体験格差 の商品レビュー
少し前に巷で話題だった本。 親という立場上気になるトピックである。読む前は経済格差との相関で、体験の多寡に着目しているという浅い推測でしたが、その他にも学びが多い。 特に、課外活動への親による貢献が必須という事態が足かせとなっている点。送迎、活動中の同伴といった内容が、生活に問...
少し前に巷で話題だった本。 親という立場上気になるトピックである。読む前は経済格差との相関で、体験の多寡に着目しているという浅い推測でしたが、その他にも学びが多い。 特に、課外活動への親による貢献が必須という事態が足かせとなっている点。送迎、活動中の同伴といった内容が、生活に問題を抱えている親には想像以上の負担となっている。これに対する一つの解決策を、著者は「コーディネーター」に期待を寄せている。それぞれの家庭・子どもたちに合った体験と提供場所を結びつける役割。 繋がりを発現させるという点では、矢田 明子さんの株式会社CNCの「コミュニティーナース」という取り組みが目指す目標になるのではないかと感じる。 自分語りになってしまうが、私は幼少期色々な体験をする機会を親から提供してもらった。今思うとありがたいことだと重々承知しているが、林間学校やヨット体験など他人との協働作業に対して不得手であった当時の私は、現在小さな挫折体験として蓄積されている節がある。いわゆるグリット(社会情動的スキル)が体験により育まれるというのはその通りだと思うが、反面自分の性格と不一致な活動への参加は自尊心を傷つけるだけになることも意識しておくべき。 著者も述べているが、親から押し付けるのではなく子どもの意欲を尊重することが、体験への過剰な信仰へと偏重することを防げるのではないかと思う。 経済格差=体験格差では終始しない、考える機会を与えてくれた読書体験でした。わが子への考え方と一方で大人の役割を今一度考えてみよう。
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子供の頃の体験があったからと言って、人生が必ずしも豊かになるとは限らない。 しかし、自分の可能性を知って、自分の世界を広げていくために、体験はとても大きな意味を持っている。 それが、親の貧困や家庭の事情で制限されてしまうのは、たしかに不公平で悲しいことだなと感じた。
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こういう本を読むと、つい自分の子ども時代を振り返ってしまう。 習い事をさせてもらったことはないし、コンサートや海外旅行なんて家族で行ったことは今まで一度もない。 子どもの頃は周りの友達が羨ましかったし、なんでうちだけ…と思っていたけど、今振り返れば親は限られたお金を、かけるべきと...
こういう本を読むと、つい自分の子ども時代を振り返ってしまう。 習い事をさせてもらったことはないし、コンサートや海外旅行なんて家族で行ったことは今まで一度もない。 子どもの頃は周りの友達が羨ましかったし、なんでうちだけ…と思っていたけど、今振り返れば親は限られたお金を、かけるべきところにちゃんとかけてくれたんだなと感じる。 休みの日に公園や図書館なんかの公共施設にはよく連れて行ってもらったし、お金のかからない楽しみ方を教えてもらったのは、幸せなことだったと思う。 お金のことで一番センシティブになったのは大学受験のときで、受験料だけで何万円もかかるから、親には相談せずに受験先を一校に絞ったことを覚えている。 小学生の頃からずっと塾に通っていた友達と、学校の授業を受けていただけの私が、結局同じ大学に合格したときには、塾にかける時間やお金って一体何なのだろうと思った。もし塾に通わせてもらえていたら、これよりレベルの高い大学を狙えたのかなと思う反面、塾に通わせてもらえなかったからこそ、勉強が嫌にならずに成長できたのかなとも思う。
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親の経済力の差、親の体験の差が子どもにも連鎖する。そんな差が埋められるように、担い手や社会的な受け皿、機会を提供していくことが大切。 お金がなくても、知恵を絞る
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スポーツや習い事の体験に格差がある、という子供からの視点で問題提起した新書。 しかし、要は親の貧困格差の問題。 出産、夫の裏切り、離婚、お金を入れず女性が非正規でぎりぎりの生活、、 その中で子供はやりたいことを我慢。 だから女性も正規の仕事を持つべき、という社会になる。 どこかの...
