リカバリー・カバヒコ の商品レビュー
公園にあるアニマルライドのカバ。アドヴァンス・ヒルに引っ越してきた1階から5階の住人たちが、頭、口、耳、足、目の身体と心の悩みをカバに触れる事から乗り越えていく心温まる連作短編集。 言葉を尽くせばいいと言うわけではない。 「ただ愛するだけ。それだけ。心をこめて。」 それだけで充...
公園にあるアニマルライドのカバ。アドヴァンス・ヒルに引っ越してきた1階から5階の住人たちが、頭、口、耳、足、目の身体と心の悩みをカバに触れる事から乗り越えていく心温まる連作短編集。 言葉を尽くせばいいと言うわけではない。 「ただ愛するだけ。それだけ。心をこめて。」 それだけで充分伝わる事がある。言葉をこねくり回して必死で伝えようとしていた自分が恥ずかしい。 もちろん一方で、 「本当の「話せる」って、「必要なことをきちんと伝えられる」こと」 という事実は人間関係ではとても大切。 結局、言葉は心ととてもつながっている。だからこそ使い方を間違えると、思いとは裏腹なものになり傷つけてしまうことにもなる。 「不安を抱くのは、想像力があるから。」 きっと不安の根拠は想像力で、いろいろな事に敏感だからこそ不安な人は優しい。それは、本当にそうで、ある人を見ていて、今まで何度も感じてきたこと。 そして、あまりにも不安な気持ちには 「立ち向かうより、そらすってことも大事」 不安への向き合い方は、それぞれだけど、不安になることを否定する必要はない。 そして、不安を乗り越えた時、回復したあと、 「前とは違う自分になってる」 だからやはり、自分の不安は昇華したい。 不安になるであろう人には、側に寄り添えなくても、祈りたい。その人には、素敵な人になって欲しいから。 愛情を伝えたいと思い、伝えることが大切な場面はたくさんある。でも 「与えるだけじゃなくて、受け取ることも愛情」 であることを知った時、優しくなれる気がする。 大切な人が、大切な選択をした事を、ちゃんと報告してくれた。報告してくれたということは、自分が報告する必要のある存在であると思ってもらえているという事で、その気持ちを柔らかく受け取る事は、結局大切な人を大切に想えているという事なのだと思う。 大切な人が幸せであるように祈っている。 そして、その祈りがいつか自身のことも満たしてくれればと思う。 そういえば、一つ目の作品で、少し前、その人が育てていた観葉植物パキラがでできて心が疼いた。 今も部屋にあるのかな。 自分自身の存在に対する不安に繋がってしまうような大きな喪失が続いて起こってしまった3年…。 今、とても、リカバリー・カバヒコにいて欲しい。
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公園のカバのアニマルライド。体の良くないところを撫でると治ると言われてる。成績の下がった学生、ママ友との付き合いに悩む母、耳の病気になってしまった人、足の遅い子、母との関係に悩む編集長。 ハッピーエンド過ぎる感はあるものの、人生の教訓めいたものを教えてくれるのはなかなか良かった...
