なぜ働いていると本が読めなくなるのか の商品レビュー
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この人の文章はいつでも僕の隣にいるような感覚にしてくれます。 働く前から1年で一冊も本を読まなかった自分が、逆に本を読むようになってから読みたくなった。 世の中の人は思ったよりも本を読んでおらず、電車で周りを見渡せばみんなスマホを見ている世の中が大嫌いです。 なぜみんな本を読まずにスマホを見るのか?その疑問を歴史に沿って解説してくれました。 ノイズ ですよねぇ
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半身で働く この言葉がすごく印象に残った 全身全霊で働く必要はない。 自分がやりたいことを少しずつやる。 どれもやりたいことをやればいい。 そんな社会になるように、残業をたくさんしている人を称賛しないような社会にしていきたい。 無理しなくていい。 家庭も仕事も読書も。 全...
半身で働く この言葉がすごく印象に残った 全身全霊で働く必要はない。 自分がやりたいことを少しずつやる。 どれもやりたいことをやればいい。 そんな社会になるように、残業をたくさんしている人を称賛しないような社会にしていきたい。 無理しなくていい。 家庭も仕事も読書も。 全てができるようになるといいな。
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この本を買ってから読み終わるまでに2ヶ月くらいかかった。まさに「働いていると本が読めなく」なっていたからだ。時間がなかったわけではない。仕事以外の時間はだらだらスマホを見たり、YouTubeを見たり、何もしたくなかったりして、なかなか本を手に取ることができなかった。本を読むことは...
この本を買ってから読み終わるまでに2ヶ月くらいかかった。まさに「働いていると本が読めなく」なっていたからだ。時間がなかったわけではない。仕事以外の時間はだらだらスマホを見たり、YouTubeを見たり、何もしたくなかったりして、なかなか本を手に取ることができなかった。本を読むことは大好きなはずなのにどうしてだろう、と思いながらこの本を(少しずつ)読み進めた。 労働と読書の歴史を丁寧に掘り下げていく過程ももちろん面白かったのだけど、後半の「読書はノイズになる」という話になるほどなあと思った。働いていると今すぐ役に立つ情報を仕入れることのほうに重きを置きがちで、今すぐ役に立つとは思えなかったり、今の自分とは関係が薄かったりする情報は疎ましく思うことすらある。知ることがむしろストレスになる。でも、ノイズだと感じるような「他者の文脈」に触れることを、昔はもっと楽しめていたんじゃないだろうか? 最終章では「どうすれば働きながら本が読める社会になるのか」という提言もなされている。そこに書かれている「全身全霊を称揚することをやめる」という言葉がじわじわと傷口に沁みた。たしかに、仕事に限らず、何かに全身全霊になるって楽だ。長くオタクをやっている身として、好きなアイドルのことだけ考えて生きていくのがどれだけ楽なことかはよくわかっている。オタク界ではオタクに没頭している人ほどかっこいいとされ、にわかはダメだ、そんな軽い気持ちで応援するくらいならやめちまえ、みたいなことを言う人すらいる。実際私はその価値観に身を置くなかで燃え尽きてしまったこともある。 著者が提案する「半身でコミットメントする社会」について、私も考えてみたいなあ。ひとつのことに全力になるのではなく、にわかとしてあれもこれも手を伸ばしながら、さまざまな文脈が入り混じった複雑さを楽しんでいくのって、難しそうだけどおもしろそう! 【読んだ目的・理由】タイトルが気になったから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.2 【一番好きな表現】教養とは、本質的には、自分から離れたところにあるものに触れることなのである。(本文から引用)
