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六色の蛹 の商品レビュー

4.1

32件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

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2024/08/04

 変わらず道中で不思議な事件に遭遇する主人公とよく知らない虫の知識の掘り下げは勿論、主人公と旅先で出会う人とのやり取りや事件を解決する度に葛藤する主人公の姿が物語の良いアクセントになり、またシリーズを重ねる毎に人間ドラマの深みが増していくと感じた。改めて「どこまでも優しい主人公だ...

 変わらず道中で不思議な事件に遭遇する主人公とよく知らない虫の知識の掘り下げは勿論、主人公と旅先で出会う人とのやり取りや事件を解決する度に葛藤する主人公の姿が物語の良いアクセントになり、またシリーズを重ねる毎に人間ドラマの深みが増していくと感じた。改めて「どこまでも優しい主人公だなぁ。」と暖かい気持ちになった。

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2024/08/03

昆虫好きな風来坊青年、魞沢泉(えりさわ せん)を探偵役に、彼が遭遇する様々な事件とその後を描く連作集。 シリーズ第三作。 今回はタイトルにあるように様々な色を題名にした六話が収録されている。 「白が揺れた」 鹿猟の最中に起きた銃撃事件。二十五年前にも起きた銃撃事件による悲劇の再...

昆虫好きな風来坊青年、魞沢泉(えりさわ せん)を探偵役に、彼が遭遇する様々な事件とその後を描く連作集。 シリーズ第三作。 今回はタイトルにあるように様々な色を題名にした六話が収録されている。 「白が揺れた」 鹿猟の最中に起きた銃撃事件。二十五年前にも起きた銃撃事件による悲劇の再現なのか、誤射なのか。 「赤の追憶」 花屋の女性店主が節外れのポインセチアを特別に仕入れてまで待つ客は…。 「黒いレプリカ」 八年前に起きた遺跡の捏造事件。工事現場から遺跡と共に発見された遺体はその容疑者のものなのか。 他三編。 個人的に好きだったのは「赤の追憶」。ここでのある誤解が、続編である「黄色い山」でも再び出てくる。 全体的には切なく苦い話が多く、魞沢が『ぼくと関わる人を、みんな不幸にしているような、そんな気がしていて』と感じるような事件が多い中で、この連作はホッとする感じがあって良かった。 また第一話で出てきた青いキャップが最終話で黄色いキャップに繋がるところなどは上手いなと思った。 あとがきではまだ魞沢シリーズへの意欲があるようなので、気長に待ちたい。

Posted byブクログ

2024/08/01

虫が大好きな青年、エリサワ センが 関わった人たちとの何気ない会話から 謎を解き明かす、シリーズ第三弾。 今回はおちゃらけた雰囲気はさらにトーンダウン。 全体的にしっとりとまとまった短編集。 エリサワくんも少しずつ空気を読む大人となり、 行く先々で知り合う人々と その場だけでは...

虫が大好きな青年、エリサワ センが 関わった人たちとの何気ない会話から 謎を解き明かす、シリーズ第三弾。 今回はおちゃらけた雰囲気はさらにトーンダウン。 全体的にしっとりとまとまった短編集。 エリサワくんも少しずつ空気を読む大人となり、 行く先々で知り合う人々と その場だけではない関係を築き始めた様子。 シリーズ、この先も続くといいな。

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2024/07/18

魞沢泉、第3弾。どんどん面白くなっている。話の構成、世界観、でてくる人間、余白(一方的にしゃべられるじゃなくて、相性の良い人との心地良い間の感じというか) 全てのクオリティーが高くて、最高の本でした。

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2024/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【収録作品】白が揺れた/赤の追憶/黒いレプリカ/青い音/黄色い山/緑の再会 シリーズ第3作。 きれいにまとまっている。 魞沢自身が「よけいなことばかりしている」「なんだかぼくは、ぼくと関わる人を、みんな不幸にしているような、そんな気がしていて」と語っているので、自覚はありつつ、気づいたことを口にしてしまうところが彼らしさ。これで覚悟があれば名探偵かな。

Posted byブクログ

2024/07/13

★5 きっとあなたも癒される、虫好きの青年が人の痛みに寄り添い… 魞沢泉シリーズ第三弾 #六色の蛹 ■きっと読みたくなるレビュー ★5 癒される… また癒された。 昆虫が大好きな魞沢泉、旅先で出会った人たちと交流を深めるうち、彼らの心の傷に寄り添うストーリー。完成度が鬼高だっ...

