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未明の砦 の商品レビュー

4.5

123件のお客様レビュー

  1. 5つ

    70

  2. 4つ

    34

  3. 3つ

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2024/06/05

オーディブルで聴きました。 前半の4人の勉強の場面は、いきなりここで学校の授業か!と不安に。。お勉強のできなかった4人がそんなに都合よく学べるわけないだろうと思うが、まあそこはストーリーに必要なプロットということで、目を瞑る。 その後は4人とともに学び、怒り、ハラハラ・ドキドキ...

オーディブルで聴きました。 前半の4人の勉強の場面は、いきなりここで学校の授業か!と不安に。。お勉強のできなかった4人がそんなに都合よく学べるわけないだろうと思うが、まあそこはストーリーに必要なプロットということで、目を瞑る。 その後は4人とともに学び、怒り、ハラハラ・ドキドキしながら駆け抜けた。 知らなければいけなかったことを、たくさん学んだ。 義務を果たすことを優先し、権利を主張することを日本人は良いことと思わない傾向があるけれど、その結果が今の日本。 ・GDPをドイツに抜かれた理由も簡単な理由。給与が少ないから。 ・換えのきかない仕事はない、換えがきかなのは、「友人、家族」 ・日本は民主主義を勝ち取ったことはない。アメリカに無理やり押し付けられた。 ・コロナ禍でルーブル美術館の従業員が出勤を拒否したが、従業員が出勤が危険と判断すれば、雇用者の承諾を得なくても出勤しなくて良いと認められている。 日本人として、働く者として読んでおかなければならない本でした。 この本が出たのが2023年7月。納期に間に合わせるために安全性の工程を省いていたというトヨタの不祥事が2024年1月。もはやフィクションではないのでしょう。 正社員の非正規雇用者を下に見る、士農工商的思考は江戸時代から変わっていない。 とにかく太田愛氏はすごい。彼女の日本の政治、労働環境に対する思い(怒り)が刺さる。もはや彼女は日本の上級国民階級であるはずなのに、末端にいる弱者目線でいてくれて、尊敬。

Posted byブクログ

2024/06/09

大手自動車メーカー「ユシマ」の工場で働く四人の非正規工員は、夏休みのある出来事を契機に大きくその人生の軌道を変える。そして冬、彼らは共謀罪の初の標的となる。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは―。共謀罪始動の真相を追う刑事、この国を超法規的な手段で一変させようと試...

大手自動車メーカー「ユシマ」の工場で働く四人の非正規工員は、夏休みのある出来事を契機に大きくその人生の軌道を変える。そして冬、彼らは共謀罪の初の標的となる。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは―。共謀罪始動の真相を追う刑事、この国を超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する 彼ら4人が望みを達せられるようにと祈るような気持ちで読み終わった。砦にやっとたどり着ける結末で幾分ほっとはしたが、阻もうとする政権と警察などの国家権力、彼らに金を差し出す大企業などが結託して強大な壁を越えることは難しい。勿論、警察やユシマ内部など彼らの味方になってくれた人物もあって到達できたのだが、味方は一握りだろう。今後彼らが生き残っていけるか先行きが不安で悲壮感が残る。本文には現代の事実が描かれていて抜け道が今にも塞がれてしまうようだった。 これほど社会に、メスを的確に入れ、偏った構造を見せつけられると暗澹とした気分になる。 昨日、国土交通省がトヨタ自動車などによる車両認証の不正があったというニュースが流れた。作品巻末の膨大な参考文献にもあったなぁ~。 追記   社会を変えられると疑わなかった若い頃、あの頃に原動力となったエモーションは消えかけている。小説中に登場した文庫の姉さんや、組合を作るために4人に手を貸した男性のような存在が、未来に続く社会を育て作っていくのだろう。

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2024/06/01

社会問題に向き合い、立場の弱い者が巨大な企業を相手に闘って当然の権利を追求する。太田愛さんのデビュー作「犯罪者」を彷彿させるストーリーだった。

Posted byブクログ

2024/05/28

※ ボリューム、内容、共に読み応え十分ですが、 それ以上に気持ち的にも考え方的にも いろいろな部分で感じ入ることができた 読んでよかった一冊でした。 『幻夏』以上に好きかもしれません。 ーーーーー 超富裕層や政治家、官僚やエリート社員など、 特権枠にいる人間だけが利益を得、権力...

※ ボリューム、内容、共に読み応え十分ですが、 それ以上に気持ち的にも考え方的にも いろいろな部分で感じ入ることができた 読んでよかった一冊でした。 『幻夏』以上に好きかもしれません。 ーーーーー 超富裕層や政治家、官僚やエリート社員など、 特権枠にいる人間だけが利益を得、権力を 我がもの顔に使い支配する体制側の人間。 一方で搾取し虐げられ、使い捨てにされ、 そんな状態に疑問を抱くことすらなく、 諦めることが当たり前な状態に慣らされ 非正規労働者として末端で生きる人間。 理不尽や不合理に疑問を抱いたとしても 抗うことを諦め、不公平を受け入れるように しつけられ、飼い慣らされてきた若者が、 ある夏のひと時をきっかけに、自分たちが 人間であることに気づき、行動を起こして 日常を変えていく。 戦前の政府の行い、戦後の社会と法律の変化、 日本における労働者環境と海外との違いなど、 意識して目を寄せてこなかった史実や事実を 四人の若者が、それぞれの感性で興味の先を 切り分けながら自らの考えを深めいく様子は まるで水を得た魚や新芽の様で瑞々しいです。 また刑事の目を通して彼らを追走しながら、 これまで持っていた自分の殻を揺さぶられ、 刺激されるのでとても引き込まれます。 社会の労働問題と人間の尊厳への意識が、 年齢や性別、立場を超えて混じり合って 変化していくとても深い話。

