蒼天の鳥 の商品レビュー
素晴らしい書籍に出会えたものだ。大正時代の情景表現もよく父が話してた事と重なっていて思い出してしまった。登場人物も実在する名前が出てくるしその上ミステリーときたもんだ。謎解きも興味津々で最後まで読者を惹きつけて離さない!
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大正浪漫の香りのする鳥取の村、東京の文壇に憧れる女性たち、社会主義者やアナーキストたちの暗躍に活弁「怪盗ジゴマ」。印象は色々な物が一緒くたに詰め込まれた玉手箱のよう。尾崎翠の第七官界彷徨の創られる様子や田中千鳥の生き生きとした才能の煌めきの描写など真実のようなフィクションだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
第69回 江戸川乱歩賞 受賞作。 江戸川乱歩賞作品にしてはミステリーに意外性が無いのが残念です。 しかし、作者がこの時代、この場所を舞台にして、作者の地元の実在の人物である田中古代子、千鳥の母娘を世に知らしめることを第一義としている気持ちはひしひし伝わってくる良作だと思います。
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主要な登場人物が実在した人物であることを知らずに読んでいた。『ジゴマ』シリーズも小説で読んだこともないが、なんとなくどこかで知ったのか、名前だけは朧気な記憶だけがあった。ではあるのだが、大正時代の鳥取を舞台に繰り広げられる物語を楽しめた。正直言うと、途中までは特別ワクワクしたり入...
主要な登場人物が実在した人物であることを知らずに読んでいた。『ジゴマ』シリーズも小説で読んだこともないが、なんとなくどこかで知ったのか、名前だけは朧気な記憶だけがあった。ではあるのだが、大正時代の鳥取を舞台に繰り広げられる物語を楽しめた。正直言うと、途中までは特別ワクワクしたり入り組んだ事情もなく淡々と進んでいるようでちょっと拍子抜けしていたのだが、後半に差し掛かってきて決してそんなことは無かった。怪盗vs探偵は活動写真の描写とも重なるようで非常に楽しめたし、生き抜く女性の意思と強さを堪能した。最後はなんだか切なくも感じて、さらに実在の人物だからこその結びとなったと思うと、ジゴマは自分が望む生き方をできたのだろうかと、ここで描かれない未来のことが気になってしまった。 大正13年、禁映となっていたジゴマの活動写真の禁が解かれ、鳥取市で上映される。女流作家の田中古代子は娘の千鳥と共に「凶賊ジゴマ」の観劇に訪れ、その最中に火事が起きる。逃げようとする中、舞台上に本物のジゴマが現れ、最前列の男性を殺す。そして、古代子と千鳥にも襲いかかってくるが、なんとか逃れ浜村に帰り着く。 主人公の田中古代子は女性の自立を訴える“新しい女“の1人と評されながらも、あることないことを元に“稀代の悪女”などとも新聞に書かれる。元々、気管支炎を長く患っており女学校を退学しつつも強い意志で乗り越えている。何の障害もなく注目されるようになっていくわけでもないし、この物語の中では古代子の葛藤や弱さも描かれる。親友の尾崎翠が古代子を奮い立たせる場面がある。母と同じく気管支炎を患っていた娘の千鳥が古代子の支えになっていたことも間違いない。そんな古代子が叫ぶ言葉は多くの人の心に残るのだろう。そして、千鳥が愛おし過ぎる。
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令和5年の江戸川乱歩賞受賞作品です。 ミステリー小説というより、大正期を舞台にした 時代小説を読んでいるようでした。 そう、舞台は大正時代です。場所は山陰の鳥取。 しかも登場人物は実在したようでして、そこは 歴史小説でもあるのかな。 与謝野晶子や平塚らいてうを筆頭に「表現...
令和5年の江戸川乱歩賞受賞作品です。 ミステリー小説というより、大正期を舞台にした 時代小説を読んでいるようでした。 そう、舞台は大正時代です。場所は山陰の鳥取。 しかも登場人物は実在したようでして、そこは 歴史小説でもあるのかな。 与謝野晶子や平塚らいてうを筆頭に「表現する」 「発信する」女性を目指す主人公が事件に巻き 込まれ、それを探偵の如く解決します。 と書いてしまうと単純に思えますが、大正時代 という雰囲気が文面から非常によく表れていて、 まさしく江戸川乱歩氏の時代を彷彿とさせる一 冊です。
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このブクログの評点もバカにできないな と思った 江戸川乱歩賞受賞作なのに 評点低い まあ、読んでみて妥当だわと納得したけどね まず、選評にあった通りミステリー色が弱い 貫井先生ほど辛辣な意見ではないけど 俺もよく受賞できたなと思った (俺の選評) 作品が古くさい な...
