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ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 の商品レビュー

4.6

53件のお客様レビュー

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2024/06/27

2023年10月7日のイスラエルによるガザ攻撃が始まったことを受けて、京都大学(10/20)と早稲田大学(10/23)で緊急に開かれた講演会の記録である。攻撃開始から間もない時期であったこと、また開始直後からこれまでのパレスチナ攻撃に比して激しい、まさに殲滅戦(ジェノサイド)と言...

2023年10月7日のイスラエルによるガザ攻撃が始まったことを受けて、京都大学(10/20)と早稲田大学(10/23)で緊急に開かれた講演会の記録である。攻撃開始から間もない時期であったこと、また開始直後からこれまでのパレスチナ攻撃に比して激しい、まさに殲滅戦(ジェノサイド)と言っても全く過言ではない事態が展開していたことなどもあって、講師の岡真理先生のお話も、わかりやすくも大変に熱を帯びたものとなっている。この本の元になった上記講演会の様子は、YouTube上にも公開されているので、今なお、この講演を聴くことができる。 私は、実はこの本を今年の年始に読んでいた。しかし、この本の内容と現実に起きていることの激しさに圧倒され、加えてガザにいる友人の現地からの声を度々聞くにつけて、私は長らく暗澹たる気持ちに覆い尽くされ、本のレビューなど書ける気持ちになれなかった。今ようやく半年ほど経ってパソコンに向かっている。 私はこの本を読み終えて、強烈に感じたのは、恥ずかしいということだった。私は大学時代に関わっていたプロジェクトで、パレスチナやイスラエルの学生や若者と知り合う機会に恵まれ、この地域の事情は少しながら知った気でいた。この20年余、関心を寄せてきたつもりでいた。だが、それにも関わらず、今回の攻撃が始まった時、真っ先に頭を過ったのは「またハマースが攻撃を仕掛けたとかで、紛争が始まったらしい。ったく、お互いやめとけばいいのに。」ということだったのである。まさに「どっちもどっち論」だったのである!パレスチナは知らないつもりではなかったのに、関心を寄せてきたつもりであったのに、結局私はマスコミの横暴かつテキトーな言説と同じ、極めて他人行儀で横暴な見方しかしてこなかったのである。何も見ていなかったに等しいだろう。そして、パレスチナのこれまでを丹念に勉強することを怠ってきたという事実も、自戒を込めて付け加えておかねばなるまい。 この本を読み終わった時、私は大きな誤りをしてきたと反省した。同時に目を開かれる思いがした。イスラエルの攻撃は、シオニズムというパレスチナを全面占領する計画に基づいた一方的な民族浄化であると知ったからである。そしてまた、パレスチナのアラブ人たちは植民地独立運動を戦っているという視点が衝撃だったからである。決して「憎しみの連鎖」「暴力の連鎖」が起こっているのではない。 パレスチナ問題が語られるとき、しばしば「複雑なパレスチナ問題」などと言われる。だが、この本を読むと本質的には決して複雑な構図はなく、案外シンプルな目的とシンプルな構図によって引き起こされていることが見えてくる。この本は過去の講演録というに留まらない、これからパレスチナのことを知る人のための手引書としても、長く読まれるべき本だと思っている。

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2024/06/20

ガザにおいて、何が起きたか何が起こっているのか理解したい想いに駆られ手に取った。 先日、映画「関心領域」も視聴し、私の関心はホロコースト、アパルトヘイト、植民地主義に向いている。 周囲の人々が、パレスチナ解放を訴える団体を見て「思想強い」と一言で一蹴することに何か危機感を感じ...

ガザにおいて、何が起きたか何が起こっているのか理解したい想いに駆られ手に取った。 先日、映画「関心領域」も視聴し、私の関心はホロコースト、アパルトヘイト、植民地主義に向いている。 周囲の人々が、パレスチナ解放を訴える団体を見て「思想強い」と一言で一蹴することに何か危機感を感じことがきっかけである。まずは、何が起きているか理解することから始める。それだけで、団体に対する考えは変わるはずだ。 軽い気持ちで口にしてはいけない雰囲気を感じながらも、少しずつ知識を蓄え何が正義なのかを考え、対話していきたい。

Posted byブクログ

2024/06/16

パレスチナ問題を、わかりやすく知る事ができる。 『地獄とは、人々が苦しんでいるところのことではない。人が苦しんでいるのを誰も見ようとしないところのことだ』(マンスール・アル=ハッラージュ) 私達は『地獄』に加担しない為に、まず『見る』必要がある。

Posted byブクログ

2024/06/16

あらすじ(大和書房より)【緊急出版!ガザを知るための「まず、ここから」の一冊】 2023年10月7日、ハマース主導の越境奇襲攻撃に端を発し、イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。 長年パレスチナ問題に取り組んできた、パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、...

