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灰の劇場 の商品レビュー

3.5

36件のお客様レビュー

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2024/09/04

「ザリガニ」の隣に堆く積まれてたので、小生初の恩田陸さん。仲良し2人の女性が自殺に至った、原因と考えられる「人生の不都合」を物語る。話を聞いてあげられたらなー、と思いながら読んだ。ラストの構成も圧巻。

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2024/09/01

始まりは、とある三面記事。 一緒に暮らしていた女性2人が飛び降り自殺を図ったという内容。 作家である著者は数十年も前に目にしたその記事がずっと心に引っかかっていた。 著者(ノンフィクション)と記事の女性たち(フィクション)を交差させる物語の運び方に夢と現が混じり合うような不思議...

始まりは、とある三面記事。 一緒に暮らしていた女性2人が飛び降り自殺を図ったという内容。 作家である著者は数十年も前に目にしたその記事がずっと心に引っかかっていた。 著者(ノンフィクション)と記事の女性たち(フィクション)を交差させる物語の運び方に夢と現が混じり合うような不思議な気持ちで読み進めた。 "結局自分の理解する範囲でしか物事を見られない。ましてや人間には感情があって、必ずしも合理的な行動を取らないことは証明されているし、他人の考えていることも決して理解できない。記録があっても、それを残したのは勝者と決まっているから、何か事件があっても「どうしてなのか」を知ることは無理だろう。数行の記述にまとめられた事典の内容だけでは、歴史の輪郭にすら触れられない。" 著者の想像で作られた彼女たちの日常、人生… 第三者がいくら頭を捻ろうと真実は分かるはずがない。 そんな虚構の世界。 しかし、どこか他人事とは思えない世界。 限られた情報であらゆる推測を立てて結末へ繋げようとする作家の思考が垣間見えた気がした。 余談だが、著者の書くエッセイが読みたいと思った。

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2024/08/17

恩田陸自身の感情がふんだんに組み込まれなノンフィクション&フィクション作品。実際にあった、新聞の小さな記事に書いてあった事件を題材に、その事件の真相と、その事件を選んだ彼女自身の葛藤を描く物語。 「0」がノンフィクション、「1」がフィクションというわ変わった形式。最初は...

恩田陸自身の感情がふんだんに組み込まれなノンフィクション&フィクション作品。実際にあった、新聞の小さな記事に書いてあった事件を題材に、その事件の真相と、その事件を選んだ彼女自身の葛藤を描く物語。 「0」がノンフィクション、「1」がフィクションというわ変わった形式。最初は理解ができず、何度かページを遡った。この本の見どころは、実際にあった事件について、事件が起こったこと以外の事実がわからないまま、彼女なりの「虚構」として事件を描いていることだ。この「虚構」を描く中で、葛藤や悩みが相当あったことが文章からわかる。 「日常」とは何か。「死」とは何かを問いながら、自然の流れのまま死=消えゆくMとTへの思いを、ノスタルジアの魔術師として描く、奇妙で、それでいて温かみがある本であった。

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2024/08/03

新聞の隅っこに、ひっそりと載せられた記事。それが棘のように、1人の作家の胸に刺さる。その棘から生み出された作品です。 名言:本や映画に一定の時間をさくというのは、それだけ孤独を強いられるということでもある。

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2024/07/19

過去に起こった女性2人が心中した事件を題材とした物語。 過去と現在を行ったり来たりで、ちょっと難しかった。。 この物語を作る側は、特に何の真相は求めてないのです。 ただ過去に新聞の三面記事に載っていた『女性2人の心中事件』が心に引っかかり、それを基に物語を表現しようと奮闘する。...

過去に起こった女性2人が心中した事件を題材とした物語。 過去と現在を行ったり来たりで、ちょっと難しかった。。 この物語を作る側は、特に何の真相は求めてないのです。 ただ過去に新聞の三面記事に載っていた『女性2人の心中事件』が心に引っかかり、それを基に物語を表現しようと奮闘する。 どうしても頭の中で、心中事件の女性2人をイメージすると阿佐ヶ谷姉妹が出てきてしまう。。笑 事件が起こった当時と、物語を書いている現在が入り混じった書き方をされているので難しかったです。 でも、「物語を書く」「表現する」裏側が覗けたようで楽しかった。

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2024/07/01

淡白なのか、淡々としていて、本当に灰色っぽく感じました。 文字だけと真相は分かりませんが、それでも自分の足を運んで想像してみることは必要なのかもしれません。

Posted byブクログ

2024/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初めて読むタイプの小説。 読み始めは理解に苦しみました。登場人物の「M」と「T」。その二人が自分(語り手)なのか、作者なのか、新聞記事の2人なのか、大学の友達なのか分からない。場面がくるくる変わり、語り手が誰なのか分からず混乱しました。「1」「(1)」「0」の意味がわかると、あぁ、なるほどね、と納得。作者が新聞記事を見つけてそれを詳説にしようとする過程が描かれているけれど、その話が演劇になったのか、オーディションをして、羽が舞うシーンを再現しようとするけれど、その演出を実際に見てみたいと思った。この小説、ちゃんと感想文として書くのは難しいと思う。又吉直樹さんに解説してもらいたいwww でも、再読したくなり、2回目を読んでいます。

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2024/06/09

 想像の先のストーリー。モヤモヤとした霞の中で話が進んでいるようで、ついつい違うことを考えてしまって理解がモヤモヤしたまま話の始まりの日に至って終わってしまった。  解説まで読むべき一冊です。そういうことなら、出版しなければと思うのが納得できました。

Posted byブクログ

2024/06/04

最初から最後まで、大きな事件が起きることもなく、ずっと灰色の感じ。 強いていうなら母親が倒れていたところの描写だけ色ついて読めた。 結局2人の自殺の原因はわからなかったのだれけど、その決心は揺るぐことなく実行されたことがとても怖かった。 2人で申し合わせると、どっちかやめようと...

最初から最後まで、大きな事件が起きることもなく、ずっと灰色の感じ。 強いていうなら母親が倒れていたところの描写だけ色ついて読めた。 結局2人の自殺の原因はわからなかったのだれけど、その決心は揺るぐことなく実行されたことがとても怖かった。 2人で申し合わせると、どっちかやめようとした時にどうなるんだろうと思ったのだけれど。 結局死ぬ時は1人。 40代になって大学の友達と2人で暮らすことになって、孤独ではなくなったかもしれないけど、この同居がいつか解消されるのかという寂しさはありそう。 私は友達と暮らしたことはない、結婚するまでずっと実家にいたし。だけど大学の友達と暮らしていた人たちは楽しすぎて、このままだとまずい、と思うくらい楽しかったと言っていたのを思い出した。 私は家事もできないし、人と一緒に暮らすことは難しいと思った。

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2024/05/26

タイトルどおり灰色のイメージがずっと続くような話だった。 安定しているというと聞こえはいいかもしれないが、徐々に倦んでいくような2人の生活が結末を知っているのもあって不安で不気味だった。  今の時代は、昔に比べてこう生きるべきを押し付けられることは減って様々な生き方があると認めら...

タイトルどおり灰色のイメージがずっと続くような話だった。 安定しているというと聞こえはいいかもしれないが、徐々に倦んでいくような2人の生活が結末を知っているのもあって不安で不気味だった。  今の時代は、昔に比べてこう生きるべきを押し付けられることは減って様々な生き方があると認められる時代になってきていると思っている。その時代を生きている私としては、どうしてそんな結末を選んでしまったんだろうかと理解できない部分もあった。

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