イラク水滸伝 の商品レビュー
相変わらず凄い本を書かれる・・・ブクログに記録しただけで著者の作品は11作目で、その前から拝読させていただいています。 だからこそ感じる勿体なさ!素晴らしい情報が出てきているのに少し難しく見えてしまってはいないか。別に自分に編集させろと言いたい訳でもなんでもなく、この面白さが伝わ...
相変わらず凄い本を書かれる・・・ブクログに記録しただけで著者の作品は11作目で、その前から拝読させていただいています。 だからこそ感じる勿体なさ!素晴らしい情報が出てきているのに少し難しく見えてしまってはいないか。別に自分に編集させろと言いたい訳でもなんでもなく、この面白さが伝わる層が限定されている気がするのが人類の損失じゃないかと思うのです。 その原因は、大変恐縮ながら、とんでもないコトを成し遂げすぎている著者にもあるのではと。。ご自分が成されたことの凄さを、1から10までは認識されていないかも? 本著の卓越さは、いくつにも分けられると思ってまして・・・ ①ここが凄い、という論点設定(水滸伝、アザール…) ②行けるはずのない所へ行くテクニック、苦労、交渉術 ③行った先のスペクタクル、文化の違い ④そんな中で何とか冒険を成し遂げてしまう凄さ ⑤歴史等を踏まえた考察・洞察 どれもが抜きんでているにも関わらず、ページ数の制約からアッサリ流されている印象すら受けてしまうのがなんとも恐ろしく。。 特に⑤があるのが著者らしさと思っていて、たとえば下記のような記述です。 「混沌として、迷路のような蘆野密林に取り囲まれ、ときに湖とも荒れ地ともつかない土地に生きていると、地中海沿岸やアラビア半島のような明快で表裏のない半砂漠的な思考とは別な思考が育まれるのではないだろうか」 「もしも日本人なら、段取りを考えるだけで何日もかけた可能性がある。いいアイデアが生まれないとか、機械やスタッフの人数が足りないとか安全性に問題があるとか言って、作業そのものが無期延期=中止になっていたかもしれない。でもアフワール人はやり遂げた。やった者はやらない者より常にえらい。」 ・・・で、本著は①~⑤までフルコースで詰まっているのですが、情報過多なのでは?という気もちょっとしてまして、、「②~④くらいの軽めの旅行記」と「①③⑤の特化版(テーマ毎)」、プラス「ビジネス面の学びを抜いた1冊」くらいで構成してもちょうど良いのでは?とも思いました。 ただ、そうすると、「誰も書かない本」ではなくなってしまうんでしょうか。。そう思うと、本著はやっぱり著者の職業倫理が体現された誇り高い1冊です。 (ちょっとバランスを崩したレビューで恐縮です・・・)
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ちょっとまだ入り口の初(はじ)めにを読み返してる程度なので…魔(or真)に亨けないで欲しいのですが…では…まず…梁山泊の発想が笑えました。 って推論(すいろん*1)の方で…北宋末期に居た憂士達を例えてますけども…あの人達歴史的な事件に関与した人達ですよ。 *1‥それは…(漢...
ちょっとまだ入り口の初(はじ)めにを読み返してる程度なので…魔(or真)に亨けないで欲しいのですが…では…まず…梁山泊の発想が笑えました。 って推論(すいろん*1)の方で…北宋末期に居た憂士達を例えてますけども…あの人達歴史的な事件に関与した人達ですよ。 *1‥それは…(漢歴は…)年数は不詳ですが、歴史的な事件とは…靖康の変*2です。 *2‥この 変は、金が(後にリベンジを喰らう、ホンタイジ家の主人と譲らなかった)遼を攻撃する際に北宋との挟撃を約束も…梁山泊の対応を理由に遅延した事態(こと)で…此人(かれら‥梁山泊の志士たち)を北宋の先見どころか委任隊として送られ…金側の不興感を察して謝罪するも…誠意を求められてその怒りから…汴(べん、今の開封*3)への手引きをした人達だと言われてます*4。 *3‥開封は明代以降に土地名を変えられたらしく、*4此人が…日中戦争が起こるまでの間…漢奸に例えられたと言われれています。
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第34回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 イラクの湿地(アフワール)の水面を、古代メソポタミア時代から続く三日月形の舟「タラーデ」で移動したいという高野秀行さんらしい挑戦。 まさに表紙の写真だけど、ネットでも湿地帯の画像を見て幻想的な風景に魅了された。 そしてそれ以上に度肝を...
