ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 の商品レビュー
第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ...
第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」 ■第2部 ガザ、人間の恥としての 今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題 ■質疑応答 ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何? ■付録 もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト) パレスチナ問題 関連年表
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2023年年10月の岡真理先生の緊急講義二本をまとめたもの。 オンラインで講義を見た上で本書を読んだ。 ここに至った歴史や経緯と、いまガザの人々が曝されている非人道的で、悲惨な現状が、切々と語られている。 ・イスラエルという国が入植者による植民地国家であること、植民地主義のも...
2023年年10月の岡真理先生の緊急講義二本をまとめたもの。 オンラインで講義を見た上で本書を読んだ。 ここに至った歴史や経緯と、いまガザの人々が曝されている非人道的で、悲惨な現状が、切々と語られている。 ・イスラエルという国が入植者による植民地国家であること、植民地主義のもとに成り立っていること ・ヨーロッパにおけるユダヤ人差別のツケをシオニズムに乗るかたちでパレスチナに押し付けたこと、違法なパレスチナ分割案を是認した国際社会にも責任があること ・パレスチナ分割が決定して以降数十年もの間、パレスチナ人が民族浄化の暴力に曝され続けてていること ・パレスチナ問題の焦点は人道的危機ではなく政治的な部分にあること、政治的問題から逸らすためにイスラエルが意図的に人道危機をつくり出していること ・イスラエルによる、攻撃対象の規模に釣り合わない過剰な攻撃や、ガザの封鎖といった集団懲罰は、国際法違反であること ・被占領者が占領からの解放のために武力を用いて抵抗することは国際法上の正当な抵抗権の行使であり、ハマースは民族解放を求める運動組織であること 文学研究者である筆者は語る。 「私の専門は文学です。今、私たちが何よりも必要としているのは、「文学」の言葉ではないかと思います。(中略)ハマースと名付けた者たちを非人間化する言葉が氾濫する中で、パレスチナ人が人間であるということを私たちが理解するために、私たちは文学を、文学の言葉を必要としています。文学は、人間にヒューマニティを取り戻させます。誤解しないでください。文学によって人間性を取り戻すのはパレスチナ人ではありません。私たちです。」(p.144) 「イスラム」や「テロ」といった言葉に、これまで私たちはどんなものを思い浮かべてきただろう。あるいはイスラエル側に寄ってハマースを非人間的とみなす報道を、どのように受け止めてきただろう。 カロリン・エムケは著書『憎しみに抗って』で「他者」を可視化、不可視化することについてこのように語っている。 「(前略)バスのなかの難民たちは、一方で個人としては「不可視」の存在とされた。(中略)独自の歴史、経験、個性を持った人間とはみなされなかった。だが同時に、彼らは「他者」として、「我々ではない者」として「可視化され」、または作り上げられた。彼らを不気味で、忌まわしく、危険な集団に仕立て上げ、烙印を押すさまざまな特徴が投影された。(後略)」 ある集団を「怪物化」し、遠ざけ、理解を拒む。そこにある「独自の歴史、経験、個性」を見ようとしない。これはまさに世界が、私たちが、行っている暴力の一つではないか。 迫る軍隊を前に自宅に鍵をかけて逃げ、そのまま七十年以上故郷に帰ることができない人々。追いやられ逃げのびて、難民となって生きるしかなかった人々。祖父母の焦がれた故郷に帰りたい一心で境界を越えて攻撃に向かう人々。常に死の恐怖を抱えながら生活している人々……。 死者何人、負傷者何人。そういったただの数字には現れ得ない一人ひとりの生に視線を向けること、知ること、共感することが、私たちにできることの一つではないか。 本書には「もっと知るためのガイド」として、多数の書籍や映画、情報サイトが紹介されている。岡真理先生による翻訳小説等、パレスチナから世界へ訴える声を伝えるものだ。 まずはここから、知ることからはじめたい。 また、それと並行して、私たち自身も声を上げていかなければいけない。 本書では文章に起こす過程で整えられているものの、講義では先生が言葉を詰まらせ、涙を堪える場面が幾度かあったように思う。人間に想像可能な悲惨さの極地を、現実が安々と飛び越えてゆくようなとき、それを言葉にすることの困難さを思えば当然だろう。それでも、起きている悲惨さを言葉にし、伝えていかねばならない。一刻も早く攻撃を止め、一人でも多くの命を救うために。そのための緊急講義であり、声を上げる義務は、聴講者、読者である私たち一人ひとりも負っている。 パレスチナに連帯する声がひろがることを、攻撃が止むことを、人が人としてあるべきように生きられることを、願って止まない。
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パレスチナとイスラエルの問題を知りたいと思い、まずは読みやすそうなこの本から手に取りました。 まだ一冊目なので、自分なりの結論は出せませんが、思ったのは「国際法って何のためにあるの??」という事。国際法で決められた事を適用しないのなら、意味ってあるのだろうか…。この本だと「戦争」...
パレスチナとイスラエルの問題を知りたいと思い、まずは読みやすそうなこの本から手に取りました。 まだ一冊目なので、自分なりの結論は出せませんが、思ったのは「国際法って何のためにあるの??」という事。国際法で決められた事を適用しないのなら、意味ってあるのだろうか…。この本だと「戦争」ではなく完全な「ジェノサイド」。人間として生まれたのに、あらゆる権利を奪われて本当に悲しい。読んでいるととてもネットで検索出来ないくらい恐ろしい。どうしたら解決できるのだろうか…考えさせられる。あと数冊、このパレスチナとイスラエルの問題の本を読んで多面的に知りたいと思った。
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遠いイスラエルとパレスチナの話。 しかし!これは大変な状況なのだと初めて知った。 中東で戦争があっても虐殺があっても自分の身には何も降りかかってはこない。適当にニュースや本を読んで何となく分かった気になっていた自分が恥ずかしい。 報道やアメリカのやり方などに憤ることも多々あるが…...
