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根っからの悪人っているの? の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2024/07/11

革新的な更生プログラムを一部の受刑者に実施している「島根あさひ社会復帰促進センター」を撮影したドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』の監督・坂上香さんをファシリテーターに、10代の若者四人と元受刑者が語り合う。 若者たちの柔軟性と、元受刑者の方たちの言語化能力の高さに驚く。...

革新的な更生プログラムを一部の受刑者に実施している「島根あさひ社会復帰促進センター」を撮影したドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』の監督・坂上香さんをファシリテーターに、10代の若者四人と元受刑者が語り合う。 若者たちの柔軟性と、元受刑者の方たちの言語化能力の高さに驚く。 若者たちはもちろん日本全国から無作為に選ばれたのではなく、加害や被害について興味が深く理解力のある方たちなのだろうと思っていたが、予想以上だった。 元受刑者の方おふたりは、きっとプログラムで何度も何度も自分と向き合って、見たくないものまでしっかりみつめて言葉にしてきたのだろう。 自分の思い込みとか、いろいろ恥ずかしかった。 本文中に「感情の筋肉」という言葉が出てくる。 「感情の筋肉」は、鍛えないと、「自分の感情」が、みえないし、わからない。 「自分の感情」が、わからないと「他者の感情」も、わからない。 最後に2000年の西鉄バスジャック事件の被害者、山口由美子さんと若者たちの対話。 山口さんは、殺されそうになっても、加害者の元少年と、人間と人間として関わろうとしてきた。 昔から、【罪を憎んで人を憎まず】という言葉があるが、それがどんなにむずかしいことか。 私が昔、無差別殺人のニュースを見ていてぽっと浮かんだ言葉、「加害者は、最初の被害者」 同じような言葉を若者の1人が口にしていて、私だけじゃなかったんだな、と思った。

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2024/07/10

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1811019110433837343?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

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2024/06/30

このシリーズ、本当に素敵だと思います。 ともするとひとりでぐるぐる考えてしまうような「答えのない問」について、一緒に考えてくれる感じ。 創元社さん、ありがとう。

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2024/05/23

私が被害者の身内だったらこんな本破り捨ててやると思ってしまうかもしれなかった。自分自身のみが傷つけられた場合だったら時があまり経たないうちでも加害者が犯罪に至った経緯に思いを馳せられると思う。確信があった。しかし仮に私の家族や友人が加害された場合確実に黒目がひっくり返って激昂して...

私が被害者の身内だったらこんな本破り捨ててやると思ってしまうかもしれなかった。自分自身のみが傷つけられた場合だったら時があまり経たないうちでも加害者が犯罪に至った経緯に思いを馳せられると思う。確信があった。しかし仮に私の家族や友人が加害された場合確実に黒目がひっくり返って激昂してしまい許さない許してはならない加えて他人から許されることがあってはならない許すのは私の仕事ではないと思ってしまう。こちらも確信があった。醜かった。でも一つの考えとして尊重されたかった。 ※日記から抜粋

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2024/05/23

映画『プリズン・サークル』の監督、坂上香さん著。妻の実家近くで立ち寄ったオシャレ独立書店が本書を題材に読書会を開くとのことで気になって購入。坂上さん、10代の4人、そしてプリズンサークルにも出てきた元加害者、元被害者など複数名が一同に介して成された会話を纏めたもの(本書は「あいだ...

映画『プリズン・サークル』の監督、坂上香さん著。妻の実家近くで立ち寄ったオシャレ独立書店が本書を題材に読書会を開くとのことで気になって購入。坂上さん、10代の4人、そしてプリズンサークルにも出てきた元加害者、元被害者など複数名が一同に介して成された会話を纏めたもの(本書は「あいだで考える」シリーズという企画の1冊だそうだが他の作品もどれも面白そう)。 どの章も良かったが、元加害者である翔さん(仮名)の回にただただ圧倒された。 翔さんは未成年の頃、身内を犯された復讐で10代の若者を殺してしまい、少年刑務所に8年収容された過去がある。映画では自らの感情を出さなかったとあるが、本書では自分が何故前述のよう人生を辿るに至ったかがめちゃくちゃ見事に言語化されてて感銘を受けた。 シングルマザーで夜の商売をしている母親に、夜間保育に預けられていた。それが嫌で、3, 4歳の頃から一人で留守番するようになった。 TC( Therapeutic Community。 刑務所で受刑者同士が対話することを重視した教育プログラム)で己の過去を語るうちに、自分は一人で置いていかれるのが嫌だったという感情に気付く。そのうち夜に残るのが嫌で家を離れ遊ぶようになり、恋人と同棲している時も恋人が遊びに行くのが耐えられない。 これが翔さんの語るロジック。 「これが嫌だ」という自身の感情に理由をつけていく様にマジで圧倒されたし感動した。もちろん翔さん自身のポテンシャルもあるやろけど、TCが人をここまで変えるのであれば、日本にももっと広がって知られるべきと思う。 仲間のサンクチュアリは自分がつくる。で、自分のサンクチュアリは自分がつくる。 そして、重たいテーマな一方、出てくる若者たちが驚くほど知的で感性豊かで、 「いや日本の未来明る、、!」 とポジティブにもなれるとても気持ち良い作品でもある。妻の実家近くの読書会には物理的に出れんが、読んだ人と是非喋ってみたい教養本!