公園のカバのアニマルライド。体の良くないところを撫でると治ると言われてる。成績の下がった学生、ママ友との付き合いに悩む母、耳の病気になってしまった人、足の遅い子、母との関係に悩む編集長。 ハッピーエンド過ぎる感はあるものの、人生の教訓めいたものを教えてくれるのはなかなか良かった。
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青山さんの優しさがギュッと詰まった連作短編集。 どの話も共感できる。 中でも、カバヒコの由来が良かった。親子のような近い存在ほど、素直になれず意固地になる。ありがとうの一言も言いづらい。奥さんの美弥子さんがいい潤滑油だった。
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手に入れて、1日で読破。青山ワールド全開。カバヒコ、近所の公園に欲しい❗まさか、カバヒコが和彦のカバヒコだったなんて。しかも美弥子さんが、結婚してからのお得意さんだったなんて。相変わらず、ぐるっと廻って着地。読み終わって、心ぽかぽか。優しい気持ちと、何かがあっても前を向いて行こう、という思いを貰いました。あと雫田さんも、雫田さんママも素敵。もちろん和彦ママも。
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公園片隅にひっそりと置かれたカバクン名はリカバリーカバヒコ。それに纏わる短編5話心ホンワリと暖まる話だった。同じマンションに住む人々と繋がり人情味あふれるお話。女性著者ならではの描写はとても素晴らしい。
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1話が好きだった。いつも周りと比べて劣等感や優越感を感じてしまう自分にとって刺さる話だった。 2話はママ友が出てくる話だけど、やっぱりママ友のイメージって悪いんだなぁと思った。実際そんなに悪いものでもないと思ってるけど、世間的には何かギスギスしてたり怖いイメージあるんだろうな。 5話は良い話だったけど、美弥子さんが良い人過ぎて違和感。。義母に対してそこまで出来るもんなのかな?同居なんて絶対嫌だけどな、私の心が狭いのかな…って思った。
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『アリアドネの声』を犠牲にして『リカバリーカバヒコ』を召喚、ずっと俺のターン!!! 読み終えて感動のあまり遊戯王になってしまった私ですが、もこさんと本を交換してやっとカバヒコと出会えました。もこさん、ありがとう! 『赤と青のエスキース』を読んでからの方が絶対に良いと聞き、慌てて...
『アリアドネの声』を犠牲にして『リカバリーカバヒコ』を召喚、ずっと俺のターン!!! 読み終えて感動のあまり遊戯王になってしまった私ですが、もこさんと本を交換してやっとカバヒコと出会えました。もこさん、ありがとう! 『赤と青のエスキース』を読んでからの方が絶対に良いと聞き、慌ててオーディブルで拝聴。これに関しては本当に聴いてからで正解でした!知っているのと知らないのとでは段違いに差が出ます。それはもう22ページから差が出ます。(とはいえカバヒコだけでも十分なんですが) ここ最近は青山さんの本に癒される事が多いですが、今回も素晴らしいヒーリング効果! 鳥頭になって来た私の脳が見事にリカバリーされました(まあ通常状態が前者な気もしますが) 今まで拝読した青山さん作品の中で1番個人的に色々と考えさせられた本であり、最後の章では胸が一杯になって中々読み進められなくなったりしたのですが、この辺は後述するとして。 今回も青山さんが得意とされている群像劇のそれぞれが繋がって、主人公達が立ち直って行きます。 第一章『奏斗の頭』では、進学校に転校をしてから周りの学力が格段に上がり平均点も取れなくなってきた奏斗の奮闘記。バカになってしまったと自分を責めてやる気を失ってしまうのですが、これは従兄弟が同じ状況に陥り不登校になってしまったので他人事とは思えず胃が締め付けられましたが、奏斗には素敵すぎるクラスメートの雫田とカバヒコが手を差し伸べてくれます。 第二章『紗羽の口』では「以前はありがとうと言う時は感謝と誇りに満ちていた」と主人公の紗羽。この始まりが嫌な予感を彷彿とさせますがやはり「今はすみません、という萎縮の気持ちだけだった」とママ友のリーダーへの気持ちが吐露されます。ママ友さん問題に揉まれ子供の為にとそれでも耐える紗羽。そんな紗羽を尻目にエスカレートして行くリーダーの行動。しかし大丈夫、カバヒコが居るのです!更に素敵なママ友の絹川さんが一石を投じてくれるので紗羽は誇りを取り戻して行きます。 