あらすじ(大和書房より)【緊急出版!ガザを知るための「まず、ここから」の一冊】 2023年10月7日、ハマース主導の越境奇襲攻撃に端を発し、イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。 長年パレスチナ問題に取り組んできた、パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、平易な語り口、そして強靭な言葉の力によってさまざまな疑問、その本質を明らかにします。 今起きていることは何か?パレスチナ問題の根本は何なのか?イスラエルはどのようにして作られた国?シオニズムとは?ガザは、どんな地域か?ハマースとは、どのような組織なのか?いま、私たちができることは何なのか? 今を知るための最良の案内でありながら、「これから私たちが何を学び、何をすべきか」その足掛かりともなる、いま、まず手に取りたい一冊です。 本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。(https://www.daiwashobo.co.jp/book/b10040675.html) パレスチナ、ガザに関する本や記事に複数触れた後に、ここに戻ってきた。 早稲田大学の方はYouTubeで配信された時に観ていたので、歴史や背景についていろいろ知識が増えた中で、さらにこの虐殺が8ヶ月も続いていることを思って、さらに辛い気持ちになった。 この本でも強調されている通り、問うべきは「ハマスとは?」ではなく「イスラエルとは?」なんだよな。イスラエルという国がどう生まれ、これまでパレスチナをどんな目に遭わせてきたか。ここさえ知ることができれば、でもハマスがテロ攻撃したからでしょ、のようなことは軽々しく言えなくなるだろう。「ガザを実効支配しているイスラム組織ハマス」とイスラエルとの「戦闘」なんていう見出しの記事で、「なぜ?」という背景に関する記述が不足しているせいで、漫然と日本のニュースを見ているだけでは認識が完全に歪んでしまう。 この本はとてもシンプルに、難しい言葉を使わずに、要点を絞って知るべき内容がしっかり盛り込まれている。私のように色々知った後に読んでも、改めて忘れてはならないポイントを復習し、誰かにこのことを伝えるときの助けにもなるし、「まず手に取りたい一冊」とあるように、初めての方にも読みやすい内容だと思う。手に取りやすい本を異例の速さで出版してくださったことに感謝。

Posted byブクログ

2024/06/16

昔世界史で勉強したことを思い出した。記憶が薄れていて、どういう歴史背景があったか知らないまま受動的に報道を見ていると、今起こっている事態の意味を取り違える。イスラエルという国の成り立ちと今の状況がよくわかった。イスラム国とかそういう議論とごっちゃになってしまっている人は多いだろう...

昔世界史で勉強したことを思い出した。記憶が薄れていて、どういう歴史背景があったか知らないまま受動的に報道を見ていると、今起こっている事態の意味を取り違える。イスラエルという国の成り立ちと今の状況がよくわかった。イスラム国とかそういう議論とごっちゃになってしまっている人は多いだろうな。 ドレフュス事件、シオニズム、ナチスホロコースト、ナクバ、植民地主義、ユダヤ国家=ユダヤ人の主張ではない、ガザ、ハマス、パレスチナ人

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2024/06/03

ガザとは何か、イスラエルとは何か。 メディアやSNSで流れてくる情報を少し摘んだだけで分かった気になっていた。全く分かっていなかった。 現状を知り、自分に何ができるのか。大それた行動はできないかもしれない。 でも、"正しく知ろうとすること"は今からでもできるし...

ガザとは何か、イスラエルとは何か。 メディアやSNSで流れてくる情報を少し摘んだだけで分かった気になっていた。全く分かっていなかった。 現状を知り、自分に何ができるのか。大それた行動はできないかもしれない。 でも、"正しく知ろうとすること"は今からでもできるし、最初の出発点だと思う。 様々なことが起こり状況が目まぐるしく変わる現代において、ついつい"分かりやすい"情報に飛びついてしまいそうになる。 でも、一面的な情報だけで判断せずに、多面的かつ歴史的背景も含めて理解するように気をつけようと改めて思った。

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2024/05/29

人間の恥。本当に心が痛む。報道潮流に乗っていては世界は見えないことを痛感する。それに気がついて伝えてくれる人がいて、迫害されない自由な国だと新ためて痛感。何かしなければならないことも。

Posted byブクログ

2024/05/27

イスラエルは国際法を無視して戦争犯罪を犯し続け、パレスチナ人を虐殺している。それを可能にしているのはアメリカの支援であり、国際社会の無関心である。我々日本人も無関係ではない。 ・イスラエルは元々パレスチナ人と呼ばれる人達が住んでいた地域を、国際連合がユダヤ人の為に明け渡して出来...

