私労働小説 ザ・シット・ジョブ の商品レビュー
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者のブレイディみかこさんの私小説。前著でもよくでてきた「シットジョブ」がいろいろでてくる。 ロンドンに行くための資金集めバイトから、ロンドンに来てからも移民の立場としての仕事の苦労がよくわかる。 いわゆる海外に夢を持って憧れの国へ...
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者のブレイディみかこさんの私小説。前著でもよくでてきた「シットジョブ」がいろいろでてくる。 ロンドンに行くための資金集めバイトから、ロンドンに来てからも移民の立場としての仕事の苦労がよくわかる。 いわゆる海外に夢を持って憧れの国へいってハッピーエンドじゃなく、リアルな体験がフィクションとして書かれている。でもそこには「私」がかなり入っていて、実体験が多いんじゃないのかと思いつつ読ませていただいた。 日本よりも露骨に上流と下流の格差が出てくるけど、見えにくいかどうかだけで日本にもある。形にしにくいものをよく表してくれているなと思う。
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実体験を含むフィクション。デヴィッド・グレーバーの「ブルシット・ジョブ」を意識して書かれたシットジョブ。 世の中、理不尽や矛盾や本音と建前だらけ。 その割を喰うのは女性やマイノリティやシットジョブ階級ってこと。 ブレイディみかこさんの著書はわかりやすいし心に刺さる。
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著者のパンク小説。 国や社会、世間に激しく訴えかけるためか、フィクションに仕立て上げている。 どの話もラストの文章がカッコいい。 短編の主要登場人物は、みかこさん自身と、身近に存在する人をモデルにしたのだと想像した。 『一九八五年の夏、あたしたちはハタチだった』 みかこさんの...
著者のパンク小説。 国や社会、世間に激しく訴えかけるためか、フィクションに仕立て上げている。 どの話もラストの文章がカッコいい。 短編の主要登場人物は、みかこさん自身と、身近に存在する人をモデルにしたのだと想像した。 『一九八五年の夏、あたしたちはハタチだった』 みかこさんの実年齢、中洲のバイト体験はリアルだった。(あんみつ姫は楽しかった。私的感想) 『ぼったくりブルース』 ナニーやオーペアのバイト におけるEXPLOITINON =搾取=ぼったくり 『売って、洗って、回す』 マネキンのバイト、クリーニング工場のバイト、服のリサイクル。 『スタッフルーム』 保育園スタッフルームでの階級差別。 『ソウルによくない仕事』 日本食スーパー店まかないの仕事。 『パンとケアと薔薇』 看護師の友人、介護士の母、病院ボランティアをする弁護士。エッセンシャルワーカーのストライキ。 #仕事小説#階級差別#労働者
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フィクションとは言え、留学先や仕事での壁や矛盾がリアルで、その時々で感じとったことや今、起きていることへの分析に、考えさせられるものがあった。特に、『ぼったくられブルース』は、上流階級のホームステイ先で使用人のように扱われるのだが、その仕打ちを 「人間の主体性の搾取」と切り捨て...
フィクションとは言え、留学先や仕事での壁や矛盾がリアルで、その時々で感じとったことや今、起きていることへの分析に、考えさせられるものがあった。特に、『ぼったくられブルース』は、上流階級のホームステイ先で使用人のように扱われるのだが、その仕打ちを 「人間の主体性の搾取」と切り捨てる。言葉のチョイスが絶妙で、清々しく感じた。
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デヴィッドグレーバーのブルシットジョブではホワイトカラーの高収入でもやりがいを感じない、なくてもいい仕事ばかりを取り上げたお話しでしたが、こちらのシットジョブは、低賃金の労働を語るときにイギリス人が「シット(くそ)みたいな時給しかもらえない」「シット(くそ)みたいにきつい」「シッ...
デヴィッドグレーバーのブルシットジョブではホワイトカラーの高収入でもやりがいを感じない、なくてもいい仕事ばかりを取り上げたお話しでしたが、こちらのシットジョブは、低賃金の労働を語るときにイギリス人が「シット(くそ)みたいな時給しかもらえない」「シット(くそ)みたいにきつい」「シット(くそ)みたいに扱われる」などと口にする言葉からタイトルを付けたようです。 そんなイギリスでの労働、住み込みベビーシッター、洋服屋の店員、洋服リサイクル回収のボランティア団体、保育園、日本人向け社食の調理人、病院のボランティア活動など高収入ではない仕事ばかりを取り上げたフィクションとしてのお話しのようです。 でも当本人が実際に経験していないと、ここまでディテールを語ることはできないのではと思ってしまいます。 「パンより薔薇を」はよく聞きますが、「薔薇よりパンを」で訴えるストライキの出来事も本当なんでしょうね。今の日本もまさにこれにあたるのではないかと思ってしまいます。 そして、病院の桜の木の下で患者と散歩している亡き母の話しは、胸が熱くなりました。 これからの日本の未来を想像するには、何十年前のイギリスの労働者を見ると参考になるのかもしれませんね。
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シットジョブ どうでもいい仕事は社会からどのような評価を得ているのか。日本においてもケアワーカーを中心にまだまだ処遇が改善されていないように思う。人口減少により、生活維持サービスが提供できなくなったら、仕事を継続することも難しくなる時がある。 ブレイディの本は読みやすい!
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シットジョブをベースに英国で漂流。とても面白い英国での日本人模様。同時に仕事ってなんだって考えさせられるね。
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自分の人生とか知識の中にない世界、話なので、どう捉えていいか分からないところが今もありますが、とにかく(正しい表現が分かりませんが)圧倒されました。これからもこの方の本を読んでいきたいと思います。
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シットジョブ。報われず、搾取されまくる仕事。他人に低く見なされるから自分が低くなったように思えるときこれは闘う。もう一つは本当に自分自身が低くなっていくとき。これは逃げる。 どんな場合でもこの言葉は間違いない。逃げようが勝。
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私の大好きなブレイディみかこさんの短編集。ブレイディみかこさんが描く日本の貧しい人々、イギリスの労働者階級の人々の描き方はリアルで尊厳がこもっているといつも感じる。無意識に差別することなく、それでいて逆差別的に「貧しい人は頑張っていて、偉い人」という描き方もせず、ただただ人として...
私の大好きなブレイディみかこさんの短編集。ブレイディみかこさんが描く日本の貧しい人々、イギリスの労働者階級の人々の描き方はリアルで尊厳がこもっているといつも感じる。無意識に差別することなく、それでいて逆差別的に「貧しい人は頑張っていて、偉い人」という描き方もせず、ただただ人として描く描き方が本作にも出ていた。特に「パンとケアと薔薇」の話が印象に残った。この話の舞台はイギリスだが、日本のエッセンシャルワーカーや教育系の職とも通ずる話だと思う。
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