神に愛されていた の商品レビュー
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天音が神と呼ぶほど崇拝していた冴理がずっと殺したかったのは天音自身だった。。 もし天音が冴理のためにしてきたことを本人に伝えていたらこんなことにはならなかった。 すれ違いが生んだ悲劇。 そして女の過剰な嫉妬は恐ろしい。。
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1ページ目から物語が何の違和感もなくするすると入ってきて、ああこれは止まらないと思った。昔ほど量を読まなくなって、ほんの少し義務感を奮い立たせなければ小説を最後まで読めないことが多くなっていたが、この本を読んで久しぶりに物語に導かれてページをめくらずにはいられない幸福を味わった。
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小説を読んでいると、書こうと思わないの?と聞かれることがあるが、小説を読めば読むほど、作家は天才なのだな、と思い知らされる。私では決して思いつかないワードセンス、完璧な構成、不可能の中に見出された可能性。日常では味わえない体験と、パラレルワールドに迷い込んだようなエンタメをくれる...
小説を読んでいると、書こうと思わないの?と聞かれることがあるが、小説を読めば読むほど、作家は天才なのだな、と思い知らされる。私では決して思いつかないワードセンス、完璧な構成、不可能の中に見出された可能性。日常では味わえない体験と、パラレルワールドに迷い込んだようなエンタメをくれる。冴理は、ゴミの中で生活をし、救いようのない現状から抜け出すために働き、光のある世界に憧れて小説を書き、天音は、光を描いていたが、寿命が決まっている絶望と不安の中で光を描いていた。対極にある2人のように見えるが、実は、自分の生活を救うために物語を紡いでおり、小説を書くことの根底は同じだったのだろう。闇を書く冴理と、光を書く天音。天音の授賞式で、冴理が黒いドレス、天音が白いドレスを着ていたことが、天使と悪魔のようで印象的だった。売れればチヤホヤされ、売れなくなると見捨てられる。常に緊張の中にいる仕事であり、人の目に晒され、評価されるという仕事。負担も相当なものなのだろうなと思った。私が、読んでいる小説たちが、作家たちの叫びや、恐怖の中から生まれたものなのだとしたら、それを味わって読めている私はどんなに幸せなのだろう。自分の才能を信じられなくなり、投げやりになったとき、誰かの言葉が心の支えになり、それが敵視していた相手の言葉だった。自分が嫌いな相手は相手も嫌いだと思うよ。と言われることが多いが、素っ気ない態度や、たどたどしい会話が、恋をしているからなのだと考えると、一概に相手の気持ちを推し量ることは出来ないなと思った。冴理を思うあまり、母親を焼き殺したり、好きな人を奪ったり、天音の行動は常軌を逸しているところがあったが、それだけ、冴理に対する気持ちが強いのだろう。小説が冴理、天音、茉莉、花音、シャープ(嬰)を繋ぐキーワードになっている。ヨーコさんがかっこよくて、彼女みたいに飄々として生きていたいと思った。 冴理が天音を失い、これから紡ぐ物語は、どのようなものなのだろう。『神に愛されていた』このタイトルは、天音に憧れていた冴理の言葉ととる事ができるし、冴理に憧れともとれる恋愛感情を抱いていた天音の言葉ともとれる。憧れの相手は永遠に失ってしまったけれど、思いが重なった共著、第1冊目になると考えると、とんでもない傑作なのではないかと思った。 ヴィーナスの乳首、食べてみたい。音楽と小説と、お菓子も出てきて、オシャレな小説だった。
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タイトルの回収の仕方に惚れ惚れ。 正直おおまかな展開は予想できたしハッとさせられるような描写やフレーズもそこまでなかったけど、ことばが胸にスッと入ってくる綺麗な小説だなぁと。 なんで30年も未来の時代設定なんだろう?と思っていたけど、そんな素敵な回収のされ方が...粋ですねえ
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売れっ子美人作家として活躍していた冴理。しかし、自分の高校の後輩であるこれまた美人人気作家・白川天音が文学界に登壇してから、冴理の作家としてのアイデンティティが崩されていき、天音を憎むまでに至る。 二人それぞれの視点から描かれる本書を読みながら、二人の作家の思いに打ちひしがれ、ハッピーエンドはなかったのか、と歯軋りしながら読み終わった。 結論としてとても面白かった。 二人が手を取り合って仲良くなる世界線が見てみたかった。 そう思わされることすら、この物語の面白みと言えるのかもしれない。
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読書記録81. #神に愛されていた 嫉妬と愛、才能 ドロドロとした女の世界 途中から物語の展開が読めて来てしまうところはありつつも、憧れと愛憎、才能と不安の狭間に立つ女達と共感できない男の物語 神に愛されていたのはあなた?私? 第三の女が最強だったイメージ
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天音の、冴理を神とも崇める歪んだ愛情から出た行動は、結果、冴理のすべてを奪い、苦しめることになる。また、冴理は、作品の中でひたすら人の闇=歪んだ感情を描き続けながら、天音の挙動から気持ちを全く慮ることができない程に嫉妬に狂い視野狭窄に陥る。 お互いに固執しすぎて、もはや相手を見ていない。相手を思いやることなく、それぞれが勝手な妄信で突き進んだゆえの悲劇の物語。
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冴理と天音、2人の小説家の物語。冴理目線で紡がれる足掻きや苦しさが伝わり引き摺られ飲み込まれる。ただ当人じゃないこそ気付く違和感と狂った歯車が回ってしまう歯痒さがもう。軽く読める話じゃないけどこの2人の行く先が気になりあっという間に読んでしまう。
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木爾チレン(キナチレン)と読むらしい。 前情報なく評価だけみて読んでみたけど、女性作家の羨望と嫉妬のうずまくストーリーに没入して一気読み。わりとおもしろかったです。 冴理から見た天音は少女漫画に出てくるライバル役よろしく嫌〜な女。 後半で天音視点に語り手が切り替わったとたん、印象...
木爾チレン(キナチレン)と読むらしい。 前情報なく評価だけみて読んでみたけど、女性作家の羨望と嫉妬のうずまくストーリーに没入して一気読み。わりとおもしろかったです。 冴理から見た天音は少女漫画に出てくるライバル役よろしく嫌〜な女。 後半で天音視点に語り手が切り替わったとたん、印象が切なく狂気じみたものに変わり、歪んだ愛情は人を傷つけるのだなと思った。 伏線はわかりやすく、意外性は少なめ。 ラストは物足りなさがあったので、個人的にはもう一つ感動する場面が欲しかった。
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二人の女性作家の物語。 冴理は闇と痛みのを書き、天音は光と希望を書く。 互いに互いの才能を強く意識しあう。嫉妬と崇拝、羨望と盲信。 小説を愛した二人は、少しでも何かが変わっていれば、良きライバルであり大親友になっていたのかなぁ。でも、やっぱりこうなる運命以外なかったのかもしれない...
二人の女性作家の物語。 冴理は闇と痛みのを書き、天音は光と希望を書く。 互いに互いの才能を強く意識しあう。嫉妬と崇拝、羨望と盲信。 小説を愛した二人は、少しでも何かが変わっていれば、良きライバルであり大親友になっていたのかなぁ。でも、やっぱりこうなる運命以外なかったのかもしれないなぁ。 ていうか、よく考えたら天音の行動力凄すぎる。 冴理と天音、そして二人に関わった人々、みんな愛おしく感じる話でした。 題名の意味を知る最後の最後まで面白かった。
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