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2024/05/27

のほほんと生きている自分を恥ずかしく感じました。 無知は恥でもあり、罪でもあるような。 衝撃的なストーリーでした。

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2024/05/25

登場人物が多く出で、みなが葛藤しながら日々戦っている様子が、熱かった。 日曜劇場みたいな。 ドキドキしながら主人公たちと共に戦いながら読んだので、達成感がハンパなかった。 終わり方がまた熱かったなぁ… 読後、爽やかな風が吹きました。

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2024/05/24

私的には、犯罪者と同じくらい楽しめました。この方は、きちんと色々な事を知っている方なのだと思います。ドラゴン桜の様な感じで、一般市民に気付かれては困る事が書いてあるので、考えられる日本人にはかなり刺さる内容だと思います。 ただ、ちょっとお高いので文庫が出ないと友達には中々勧められ...

私的には、犯罪者と同じくらい楽しめました。この方は、きちんと色々な事を知っている方なのだと思います。ドラゴン桜の様な感じで、一般市民に気付かれては困る事が書いてあるので、考えられる日本人にはかなり刺さる内容だと思います。 ただ、ちょっとお高いので文庫が出ないと友達には中々勧められないのが残念です。

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2024/05/22

大手自動車メーカー〈ユシマ〉に対し、非正規工員の矢上・脇・秋山・泉原の4人が、労働者の権利を訴えるため反旗を翻す。 不遇な労働環境で、弱い立場の労働者が我慢をして働く現状を改めて考えさせられました。権力のある者に従い、あった事をなかった事にしてしまう残酷さがとてもリアルです。大手...

大手自動車メーカー〈ユシマ〉に対し、非正規工員の矢上・脇・秋山・泉原の4人が、労働者の権利を訴えるため反旗を翻す。 不遇な労働環境で、弱い立場の労働者が我慢をして働く現状を改めて考えさせられました。権力のある者に従い、あった事をなかった事にしてしまう残酷さがとてもリアルです。大手の会社だと警察や政治とも関係があり、その大きな権力に立ち向かうには困難を極めますが、4人が労働組合について勉強し、闘っていく様子を背中を押すような気持ちで読んでいました。どんな立場でも労働者の権利があり、声を上げていくことが改善に繋がるのだと気付かされる作品でした。

Posted byブクログ

2024/05/19

いやぁ、深い 何も知らず、教えられず、機械のように働き生きてきた若者が 労働とは何かを学び成長し、「よき労働者」になるために戦う物語 疾走感⇔メッセージ性 「犯罪者」<「幻夏」<「天上の葦」<「彼らは世界に~」<「未明の砦」 顕著に発表順にメッセージ性が強く感じます(笑) ...

いやぁ、深い 何も知らず、教えられず、機械のように働き生きてきた若者が 労働とは何かを学び成長し、「よき労働者」になるために戦う物語 疾走感⇔メッセージ性 「犯罪者」<「幻夏」<「天上の葦」<「彼らは世界に~」<「未明の砦」 顕著に発表順にメッセージ性が強く感じます(笑) 疾走感が好きな私としては今回は星4つで。

Posted byブクログ

2024/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

優れたエンタメって普遍性や先見性を持つと聞くが、この作品もまさに。 紅麹の問題が起こった時、真っ先に思い出したのは『犯罪者』だった。太田愛さんに感服。 弟の仕事場を覗いているみたいだ。 自動車工場の期間工。無期雇用契約。実態を聞いてみたらほとんどそのままだった。 主人公グループも権力側の人間も、ちゃんと感情移入できる精巧さ。 私のお気に入りは脇。「おい、わ〜き〜!」とツッコミたくなる。なんで毎度、一人で全部食うんだおまいは。まぁ生い立ちのせいなんだけど、そういう細かい部分の性格の創り込みがリアル極まりない。でもおにぎりを分けられるようになってホロリ。 運動を起こすことの困難さも、それを何とか乗り越えようとする作戦も予測できないアクロバティックさですごく面白い。 国や企業や大きな組織が、邪魔な人間を排除しようとすればこういうやり方がある事。それを知る意味は大きいと思う。自ら奴隷にならないために。 社会ではどんな人間も殆ど替えがきく。「替えがきかないのは大切な人」というセリフは、グッときた。 行動が継続するためには純然たる怒りがめげない原動力となる。 社会への憎しみを育てるのではダメだ。 自分の頭で学び、考え、自己陶酔の為ではない社会変革を志し、闘って欲しいという著者の願いを感じる。無気力や自己卑下に負けず、待遇の差による目先の憎しみに負けず。同胞の屍を登って息をつくような生活をしないで生きて行けるように。またその屍の1つにならなくて済むように。 私達の持つ権利は、先人たちの命がけ闘いが勝ち取った見えない宝であるということ。そして継承するためには今闘わねばならないということ。権力の思惑に操られる危険を忘れないこと。ちっぽけな力しかないのならば、集まらなければ立ち向かえない。集まるならば賢明でなければまとまれない。 私は社会運動とか、ネット署名とかは、胡散臭さを感じてしまうので好まないけれど、この本を聴いたことで、忌避するよりももっとよく見定めようと思えた。矢上たちのように自分でゼロから調べて、心から賛同できるならば、ひとりの大人として行動しよう。

Posted byブクログ