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六色の蛹 の商品レビュー

4.1

32件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

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2024/09/23

昆虫好きの心優しい青年、魞沢泉が、昆虫目当てで各地に現れ事件に巻き込まれるシリーズ第三弾。魞沢の空気読めなさ加減と、飄々とした雰囲気に似合わない感の鋭さは相変わらずで、面白かった。泣ける話が多い。 最初の2話の後日談が後半にあって、明るい話もあるけど、ちょっと苦い結末もあって、...

昆虫好きの心優しい青年、魞沢泉が、昆虫目当てで各地に現れ事件に巻き込まれるシリーズ第三弾。魞沢の空気読めなさ加減と、飄々とした雰囲気に似合わない感の鋭さは相変わらずで、面白かった。泣ける話が多い。 最初の2話の後日談が後半にあって、明るい話もあるけど、ちょっと苦い結末もあって、必ずしもハッピーエンドにならないところがこの物語の良さの一つな気がする。時々クスッとなりながら読めるので、喜怒哀楽の塩梅が私にはちょうどいい感じだ。 1話目の「白が揺れた」の小さなエピソードが、別の話である最終話の「緑の再会」の最後に繋がる演出、これにはグッときた。 魅力的な登場人物ばかりだけど、中でも、親戚からも「名人」と呼ばれる、狩猟の名人がいい味を出してる。 本のタイトル「六色の蛹」は、収録作のタイトルではない。その理由を、あとがきで作者さんが書いている。なるほど〜と思った。 そして装幀。私は、紙の本の外見も気になるので、装幀の感想を書く事も多い。この本の装幀も素晴らしい。後ろ姿しか見えない魞沢と、幻想的な自然描写、表紙の手触り、全部好みだ。 気が早いけど、次回作が楽しみ。

Posted byブクログ

2024/09/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

魞沢泉シリーズ第3弾。 今までの短編集と違い、今回は連作短編集。 特に後半は前半の短編の後日談になっていて嬉しいサプライズとなった。 いつもの昆虫ネタは少々少なめ。けれどその分人間たちの心象がクローズアップされてあり、読んでいて何度も心動かされた。 魞沢の人付き合いも分かって嬉しい。 彼の風来坊さが際立っていた。こんなにあちこちへ旅していて、彼は一体どうやって収入を得ているのかますます気になった。 今回の謎解きも切なくなるものばかりだった。 人の行動は全てにおいてその人なりの理由がある。その理由は他の人には理解されないかもしれないけれど、それはその人だけの矜持なのだと思った。相手を思いやる、その真心に泣けた。 「虫って不思議ですね。完全変態でしたっけ。蛹のなかで幼虫は溶けて、もう一度自分をつくりなおすとか」 「昆虫がしばしば転生の象徴として扱われるのは、それゆえです。人間にも蛹の時期があって、それ以前の後悔をすべて忘れて生まれ変われるなら、この世はもう少し生きやすいかもしれません」 人間も蛹になれたらいいのに。残念ながら蛹期間のない我々は、何かにつまづいた時それを自分で蛹期間と割り切って生きていくしかないのかもしれない。 いつもと同様、魞沢に背中を押された登場人物たちの未来は、きっと明るい。 第4弾も楽しみ。早めに出してほしい。

Posted byブクログ

2024/09/05

ふと立ち寄った書店で、書店員のオススメとして 紹介されていたので、気になって買いました。 読み口として、とても爽やかな印象を受けて また推しの作品を見つけてしまいました。 主人公のエリサワの物腰の柔かさと、昆虫に 対する探究心が心を踊らされます。 で、後から気づいたのだが、今作は...

ふと立ち寄った書店で、書店員のオススメとして 紹介されていたので、気になって買いました。 読み口として、とても爽やかな印象を受けて また推しの作品を見つけてしまいました。 主人公のエリサワの物腰の柔かさと、昆虫に 対する探究心が心を踊らされます。 で、後から気づいたのだが、今作はシリーズの 3作品目で、前作もあることを知らずに読んだの ですが、短編集なので、そこまで、時系列を追わずに楽しめると思います。

Posted byブクログ

2024/09/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

シリーズ3作目だったのね。。。 もちろん例のごとく、1作目2作目は読んでません。 でも全然気にせず読めたし、内容も面白かった。 この間、「やっぱり俺は長編が好き」的な事言ったばかりだけど、短編も良いよね。 気合い入れずに読めるし、「寝る前に1話だけ。」って感じで1話読んで感想をまとめながら寝る。みたいな。 好きだった話は「赤の追憶」かなぁ。 完全に騙されたし、悲しくて泣いた。 けど、お母さんに赤いポインセチア渡せて良かった。 こうやって色々な想いを繋げていくのが泉くんの良さなんだろうね。 全体的に凄く雰囲気が良くて、読みやすかったし情景が想像しやすかった。 非常に面白かったです!! 以下、自分の備忘録 ・白が揺れた 狩りの最中に殺人が起きる話 面白かった。 「あなたが銃口を向けていたのは、あなた自身でした。」 痺れた。 ・赤の追憶 花屋と少女の話 泣いた。 健康って大事よなぁとしみじみ。 「娘さんからのプレゼントです」 ・黒いレプリカ 発掘してたら人骨が出た話 犯人は予想通りで、トリックもなんとなく予想できた。 天内さんの気持ちを思うといたたまれない。。 ・青い音 ライブ前にカフェでお茶する話 話してる相手が石戸檸檬とは気付かなかった! 普通に物語として過去話が面白くてそこまで頭が回らなかった。 インク、楽譜の謎、記された音の意味。 全てが繋がって鳥肌が立った。面白かった。 ・黄色い山 白が揺れたの続き 過去の事件の真相が分かりかけたりそうじゃなかったり。 新しい情報が手に入る度に真相に近づいていく感じ好き。 最期明言せずもやっと終わらせるのも嫌いじゃない。 ・緑の再会 本作品の総まとめ いやー翠里さん(母)が生きてて良かったー!! すっかり騙された!!けど生きてて嬉しいから許す!! 前の5編が全部つながる感じ大好き。 あとがきも面白くて次回作、前作、前々作も読みたくなった。 虫嫌いだからちょっと手に取るの迷ってたけど、まったくの杞憂だった。 万人にオススメできる作品。