このブクログの評点もバカにできないな と思った 江戸川乱歩賞受賞作なのに 評点低い まあ、読んでみて妥当だわと納得したけどね まず、選評にあった通りミステリー色が弱い 貫井先生ほど辛辣な意見ではないけど 俺もよく受賞できたなと思った (俺の選評) 作品が古くさい なんか 一昔前のミステリー小説を読んでるみたいだった 前半、物語をなぞっていって退屈で眠たくなる 乱歩っぽい雰囲気が少しあるから これはこの賞ではプラスポイントかな マイナーな実在の人物を使ったのは プラマイゼロ 俺は作中に知ってる歴史上の人物が 出てくるとテンションぶち上がるから そっちの方が好みではある 女性の活躍を選評では評価されてたが、 これもそこまで響かなかったので、 プラマイゼロ まあ、人にオススメするかと聞かれれば しませんな、落選。
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江戸川乱歩賞受賞作。大正時代の女流作家・田中古代子は「兇賊ジゴマ」の活動写真を見に行った最中の殺人を目撃し、自らも命を狙われることになる。社会革命運動が活発な時代、不穏な輩が活動する中で身を護るために、彼女は利発な娘や内縁の夫とともに危難に立ち向かうことにする。息もつかせぬ展開の...
江戸川乱歩賞受賞作。大正時代の女流作家・田中古代子は「兇賊ジゴマ」の活動写真を見に行った最中の殺人を目撃し、自らも命を狙われることになる。社会革命運動が活発な時代、不穏な輩が活動する中で身を護るために、彼女は利発な娘や内縁の夫とともに危難に立ち向かうことにする。息もつかせぬ展開の活劇ミステリです。 当時の時代情勢や雰囲気がたっぷりと味わえる作品です。その中で当時の女性としては逞しく生きようとする古代子や尾崎翠といった女流作家の姿が清々しくて素敵でした。そしてなんといっても、幼いながらに利発で勇敢な千鳥のキャラクターが良いです。子供らしいところがありつつも、大人顔負けの洞察力。主役であり探偵役であるのは古代子なんだけれど、千鳥の印象がとても強かったです。なので後日談の部分はけっこう悲しくて、これは知りたくなかった、と思ってしまったのですが。事実なので仕方がないのですね。 とにかくスリリングな読み心地は圧倒的です。特に古代子が活動写真の弁士をするシーンにくぎ付けでした。惚れ惚れしてしまいます。
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大正13年(1924年)の鳥取が舞台の探偵小説。主人公の田中古代子、娘の千鳥、友人の尾崎翠、夫の涌島義博は実在の人物らしい。そして「怪盗ジゴマ」も、実在の活動写真。内縁の夫・涌島は社会主義活動家。文筆家の古代子は、未来をひらくために東京へ進出しようとしている。 古代子と娘の千鳥...
大正13年(1924年)の鳥取が舞台の探偵小説。主人公の田中古代子、娘の千鳥、友人の尾崎翠、夫の涌島義博は実在の人物らしい。そして「怪盗ジゴマ」も、実在の活動写真。内縁の夫・涌島は社会主義活動家。文筆家の古代子は、未来をひらくために東京へ進出しようとしている。 古代子と娘の千鳥が「怪盗ジゴマ」を観にいった映画館で、劇中に火災が発生、観客が避難する中、「ジゴマ」の格好をした人物が現れ、古代子の隣りにいた男性が刺殺された。その後、古代子の周りには怪しげな影がうろつくようになり、古代子と千鳥は真相究明に動き出す。 この辺りの時代背景を理解していないので、読後に少し調べてみた。時代は関東大震災の翌年で、不況の入口だったとか。そして昭和初期の軍拡へ向かうのか。鳥取に流れてきた過激アナキスト集団「露亜党」が絡んでくるが、涌島たちとの明確な違いは、よく理解できず。
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この夏、登った鳥取城跡と美しい洋館思い出しながら。大正時代の雰囲気、充分醸し出され、時代小説読んでいる気分に。後半の謎解き、少しくどくて…。脚本家ということで、これからも期待。
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江戸川乱歩賞受賞の作家さん。 大正期の鳥取の小さな村を舞台に実在の作家達をモデルにしたミステリー。 鳥取座での活劇もどきの始まりからぐいぐい引っ張られてあっと言う間に読み終えた。ミステリーと言うより物語性が強めだったが当時の生活感、世情がとてもリアルだったので、この事件さえ実録物...
江戸川乱歩賞受賞の作家さん。 大正期の鳥取の小さな村を舞台に実在の作家達をモデルにしたミステリー。 鳥取座での活劇もどきの始まりからぐいぐい引っ張られてあっと言う間に読み終えた。ミステリーと言うより物語性が強めだったが当時の生活感、世情がとてもリアルだったので、この事件さえ実録物ではないかと思った程。 絶対に映画化して欲しい作品。
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