★5 きっとあなたも癒される、虫好きの青年が人の痛みに寄り添い… 魞沢泉シリーズ第三弾 #六色の蛹 ■きっと読みたくなるレビュー ★5 癒される… また癒された。 昆虫が大好きな魞沢泉、旅先で出会った人たちと交流を深めるうち、彼らの心の傷に寄り添うストーリー。完成度が鬼高だった前作『蝉かえる』に続く、魞沢泉シリーズの第三弾。 今回も人が支え合うという、生きる上で一番大切なことを描いてますね。作品全体から温もりが伝わってきます。謎解きはもちろんあるんですが、作風としては前作よりも文芸寄りになっていると思いました。登場人物の心情や会話、その場所の自然環境表現が豊潤なんすよ。じわっと心に語りかけてくる、いい作品集です。 ●白が揺れた【おすすめ】 魞沢が蜂の子を追いかけて森の中を彷徨っていると、鹿猟をしている男たちと出会う。すると近くで起きた銃撃事件が発生、不思議なことに遺体は鹿と誤認されてしまうような白いタオルを持っていた。なぜ目立つような白いタオルを持っていたのか… 魞沢が謎に迫る。 いやー短編がお上手ですよ、重厚感のある人間の関わり合いをシンプルかつバランスよく物語にまとめるという技術。あっぱれですよね。人の痛みに思いやりを示しながら、その人の力になっていくというこのスタイルが愛せます。 ●赤の追憶【おすすめ】 カフェを併設したお花屋さん、かつて少女が桜の季節にポインセチアを買いに来たというのだ。魞沢が彼女の意図を推理するのだが… 私、お花や草木が大好きなんですよね~ 眺めているだけで心が癒されるの。しかも本作は親子の絆を描いた作品で、ラストは涙が止まらない。もうやめて。 ●黒いレプリカ 北海道で埋蔵文化財センターで発掘をしていた魞沢、作業をしていると土の中から人骨が見つかってしまう。どうやらセンターには複雑な人間関係と背景があったようなのだが… 珍しく人間の欲や醜さが浮きぼりにされる作品、思いもよらない物語の筋に驚かされる。人間ってどんなに正当で強い思いを持っていても、ひとりでは判断に間違うこともあるんですよね… ●青い音 青年と魞沢が文具店で出会う。彼の父親はピアニストであり、母との関係も芳しくなかったよう。魞沢は遺品である楽譜について推理していくのだが… 楽譜とかインク瓶とか、小道具の使い方が素敵ですね。昆虫との関係性もさりげなくって好き。前向きになれる終わり方が読者を救ってくれる作品。 ●黄色い山 『白が揺れた』の後日談、過去の事件にさらなる真相が… 推理の密度が濃く、櫻田先生のポテンシャルをひしひしと感じる作品。ずっと読んできたこのシリーズですが、はじめて魞沢の嘆きが垣間見れる。 ●緑の再会 『赤の追憶』の後日談、花屋を再度訪問した魞沢だったが… 作品全体をまとめたような一編で、魞沢の人柄と行動がもたらした成り行きが優しく伝わってきました。 ■ぜっさん推しポイント 人間って決して一人では生きられない、誰しも強みもあれば弱みもある。支え合いこそ大事なんですよ。そして繋がりができることによって、人々はサナギから成長していく。どこかの組織や国で自分自身の業や欲を誇示している人たちにも届いてほしいと願わずにはいられない。 『蝉かえる』と共に二作読んできましたが、櫻田先生の人間性が伝わってきましたね。しかも作品やキャラクターが主張しすぎないところがいいんすよね、日本人の優しさみたいなものを感じるんです。ぜひ本シリーズ以外の作品も書いてほしいと思いました!

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2024/07/05

昆虫好きな青年・魞沢泉シリーズ第3弾。それぞれのタイトルに色の名前が付いた6話収録。色んなシチュエーションでの謎解きが見られて面白かった。山の中での銃撃事件を描いた『白が揺れた』が特に良かったので、その後のエピソードでもある『黄色い山』も白の伏線回収のような箇所が見られて面白かっ...