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読書と労働との関係性を歴史を遡って辿って行くのは面白かった。社会の移り変わりと共に読書の位置づけが変わり、たしかに現代ではコントローラブルな部分(自己啓発)に焦点が当たっている。こういう社会構造を読み解くのも面白いなと感じた。 半身の姿勢での働き方は理想だが、自分はやはり全身での取り組みを称賛はしてしまう。かっこいいから。でも自分が全身をできないことも何となくわかっている。どんな生き方を目指すのか恥ずかしながら自分はまだわからない。おそらく今まで通り全身と半身の間でやって行きそう。でも少なくともこの本は「ノイズ」として新しい観点を与えてくれた。
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読書欲はあるはずなのに読書量が激減していると感じていた春先、書店で衝動買いした一冊。ようやくアウトプットに辿り着けた。 前半は江戸から令和に至る読書史。 読書史はその時代の社会情勢・大衆心理・労働環境を強く反映。その時代のベストセラーがなぜヒットしたか、時代背景や読者のニーズを紐解く過程では成る程と唸らされる箇所が多い。著者の書評家としての参考文献量にも圧巻。 労働と読書との距離感が時代とともに変化していく過程として、社会的意義がインテリ層の教養→一般大衆の社会参画のための修養→他者・未知への恐怖としてのノイズと変容した末路。 読書が正直億劫と感じる理由をストレートに指摘された気分。 終章のまとめとして全身全霊ではなく半身で頑張るというスタンスは分からなくはないが、実際自分自身は中途半端な環境に身を置いており、強いストレスを感じている。全身全霊はある意味楽というのは全く同意。 著書を通じて、読書という行為を客観的に見つめ直す契機となった。未知との遭遇にワクワクし、読書に肩の力を抜いて臨みたい。
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タイトルへの答えだけじゃなく、日本人が読書をどう取り入れてきたのかも分かりやすくて良い 最終的な作者の提言もかなり良い 育児中読書したくなるのも、わりと単調な毎日なのでノイズが欲しくなるからかもな
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大正時代あたりから時代系列に沿って労働と読書について述べられていたが、あまり昔のことには興味が湧かなかったので現代の部分だけを流し読みした。 今自分が労働しながら本が全く読めなくなった理由が、この本で述べられている通り、「他者の文脈というノイズを自分の中に入れる余裕がなくなったか...
大正時代あたりから時代系列に沿って労働と読書について述べられていたが、あまり昔のことには興味が湧かなかったので現代の部分だけを流し読みした。 今自分が労働しながら本が全く読めなくなった理由が、この本で述べられている通り、「他者の文脈というノイズを自分の中に入れる余裕がなくなったから」という論にはかなり納得した。本から得る知識は自分ではコントロールできないため、ノイズを享受する可能性がある。それに対してインターネットや自己啓発本から得る情報は、基本的には自分で得たいものを選んでいるため、ノイズが入ってこない。 日々自分の生活を仕事で埋め尽くしていると、そのようなノイズが邪魔で仕方がなくなる。だから本を避けてノイズを避ける。なるほどなと。 学生の頃はたくさん聴いていたラジオが聴けなくなった理由もこれと近いだろうなと思った。ラジオから得る情報は基本アンコントローラブルだしランダム性が強い。なんの情報が突然飛び込んでくるか分からないところに自ら飛び込むにはある程度の心のスペースが必要。だけど余裕がないから避ける。なるほどなと思った。 この本の結論は一貫して、「詰め込んで働くのやめようよ」という感じだったが、そもそも心のスペースを空けながら仕事をするのと、仕事で埋め尽くすのと、どちらが自分にとって良いのかは考える余地があるなも思った。
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新書はあまり読まないけれど。面白かった! 自分の「好き」を重視する仕事を選ぶことをよしとする、って90年代後半から出てきた考え方だったんだ。景気がいいときは消費による自己実現が可能だってけどバブル崩壊を経て消費での自己実現が難しくなったから、労働そのものが「自分探し」の舞台になっ...
