と深堀力と文筆力にシビレまくり! #魂婚心中 ■きっと読みたくなるレビュー 超★5 おもろい! 作品をあつめた短編集の括りだったら、今のところ今年No1です。素晴らしい! 最初の一行から一気に世界に引き込み、ラスト一行で切れ味鋭く仕留めてくる。SFでありミステリーでありエンタメでもある。これまでにも増して文章が洗練されていて文芸としても高品質。さすが短編の名手ですね、参りました。 あらすじや設定を言ってしまうこと自体がネタバレ気味になっちゃうので、控え目にしているつもりです。もし気になる人は読了後に読んでくださいまし。 ●魂婚心中【おすすめ】 一風変わった婚活アプリを背景にした、なんかずれている人の物語。トンデモな設定に感服、数年したらホントに出てきそうなアプリ。 個人の社会の隙間の歪みを感じることはよくあって、悩んだり苦しんだりする気持ちは分かるなぁ… 人生経験だとは思うんですよね、年齢を重ねるとバランスがとれてくるというか。人の意見を聞きすぎるのは良くないけど、人の意見をよく聞いて考えると正解率があがってくる。 ただ解決できれば良いという問題ではなく、社会に馴染まないといけない社会がどうかしてるんすよね。 ●ゲーマーのGlitch【おすすめ】 背景となっているネタはRTAですよね。私も動画サイトで見たりしますが、実況のセリフとか、めっちゃリアルな書きっぷり。ゲームの中でもRTAなんて末期的な遊びだし、かなりニッチな世界だと思うのですが、よく小説の舞台に取り入れましたね。まずこの情報収集力と発想力がスゴイわ。 終盤予想しなかった情報提示からの展開が秀逸、世の中に無駄なものなんてないよねって思わせてくれて大好き。 ●二十五万分の一【おすすめ】 ある特殊な世界における女学生の私と先輩の物語、掌編。 永遠のテーマ「愛と死」について、幻想的かつ哀愁たっぷりに描いています。こんだけ短い掌編なのに、しっかりと心臓を掴んでくる。 ●閻魔帳SEO 【超おすすめ】 実はインターネット企業に勤める私、背景になっているSEOがなんたるかはすぐにわかりました。業界や仕組みのことを良く調べてるし、死後の世界と掛け合わせて物語を生み出すなんざ、控え目に言ってクレイジーですよ(誉め言葉)。 登場人物にクマールって人物がいるんですが、あの言葉のもじりですよね… 一応業界人なんで、この人の叫びややりたかったことがわかるわー。でもね、Xxxxxxには勝てないんです、うん。 ラストのネタわかる人いるのかなー、私は昭和のゲーマーなのですぐにわかりました。伝説の誤植と言われるアレすね。これがやりたかったから、中盤にあんなエピソードをぶち込んできたのかと思うと、ニヤニヤがとまらないです。良く知ってましたね、先生の(無駄な)知識に感服です。 ●この世界には間違いが七つある 【超おすすめ】 惚れた… こんな作品を書いた芦沢先生にベタ惚れです。いつも女性ならではの優しい視点で描くのがお上手な先生ですが、行きついた作品がこれですよ。もう最高。 物語としては狭い空間の閉ざされた人々の悲劇が描かれる。カテゴリーとしてはスリラーなんでしょうが…もうこれ以上は言えない。 ●九月某日の誓い【おすすめ】 家を出ることを許されない少女と、使用人として奉公している女性の物語。 この作品も先生の強みが爆発した一編ですね。心理描写を場面展開や分かりやすいセリフで伝えるのではなく、わざとらしくなく可憐に表現してる。すげー難しいと思うんだけど。さすプロ。しかも私なんて父親世代だから百合っぽさが美しすぎて尊いんですよ。沁みるー、超沁みるー 幻想的なお話と思いきや二転三転、しっかりロジック固めてくるし、品質高すぎ問題です。いい作品でした。 ■最後に 気づいてみれば、全作品に【おすすめ】マークを付けてしまいました。そのくらいおもろい、控え目に言って必読です。 豪華作家陣が語る特別解説リーフレットがついてきましたが、いつも本のレビューを書いてる身としては痺れましたね。皆さんさすがの文章芸で、たった500文字程度で作品の筋や魅力をネタバレなしで語りつくしてる。やっぱりプロは違うなー、お手本にさせていただきます。
Posted by
芦沢さんのミステリーが好きで追っかけていたが、これはSF要素が強くて難易度が高い。まず描かれている世界の価値観を理解するのにひと苦労。面白さを感じる前に疲弊してしまった。
Posted by
芦沢さんの不気味で嫌な気持ちにさせるようなミステリーが好きだったので、著者の最新作である本作も手に取りました。短編集なのですが、どの短編も設定に斬新さがあるミステリーで他の作品にはない魅力があったと思います。 以下、印象に残った短編のあらすじと感想です 「魂婚心中」 死者同士の...
芦沢さんの不気味で嫌な気持ちにさせるようなミステリーが好きだったので、著者の最新作である本作も手に取りました。短編集なのですが、どの短編も設定に斬新さがあるミステリーで他の作品にはない魅力があったと思います。 以下、印象に残った短編のあらすじと感想です 「魂婚心中」 死者同士の婚活アプリが流行る世界で、推しのアイドルとの死後婚を行いたいと望むオタク女性の物語。 この作品が個人的には1番好きでした。特殊な設定の中、芦沢さんらしいオチが見られてゾクッとするとともに、やっぱりこういう予想の斜め上を行く展開は好きだなぁと思いました。 「九月某日の誓い」 大正時代、あるお屋敷で使用人をしている女性と、その主人公が仕える娘の物語。主従関係はありながらも、気の置けない仲である2人の周りで、不審な死が立て続けに起こり、主人公がその原因を探るというストーリー。 本作はオチのインパクトというよりも、ストーリーの展開力がすごい作品だったと思います。本作は短編集の最後の作品になるのですが、これまでと違ってSF要素がなかなか出てこず、少し焦らされる感じはあります。しかし、本作のSF要素がわかってからは話が急加速し、2人の関係性の変化と心理描写に引き込まれました。
Posted by