本心 の商品レビュー
「あの本読みました?」という番組に平野啓一郎さんご本人が出演されていて、こちらの作品の話をされていたことから興味が湧き、読みました。 自分自身の現在置かれている状況にもよるのでしょうが、自分の思いをひとつひとつ解説してくれているような感じがして、そのせいかなんだか苦しくなって、...
「あの本読みました?」という番組に平野啓一郎さんご本人が出演されていて、こちらの作品の話をされていたことから興味が湧き、読みました。 自分自身の現在置かれている状況にもよるのでしょうが、自分の思いをひとつひとつ解説してくれているような感じがして、そのせいかなんだか苦しくなって、休み休み読みました…。 映画化されるというので、そちらも楽しみです。
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2040年。AIが浸透したこんな近未来は、怖いような、希望に輝いているような、不確定の滲んだ世界。 格差、貧困、差別などさまざまな社会問題を孕んでいる本書、でも最後の章末のタイトルである「最愛の人の他者性」、これが一番大きなテーマであったように思う。 人が人を知ろうとするのは難...
2040年。AIが浸透したこんな近未来は、怖いような、希望に輝いているような、不確定の滲んだ世界。 格差、貧困、差別などさまざまな社会問題を孕んでいる本書、でも最後の章末のタイトルである「最愛の人の他者性」、これが一番大きなテーマであったように思う。 人が人を知ろうとするのは難しい。同じように自分自身を理解するのも難しい。心は確固たるものとしてあり続けず変容し続けていくから。 朔也は、自由死を希望した母の本心を探り当てられなかった。なぜ「もう十分」と人生に見切りをつけられるのか。VFでの母のアバターをつくり会話できるからといって、本心は探り当てられないことを最後には納得した。アバターも学習で変わり続けるもの。アバターは母の蘇りとはならない。 人間、そして万物は、生まれてから死ぬまで変わり続け、宇宙の藻屑に帰着する。宇宙規模でみれば刹那の間に人は仕事をし、恋をし、喜びもし、悲しみもする。 朔也は出会いを通し、悟りの境地にも近い内省のうちに、母の本心を探ろうとするよりも母の生そのものを受け容れるように、変わっていった。 最愛の人に会えなくなってしまうのはとても寂しい。 しかし絶望の寂しさではない。 最後には寂しさと共に生きる朔也の強さがあった。 母や友人らを通して見つけた、格差是正の一助となるあらたな道に歩み出すかれのこれからを予感させた。 実写化されるがどんな映画になるのか楽しみ。
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感想 生きている人は何を隠しているかわからない。だから人工知能に頼る。だけど彼らも信用できない。己の願望が反映されるかもしれない。
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このテーマだと右に出るものがいないんじゃないか。NHKの番組で亡くなったりゅうちぇるさんの奥さんとの対談してたのも思い出される。
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本心は結局その人にしかわからない。私たちは他者性から逃れることはできない。 当人でも自分の本心は意外とわからない。他者の本心にも自分の本心にも誠実に向き合うことが必要なのかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
感想を書くのがすんごく難しいけど、面白かった。 亡くなった母の人生を通じて出会う人々や、明かされていく事実から少しずつ成長していく主人公はやはり1人の人として立派だった。 表現が難しい所もあり、筆者が伝えたいテーマ性について考えられてはいないが、きれいな文章で読むことを楽しめた。
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死んだ母をAIを使ってバーチャルに蘇らせるという近未来SF設定を元に、自由死(合法安楽死)を選んだ母の本心を探る物語。人の『本心』という根源的なテーマを中心に、貧困や障害や母子家庭など、格差社会の問題も深く掘り下げており、読み応えのある作品。 他者の『本心』は、『分からないから...
死んだ母をAIを使ってバーチャルに蘇らせるという近未来SF設定を元に、自由死(合法安楽死)を選んだ母の本心を探る物語。人の『本心』という根源的なテーマを中心に、貧困や障害や母子家庭など、格差社会の問題も深く掘り下げており、読み応えのある作品。 他者の『本心』は、『分からないからこそ、分かろうとし続けることが大切だ』と言う事を本書で教えてもらった。そして、『自分が死ぬタイミングを自分で決める事は、人として許される事なのか』と哲学的な考えを問われる作品でもあった。 2040年代、悲しみや不安を仮想空間や擬似的な物に満たされる時代が来るのだろうか。15年後に本書を再読し答え合わせをしたいと思う。
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・・・感想が難しい 題名からは全く想像しない方向に 話しが進んでいったから、 それでまず??? これって最後『お母さん』はどうなるの? ばっかり思ってしまって あまり入り込めなかったなぁ ただやっぱり 最後はそこに落ち着くよね って感じで回収できて良かった これからの時代 こ...
・・・感想が難しい 題名からは全く想像しない方向に 話しが進んでいったから、 それでまず??? これって最後『お母さん』はどうなるの? ばっかり思ってしまって あまり入り込めなかったなぁ ただやっぱり 最後はそこに落ち着くよね って感じで回収できて良かった これからの時代 こういう事って増えていくのだろうな 中国で亡くなった子供を生き返らせるって いうようなニュースやってたし… 切ないけど やっぱりそれは違うんだろうな 同じ時間を過ごぜば過ごすほど きっと違いを感じるよね 平野啓一郎さん お初でした 比喩的な表現が多い気がして なかなか先に進めなかった まぁ読了できて良かったけど あくまでも私個人の感想です
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2040年の世界設定がとてもリアルで面白い。リアルアバターや自由死、仮想空間など近未来に存在しうるものを想像しながら読み進められ、見応えがありました。
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何年か未来の世界。温暖化が進み、AIやVFが主流。富裕層と貧困層の格差が広がっている。リアルアバターの職についている朔也は、亡き母をAIで甦らせる。生まれた家庭により抜け出せない貧困、差別意識などなかなか暗く、難しい話。でもこれが近い将来の私たちなのか。平野さんらしい本だった
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