ミシンと金魚 の商品レビュー
ページを捲る手が止まらず、読みやすいのに一文一文が心にずしんと響く小説だった。 この気持ちをうまく言葉に出来ないと思いながら、読んでいて涙が出た、切ない。 カケイさんが生きた時代と今とで比べたくはないけど、どの時代もみんな精一杯生きているんだよね。 自分はポックリ死にたいなとか思...
ページを捲る手が止まらず、読みやすいのに一文一文が心にずしんと響く小説だった。 この気持ちをうまく言葉に出来ないと思いながら、読んでいて涙が出た、切ない。 カケイさんが生きた時代と今とで比べたくはないけど、どの時代もみんな精一杯生きているんだよね。 自分はポックリ死にたいなとか思ってしまった。 カケイさんの回想の語り口調は平和で穏やかな感じなのに、その内容は全く穏やかじゃないし、その時その時の切実さが滲み出ていてしんどくなった。 デイサービスの風景、冷静に観察している様子がリアルだったな。 読み終えてから表紙を見てまた泣けてくるし、なんと言っても最後の終わり方にやられました。 亡くなってだいぶ経つけど、おじいちゃんおばあちゃんに会いたくなったよ。 とにかくこんなに心揺さぶられるとは思わなくて、深い余韻を噛み締め、最後に酒井さんの解説に救われました。
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カケイさんは1人暮らし ヘルパー訪問とデイサービスを利用している ヘルパーさんをみっちゃんと呼ぶ (どのヘルパーさんも) ある日、ヘルパーさんから今までの人生を幸せだったかを聞かれる カケイさんが語るカケイさんの人生 あっけらかんと時にユーモアで語られる 壮絶なカケイさんの人生...
カケイさんは1人暮らし ヘルパー訪問とデイサービスを利用している ヘルパーさんをみっちゃんと呼ぶ (どのヘルパーさんも) ある日、ヘルパーさんから今までの人生を幸せだったかを聞かれる カケイさんが語るカケイさんの人生 あっけらかんと時にユーモアで語られる 壮絶なカケイさんの人生 そのなかで明らかになる真実 深い読後感
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「あがりかまちの、裏っ側の ちっこい、手あと。」 その手あとにそっと、手を重ねたカケイ婆ちゃんの気持ちで、 胸がいっぱいになった。 老いるということは、私が想像するより、もっとずっと深い。 哀しいとか寂しいとか、そんなありふれたものだけでなく、 慈しみとか、尊いとか、重ねて...
「あがりかまちの、裏っ側の ちっこい、手あと。」 その手あとにそっと、手を重ねたカケイ婆ちゃんの気持ちで、 胸がいっぱいになった。 老いるということは、私が想像するより、もっとずっと深い。 哀しいとか寂しいとか、そんなありふれたものだけでなく、 慈しみとか、尊いとか、重ねてきた時間に比例するものが、 あふれ出るのかもしれない。
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タイトルと表紙に惹かれて手に取る。 読み始めは読みづらいかも…と思ったけれど 少し進めば慣れてカケイさんの考えや思いが ぐんぐんと入ってくる。 一瞬の幸せが一生を彩ることもある 読んでよかった作品
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なんで「おばあさん」になった途端、その人の人生が見えなくなってしまうんだろう 認知症になったおばあちゃんとまともに向き合うのってすごくエネルギーを使うしなんとなくふわふわっと流しちゃう。 最初はちょっとの罪悪感があって、だけどそのうちそれもなくなる。だんだん軽く見るようになる。 悔しいけど身に覚えがあって、だからこそ登場人物の言葉が痛いほど刺さった。 古いなあって思って聞き流した言葉たちは、その人たちからすれば本当に心からの、想いのこもった言葉で、その人たちはその古いと言われる価値観の中で長い時間懸命に生きてきたこと、ちょっと想像すればわかるはずなのに、なんでこんなにも見えなくなってしまうんだろう。 うんと、ううんと、しあわせだった。あたしには、しあわせな時間が、たしかに、あった。 なんかの折に、だれかに、しあわせだったか?と聞かれたら、そん時は、しあわせでした。と、こたえてやろう。つべこべ言わず、ひとことで、こたえてやろう。 とてもとてもかっこいいと思った。
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文体は独特なのにリアルに感じてしまう描き方が見事でした。 苦しいけどリアルで短いながらも何度も読む手が止まって考えさせられました。
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読みやすいが故に感情が..... 電車の中で読んでいて涙を堪えるのに必死だった。 カケイさんの可愛らしい言葉遣いとは裏腹に壮絶な人生を認知症でぼやぼや思い出したり周りの人からの告白でそうだったのかぁ。と感動するけど残された時間感謝を伝えに行くことも何かアクションすることもできな...
読みやすいが故に感情が..... 電車の中で読んでいて涙を堪えるのに必死だった。 カケイさんの可愛らしい言葉遣いとは裏腹に壮絶な人生を認知症でぼやぼや思い出したり周りの人からの告白でそうだったのかぁ。と感動するけど残された時間感謝を伝えに行くことも何かアクションすることもできないもどかしさ。。 歳を取ったらそうなるのかな。 リアルでこれからの自分ももしかしたらこんな感情になるのかな。と考えさせられる1冊だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
初読み作家さん。 書評でよくお見かけして評判も良かったので購入した。ら、津田さんのダイジェスト朗読も付いていてめっちゃお得だった。 これがデビュー作とのことで驚きを禁じ得ない。文量は少ないが、読み応えが厚い。 認知症を患うカケイさんの人生を自らが語る。この喋り方、とっても馴染みがある気がするのだが、あとがきによると千葉県の喋り方だとか。親戚に千葉の人いないんだけどなぁ。 認知症故に時系列は飛び飛びで、連想も飛躍して、繋がら無いようなのに、ちゃんとカケイさんの人生が分かる。 この話は、フィクションだけど、現在のおじいさんおばあさんが実際に生きてきた人生の総体だ。何故ならば、祖母から聞く話と全く同じ世界だから。 生きるってね、生きるってほんと、こんなだよ。しんどいことはあったけど、しあわせがあった。ちゃんと、あった。
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読まなかったら見えない視点だったので読んで良かった 認知症のおばあちゃんカケイさんの語りで進んでいくストーリー ケアマネジャーの総称みっちゃんが、なんの略なのか考えながら読んでたけど、そういうことだったんだ 自分の将来をカケイさんや、嫁さんに重ねつつ読んだので他人事とは思えなかっ...
読まなかったら見えない視点だったので読んで良かった 認知症のおばあちゃんカケイさんの語りで進んでいくストーリー ケアマネジャーの総称みっちゃんが、なんの略なのか考えながら読んでたけど、そういうことだったんだ 自分の将来をカケイさんや、嫁さんに重ねつつ読んだので他人事とは思えなかったし、色々と考えさせられた
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認知症のカケイさんは2年前息子が死んだことは記憶にないが、壮絶な人生はしっかりと覚えている__内容はシビアで気持ちが落ちたけど、カケイさんの語りがユーモアなとこに救われた。最期は、不器用な愛に守られて幸せだったのだと思いたい。読了後の余韻を久しぶりに感じました。
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