一線の湖 の商品レビュー
最後のページを読むのが大変だった。 涙で文字がぼやけてしまって。 ぼやけてしまうから何度も同じ所に戻ってまた涙が出て読めなくなってを繰り返してやっと読み終えた。 本を閉じた今もスンスンしてて若干の酸欠気味。 こんなに泣いたのいつぶりだろう? 優しくて強いなぁ。 前作はとても色鮮や...
最後のページを読むのが大変だった。 涙で文字がぼやけてしまって。 ぼやけてしまうから何度も同じ所に戻ってまた涙が出て読めなくなってを繰り返してやっと読み終えた。 本を閉じた今もスンスンしてて若干の酸欠気味。 こんなに泣いたのいつぶりだろう? 優しくて強いなぁ。 前作はとても色鮮やかだった記憶に対して、今作は白と黒の世界だった。 この対比がまたすごい。 話は変わるけど前に別の本で絵本を通じて知り合ったお友達が亡くなったと書いたんだけど、実は私彼女が亡くなった事を彼女を知る人誰とも話ができていないの。 私は読み聞かせの代表をしているからその関係で学校から知らされた。 その時には既にお葬式も何もかも終わっていてお別れも何もできなかった。 ご家族の意向もあって学校側から口止めされた。 だから誰にも言えなかった。 でもそれってとてもしんどい事だったんだね。 誰とも悲しみを分かち合えないってこんなにも辛い事だったんだ。 そろそろ話してもいいよと彼女が言っているような気がした。 あー泣きすぎて目が痛い。 午後の仕事に差し障らないかしら笑
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美しく繊細で、そして力強さを感じる前作からの続きでした。 水墨画と人の心の描写に、圧倒され、こちらが乗り遅れないよう読み捉えるのに必死でした。 登場人物の心の動きが、水墨画が描かれることを通して伝わってきて、悲しさ苦しさ愛おしさ、言葉では表せない想いをぶつけられた気がしました。 ...
美しく繊細で、そして力強さを感じる前作からの続きでした。 水墨画と人の心の描写に、圧倒され、こちらが乗り遅れないよう読み捉えるのに必死でした。 登場人物の心の動きが、水墨画が描かれることを通して伝わってきて、悲しさ苦しさ愛おしさ、言葉では表せない想いをぶつけられた気がしました。 不甲斐ない自分に苦しくなって目を瞑りたくなり、動けなくなってしまった時、立ち止まって待つ勇気、目を向けて周りを見渡す勇気を持つことも大切なのだと、自分の中にしか目が行かずもがいている時、先が見えなくてつらい時、また読み返してみたい本でした。 それぞれが持っている自分だけの線、みんなとの繋がりの線、そんな一線を大切にしていきたいなと思いました。
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- ネタバレ
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今作もよかったなぁ。 霜介の悩みや葛藤を打ち破ってくれたもの。 そのきっかけは子どもたちだった。 子どもたちとの出会いにより、自身の過去を見つめ、成長していく姿が描かれる。 その心の描き方がとても繊細で。 「どんなに素晴らしい技術があっても、それを生かす心がなければ意味がない。器そのものが大切なわけではない。器に何を注ぐかが大切なことなのです」 という、湖山師匠の言葉がもう答えなのだろう。 でも、その答えの先は、自分で導き出すしかなくて。 そして「大切なのは受け入れること」だったと霜介は気づく。 それは、謙虚であることの尊さであるようにも思った。 自然を描くということは、人間もその一部に過ぎないことを知ることから始まるのかもしれない。 何かを表現するとき、自分の力ですごい作品を作ろうとするんじゃなくて、心の声に耳を澄ませることが大切なのだと思った。 水墨画を通して描かれる、霜介の成長や湖山師匠の生き方に胸をうたれた。
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「線は僕を描く」の続編。前作に劣らず良かった。水墨画を描くシーンの文章表現は心が動く。「線は僕を描く」の映画を観てから読むのがオススメです。
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前作が良かったので、今作をかなり楽しみにしてきたのだが想像以上に面白かった。 水彩画を描くときの言葉による表現が巧みで言葉選びが美しいという言葉では言い表せないくらい好き。私の想像力では賄いきれないほど緻密で繊細で濃厚な世界が広がっていて、果てしなさに目眩を起こしそうになった。...