新書はあまり読まないけれど。面白かった! 自分の「好き」を重視する仕事を選ぶことをよしとする、って90年代後半から出てきた考え方だったんだ。景気がいいときは消費による自己実現が可能だってけどバブル崩壊を経て消費での自己実現が難しくなったから、労働そのものが「自分探し」の舞台になった、って。 私は90年代半ば生まれで就活する時も「好きなことを仕事にするのが優れている」ってら考え方は当然のものとしてあったから、この考え方が経済状況に影響されて最近出てきたものってことが結構衝撃だった。同世代で「好きなことを仕事にしなきゃ」って想いに苦しめられてる人って多いんじゃないかな? 歴史を知るというか過去の流れからして今がどんな時代なのか知ることって大事。 インターネットにはノイズがなく、本には文脈(ノイズ)がある、っていうのも本当にそうだな。 心に余裕がなくてネットばっかりしてると知りたいことだけがどんどん尖っていく。 週末に久しぶりに読書すると、頭や心が耕されてほぐれるような感覚がある。 働いていても、読書したいよね。
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衝動買いしたけど、中身は結構しっかりした読書と労働を軸とした明治以降の社会史でした。『西国立志編』は自己啓発本だったとか、なぜ1970年代のおっさんたちは何かと司馬遼太郎を読んでいたのか、とかなかなか興味深い考察があって面白かったです。オチのじゃあどうしたら働きながらも本が読める...
衝動買いしたけど、中身は結構しっかりした読書と労働を軸とした明治以降の社会史でした。『西国立志編』は自己啓発本だったとか、なぜ1970年代のおっさんたちは何かと司馬遼太郎を読んでいたのか、とかなかなか興味深い考察があって面白かったです。オチのじゃあどうしたら働きながらも本が読めるようになるのか、はいまいち強い結論じゃなかった(要するに仕事や家事へのコミットを半身にして余裕持とうぜ、的な)のが微妙でしたが本としては知識欲が満たされて良かったです。 ちなみにスマホの動画やTVに本が勝てない理由は、本は能動的なメディアだからというのが個人的な見解です。今(Youtubeやスマホ全般)も昔(TV)も受動コンテンツに対して、本はこちらから働きかけるワンクッションの能動が必要なのでどうしても負けてしまう。能動的な活動から没頭するまでのある種トレーニングが必要で、まあこれを本能的にできるかどうかで本好きかどうかが決まるのだと思うんだけど、後天的にというか意識的にこの能力をつけることができればなぁ、というのが現在我が子に思うところです(あまり本好きっぽくはない@6歳直前)。図書館に連れて行ってみたり色々やってはいるけれど、さてどうなるか、、、翻って自分はまさに勝手に読んでた活字中毒タイプなのでどうブーストしたらいいかよくわからんのが悩ましい今日この頃です。本なんか別に読まないなら読まないでも幸せに暮らせるんだろうけど、それでも自分が本好きでホントに楽しい人生だったのと、最近の自分結論的に実は数学とか物理も含めてすべての勉強を読解力のみで乗り切ってきたんじゃないかと思っているところがあり、何とか本読みになって欲しいなぁ、本読みで損すること多分ないんだけどなあと日々もやもやしております。もやもや。
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(2024.10.25) [題名]『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 [著者]三宅香帆 [訳者]なし [出版]集英社新書(1212-B) [動機]読書術の一環として 購入。 [◯感想(良かった)] ・最近の読書が "ハウツー"もの "生産性向上"...
(2024.10.25) [題名]『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 [著者]三宅香帆 [訳者]なし [出版]集英社新書(1212-B) [動機]読書術の一環として 購入。 [◯感想(良かった)] ・最近の読書が "ハウツー"もの "生産性向上"もの "自己実現(出世)"もの に偏ってきてるのは分かる。 [△感想(う〜ん)] ・理系の自分としては、 どうしても仕事に関係する 本に偏るのは仕方ない。 ・よく 「人生には物語が重要」 と言われるが、 "上手い小説" をトレースしていくのが苦手。 [×感想(良くなかった)] ・この本自体が 読書行為確保の"ハウツー本" になっている矛盾。 [総論] ◯・「読書術」はあとがきにある。 会社帰りの30分を読書時間 として確保する。 →実行しよう。 ・"ルッキズム" の批判は甘んじて受けるが、 比較的美形の女性が著者で、 仮に著者が偉いオジさんだったら、 ベストセラーにはならなかった と思う。
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