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2024/05/05

サンクチュアリ…心から安全だと感じられて、安心して本音が話せる場所。「ここでは相手を攻撃せず、肯定的で、みんなのためになるような言い回しをしよう」「誰も仲間外れにしない」「対等に向き合う」「みんなからも学ぶけど、自分も誰かに与えてる」「自分がいてもいいんだっていう感覚」「仲間と一...

サンクチュアリ…心から安全だと感じられて、安心して本音が話せる場所。「ここでは相手を攻撃せず、肯定的で、みんなのためになるような言い回しをしよう」「誰も仲間外れにしない」「対等に向き合う」「みんなからも学ぶけど、自分も誰かに与えてる」「自分がいてもいいんだっていう感覚」「仲間と一緒にいる」 エモーショナルリテラシー…自分の心の動きや様々な感情を感じとり、理解し、表現する力のこと。それを言語化できないから暴力が言葉に成り代わってしまう 「口に出してったら自分にフィットする感情が見つかってきた」→TCでみんなに聞かれていくうちに「あ、それかな」って思う。それでだんだんフィットしていく感じ TCの場では、余暇時間に何人かが自分のテーブルに来てくれたりする。「さっきの話もう少し聞かせて」とか「話聞いて、この部分めっちゃわかった」とか言ってくれるっていうのが、活発にあったんですよp88 「刑務所っていうのは、屈辱的なことばっか。それはだんだん卑屈って言葉になっていく。そして自己嫌悪っていう、自分はダメな存在だとか汚い存在だとかっていう捉え方になっていってしまう。みんなゴキブリって好き?基本嫌だよね。で、ずっと誰かにお前はゴキブリだって言われ続けたら、自分は人前に出たらダメなのかなって思い始めるんだよ。屈辱を味わっていく中で自己嫌悪感がだんだん育っていく。そういうのがすごく厄介だよね。」p95 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「刑務所の環境がいいと戻りたくなる」という言説に対し、真人さんが否と答えているのが印象に残る。「犯罪は精神的にめちゃめちゃよくないんですよ。どんどん卑屈になって、どんどん人が悪くなっていく。今は、精神的にはちょっと崩れちゃってるけど、犯罪してないし、生きてるんだなって感じられるから、いいかなと。それに、昔は助けを求めたくても平然としたふりをして、まったく求めなくて、それがゆがんだ形で出てた。」(p. 52) →映画で、叔父の家に強盗に入った健太郎さんもそうだった。お金がないって、言えなかった。助けて、困っている、って言えるようになるといいな。

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2024/05/03

根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだ。坂上 香先生の著書。根っからの悪人っているの?きっと誰もが一度は持ったことがある疑問。私は根っからの悪人はいないと信じている。根っからの悪人がいたとしたら根っからの悪人として生まれてしまったら夢も希望もない。自分以外の誰かを根っか...

根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだ。坂上 香先生の著書。根っからの悪人っているの?きっと誰もが一度は持ったことがある疑問。私は根っからの悪人はいないと信じている。根っからの悪人がいたとしたら根っからの悪人として生まれてしまったら夢も希望もない。自分以外の誰かを根っからの悪人と上から目線で断定して恨んだり蔑んだりそんな資格は誰にもない。根っからの善人もきっといない。根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだを読んでもう一度真剣に考えてみる価値がある問題。

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2024/04/06

あまりの情報量というか、自分が触れてこなかった未知の状況・感情が多すぎてショックが大きかった。いかに自分が何も知らないか、何も考えていなかったかを痛感し、対話に参加した方々の言葉が思慮深くてもう感情がぐるぐるしてしまった。今ここにいるすべての人にバックグラウンドがあり、ヒストリー...

あまりの情報量というか、自分が触れてこなかった未知の状況・感情が多すぎてショックが大きかった。いかに自分が何も知らないか、何も考えていなかったかを痛感し、対話に参加した方々の言葉が思慮深くてもう感情がぐるぐるしてしまった。今ここにいるすべての人にバックグラウンドがあり、ヒストリーがあり、理由がある。すごいことだ。

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2024/04/01

山口さんとの対話が印象的だったな。私の中にある、被害者のイメージが一新された この本を読む前は暗い本だろうなと思ってたのに、読み終わってみたら爽やかな風が心に通る不思議な本。それは聞き手が選んだ色を見れば彼らも同じ気持ちとわかる 彼らが選んだ色を、私は最近選びとってないな

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2024/03/31

著者がファシリテーターとなり、4人の学生とそれぞれ別の事件に関わった加害者(刑余者)、被害者を交え、対話していく。 学生達の言葉が皆聡明で素晴らしいなと思った。計5回の対話の中で湧き上がる意見や感情はリアルで、学生達の最後の質問への返答からその交流の場がとても有意義なものだったと...

著者がファシリテーターとなり、4人の学生とそれぞれ別の事件に関わった加害者(刑余者)、被害者を交え、対話していく。 学生達の言葉が皆聡明で素晴らしいなと思った。計5回の対話の中で湧き上がる意見や感情はリアルで、学生達の最後の質問への返答からその交流の場がとても有意義なものだったと伺える。立場や考えの違う相手を受け入れる他者理解について考えることができる本。

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