タスキ彼方 の商品レビュー
戦時下ということもあり人が入れ替わる ところどころ主語が見えなくなることもあった(あえてなのかもしれない)が、勢いで読めば大丈夫、それだけの走り抜ける感がある 最後のページまで、脈々と受け継がれてる駅伝を表されていて登場人物が丁寧に扱われている
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戦時下の箱根駅伝と令和の箱根駅伝が交錯する。 太平洋戦争真っ只中に陸上を愛した大学生たち。学徒出陣が始まり、それでも箱根を走りたい情熱。その思うがひしひしと伝わる。 一方の令和ではパリオリンピックを決めた現役の大学生アスリート。駅伝なんか、と歯牙にも掛けないのだが、コーチの祖父と箱根駅伝との関係が明らかになるにつれて気持ちが動く。 戦時下の駅伝、令和の駅伝ともになんとなく想像ができる擬名の大学が登場する。ご丁寧に最後に令和の箱根駅伝の記録が記載されているが、実在の大学ではない(名前は似ている)のであまり意味をなさない。 思い切って実在の大学名で書くことはできなかったのか?特に戦時中の部分についてはかなり詳細に調べられたと思うので、実在の大学と人物を使っても良かったのではないかと思う。令和に繋がるのは選手ではなかったわけだし。 一方で青学、駒沢と強い大学が偏っている現代では実在の大学名が使えない事情はわかる。特に今回の主役はピンクの「日東大学」。これは日大と想像できるのだけど実際太平洋戦争前から戦時中にかけてほぼ優勝常連チームだった。 中途半端に大学名が想像出来てしまうので、小説と割り切って思い切って実在の大学名で書いてしまっても良かったのではないかな、と自分は思った。 いずれにしても小説の内容は素晴らしく、戦時中に駅伝をなんとか継続したいという強い思い、戦後にGHQを説き伏せて復活させるという熱意。 出征のため、復路で走りたかった選手を往路で走らせ、そのまま戦地に向けて出発した選手が描かれている。戦時中に走った選手たちが戦争で命を落とした記載には涙が出る。箱根駅伝はそんな想いを背負いながら脈々と続いていると考えるともっと真剣に向き合ってあげたいと言う気持ちになる。
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タスキメシのシリーズがよかったので額賀澪さんの別の作品も読みたくて…。 人の命は何よりも尊いものであるはずなのに、命をかけて挑まなければならなかった学生たちの箱根駅伝への想いが溢れていて苦しくなった。 「もう走るのがしんどい。足が上がらない。そう思ったときに、あと一歩だけ足を前に...
タスキメシのシリーズがよかったので額賀澪さんの別の作品も読みたくて…。 人の命は何よりも尊いものであるはずなのに、命をかけて挑まなければならなかった学生たちの箱根駅伝への想いが溢れていて苦しくなった。 「もう走るのがしんどい。足が上がらない。そう思ったときに、あと一歩だけ足を前に出してみようと思わせる何かを、彼の背中はまとっている。」そんなふうに思える人との出会いはステキだと思うし、できることなら私も誰かの力になれる生き方をしたい、そう思わされた。
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「風に恋う」に大感動、大号泣したので、この作家の作品を読んでみた。時代、環境は違えど一人一人全員に青春があり、みんなその青春に一生懸命に挑む姿に感動した。羨ましいし、恥ずかしくなっちゃった。
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第100回箱根駅伝を機会に描かれた作品。 戦時中の箱根駅伝にかける大学生たちの想いを、現代の回想と交互に描く。 日東大に監督に就任したばかりの成竹は、ボストンマラソンで3位に入賞した神原と一緒にいる時に、戦時中に書かれた古い日記を外国人から受け取る。 そこには戦時中に箱根駅伝開催...