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2024/09/01

昆虫好きの青年・魞沢泉(エリサワセン)を探偵役にした連作ミステリの第3弾。 白、赤、黒、青、黄、緑とタイトルに6つの色を使った短編をまとめ、「六色の蛹」とした作品。蛹という言葉が象徴する意味を知る作者あとがきが深い。 虫以外のことにはぼんやりしているかと思えば、妙に鋭く謎を解...

昆虫好きの青年・魞沢泉(エリサワセン)を探偵役にした連作ミステリの第3弾。 白、赤、黒、青、黄、緑とタイトルに6つの色を使った短編をまとめ、「六色の蛹」とした作品。蛹という言葉が象徴する意味を知る作者あとがきが深い。 虫以外のことにはぼんやりしているかと思えば、妙に鋭く謎を解き明かす魞沢泉という主人公がこのシリーズの魅力。 謎を解き、事件を解決に導いても決して得意げではなく、むしろそういう行動に至った者の気持ちに寄り添い、共に苦しむ姿が人間味に溢れていていい。 ミステリだけど、明快に謎を解いて「はい終わり!」ではない余白の魅力がこのシリーズにはある。 エピローグ的に置かれた「緑の再会」が特に好き。関わる人を不幸にしているかもしれないと密かに悩む泉の涙。青い帽子と引き換えに彼の元に帰ってきたオレンジの帽子。泣きました。 全体としてとてもよくまとまった味わい深い作品。また、魞沢泉に会えますように。

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2024/08/28

大好きなシリーズの第三弾 前作、前々作と比べてより人と交わるようになってる気がする。だからこそ事件の痛みも深く感じるんでしょう。 飄々と事件を解決して、あっさりしてるようで人情深い今までの魞沢泉も好きだし、こんな風に人との距離が近くなった彼もまた好き。 そして何より【あとがき】...

大好きなシリーズの第三弾 前作、前々作と比べてより人と交わるようになってる気がする。だからこそ事件の痛みも深く感じるんでしょう。 飄々と事件を解決して、あっさりしてるようで人情深い今までの魞沢泉も好きだし、こんな風に人との距離が近くなった彼もまた好き。 そして何より【あとがき】にうるうるしてしまった。 次、いつ会えるかな…。単発でも連載でもいいから会いたいなぁー。

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2024/08/23

最後の短編「緑の再会」を読み終えて余韻にひたっている 前3作は独立した短編、後ろ3作が書き下ろしで連作のような構成 「赤の追憶」が特に印象的で心に残ったので、ラストの「緑の再会」では感慨ひとしおだった 6編全て人の死が関係しているストーリーだが、どれも味わい深く六色の贅沢な読...

最後の短編「緑の再会」を読み終えて余韻にひたっている 前3作は独立した短編、後ろ3作が書き下ろしで連作のような構成 「赤の追憶」が特に印象的で心に残ったので、ラストの「緑の再会」では感慨ひとしおだった 6編全て人の死が関係しているストーリーだが、どれも味わい深く六色の贅沢な読書体験をさせてもらった あとがきでは、制作の過程やタイトルについて語ってくださっている またちがう色の翅を楽しみに泉くんとの再会を心待ちにしています

Posted byブクログ

2024/08/23

昆虫マニア魞沢泉が事件の謎を解く。事件解決に絡む魞沢の惚けた人柄に癒される。 ☆白が揺れた:へぼ獲りと銃撃事件 ☆黒レプリカ:遺跡で人骨発見 赤の追憶・青い音:日常の謎 黄・緑:後日談,羽化不全

Posted byブクログ

2024/08/11

連載誌で読んでいたので、新鮮味がないかと少し寂しく感じていたけど、再読分も面白かったし、書き下ろし分も素晴らしかった。 サーチライトのときは、結構笑った記憶があったが、今回はしんみりする話が多かった。

Posted byブクログ

2024/08/08

今回はセンチメンタルな話ばかりで心臓がキュッとなる。 普段から読み飛ばすなんてことはしないけど、どの話もじっくり読んで味わった方が良いと思った。 個人的に『赤の追憶』が好き。 思わず泣きそうになった。 あと、いつの間にか魞沢泉に年齢を抜かれていたことに軽く衝撃を受けたわ。

Posted byブクログ