僕の神さま の商品レビュー
単行本で読んでいたことをすっかり忘れて文庫版を買っていた。 表紙やあらすじを見てパッと手に取ったので、昔と本の好みは変わってないのかも。 個人的に“切ない”よりも“しんどい”と感じた。 少年少女が主人公の物語を読むと心臓がキュッとなる。 水谷くんのような子供になりたかった。 だけ...
単行本で読んでいたことをすっかり忘れて文庫版を買っていた。 表紙やあらすじを見てパッと手に取ったので、昔と本の好みは変わってないのかも。 個人的に“切ない”よりも“しんどい”と感じた。 少年少女が主人公の物語を読むと心臓がキュッとなる。 水谷くんのような子供になりたかった。 だけど子供の頃の私は「僕」や「川上さん」に近い人間だった。 だからなのか、こういう子供の無力感と心の脆さを見せつけられると項垂れてしまうんだよなあ。
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読みやすかった。ミステリとしてはそこそこ。神様に押し込むのは理解したり近づいたりせずに側にいられて便利でいいよね。川上さんが救われていますように。
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※このレビューにはネタバレを含みます
主に小学校が舞台の日常系ミステリ連作短編で、全四章+エピローグの構成。 第一章は亡くなった祖母が作った桜茶をダメにしちゃった主人公が、自らそれを作って祖父に飲んでもらったら、祖父が体調をくずしちゃう、という内容。 途中、子猫の存在が絡んでくるところに少し違和感を覚えましたが、祖父の体調不良の原因に絡んできて納得。しかし真の原因は……題材的に友井羊さんの「スイーツレシピで謎解きを」を連想させられました。 第二章はクラスメイトの川上さんに関するエピソードが二つ。一つは同じクラスの女子に突然バケツの水を浴びせられるお話。もう一つは父親のパチンコ通いをやめさせる話。 バケツの水の件は、偶然タイムリーにX(旧Twitter)で同様のエピソードを見ていたので既視感がありました(時系列的には本書の方が先に世に出てるとは思いますが)。真相を知った後、表層的な情報だけで断罪するのは良くないな、と反省させられました。 父親の話は若干イヤミス感?を覚えます。ただ、川上さんの結末は明確に描かれていないので、おそらく先々の伏線になるのだろうと予感。 第三章は運動会の騎馬戦エピソード。ここでの水谷君は神さまや名探偵というより、諸葛孔明バリの名軍師。張飛みたいな?ガキ大将をも動かす統率力もなかなかで、将来大物になりそう。 しかし水谷君が今回動いた理由はクラスの勝利のためではありませんでした。その理由はおおむね予想ができていたので、やっぱりな、という感じ。 第四章については……心理トリックみたいなお話は私には難しくて、正直よく理解できてないです。ただ、ドラマとしては「僕」がクローズアップされて面白かったし「たすけて」を書いたのは誰?という謎が残って印象深いものでした。 そしてエピローグで明かされる真相。川上さんの件は予想がついていたものの、明確に無事がわかってホッとしました。水谷君の「僕」評の中での、一線を超えた人が引き返せなくなるお話は、現実社会でもちょくちょく目にするものだったので、はっとさせられました。 全体を通して、もしかしたら自分の周りで起きていたかもしれないという、ありふれた日常の中でのお話だったためか、入り込みやすくてスムーズに読むことができた気がします。 ただ、軽快に読める内容に対してエピローグの内容が心にズシッと来るものだったのは意外でした。そのためか、予想外に深く印象に残る作品になったかもしれません。
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小学五年生の"僕"と、同じクラスの友人で色々な謎や相談事を解き明かしてくれることからみんなから"神さま"と呼ばれる水谷くん。 日常の謎や学校の噂、クラスメイトの困り事を解く連作ミステリー。
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最初は、おじいちゃんと孫が出てきて、二人とも優しそうな感じだったので、ほんわかほほえましい話かなと思ってい読み進めてました。でも、桜茶を勝手に入れ替えるところから一気に不穏な雰囲気になってきて、どうなっちゃうのと思いながら結局最後まで重かったです。やっぱり、戦争のくだりは、深く考...