第100回箱根駅伝を機会に描かれた作品。 戦時中の箱根駅伝にかける大学生たちの想いを、現代の回想と交互に描く。 日東大に監督に就任したばかりの成竹は、ボストンマラソンで3位に入賞した神原と一緒にいる時に、戦時中に書かれた古い日記を外国人から受け取る。 そこには戦時中に箱根駅伝開催に向けて、必死に戦った人たちの様子が描かれていた。 昭和15年、戦前最後の箱根駅伝が行われていた。 まだ太平洋戦争は始まっていなかったとは言え、中国と戦火を交えていた日本は、駅伝が終わった学生たちを戦地へと送り出していた。 「箱根を走って、戦争へ行く」 それが当時の学生たちの心に決めたことだったが、翌年以降、箱根駅伝が行われることはなかった。 しかし、諦めきれない学生たちの想いを何とか形にしようとした男たちがいた。 関東学連の世良と宮野、そして及川だった。 その世良が遺したのが、成竹の手に渡った日記だった。 物語は世良たちの奔走した姿をメインに描いているが、走り終わった学生たちが、その後戦争に行って、見知らぬ地で亡くなっていくと思うと、序盤から涙なしでは読めなかった。 そして、「幻の箱根駅伝」 靖国神社、箱根神社を結ぶというもの。 繰り上げ出陣などが始まっていた中、人数が足りず、出場出来ない学校の中にも大会運営に何とか関わろうとしている熱い思いも伝わって来て、無事終えた後の靖国神社のシーンはとても印象的。 そこで、自分たちの「箱根駅伝」は幕を閉じたはずだった。 しかし・・・ 正直、現代のシーンいらないかなぁ、と思うくらい重厚な話だった。 今年で第100回を迎えた箱根駅伝にそんな時期があったなんて、そこそこの駅伝ファンでも気にしたことがなかった。 駅伝を走れなくて散った命、駅伝を走って国に捧げるはずだった命。 どちらの存在もあったから、ここまで続く大会になったことに感謝をしようと思った。 奇しくも、少し前に池井戸潤の「俺たちの箱根駅伝」を読んだばかり。 どちらも優越つけがたい秀作。
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いやあ凄かった。これは映画化しても良いのではないかと思った。難しいか、、? ただの駅伝のお話ではない。初読みの作家さん。 昭和十五年、真珠湾攻撃前の日本から物語は始まる。 その後開戦。戦火の色が濃くなり、中止になってしまった箱根駅伝。 学生の意地と根性で、昭和十八年、最後の箱根...
いやあ凄かった。これは映画化しても良いのではないかと思った。難しいか、、? ただの駅伝のお話ではない。初読みの作家さん。 昭和十五年、真珠湾攻撃前の日本から物語は始まる。 その後開戦。戦火の色が濃くなり、中止になってしまった箱根駅伝。 学生の意地と根性で、昭和十八年、最後の箱根駅伝という思いで復活させる。 多くの学生が自分たちがこれを最後に、直に戦争に動員されることを覚悟していたからだ。 開催に至るまでの奮闘、最後の箱根駅伝の様子を令和五年の現代の箱根駅伝の物語も混ぜながら描かれる。 なぜ箱根駅伝で走りたいのか、なんで観てしまうのか。 走者、補佐、補欠、運営側、記者、いろんな目線で描かれる。 彼らの走りに途中から夢中になってしまった。 箱根駅伝物語が終わって、物語も終わるんだなと思ったら、、、 最後痺れた。 お正月に大手町から箱根を走る箱根駅伝がある。 それは「なんてことなく続いていること」ではないんだな、ということがまざまざとわかった。 とても胸に迫る本だった。 スポーツを見ていっとき憂い事を忘れるように、本を読むことで、いっとき本の世界に夢中になれた。 「タスキとは何なのか」 本の扉に書いてあるけれど、1ページから読んでいってたどり着いた、その文はとても胸に迫るものがあった。 自分はどんなタスキを子どもに見せれているだろうか。 いろんな人におすすめです。
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箱根駅伝、好きです。 というよりも、お正月は箱根を見るもの… と、子供の頃から刷り込まれています。 そんな箱根駅伝の歴史が描かれていました。 あぁ、昔は踏切でジリジリしたよなぁとか 権太坂で勝負は、昔も一緒なんだなとか 楽しめる部分もありましたが 戦中戦後の話は、どの作品を読ん...