イスラエルは国際法を無視して戦争犯罪を犯し続け、パレスチナ人を虐殺している。それを可能にしているのはアメリカの支援であり、国際社会の無関心である。我々日本人も無関係ではない。 ・イスラエルは元々パレスチナ人と呼ばれる人達が住んでいた地域を、国際連合がユダヤ人の為に明け渡して出来た国である。→西洋の植民地主義が未だ消えていない ・イスラエルの戦争犯罪は客観的事実であるのに、国際社会は無視している ・ユダヤ人の中にも反シオニズムかつイスラエルを批判している人はいる。→ユダヤ人=悪ではない ・ホロコーストや反ユダヤ主義と言った西洋諸国が償うべき罪を、パレスチナ人に償わせている。 ・日本のメディアは親イスラエル的報道が多い→イスラエルによるプロパガンダも多い ・イスラエルはパレスチナ人に対して民族浄化を行っている ・ハマスは民主的に選ばれており、単純にテロリストと断言できるようなものではない。(イノセントではないが、イスラエルがしてきた事と比べれば取るに足らない) これは個人的な考察だけど、イスラエルがこの戦争に勝つ方法はパレスチナ人を絶滅させるしか無いんだと思う。でも恐らくそれは核爆弾でも落とさない限り不可能で、そうなればこの戦争はかなり長期化する。イスラエルは人口が多い国ではなく、持てる戦力は限られ継続的に戦える時間も限られている。一方パレスチナは最後の一人になるまで戦い続けるだろう。ベトナム戦争で証明されたように失うものが無い人のゲリラ戦術は驚異的な耐久力を誇る。 その時まで国際社会が親イスラエル的姿勢を保ち続けるとも思えない。現にスペインはイスラエルに抗議し始めたし、ノルウェーやアイルランドなどはパレスチナを国家として承認した(日本はしていない)。イスラエルがやってきた事も徐々にではあるが世界中の人々に知られ始めている。アメリカのZ世代の殆どがイスラエルを支持していない。アメリカの支援もしばらくは続くだろうが、それも永遠では無い。そして今現在世界で最も信者が多い宗教はキリスト教だが、それも100年以内にイスラム教に覆る。(イスラエルの支持基盤はキリスト教信者) ユダヤ人はホロコーストとその歴史によって世界中から同情を勝ち取り、一切の批判を許さないある種特権的な立場だった。歴史は変わらないが、パレスチナの現状を見れば明らかなように、彼らは今被害者ではなく加害者である。 この戦争に勝ち、つまりパレスチナ人を一人残らず殺したとしても、その時イスラエルはイスラエルとして存続できるのだろうか。 血塗られたイスラエルを世界は受け入れるだろうか。

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2024/05/25

イスラエル建国が西洋優位主義、植民地主義に基づいてなされたという著者の指摘はその通りだが、事態がここまでこじれたのには数度にわたる中東戦争も絡んでいるし、和平が成立しそうな場面も何回かあった(その都度反対勢力によるテロで潰されたが)。 著者がパレスチナの人々を絶対的な被抑圧者と...

イスラエル建国が西洋優位主義、植民地主義に基づいてなされたという著者の指摘はその通りだが、事態がここまでこじれたのには数度にわたる中東戦争も絡んでいるし、和平が成立しそうな場面も何回かあった(その都度反対勢力によるテロで潰されたが)。 著者がパレスチナの人々を絶対的な被抑圧者と認定し、彼らとの連帯を訴えることに特に異論はないが、本書のような一方的な言説では何も解決しないだろう。

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2024/05/22

もっとはやく読むべきだった。ほんとにわかりやすく書いてあってとても助かる。いままで、イスラエルがなんか野蛮な集団から奇襲を受けたので反撃しているけどさすがにやりすぎ、程度の、まさに本書で指摘されているようないっさいの歴史的視点を欠いた誤った認識をしか持っていなくて、自分がぜんぜん...

もっとはやく読むべきだった。ほんとにわかりやすく書いてあってとても助かる。いままで、イスラエルがなんか野蛮な集団から奇襲を受けたので反撃しているけどさすがにやりすぎ、程度の、まさに本書で指摘されているようないっさいの歴史的視点を欠いた誤った認識をしか持っていなくて、自分がぜんぜんなんにも知らなかったことを知った。シオニズムのくだりはなんだか読んだことがあるなと思ったらそういえば『全体主義の起源』でいろいろと書かれていたことだと思い出し、過去の読書がぜんぜん血肉になっていない、ということも恥じ入って痛感した。

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