最初は、おじいちゃんと孫が出てきて、二人とも優しそうな感じだったので、ほんわかほほえましい話かなと思ってい読み進めてました。でも、桜茶を勝手に入れ替えるところから一気に不穏な雰囲気になってきて、どうなっちゃうのと思いながら結局最後まで重かったです。やっぱり、戦争のくだりは、深く考えざるを得ないですね。 小学5年生の子供が、ここまで考えていたら、人生生き辛いだろうなと同情します。「僕」の成長物語だと、解説には書いてありましたが、誰しもがたどり着く解答ではないです。11歳という年齢に、どんな意味があったのかは、わかりませんでした。
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こども✖️謎解きミステリーと聞いて、この結末を想像できる人はどのくらいいるのだろうかと本を閉じて考えてしまった。こどもならではの純粋さゆえにあらゆる出来事が誤魔化しなくむき出しになっていて、それが時には残酷に日常に存在している。タイトルである「僕の神さま」が、読後、異なる意味に聞...
こども✖️謎解きミステリーと聞いて、この結末を想像できる人はどのくらいいるのだろうかと本を閉じて考えてしまった。こどもならではの純粋さゆえにあらゆる出来事が誤魔化しなくむき出しになっていて、それが時には残酷に日常に存在している。タイトルである「僕の神さま」が、読後、異なる意味に聞こえてくる。こどもであることのせつなさや、精神的に大人になることのせつなさを感じた。
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僕は、小学5年生 “神さま”は、同級生の水谷くん 小学校でおきるちょっとした謎を 神さまが冷静に解決していく 第一話から四話まで四季を絡めて小学生の一年を 第一話の「春の作り方」が優しい嘘で素敵でした ミスエリー部分は、子供には難しいかなと思うところもあるけれど、小学生らしいス...
僕は、小学5年生 “神さま”は、同級生の水谷くん 小学校でおきるちょっとした謎を 神さまが冷静に解決していく 第一話から四話まで四季を絡めて小学生の一年を 第一話の「春の作り方」が優しい嘘で素敵でした ミスエリー部分は、子供には難しいかなと思うところもあるけれど、小学生らしいストーリー 自分が小学生のその昔、ホームズとか乱歩とかがミステリーの入り口だったから 小中学生にも挑戦して欲しい
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小学生の男の子視点の連作ミステリー。 春から始まり夏秋冬、そしてもう一度来る春の訪れの時、見せられる結末はジワリと心に沁み込ませ、強く刻み込まれる。 それぞれのお話は別のようでいて、しっかりとラストに回収される。読んでいると芦沢先生テイストにグイグイ持っていかれる。 切なさ、もど...
小学生の男の子視点の連作ミステリー。 春から始まり夏秋冬、そしてもう一度来る春の訪れの時、見せられる結末はジワリと心に沁み込ませ、強く刻み込まれる。 それぞれのお話は別のようでいて、しっかりとラストに回収される。読んでいると芦沢先生テイストにグイグイ持っていかれる。 切なさ、もどかしさ、やるせなさ、狡さ。やんわりきゅぅっと締め付けられる。 子供らしい主人公に聡明過ぎる水谷くんの関係性、そしてそれぞれの心の内が着地する最後、どんな表情で「彼」は「彼」を見ていたんだろうか。 映画のワンシーンをみているようでした。好きだなぁ。 それにしても水谷くんはカッコ良すぎではないですか!小学生!?って何度思った事か。 個人的に一話の「春の作り方」が好き。おじいちゃんと共に涙ぐんでしまった。
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短編集『許されようとは〜』は胸糞悪すぎて断念しましたが、こちらはさらっと読了。ただ後半やるせなくなるという評判の通り読後のじわ〜っとただよう嫌な感じ、たまりません。前半は頭のいい同級生と日常の事件の謎解きをする児童小説感もありましたが、川上さんのお話から雲行きが怪しく…
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日常の様々な謎や悩みを解決してみんなから「神さま」と呼ばれる小学生・水谷くんと同級生の僕がささやかな困りごとに挑む穏やかな第一話のスタートが、第二話の川上さんの登場で子どもにはどうしようもできない現実の厳しさへ引っ張られていく。 エピローグの「殺したりなんかしたくなかったから、たくさん殺すことになった」というナチスに関する一文が痛烈。間違ってなんかいないと思いたいから、それを否定してくれる理屈にしがみついてしまう危うい心理。これを伝えたいがために書かれた作品なのかな。 成長した二人にまたどこかで再会したい。
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