昆虫好きな青年・魞沢泉シリーズ第3弾。それぞれのタイトルに色の名前が付いた6話収録。色んなシチュエーションでの謎解きが見られて面白かった。山の中での銃撃事件を描いた『白が揺れた』が特に良かったので、その後のエピソードでもある『黄色い山』も白の伏線回収のような箇所が見られて面白かった。工事現場で発見された骨からの謎解き『黒いレプリカ』は後悔と悲しみのラストがなんとも切ない。どのエピソードでもちょっと変わり者な魞沢青年だけど優しい気持ちも感じさせてくれる。特にラストの勘違いからのあれは微笑ましかった。

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2024/07/05

おっとりした性格っぽいのに時々鋭い。パズルのピースから全体像をつかむのがうまい主人公なのに、思い違いをしてしまうこともあるし、妙に人間くさくて親近感がわく。個人的に虫が苦手なので、一緒にいて虫の話をするのは勘弁してほしいけど、きっととてもいい人。短編とはいっても、バラバラな話では...

おっとりした性格っぽいのに時々鋭い。パズルのピースから全体像をつかむのがうまい主人公なのに、思い違いをしてしまうこともあるし、妙に人間くさくて親近感がわく。個人的に虫が苦手なので、一緒にいて虫の話をするのは勘弁してほしいけど、きっととてもいい人。短編とはいっても、バラバラな話ではなく、つながりのある構成になっている。

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2024/06/29

シリーズ第3作目。昆虫好きの青年、魞沢泉を探偵役にした連作ミステリ短編集。とぼけた雰囲気の魞沢君が行く先々で謎を解いていく。タイトルにあるように6つの短編が入っているが、後半2作は後日談的な話になっている。 また魞沢君に出会えたことがとても嬉しい!この先も末永く続いてほしいシリー...

シリーズ第3作目。昆虫好きの青年、魞沢泉を探偵役にした連作ミステリ短編集。とぼけた雰囲気の魞沢君が行く先々で謎を解いていく。タイトルにあるように6つの短編が入っているが、後半2作は後日談的な話になっている。 また魞沢君に出会えたことがとても嬉しい!この先も末永く続いてほしいシリーズ。 特に好きだったのは、山で猟友会の人間がライフルで撃たれて殺される事件が起きる『白が揺れた』と、とある花屋に入った魞沢君がそこで店主から1年前に店を訪れた少女と交わした約束について聞く『赤の追憶』。

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2024/12/13

抜けているようにみえて案外勘が良い。抜け目ない観察眼でホワットダニット(何が起きていたのか?)を鋭く洞察する。一方で勘違い多めのおとぼけキャラクター。昆虫好き探偵•魞沢泉(えりさわ せん)は、行く先々で遭遇する事件や人物の裏側に潜む真相に迫る… 「蝉かえる」に続く《魞沢泉(えりさ...

抜けているようにみえて案外勘が良い。抜け目ない観察眼でホワットダニット(何が起きていたのか?)を鋭く洞察する。一方で勘違い多めのおとぼけキャラクター。昆虫好き探偵•魞沢泉(えりさわ せん)は、行く先々で遭遇する事件や人物の裏側に潜む真相に迫る… 「蝉かえる」に続く《魞沢泉(えりさわせん)シリーズ》第三弾。全6話からなる連作短編集。 なんといっても魞沢泉のキャラクターが魅力的。ただ単に謎を解くだけでなく、関係者の心に寄り添う優しさが溢れている。天然で時たま失礼な発言もあるけど、憎めないヤツなのだ。 「白が揺れた」 本格ミステリ的にコレが一番まとまってる印象。何気なく伏線を紛れ込ませる手腕はさすが。レッドヘリングも効いている。 「黄色い山」 「白が揺れた」を伏線に使う大胆さ。多重構造過ぎてやや脳が疲れた。昆虫が物語のキーとして上手くハマっている。 「黒いレプリカ」 犯行プロセスは無理くりだが、切ないラストは胸を打つ。 「青い音」 これも切ないけど、仕掛けを活かしつつ前向きな気持ちになるプロットが良い。 「赤の追憶」 魞沢泉の洞察力が光る。ハートウォーミングな展開で読後感良好。 「緑の再会」 「赤の追憶」の後日談でありつつこれまでのエピソードを上手く絡ませ、連作短編集のトリを飾る役割も担う。コミカルな掛け合いと甚だしい勘違いが微笑ましい。 週刊文春ミステリーベスト10 13位 このミステリーがすごい! 10位 本格ミステリ・ベスト10 3位 ミステリが読みたい! 8位 《魞沢泉シリーズ》 1.サーチライトと誘蛾灯 2.蝉かえる 3.六色の蛹

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