箱根駅伝、好きです。 というよりも、お正月は箱根を見るもの… と、子供の頃から刷り込まれています。 そんな箱根駅伝の歴史が描かれていました。 あぁ、昔は踏切でジリジリしたよなぁとか 権太坂で勝負は、昔も一緒なんだなとか 楽しめる部分もありましたが 戦中戦後の話は、どの作品を読んでも辛い。 箱根駅伝をなんとか開催したい。 でもそのために必死で訴えた言葉が 戦後どれだけ自分を苦しめただろう… 今現代、あたたかい部屋で TVの前で選手たちを応援できる 当たり前のお正月が、どれだけ幸せな事か 改めて痛切に感じます。 読んでよかった一冊です。
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箱根駅伝の歴史に基づくフィクションということで、あの大学この大学を連想させる架空の大学名やチームカラー、大学駅伝好きとしてマニアックな点にいちいち反応しながら読む。 第二次世界大戦によって中止を余儀なくされた箱根駅伝、その代替となる青梅駅伝、第22回としてカウントされながらも異...
箱根駅伝の歴史に基づくフィクションということで、あの大学この大学を連想させる架空の大学名やチームカラー、大学駅伝好きとしてマニアックな点にいちいち反応しながら読む。 第二次世界大戦によって中止を余儀なくされた箱根駅伝、その代替となる青梅駅伝、第22回としてカウントされながらも異質の箱根駅伝……。戦争が日本の学生に与えた深い傷を描き、読んでいる私も胸が痛くなる。 スポーツを楽しむことが禁じられ、鍛錬や戦技としてのスポーツのみ許される。そんな窮屈な世界で、それでも箱根駅伝を走りたいという学生の強い想いが生み出した第22回箱根駅伝。「走れてよかった、これで後悔なく死ねる」と思いながら走る。そんな悲しい駅伝があったなんて、知らなかった……。 今ある当たり前が、どれだけありがたいものなのか。噛み締めながら読んだ。 また、一方で今年は第100回箱根駅伝が開催された、記念すべき年でもある。物語は昭和と令和を行き来するのだが、令和のエースがまた新しいタイプのエースで、それがなかなかよかった。 駅伝が嫌いで、駅伝を走らない4年生エース。頑なに箱根駅伝を拒むエースなのだ。「えっ、この人どうしたら箱根走るの?物語的にこの人が走らないと終われないけど、走る未来が全く見えない!」と、先の気になる展開に。 そして一番最後のページの、100回大会の総合結果と区間賞一覧を見て、えっ、この人……!?となったのは私だけではないはず。この気持ちだれかと語り合いたい! 後半はいろんなことが繋がっていく。過去があって、現在があるのだ、というように。先人たちの思いを知って、ますます箱根駅伝への思い入れが深まる作品だった。
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今のところ今年イチ! 読み終わってすぐには言葉にならないくらい。 これで最後、と箱根を走る選手の気持ち、 駅伝開催にむけて奔走する関東学連の仲間の気持ち、 記録員、監督、記者、合宿所の女将、いろんな目線で丁寧に描写されている。 鍛錬と必勝祈願という建前がないと走れなかった時代から、そして戦争に取られて走れなかった選手たちから、時代をこえてタスキが現在に繋がっている。 べつに箱根駅伝でそんなに興味なかったけど、 戦争なんてくだらないもののために途絶えさせてはだめだ。 最後に宮野くんは及川くんに言ったことば。 『あんな大きな戦争がやっと終わったんだ。もう絶対にない』 安直だけど、そう、この思いを無にしてはいけない。
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箱根駅伝が国民的行事になっている理由が 少しは分かった気がする。 次回はもう少し気にして見てみようかと。
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