そして第三章『ちはるの耳』ではウエディングプランナーだったちはるが、自分も気付いていないストレスで耳を悪くしてしまい自分だけが不幸だと思い詰め、第四章『勇哉の足』は嫌な現実から逃げようとした勇哉が、悪くない筈の足を本当に痛めてしまう。少年の感涙成長物語です。(とある場面ではもう、その映像が目に浮かんでたまりませんでした) このように、それぞれの年代、悩みを抱えた主人公達がカバヒコの伝説を聞いてそれを本当にしていく物語です。 そして迎える第五章『和彦の目』 「自分が痛いのと同じところを触ると治っちゃうんだから。人呼んでリカバリーカバヒコ」この伝説の出処が遂に明らかになります。 五章に関しては何も言えませんが「自分の見たい物にだけピントを合わせる」「人はやっぱり、見たいものだけ見たいように見えている」この和彦の気付きが私の目も大いに開かせてくれました。 ここからは本当に個人的な話なので、お時間のある方はどうぞお付き合い下さい。 本書を読まれた方にはお分かり頂けると思うのですが、青山さんの作品は人との繋がりが他の誰かを救っており、それを踏まえて第五章を読んで自分の母親の事を思い出しました。 とある事情で私がかなり落ち込んでいた際に、次から次へと「お母さんには本当にお世話になったから」と何人もの近所の方々からお声をかけて頂き良くして頂いた事がありました。 当時は全く知らなかったのですがその方々に後に聞いた話によると、母は皆さんの悩みや近所同士のトラブルを聞いては解決に走り回っていたそうです。 私には何の注意もしなかった母ですが、ただ1つだけ「人の話を聞きなさい」とは良く言われていました。 言葉の真の意味がその時に分かり、この『リカバリーカバヒコ』を読んでそれが時には他人を救い、自分も救われる事を再確認したのです。とても大切な本になりました。 そして、父と母への感謝を忘れてはいけない事をブクログのフォロワー様に教えて頂きました。 初めは自分のアウトプット用として始めたブクログですが、皆さんの感想や気付きを拝見して楽しい時間を頂いて、おまけに自身も成長出来ている気がします。 この場をお借りしてお礼を申し上げます、本当にありがとうございます。 自分語りのようになってしまいお恥ずかしいですが、そんな私は現在夕飯とおやつを食べすぎたせいで、苦しくて本が読めません。 カバヒコのお腹を撫でてリカバリーしようと思います。(もこさんの本に手垢を付ける羽目に)
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リアルな生活のワンシーン。みんなそれぞれ何かを抱えて生きている。そして、何かのきっかけでそれがふっと楽になる。その繰り返しで生きている。心温まる短編集。
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青山さんの作品は、優しくて温かくて元気をもらえる。 ひと気のない公園の遊具、カバヒコに悩みを打ち明ける住人たちのストーリー。 *第1章 「奏斗の頭」 *第2章 「紗羽の口」 *第3章 「ちはるの耳」 *第4章 「勇哉の足」 *第5章 「和彦の目」 ...
青山さんの作品は、優しくて温かくて元気をもらえる。 ひと気のない公園の遊具、カバヒコに悩みを打ち明ける住人たちのストーリー。 *第1章 「奏斗の頭」 *第2章 「紗羽の口」 *第3章 「ちはるの耳」 *第4章 「勇哉の足」 *第5章 「和彦の目」 個人的に第3章 が1番、胸にぐっときました。思わず涙ぐんでしまう場面も。 大人も子どもも良いことばかりじゃないけど、たいていは狭い世界でのこと。 心の拠り所で気持ちをリセットしたり、ふとしたことで誰かと言葉を交わし癒されたり元気をもらったり、前を向くきっかけになったりもする。 住人たちが、優しくつながっていく様子も良かった。 やはり青山さんの作品は読後感がいいなぁ♪ 凝り固まった心を柔らかくほぐしてくれるし、一歩踏み出す勇気をもらえる。 軽い読み心地でおもしろかったです。 『もう流されたりしない。やるべきことを、やりたいことを、私のペースでしっかりやっていく』 『まずはやってみるっていう、それだけ。もしかしたら楽しいかもしれないし、やっぱりすごくつらいだけかもしれないし、でもそれってやらないとわかんないじゃん』
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青山さんの作品は何冊か読んでいて、読んだ後はいつも心が温かくなる。 この作品も短編集だが、さらっと読めて一日で読み終えてしまった。 どの話も大事件が起こるわけでなく、日常の些細な出来事にそれぞれが悩んでいるのだけれど、そこに親近感をおぼえる。 どの話も最後が良かった。
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