塞王の楯(下) の商品レビュー
本作は、攻める者と守る者の信念のぶつかり合いを描きながらも、単純な善悪では割り切れない構造となっている。攻める側には攻める理由があり、守る側には守る理由がある。そのどちらにも確固たる信念と正しさが存在するからこそ、両者の衝突はより重く、そして熱く感じられた。 構成としては、特に...
本作は、攻める者と守る者の信念のぶつかり合いを描きながらも、単純な善悪では割り切れない構造となっている。攻める側には攻める理由があり、守る側には守る理由がある。そのどちらにも確固たる信念と正しさが存在するからこそ、両者の衝突はより重く、そして熱く感じられた。 構成としては、特に序盤から中盤にかけての展開が個人的に強く印象に残っている。登場人物たちの信念や職人としての矜持が描かれ、非常に熱量の高い場面が続き、この作品の魅力が最も感じられる部分であった。さらに中盤から終盤にかけては籠城戦を中心に緊張感が一気に高まり、手に汗握る展開となっている。 一方で、終盤から結末にかけてはそれまでの熱量がやや落ち着き、やや尻窄みな印象も受けた。しかしこれは単に勢いが落ちたというよりも、読者に作品のテーマを考えさせるための余韻として機能しているように感じられた。 また、登場人物の中でも特に印象に残ったのは京極高次である。彼は圧倒的な武の強さを持つわけではないが、優しさや人としての在り方を失わず、それでもなお戦いの中で立ち続ける姿が非常に魅力的であった。「蛍大名」と呼ばれるその存在は、儚さの中に確かな光を持つ人物として描かれており、その生き様には強く心を動かされた。 以上のように、攻める者と守る者の泰平への信念がぶつかり合う中で、信念の大切さを深く描いた作品である。読後には、「守るとは何か」「強さとは何か」「平和とは何か」という問いが静かに心に残る作品であった。
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戦をなくすため。 平和を願って磨き上げ、磨いたはずの技術が当時最強の矛と盾としてぶつかりあう。 今はなき大津城、この目で見たかったな。 読後感は良い。 矛盾は今も際限なく続いているし、個人的には軍拡による抑止力は平和には繋がらないとは思う。
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後半につれてどんどん面白くなる。 史実にうまくフィクションを織り交ぜてるのが良い。 石工と呼ばれる知らない仕事に関しても興味深かったし、そこから山方、荷方、積方など役割が分かれているのも面白かった。 高次や横山など、脇を固める人物もかっこいいし、主人公匡介の覚悟や、石垣を活用した戦いなど歴史小説としても面白い。 大筒vs石垣は熱い。
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京極高次!お市の方の三姉妹の一人、お初が正室とゆう事しか知らなかったが人間的に凄く好感がもてる。今村翔吾さんの作品は一見スポットが当たらないような武将も描く感じがするので好きです。西国無双の立花宗茂!これは、やはり九州に住んでる者としてはにんまり!しかし、京極さんを応援したくなる...
京極高次!お市の方の三姉妹の一人、お初が正室とゆう事しか知らなかったが人間的に凄く好感がもてる。今村翔吾さんの作品は一見スポットが当たらないような武将も描く感じがするので好きです。西国無双の立花宗茂!これは、やはり九州に住んでる者としてはにんまり!しかし、京極さんを応援したくなる!イクサガミもたしかに面白かったがエンタメ路線が自分的には強すぎる。どちらかとゆうとこちらの作風の方が好みかな。
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上巻を序章のように読み終え すぐに下巻を読了した。 戦の情景が、空想できるほどの 筆致には驚かされた。 理由は荒々しさと柔和、 この調和が良いと感じたため。 国友衆の ”脅威の矛(鉄砲)で泰平の世を目指す” には、同調できない気持ちがある。
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「イクサガミ」「ジンカン」の順で読んだ為に時間的な展開のゆっくりさが中々合わず… 個人的には「イクサガミ」「ジンカン」のような展開の速さ、ワクワク感を求めていたのでこんな感じかって感想ですが、読了後の「良かったわぁ」感は1番あったかもしれない。
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戦場が舞台であるものの、あくまで盾(石垣)と矛(鉄砲)の戦い。守るもの、打ち破るものそれぞれに信念があるから、上手くいきそうでうまくいかない。登場人物たちを応援したくなる。 人は死んでしまうけど、過剰に残酷な描写があるわけじゃないから読みやすい。 最後の章の終わり方も綺麗。 まるでドラマみたいで、頭の中でエンドロール流れてた。
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楯も矛も大切な命を守るためにはどちらも必要で、同時にどちらも人を殺める可能性がある…そんな矛盾のコントラストを最後まで上手く表現してくれた作品だった。 どちらかが正義でも悪でもないからどちらも憎めない。 ただ戦は憎しみしか生まない。 戦国の中にあってあの蛍大名のような人の命を守り...
楯も矛も大切な命を守るためにはどちらも必要で、同時にどちらも人を殺める可能性がある…そんな矛盾のコントラストを最後まで上手く表現してくれた作品だった。 どちらかが正義でも悪でもないからどちらも憎めない。 ただ戦は憎しみしか生まない。 戦国の中にあってあの蛍大名のような人の命を守りたいと熱く願うリーダーがもっと増えたらいいのに。 そう思わずにはいられない。 そして今後お城を見る目が確実に変わった。 二の丸、三の丸の役目や石垣の作り込みなど、実際に存在した石工たちの技を、意味を噛みしめながら見てみたい。 素晴らしい作品でした。 今村翔吾、天才。
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歴史系の本を読んだ事がなかったので初挑戦 初めは、人の名前や土地の名前が入って来なかった 少し時間はかかったけど慣れました 匡介、玲次、彦九郎みんないいキャラで引き込まれた
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予想以上に面白くて、二日三日で読み終わってしまった。 戦国時代という、武士が主役かのように思われる時代を石垣職人という新しい視点から描いている。武士、城主、石垣職人、武器職人、そして住民。同じ時代を生きた各々にそれぞれの信念があり、一つの幕を形成している。誰が正しいとか正しくないとかそんな話ではなく、それぞれの想いを懸けて矛と盾がぶつかり合う様は、各々の全身全霊、命を懸けた真のかっこよさを内に湛えている気がした。 大津城を全員が一丸となって守り抜こうとする様は、キングダムの合従軍編さながら。何者にも砕けない絶壁 最強の盾 は、塞王の作った石垣でさえも完成にはあと一歩足りない。城を、城主を、住民を守ろうとするそれぞれの気持ちが一丸となって、初めて最強の盾は成し得るのだ。
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