同じ星の下に の商品レビュー
中学生の有乃は父母に虐待されて育つ。毎日が地獄のような生活の中児童相談所の渡辺と名乗る男に拉致される。何故、渡辺はお金のない有乃の親に二千万の身代金を要求するのか。読み進むうちに渡辺の優しさに固まった心がゆったりと解けていく。
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他の方のレビューが良かったので、期待を膨らませながら読み始めた。こういう場合、大抵あれ?となるのだが、ものすごく良かった。 壮絶な虐待を受けて育った沙耶が誘拐される話。 暗く、狭く、寒く、いつ殴られるかわからない、理不尽が溢れる自宅とは真逆の、暖かい、美味しいご飯にふかふかの布...
他の方のレビューが良かったので、期待を膨らませながら読み始めた。こういう場合、大抵あれ?となるのだが、ものすごく良かった。 壮絶な虐待を受けて育った沙耶が誘拐される話。 暗く、狭く、寒く、いつ殴られるかわからない、理不尽が溢れる自宅とは真逆の、暖かい、美味しいご飯にふかふかの布団、清潔な服、決して暴力のない安心できる誘拐犯の家。 美味しくて栄養のある食事を出してくれ、「冷める前におあがりなさい」「めしあがれ」なんて言ってもらうことは沙耶にはなかった。風邪ひいて、おじやを作ってもらうことなんて沙耶にはなかった。クリスマスにご馳走を食べるなんて、クリスマスプレゼントをもらえるなんて… 誘拐犯と人質の適切な距離感…なんて言いつつ、ちゃんと朝ごはんを用意してくれる。 読んでいて切なくなった。 誘拐という重大な犯罪からして、幸せな結末はないはず…と思うと、沙耶のひとときの幸せが永遠に続いてほしい、どう考えても善人の渡辺さんが自殺など捨て身で沙耶を救おうとしているのではないか…逃げ通せるはずがない…と、嫌な予感しかしなかった。 しかし、結末に深い感動。 良い本に出会えた。
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女子中学生が誘拐されるところから物語が始まる。しかし、何かおかしい。誘拐犯が優しいのだ。日頃、虐待を受けている両親とは大違い。この人が本当の父親なのかもしれない。 少女と事件を担当する刑事との両面から語られる。刑事は、両親の虐待を突き止め、その非道を暴いていく。 誘拐犯は、...
女子中学生が誘拐されるところから物語が始まる。しかし、何かおかしい。誘拐犯が優しいのだ。日頃、虐待を受けている両親とは大違い。この人が本当の父親なのかもしれない。 少女と事件を担当する刑事との両面から語られる。刑事は、両親の虐待を突き止め、その非道を暴いていく。 誘拐犯は、私に美味しい食事と温かい部屋を用意してくれ、クリスマスパーティーをし、プレゼントまでくれた。 謎が解けた。全ては産院での取り違えから始まっていた。 自分の弱さに気づき、向き合う。一生懸命生きていく。 この本も、最後に希望が待っていた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
有乃沙耶は両親から虐待を受けていた。 下校途中、児童相談所の“渡辺”と名乗る男に声をかけられる。 沙耶を迎えに来たと言われ疑うことなく車に乗る。 P13〈嫌な予感がした〉 そこがすべての始まり。 誘拐犯の“渡辺”と人質の沙耶。 でも様子がおかしい。 “渡辺”は沙耶に対して優しく接し 彼女はこの暮らしがずっと続けばいいと思い始める。 誘拐犯なのにどうして・・・。 “渡辺”の正体は? エピローグを読み そういうことか!と納得がいく。 確かめるように最初に戻り読み返す。 すべてのピースがカチッと綺麗にはまった。 P251 〈同じ星の下に生まれようとも、この世界は、悲しいくらいに不平等だ〉 みな幸せな毎日を過ごせたらいいのに。 そう思わずにはいられなかった。
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家庭に問題がある少女が誘拐される話です。 日常的に父親から暴力をふるわれ、母親に守ってもらえないどころか 「私もあんたのこと、そんなに好きじゃない」 と言われてしまう。誘拐犯のことを本当の父親ではないかと考える。潜伏先にいたい。家に帰りたくないと思う。悲しいです。 ところどころで...