スポーツや習い事の体験に格差がある、という子供からの視点で問題提起した新書。 しかし、要は親の貧困格差の問題。 出産、夫の裏切り、離婚、お金を入れず女性が非正規でぎりぎりの生活、、 その中で子供はやりたいことを我慢。 だから女性も正規の仕事を持つべき、という社会になる。 どこかの政党が理想とする専業主婦家庭などありえない世の中。 私はこの新書、別の視点で読んだ。 著者自身も提起していた、親の体験経験の差が子供に影響すると。金の問題以外で。 振り返ると私もあまり体験はさせてもらえなかった。 自営業で、決して貧しい家庭ではなかったが、金には厳しかった。 妹はピアノを習っていたが、小学校で通ったのは進学塾だけ。 旅行も親の里帰りのおまけが中心。 「体験」は進学塾を経て入った一貫校のカリキュラムの中でさせてもらった。 それとて公式のものばかり。私的なものはバイトして行った。 その影響か自分の子供にもあまりさせようとしなかったかも。 妻が闘ってピアノやら通ってはいたが、少なかったかも、、、 自営業でお金の心配があったのか、、 著者は貧困格差からくる体験格差に対し、クーポンなどを提案している。 ベーシックサービスの変形だろう。 それを考える時代ではあろう。 第1部 体験格差の実態(「お金」と体験格差;「放課後」の体験格差;「休日」の体験格差;「地域」と体験格差;「親」の体験格差;体験格差の「現在地」から) 第2部 それぞれの体験格差(ひとり親家庭の子ども;私が子どもだった頃;マイノリティの子ども;体験の少ない子ども時代の意味) 第3部 体験格差に抗う(社会で体験を支える;誰が体験を担うのか)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
阿部彩(2008)『子どもの貧困』「日本の一般市民においては、イギリスやオーストラリアといった他の社会に比べて、子どもが最低限にこれだけは享受すべきという生活の期待値が低い。」 体験は「楽しい」という短期的影響に加え、「社会情動的スキル」という長期的な影響に関係する。 NPO法人ちゅらゆい代表理事金城隆一「体験したことがないから、選択肢がそもそも頭に思い浮かばない。貧困とは選択肢がないこと。子どもの貧困問題の中心にあるのが体験格差。」
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体験は、「贅沢品」ではなく「必需品」である。 「子どもの貧困」の中でも「体験」の格差はあまり着目されられていないという問題提起から始まる。体験格差の一例として、旅行先で「北海道に来たらこれをやってみたい」という選択肢がそもそも浮かんでこないので、全国チェーン店など普段と同じこと...
体験は、「贅沢品」ではなく「必需品」である。 「子どもの貧困」の中でも「体験」の格差はあまり着目されられていないという問題提起から始まる。体験格差の一例として、旅行先で「北海道に来たらこれをやってみたい」という選択肢がそもそも浮かんでこないので、全国チェーン店など普段と同じことをやりたがる、という事例を聞いてなるほどと思えた。 ほかにも、 「一緒にキャンプに行った男の子は、数年経った今もそのときのことを楽し気に語ってくれる。昔の「楽しい思い出」が、しんどい日常に戻らなくてはいけないときにも、もう少しがんばってみようというエネルギーになると思う」(p.59) とあるように、体験したこと自体が今を生きるエネルギー源になっているという整理も思い当たる節があるなと思いながら読んだ。 体験格差が家庭の年収に影響するものと思っていたら、年収に関係なく親世代が体験したかによって、子ども世代も体験量が変わってくるという調査結果が興味深く、親子共々そもそも体験に触れる機会の有無自体が重要になってくるのだな。 第二部のインタビューによる事例紹介も興味深く、自分が経験していないものを子どもにやらせてみようと思いづらくなる、ある種の連鎖反応が生じているというのも感覚的に頷ける。 体験の有無による「社会情動スキル」(Social and Emotional Skills)を伸ばす機会という概念も初めて知った。忍耐力や自尊心、社交性などにかかわる個人の能力のことで、将来への意欲や価値観のあり方にもかかわってくるスキルとのことで、これが体験の有無に左右されるという。 コロナ禍で「体験」がリモート化することの弊害をうまく説明できないところもあったけれど、この本で述べている内容にヒントがあるなと、少し言語化できる段階に近づいた気がする。
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少し前にSNSで話題になっていた本。三宅香帆さんがお勧めで挙げていたので読んでみた。 「子どもたちにとっての想像力の幅、人間にとっての選択肢の幅は、大なり小なり過去の『体験』の影響を受けている。」そうなるとやはり自分の子どもにはいろんな体験をさせてあげたいと思うのが親心。 私も夫...
