蒼天の鳥 の商品レビュー
大正時代を舞台とした、実在する女優作家、田中古依子を主人公にミステリーが展開される。基本的な昔の時代の情報が頭にないと読みづらいと思った。 こんなに聞き分けの良く、頭の回転が早い7歳児がいるかな…
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面白かった。ただ推理小説としては「いまいち」かなとも思った。 時代背景も、事件の舞台も推理小説としての設定だけでなく、普通に「小説の題材」としていい設定だと思った。ある意味大正ロマンとは真逆な、モダンガールもデモクラシーも感じられない地方の、厳しい現実世界の中で、立ち上がらざるを...
面白かった。ただ推理小説としては「いまいち」かなとも思った。 時代背景も、事件の舞台も推理小説としての設定だけでなく、普通に「小説の題材」としていい設定だと思った。ある意味大正ロマンとは真逆な、モダンガールもデモクラシーも感じられない地方の、厳しい現実世界の中で、立ち上がらざるを得なかった「新しき女」たち。その中の一人「田中古代子」を主人公に持ってきたのも、よかったなと思った。 ただ何と言うかストーリーの肉付けに、私だけかも知らないがあまりよく分からない組織を出してきたり、「動機」や「トリック」も後付けのような気がした。 つまり、「田中古代子」とその娘「千鳥」を名探偵にするための「犯人」を制作し、その犯人に似合う「動機」と、その犯人にも出来そうな「トリック」を作ったような感じがした。 とは言え「田中古代子」も、娘の「千鳥」も、そしてなにより友人の「尾崎翠」も、いい感じで描かれていたように思われた。浅学で、「田中古代子」や「田中千鳥」のこと、また「尾崎翠」のことも全く知らなかった。でも、この小説を読み終わった後で、何か「田中千鳥」の詩集を読んでみたくなった。
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江戸川乱歩賞受賞作品 大正浪漫ミステリー 序盤、ぐっと引き込まれましたが、中盤ちょっと中だるみ、終盤は盛りかえす印象 舞台は鳥取 実在の人物と出来事を織り込んだ作品です 知らなかった大正時代を感じられました
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前情報入れずに読んだ無知だったので、実在の人間と出来事を組み込んで書いたことに最終章まで気づかなかった。何もわからず読んでも面白い。ミステリだけど主軸はミステリより時代や人間の心情にあって、著者の熱意に読むうちに引き込まれた。女の権利を求めて立ち上がる熱、村で暮らすことを選んで日々に流されていくトミ子たちの嫉妬に憧れと誇らしさが滲んでいくのがドラマみたいだった。 黒幕や動機はわかりやすく書かれていたからミステリとしてはそこまでよかったわけではないけれど、うまく行き過ぎていることに小説を書いて古代子が気づくシーンが多重構造になっててよかった。南郷は騙されてたこともわかっていたけどそれでも好きな女と幸せに暮らす夢や自分の子が産まれて愛される夢を守ろうとしたんじゃないかな……。千鳥ちゃんの最期は歴史的に避けられないのだとしても、哀しい。
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私からしてみたら、世界を広げるよりも、もっと大切なことがあります。世の中なんて小さくていい。ううん、もっと暗くて、汚くていい。もっともっと貧していて、猥らで堕落してもいいんです。私は一生泥のなかにいてもかまいません。ただただ好きな人と、ずっと一緒にいられるのなら ただただ痴情の話...
私からしてみたら、世界を広げるよりも、もっと大切なことがあります。世の中なんて小さくていい。ううん、もっと暗くて、汚くていい。もっともっと貧していて、猥らで堕落してもいいんです。私は一生泥のなかにいてもかまいません。ただただ好きな人と、ずっと一緒にいられるのなら ただただ痴情の話でした。
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第69回江戸川乱歩賞受賞作。 作者の三上幸四郎は脚本家。 大正時代の鳥取を舞台に、実在した女流作家と夭逝した文人田中千鳥が巻き込まれる騒動。 何重にも仕掛けられた伏線の上を、ドラマが駆け回る。 ドラマらしく、ちゃんと色もある。 これは映画か2時間ドラマで観たい大活劇であった。
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江戸川乱歩賞受賞と知り手に取りました。 力強い物語に引き込まれ、最後まで物語の展開が気になり、あっという間に読み終えました。 千鳥と古代子の激動の物語、鳥取を訪れた際には是非立ち寄ってみたいと思わせてくれる作品でした。
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江戸川乱歩賞受賞作。「ためし読み」で隣県の鳥取が舞台と知り手に取った。時折りgoogle mapを参照しながら読み進めた。 おもしろかった。 終章まで、主要な登場人物が実在する人だと知らなかった。尾崎翠ってもしやと思って調べると何と、いた。田中古代子も娘も旦那も時代と結びつく人だ...
江戸川乱歩賞受賞作。「ためし読み」で隣県の鳥取が舞台と知り手に取った。時折りgoogle mapを参照しながら読み進めた。 おもしろかった。 終章まで、主要な登場人物が実在する人だと知らなかった。尾崎翠ってもしやと思って調べると何と、いた。田中古代子も娘も旦那も時代と結びつく人だった。名探偵の娘千鳥がこの後わずか7才で亡くなったことも知り、現実のままならぬ厳しさに肩を落とした。
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鳥取市が舞台ということで、同じ山陰に暮らす者として、まして先日も訪ねたばかりなので街並みを頭に浮かべつつ読んだ。田中古代子は実在したようだけれど、これまで知らなかった。なかなか先鋭的な人物ではありませんか。結局、夫の涌島義博とともにアナキストということでよろしいですか?これ、ミス...
鳥取市が舞台ということで、同じ山陰に暮らす者として、まして先日も訪ねたばかりなので街並みを頭に浮かべつつ読んだ。田中古代子は実在したようだけれど、これまで知らなかった。なかなか先鋭的な人物ではありませんか。結局、夫の涌島義博とともにアナキストということでよろしいですか?これ、ミステリー的にはどれほど魅了を感じんのですが、古代子や翠が時代を切り拓いていこうとする生き方に共感させられる。ようは無理してミステリーに仕立てなくてもと思ったり。実際は知らんけれど、あんなにミグレニンなる鎮痛剤に頼れば心身に障ります。
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大正時代の実在の人物をモデルにした話なのだが、その実在の人物を全然知らないので、さほど興味を引かれなかった。時代は大正だが、文章も大正ぽくて、私はそこが苦手かな。まあ、それなりのミステリーかな
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