前作が良かったので、今作をかなり楽しみにしてきたのだが想像以上に面白かった。 水彩画を描くときの言葉による表現が巧みで言葉選びが美しいという言葉では言い表せないくらい好き。私の想像力では賄いきれないほど緻密で繊細で濃厚な世界が広がっていて、果てしなさに目眩を起こしそうになった。自然を慈しみたいと思った。 指に墨をつけて描くという手法を初めて知り、面白いなと思った。指で描くことで遊び心が生まれて趣深くなるのだと知った。 両親を亡くした傷が癒えていない中、母の勤務した学校で子供たちと向き合い、当時の先生と会って話をする中で過去を受け入れていくシーンが特に好き。母の学習指導要領を見たり、当時の先生から母が子供を心から愛していることを知ったりする中で母の慈悲深さや子供のまっすぐな目、素直さに感嘆するところが良かった。 印象に残った言葉 子供は自然を観るのではなく変幻自在に遊ぶ。 拙さが時に優秀さよりも勝る時がある。 誰もが心の中に絵師を持っている。無限の可能性を持つ存在。だけど時ともに忘れてしまう。絵師とはそれを心の中に維持続けようとすることなのかもしれない。 99 全員が千差万別、無限の変化を探しているように思えた。水墨画というのはもしかしたらこんなふうに発展したのではないかとさえ思ってしまう
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前作が良かったので、かなり期待していました 人生に迷い、両親を亡くした過去に傷付き、未来に希望も見出せない主人公に、ちょっとイライラもしました そこは前作で踏ん切りつけておいて欲しかったなぁ〜と ただ、だからこそ見えてくる現実と受け入れるべき現実 前半のモヤモヤした感じがラスト...
前作が良かったので、かなり期待していました 人生に迷い、両親を亡くした過去に傷付き、未来に希望も見出せない主人公に、ちょっとイライラもしました そこは前作で踏ん切りつけておいて欲しかったなぁ〜と ただ、だからこそ見えてくる現実と受け入れるべき現実 前半のモヤモヤした感じがラストの未来への想いをより輝かせて見せるのかな 【読了短歌】 踏み出せず 迷いの森で 彷徨うも 希望の水面 描く一線
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水墨画を描くと言うことを通して、ワンネスを感じさせる作品だった。自分と他人も自然も地球も全てに隔たりがない…そんな世界を感じられて面白かった。心自由に生きたくなった。
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1作目を読んだのは結構前だったのですが、とても綺麗なお話だったので、今回も読むのを楽しみにしていました。 主人公の青山くんのことを、なんとなく好感が持てるのはなぜだろうと思っていたのですが、彼は、色んなことをすごく考えて、考えて、間違っていても抜け出せなくても、自分の中ですごく...
1作目を読んだのは結構前だったのですが、とても綺麗なお話だったので、今回も読むのを楽しみにしていました。 主人公の青山くんのことを、なんとなく好感が持てるのはなぜだろうと思っていたのですが、彼は、色んなことをすごく考えて、考えて、間違っていても抜け出せなくても、自分の中ですごく考えているところが自分と似ている気がしたからかなと、分かりました。 世の中の色んなことにちゃんと感謝したり、立ち止まって考えたり、そういうことできる人って、実はあまりいないのかな? 青山くんは、自分の弱さとか未熟さとか、ちゃんと受け入れて、考えて、生きていて、とても素敵だなと思いました。 あと、色々本を読んでいると「大切な人を亡くした人物の苦悩」というのが出てきますが、今回の青山くんは、とても自然で、「きっと、本当に大切な人を亡くしたらこんな風なんだろうな…」と思って、涙が出そうになりました。思い出さないように、あのころの閉じこもっていた自分に戻らないように、今をがむしゃらに生きたい…少しでもあの頃の思い出に触れてしまうと、また、戻りたい、と塞ぎ込んでしまうのが、怖い、 そういう葛藤が痛いほど、静かに、伝わってきて、切なかったです。 ここからは、私の心に残った言葉を書き留めておきます。 ↓ 誰かのすごく良いところは、実は欠点のように見えるもののなかに隠れてる。 無駄な時間ってないのかもしれない。空虚な日々は、心の内側に広さを与えた。 大きなことについて考えるには、大きな空間が心の内側に必要だろう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 登場人物みんな魅力的で、人間味に溢れていました。 そして、この本を読み終えたあと、水墨画の動画をどうしても見たくなって、見てみました。 世の中には私の知らない美しいものが、まだまだたくさんあるんだなと知ることのできる、本を読めて、幸せです。
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良かった。静かな美しさを心の中で思い描きながら読んだ。この本に挿し絵があったら…と、思ったけど、自分の中での水墨画で良いのだろうな… 物事の本質を知るというか、楽しむことは、他の世界にも通じると思った。
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青山はお母さんが勤めていた学校で子ども達と運命のような出会いをした。子ども達と一緒に描いた絵の場面が一番よかった。ただ一緒にいたかったんだ。という言葉が印象に残った。『湖』がすべてを物語っていた。描かないことで描けるということを文章で伝える、この小説の素晴らしさを感じた。水墨画の...
青山はお母さんが勤めていた学校で子ども達と運命のような出会いをした。子ども達と一緒に描いた絵の場面が一番よかった。ただ一緒にいたかったんだ。という言葉が印象に残った。『湖』がすべてを物語っていた。描かないことで描けるということを文章で伝える、この小説の素晴らしさを感じた。水墨画の世界を文章で表現し、読み手を引き込み、魅了する。気づいたら夢中になって読み、絵を想像した。それが楽しかった。読んでよかった本だ。
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