家庭に問題がある少女が誘拐される話です。 日常的に父親から暴力をふるわれ、母親に守ってもらえないどころか 「私もあんたのこと、そんなに好きじゃない」 と言われてしまう。誘拐犯のことを本当の父親ではないかと考える。潜伏先にいたい。家に帰りたくないと思う。悲しいです。 ところどころでほっとするところがあり、キツい内容のわりにそれほど重さを感じずに読むことができました。面白かったです。
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『この誘拐犯が、本当のお父さんだったらいいのに』 12月の北海道。中学2年の沙耶(さや)は、下校途中「児童相談所の職員」を名乗る男の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。 沙耶は数日前に児童相談所に、電話をかけていた。「親に虐待されています。もしかしたら殺されるかもしれません...
『この誘拐犯が、本当のお父さんだったらいいのに』 12月の北海道。中学2年の沙耶(さや)は、下校途中「児童相談所の職員」を名乗る男の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。 沙耶は数日前に児童相談所に、電話をかけていた。「親に虐待されています。もしかしたら殺されるかもしれません。」と。 渡辺と名乗る誘拐犯は 身代金として2000万円を要求するという。しかし沙耶は「家にはそんなお金はないし、私の為に身代金を払うとは思えない」と訴える。 沙耶は 両親から日常的に虐待をうけていた。 父親からは性的暴行。母親はネグレクト。 もうこの2人が本当に酷い親で( '-' ꐦ) 自分の子供が誘拐されたことより、身代金のことばかり気にしてるし 怒りと呆れがMAXになる。 「両親は無知だったんだ。子どもが出来て、産んだら、親にならなくちゃいけないことを。親になったら、育てる責任があることを。」と考える沙耶の方がよっっっぽど大人だ!! そして始まる誘拐犯との生活。 美味しいご飯。 温かいお風呂。 清潔な部屋と布団。 何不自由なく、というより 自分の家に帰るよりも 何もかも恵まれた環境に置かれる沙耶。 この誘拐犯は何を考えているのだろう? 戸惑う沙耶と 読者の私。 いっそこのまま この家で渡辺さんと暮らせたら…とと思い始める沙耶と私。 2人の生活で特にホッコリしたのは 「誘拐犯と人質の 保つべき適切な距離感」という会話。笑 沙耶と渡辺が喧嘩した翌日、渡辺が用意した朝食のおかずがいつもより少なくなっていたのが「犯人と人質の適切な距離」らしい笑 かわいい。 誘拐犯と中学生が喧嘩してる時点で 適切な距離感なんて崩壊してると思うよ渡辺!笑 沙耶が「親と喧嘩できる家は仲がいい、うちは親に口ごたえをすれば殴られるだけだ」と考えていたのが切ない。 こんなにも優しい誘拐犯に、沙耶はいつしか「この人が本当のお父さんなのでは?」と思うようになる。 渡辺の正体。そして、誘拐の本当の目的。 それは「本当のお父さん」なんていう優しいものではなく、沙耶には知らされることのない、驚愕の真実で、沙耶の人生を大きく変えてしまうものだった。 渡辺の犯した罪はとても重い。誘拐という罪にもう一つ…。 けれど、読み終える頃には「この事件に関わった人 みんな幸せになって欲しい」と願ってしまうのです。(沙耶の両親以外!) 追伸 いっきゅうさん 私も泣かなかったよ
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両親に虐待されている中学生少女の沙耶。 彼女はある日の下校中に誘拐される。 裕福な家庭でもない沙耶の家庭に要求される身代金は2,000万円。 しかも、不思議なことに、誘拐犯はヒロインを監禁するものの丁重に扱う。 誘拐犯がヒロインを誘拐した目的とは? ヒロイン...
