東京ハイダウェイ の商品レビュー
東京にも心が休まる隠れ家のような場所がある。 知らないだけで、こんなところあるんだ…という驚き。 不安になり誰にも会いたくなくて、ひとりでいたいとき何かを見て、感じて、安らげる場所があるということは、とても大切なことだと。 都会で生きる人々が抱える心の傷と再生を描いた連作短編...
東京にも心が休まる隠れ家のような場所がある。 知らないだけで、こんなところあるんだ…という驚き。 不安になり誰にも会いたくなくて、ひとりでいたいとき何かを見て、感じて、安らげる場所があるということは、とても大切なことだと。 都会で生きる人々が抱える心の傷と再生を描いた連作短編集。 「星空のキャッチボール」父の死後、睡眠障害を抱える桐人は真面目な性格で、外面ばかりよくて身内に冷たい父のことが理解できなかったが…。 「森の箱舟」中間管理職でもある恵理子は、妻であり母でもある。ワーママと言われるけれど美談なんてないと…。 「タイギシン」高校になっていじめられるようになった圭太が見つけた人は、ゲームの中じゃなく実在の女性で、彼女からボクシングを習うことに…。 「眺めのよい部屋」恋愛感情を持たない久乃は、カフェチェーン店の雇われ店長だが、美術鑑賞を趣味に頑張ってきた…母はわかっていたと。 「ジェリーフィッシュは抗わない」バツイチの中年である瀬名は、これまで流されるように生きてきたが、転職先で若い桐人を見ていて気づかされることが…。 「惑いの星」桐人と同期で地味で目立つことがない璃子は、存在を消すことばかり考えていた。 彼女が通うプラネタリウムに桐人も姿を見せるようになったが、璃子が心身の不調で倒れそうになったとき、桐人に過去の出来事を話しをしてから…。 心の癒しとなる場所があれば、少しは惑い悩むことも吹き飛ぶのかもしれない。 生きづらい世の中にありがちな、身近にあるような出来事だけにいろんな思いを感じとれた。
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この作品を手にすることちょっと躊躇したんですけど、読み終えてみて、あぁ~読めてよかったな…と思えました。何しろ、今は田舎暮らしだもんで、「東京」ってちょっと引いちゃうんですよねぇ…。こんな私でも、もう〇年前には東京にいたこともあるんですけどね(汗)。でもって、「ハイダウェイ」と...
この作品を手にすることちょっと躊躇したんですけど、読み終えてみて、あぁ~読めてよかったな…と思えました。何しろ、今は田舎暮らしだもんで、「東京」ってちょっと引いちゃうんですよねぇ…。こんな私でも、もう〇年前には東京にいたこともあるんですけどね(汗)。でもって、「ハイダウェイ」とは「閑静な場所・隠れ場所」という意味あいがあるようなんです。私が東京にいた間、私にとっての「ハイダウェイ」はあったのかな…??とか、思いを巡らし、閑静な場所ではないけどホッと息をつける場所として思いついたのは、ある駅の中にあるファストフード店かな…。あの頃はファストフード店でもお酒の提供があって…疲れた身体にハンバーガーとポテト、缶ビール!!元気が出ましたねぇ♪ と、前置きが長すぎました(汗)。この作品は、東京で生きている各話の主人公が生きにくさをを抱えつつ、ほっとできる場所を持ちながら、明日も生きていく…そんな連作短編です。 各話の主人公は、 ・星空のキャッチボール:亡き父のことで自分を責め続ける真面目な桐人。 ・森の箱舟:仕事、家事や育児に翻弄される中間管理職の恵理子。 ・ダイギシン:いじめを機にひきこもり、不登校になった高校生の圭太。 ・眺めの良い部屋:結婚をすすめる母親との関係に悩む、カフェの雇われ店長久乃。 ・ジェリーフィッシュは抗わない:50代半ばまで、流されるように生きてきた光彦。 ・惑いの星:あることがトラウマになり、いつも隠れるように生きてきた璃子。 「森の箱舟」の作中、子どもにお母さんはズルしていると責められる場面があるんですが、そんなことは決してないです。夫が家事に協力することで妻が十分に稼ぐ…この構造には、なんかいいなって思えちゃうけど、出産もズルしたと帝王切開だったからと言われるのは納得できませんでしたね…。帝王切開でも、出産後大変なんですから!「眺めのいい部屋」の母の気持ちを思うと泣けてきます。そして「惑いの星」、桐人と璃子のその後が気になります。おにぎらず、作ってみたくなりました。
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引っかかっていることをストンと軽くしてもらえた6話。 ちょうど、今置かれている状況を会社や上司の考え方のせいにしていたけれど、自分の仕事の向き合い方は自分次第だとあらためて考えさせられました。 明日からは自分の信念を信じてやりがいあるそして楽しんで仕事しようって思えました。 連...