遠いイスラエルとパレスチナの話。 しかし!これは大変な状況なのだと初めて知った。 中東で戦争があっても虐殺があっても自分の身には何も降りかかってはこない。適当にニュースや本を読んで何となく分かった気になっていた自分が恥ずかしい。 報道やアメリカのやり方などに憤ることも多々あるが… 先ずは戦争の終結を! そしてパレスチナ問題の政治的な解決を。 この本に書かれていることは紛れもない真実なのだから。 また、今後関連する書籍として 『現代思想2024vol.52-2 パレスチナから問う』 『イスラム報道 ニュースはいかにつくられるか』(エドワード・W・サイード) を読む予定にしている。
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YouTubeで岡真理さんの講演を聞き、こんなにはっきりとパレスチナを支持し、ユダヤのイスラエルの犯罪性を強調する学者がいるのかと驚いた。 その丘まりさんの新作、本社は講演の内容をまとめ、出版されたと、前書きにあるが、YouTubeで見た講演の内容がはるかにはっきりと理解できた。...
YouTubeで岡真理さんの講演を聞き、こんなにはっきりとパレスチナを支持し、ユダヤのイスラエルの犯罪性を強調する学者がいるのかと驚いた。 その丘まりさんの新作、本社は講演の内容をまとめ、出版されたと、前書きにあるが、YouTubeで見た講演の内容がはるかにはっきりと理解できた。 暴力の連鎖、テロと報復の連鎖、憎しみの連鎖といった言葉が、メディアで盛んに使われるが、本書では、これらの言葉を使うかどうかで、信頼できるメディアか、信頼できる人物かどうか資金席になると説明している。この連鎖の前に何があるのか問題の本質、歴史的経過を考えずにこの言葉を使うべきではないと言う主張である。 ユダヤ人がどれだけ自分たちを犠牲者と見直そうとも、他者の人間性の否定と言う点において、ナチスがユダヤ人に対して行ったことと等しい。ハマスとは何かではなく、むしろ飛ぶべきはイスラエルとは何か?どのように建国されたのか、それがこの問題の根っこにある原因である。ヨーロッパ人のレイシズムに基づく植民地主義的な侵略と暴力的な民族浄化によってユダヤ国家が作られたということ。 国際司法裁判所にガザ地区虐殺を国際法違反として提起したのが南アフリカであると言うニュースを聞いたときによくわからなかったが、本書を読んで、イスラエルのアパルトヘイト、と言う指摘に納得した。
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著者は早大教授。昨年10月の早大、京大での講義を加筆修正し緊急出版となった。本書(講義)で最低限押さえておくこととして、 ・なぜパレスチナ人が難民となったのか ・イスラエルはどのように建国され、イスラエルとはどのような国なのか ・ガザの人々が、とりわけこの十六年以上置かれてき...
著者は早大教授。昨年10月の早大、京大での講義を加筆修正し緊急出版となった。本書(講義)で最低限押さえておくこととして、 ・なぜパレスチナ人が難民となったのか ・イスラエルはどのように建国され、イスラエルとはどのような国なのか ・ガザの人々が、とりわけこの十六年以上置かれてきた封鎖というものが、どういう暴力であるのか(P101)の3点を挙げている。自分自身の誤った知識が修正され整理できた。良書だと思う。
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パレスチナの問題についてその要因をイスラエルの建国に焦点を当てて説く。 パレスチナ問題に関心の薄い日本人に一つの見方を提起する内容。この問題を理解するという点で一読の価値がある。
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「これ読んでちょっと勉強してみよう」くらいの軽い気持ちで読み始めたけど、それすらも間違っていたと気づかされるレベルで何も解っていなかった。現在進行形の問題だからこそ、早く気づけて良かった。この問題は他のあらゆる民族問題にも繋がっている。「まず、ここから」何が出来るか。
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なぜパレスチナ人が難民となったのか、イスラエルはどのように建国されたのか、どのような国なのか、ガザで十六年以上続けられている封鎖とは何か、パレスチナの人々はこれまでどのような暴力にさらされてきたのか。こうした歴史的文脈がわかりやすく説明されている。これは政治的問題であり、単に人道...
なぜパレスチナ人が難民となったのか、イスラエルはどのように建国されたのか、どのような国なのか、ガザで十六年以上続けられている封鎖とは何か、パレスチナの人々はこれまでどのような暴力にさらされてきたのか。こうした歴史的文脈がわかりやすく説明されている。これは政治的問題であり、単に人道問題としてはいけないと著者は主張する。もちろん、人道支援は不可欠だが、国際法違反である占領や封鎖のもとで死なずに生きていけるようにすることだけで終わってしまっては違法状態を黙認していることにもなり、根本的解決のためには政治的解決をしなければならないのである。著者が引用する「忘却が、次の虐殺を準備する」という言葉のとおりにイスラエルによる軍事攻撃が繰り返されてしまっているのはなぜなのか考え、今起きているジェノサイドをやめさせるだけでなく、二度と繰り返されないようにしなくてはならない。そのためには自分は何ができるのか、何をすべきか考えさせられた。まずは正しく知り、喉元を過ぎたら忘れるのではなく、声を上げ続け、行動しなければ。
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自分が常日頃、いかになんとなくニュースを眺めただけで全てを判断してきたのだなということを猛省した。 序盤にあった「どっちもどっち論や報復の連鎖という言葉を使うメディアは信用してはいけない」という言葉の意味が一冊を読み通す事でよくわかった。
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