両親に虐待されている中学生少女の沙耶。 彼女はある日の下校中に誘拐される。 裕福な家庭でもない沙耶の家庭に要求される身代金は2,000万円。 しかも、不思議なことに、誘拐犯はヒロインを監禁するものの丁重に扱う。 誘拐犯がヒロインを誘拐した目的とは? ヒロインの監禁生活パートと警察の捜査パートに分かれており、どちらも読みやすくて次々と読みたくなる内容。 ヒロインの両親のクソっぷりもなかなかですが、そのクソっぷりがヒロインの監禁生活をより際立たせているなと思いました。 また、読み進めていくと深まる謎、なぜ誘拐したのか以外の謎も出てきて、あっという間の300ページ弱でした。 この作品のヒロインに対する感情は何なんだろうか。 虐待されていることに対する哀れみなのか、哀しみなのか、不憫で同情しているのか、単に幸せになってほしいと思っているのか。 虐待されずに育った私にはなんとも言えない感情になりました。 でも、タイトルの通り、夜に同じ星を見ているはずなのに、星の下では過保護過ぎるくらいに愛されている子もいれば、こんなに寒いのにベランダに追い出されたり、食事すらろくに取らせてもらえない子供もいる。 安らかに眠れる子供もいれば明日朝無事に起きれるかすらわからない子供もこの日本にいるということ。 こんなことを普段私は想像することもなく生きています。 虐待で亡くなった児童のニュースが出るたびに、可哀想だとか、児相は何をやっているのかとか思うだけで。 しかし、本作品を読んで、今、虐待で苦しんでいる子どもたちに私には何もできませんが、唯一できることがあります。 それは、どうか生きてほしいと祈ること。 そんなことしかできませんが、そんなことでもやりたいと思えるそんな作品だと思いました。
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初めましての八重野さん。 優しい。文脈が優しいのでそこに何故か読み進めるのにジーーーンと…。 時には優しい話も必要ですね。これは私個人に行っています笑
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昨今話題になる本で、虐待がテーマのものが多いような。テーマとしては描きやすいのだろうけど、それを娯楽として読めるのは、虐待から離れた場所にいる人間だけなんだろうなと思ってしまう。 沙耶を助け出したいのだろうという誘拐の目的は早々から分かるものの、動機が掴めないまま話が進むのが面白い。物語の中での情報の出し方のバランスが絶妙。読後感もよい。
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12月の北海道。中学2年の少女・有乃沙耶(ありのさや)は、下校途中で児童相談所の職員を名乗る「渡辺」という男の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。男はなぜか沙耶に優しく、両親から虐待を受けていた沙耶は、実は彼が「本当の父親」なのではないかと疑い始める。一方、男は身代金2000...
12月の北海道。中学2年の少女・有乃沙耶(ありのさや)は、下校途中で児童相談所の職員を名乗る「渡辺」という男の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。男はなぜか沙耶に優しく、両親から虐待を受けていた沙耶は、実は彼が「本当の父親」なのではないかと疑い始める。一方、男は身代金2000万円が目的の営利誘拐であると犯行声明を北海道警察に送りつけ、粛々と計画を進める。男は一体、誰で、目的は何なのか? 二人の交流、誘拐の顛末、男の真意などが気になってどんどん読めた。誘拐されているのに、そこでの生活は温かくて、二人がこのまま幸せに暮らしていければいいのにと祈っている自分がいた。沙耶が渡辺からクリスマスプレゼントとしてふわふわの白いマフラーをもらったシーンでは、渡辺の愛情と沙耶の思いに涙が止まらなかった。不器用すぎる贖罪が齎した結末にはそれでも確かな救いがありました。 「これからもずっと、きみのことを祈っている」
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