引っかかっていることをストンと軽くしてもらえた6話。 ちょうど、今置かれている状況を会社や上司の考え方のせいにしていたけれど、自分の仕事の向き合い方は自分次第だとあらためて考えさせられました。 明日からは自分の信念を信じてやりがいあるそして楽しんで仕事しようって思えました。 連休明け前に読めてよかった。 よーし、やるぞー!
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人からどう見られているか、本当はどう思っているかなんて分からない。都会の中で生きる人々の短編連作。惑いの星でいきている…グッときた。今まで読んだ本の中でも、私にはかなり大好きな1冊になった。
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心がふっ、と軽くなるような優しいお話でした。 本当に今の世の中はとても生きづらい世の中だと思います。 みんな、どこか心に傷を抱えているだろうし、こんな心休まる場所(隠れ家)ってほんとになくてはならない大切な場所だと思います。 都会じゃなくても、こんな場所欲しいな✩ そして私の心休...
心がふっ、と軽くなるような優しいお話でした。 本当に今の世の中はとても生きづらい世の中だと思います。 みんな、どこか心に傷を抱えているだろうし、こんな心休まる場所(隠れ家)ってほんとになくてはならない大切な場所だと思います。 都会じゃなくても、こんな場所欲しいな✩ そして私の心休まる場所は多分、本の中の世界かなぁ。 静かな空間に本の世界に入り込めたなら、満足です。
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連作短編。どんな人にでも他人には見せない顔があって抱えたものがある。もがき苦しみ惑いながら、それでも何か希望を見出して生きていく。最後、胸がじんわり温かくなって躓いても休みながらでもまた頑張ろうと思える話だった。良き。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
都会に生きる心に傷を持った人々が 各々見つけた場所で傷を癒し再生させていく 6編の短編集。仕事や学校、家のことなど 自分にもおこりえることで追いつめられた 末に見つけたハイダウェイ。都会でなくても そういった場所があるっていいなと思いました。 内容的に気になったのは〇〇ハラスメントが おおくなったなぁ~と。もちろんハラスメント はよくないと思うけどここまでくると ほんとに生きにくくなったと感じました。 片方から見るとハラスメントではないけど 受ける側からするとハラスメントになる・・・ 分かってはいるけどもうこうなってくると 収拾がつかない気がしてならないです。 なんかもう色々とあって生きづらい世の中だ。 本作の内容自体は登場人物たちがそれぞれの ハイダウェイで身も心も癒され明日への 活力を生成している感がよかった。 わたしは特定の場所とまではいかないが 場所を問わず自分だけの時間を作って 好きな事をしている時間が自分なりの ハイダウェイになるのかな・・・ ハイダウェイの意味を知ってより 楽しく読めた作品でした。
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なかなか深いテーマだった。 多様性を認める流れの中での生きづらさというか、ラベル付することで守れるのか、それとも主張したモン勝ちになってしまうのか。 『傷ついたもの勝ち』という言葉もとても印象深かった。 登場人物皆が、なんとか自分を認めて進んでいこうとする姿は勇気をもらえます。
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色々な理由から生きにくさを感じる人を主人公にした連作集。 主人公達の言動に物足りなさや歯痒さを感じるところから、段々成長する姿が好ましく読めた。桐人と璃子のこれからも読んでみたい。
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あるEC会社に勤める人々が抱える不安や傷、ちょっとした心安まる場所が隠れ家・・・ マカンマランなどに通ずる古内さんの6つの連作集。コロナ禍やハラスメントなどの今どきの課題もしっかり押さえつつ心癒やされる優しい物語に心打たれます。 矢作くんと璃子さんのこれからを応援!
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