少し前にSNSで話題になっていた本。三宅香帆さんがお勧めで挙げていたので読んでみた。 「子どもたちにとっての想像力の幅、人間にとっての選択肢の幅は、大なり小なり過去の『体験』の影響を受けている。」そうなるとやはり自分の子どもにはいろんな体験をさせてあげたいと思うのが親心。 私も夫も音楽を趣味としていて、音楽に助けられた瞬間がたくさんあったからこそ、子供にも音楽に触れて欲しいと言う思いでピアノを習わせている。逆に、実家が田舎だったせいかキャンプの経験はなく、今も特に子供とキャンプに行きたいと言う願望はない。でもそれによって子供の体験が減ってしまうのであれば、1度はキャンプに行ったほうがいい気がしてきた。 「子どもたち一人ひとりに合った形で、一人ひとりが望む形で、放課後の時間を過ごすことができるべきだろう」とあるように、忙しすぎてぼーっと過ごす時間がなくなってしまうのは本末転倒。今のところ本人が自由に遊べる時間はたくさんあるけど、バランスには注意が必要。 「貧困とは『選択肢がない』ということです。」 少し話題はズレるけど、学力にも同じことが言えると思う。学力がないと、将来の選択肢が狭められる。学力があれば職業選択の可能性が広がる。学力にせよ、体験にせよ、子どもにはたくさんの選択肢を与えてあげたい。 「社会の中での様々な他者とのつながりは『世界関係資本』とも言われ、子供の教育や、健康ウェルビーイングに関わるとされる。』 思い返せば、自分も小中高と地域の伝統行事に関わらせてもらっていた。そこでのいろいろな地域の大人との関わりは、自分の成長にな影響を与えたと思う。子供の頃は、大人と違って自分が住む場所・やりたいことなど自分が思うままには選べないし、所属するコミュニティも選べないことが多いと思う。子供によっては閉塞感を感じる子もいるだろう。だからこそ、家族以外の大人との関わりの場があるのは精神衛生上良いと思われる。 子どもの福祉について考えさせる本。確かに直接的な支援に比べて「体験」は軽んじられやすいのかもしへない。格差を是正するために、個人でできることは少ない。行政の介入が必須。
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8月くらいに買ったような…読み終わるのにずいぶん時間がかかってしまった。 話題になっていて気になった本。 内容的には、データ(数字)と具体例が何件か。 なんか思ってたのと違うな?と思いつつ(子育てに対する導きを期待していたのかも…)へーという感じ。 軽く知りたい方向けって感じか...
8月くらいに買ったような…読み終わるのにずいぶん時間がかかってしまった。 話題になっていて気になった本。 内容的には、データ(数字)と具体例が何件か。 なんか思ってたのと違うな?と思いつつ(子育てに対する導きを期待していたのかも…)へーという感じ。 軽く知りたい方向けって感じかも。 我が家の子供達は青少年自然の家や、相談員の方々に大変お世話になっております。 彼らは本当にアクティブで、元気で、私みたいに人と関わるのが苦手…なタイプからしたら本当に生き生きと輝いていらっしゃって尊敬するばかりです。 このような方々の存在のおかげで、安価に自然体験や、地域の方々との交流、昔ながらの遊びを体験させていただいていると思っています。 本当に本当にありがたいことです。 そのような情報は、市報や小学校、幼稚園のお手紙で知ることが多く、アナログな手法ではありますが、平等で、とても貴重なものです。 障害があったり、小さなお子さんがいたり。送迎は本当に大変だと思います。 習い事に限らず、お預かりや学童などの送迎ももっと充実されたら良いなと思います。 ファミサポも、マッチングからその後の日程調整の手続きがうまくいかず断念した過去があります…。 子どもは国の宝物。子供達を育てる親御さんたちがもっと生きやすい社会になりますように。子供達が明るく楽しい毎日を過ごせますように。
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すべての子どもが貧富の差に関係なく、体験の機会を与えられるべきと訴える著者。海外旅行はともかく、部活動で名前が挙がるようなスポーツや音楽に関しては子どもの意欲のままにやらせてあげられるようにすべき。これから少子化が加速するにつれ、貧困層だけでなく中流層家庭の子どももどんどん体験...
すべての子どもが貧富の差に関係なく、体験の機会を与えられるべきと訴える著者。海外旅行はともかく、部活動で名前が挙がるようなスポーツや音楽に関しては子どもの意欲のままにやらせてあげられるようにすべき。これから少子化が加速するにつれ、貧困層だけでなく中流層家庭の子どももどんどん体験の機会は奪われていくのだろう。家の前で遊ぶことすら気軽にできなくなった昨今、大人が意識的に体験の場を与えていかなければならない。貧困に限らず、特に子どもに関わる問題は自己責任で片付けられないはずだが、そのような意見も少なくない点が日本らしい。
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