第34回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 イラクの湿地(アフワール)の水面を、古代メソポタミア時代から続く三日月形の舟「タラーデ」で移動したいという高野秀行さんらしい挑戦。 まさに表紙の写真だけど、ネットでも湿地帯の画像を見て幻想的な風景に魅了された。 そしてそれ以上に度肝を抜かれたのがマーシュアラブ布!アガサ・クリスティが収集していたという幻の希少な布でこんなに鮮やかで可愛い布は見たことがないので、本書を読まない人も写真だけは是非検索して見てほしい!モチーフにはそれぞれ意味がある。 タラーデもマーシュアラブ布もエキゾチックで魅力的だけど、イラクの湿地帯という未知な領域に住むマーダンと呼ばれる人たちの文化も読んでいておもしろい。 燃料として水牛の糞を利用するのだけど、パンに直接塗ることもあるのには驚いたし、ゲッサ・ブ・ゲッサ(交換)で従姉妹同士を交換して複数妻を得る仕組みには驚愕。 ゲーマルという水牛や牛の乳から作る濃厚な乳製品はすごく気になる。 湿地帯にはマンダ教徒が多く、洗礼(浸礼)がなんと週1で行われる。 一番おもしろいと思ったのは、段取りや見通しを立てずにとりあえず作業を始めてから考える、というマーダン特有の行き当たりばったりなやり方。 テキトーな舟づくりは笑えた。 高野秀行さんの辺境好きは今更驚かないけど、同行した山田高司さんは世界各地で川めぐりをしてきた探検界のレジェンドらしく、そんな人がいることも驚き。
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まず、イラクが、イラン同様に自分がイメージしていた国と全く違っていたことに無知を思い知った。特にイランとは内向きと外向きが真逆であることやイラク人のホスピタリティ、氏族社会で単独ではどこにも行けないことなどが非常に感慨深かった。 湿地帯の話は内部に入り込まないと知り得ない話で読み...
まず、イラクが、イラン同様に自分がイメージしていた国と全く違っていたことに無知を思い知った。特にイランとは内向きと外向きが真逆であることやイラク人のホスピタリティ、氏族社会で単独ではどこにも行けないことなどが非常に感慨深かった。 湿地帯の話は内部に入り込まないと知り得ない話で読み応えあり。シュメールからずっと精神、文化、風土が続いてきたことに驚く。日本にも永く続く文化がある。大事なものを失ってしまわない様に意識しなくてはと強く考えさせられた。
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面白かった 興味のあることがどんどん出てくる 29歳目標の「興味のあることは全部やる」はこの人の本から自分でも気づかないうちに影響を受けてる可能性がある
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この本のおかげで、私は家にいながら、イラク特にアフワールを旅することが出来た。語学の天才まで〜が面白かったので、こちらも読んでみたが、こちらも負けず劣らず異世界タイムスリップをさせてくれた。 読み進めると、ブリコラージュという手法だったり、アーティストの山口晃さん登場だったり、...
この本のおかげで、私は家にいながら、イラク特にアフワールを旅することが出来た。語学の天才まで〜が面白かったので、こちらも読んでみたが、こちらも負けず劣らず異世界タイムスリップをさせてくれた。 読み進めると、ブリコラージュという手法だったり、アーティストの山口晃さん登場だったり、万城目学のヒトコブラクダ層ぜっとを彷彿とさせる遺跡だったり、今まで私が血肉にしてきたキーワードが出てくる、出てくる。分かるよ!知ってるよ!のオンパレード。「あー、この本は、今、出会うべくして出会ったんだなぁ」とご縁を感じてしまった。 楽しい内容だけでなく、学びもあった。 アフワールの婚姻関係についてである。13才で結婚する女の子がいる。40才のおじさんに16才の女の子が嫁ぐ(第二夫人として)。氏族内で奥さんを交換する(本の中では表現が異なる)など、今の日本では考えられない社会がまだある(全部が全部じゃないとしても)よく電車の中吊り広告で、幼い女の子が結婚することを防ごう、というのを目にするが、この本で急に目の当たりになった。「あぁ、本当にあるんだ、そんな世界が」とびっくりしてしまった。嫌悪感を感じた。今は「知る」ということしか出来ない私だった。 最後に、マイナス1は、私がイラクとイラク周辺の歴史や世界情勢に疎く、少し理解が浅い部分があったということ。私の問題である、情けない。勉強しよう。水滸伝も。 あー、旅行したいな。
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ずっと読みたかったのを夏休みに読了。500ページ弱あるのですが面白いのでするする読めちゃう。イラクに広大な湿地帯があったんだな…
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50代になってもやんちゃな冒険家である高野氏が今回向かったのは、サダムフセインやISなどイスラム過激派の印象が付きまとう、日本人の大半が危険でしかないと思っているであろうイラクである。ただ忘れてはならないのが、この国が原初の文明を生み出した場所であるということだ。 彼はこの旅で、...
50代になってもやんちゃな冒険家である高野氏が今回向かったのは、サダムフセインやISなどイスラム過激派の印象が付きまとう、日本人の大半が危険でしかないと思っているであろうイラクである。ただ忘れてはならないのが、この国が原初の文明を生み出した場所であるということだ。 彼はこの旅で、世界でも有数の危険地帯でありながら、世界最古の歴史を持つ国、そして砂漠の印象の強い中東の一国の中の湿地帯(!?)で暮らす人々の謎を解き明かすとのことで、旅の目的からして様々な情報がぶつかり合い混沌に満ちている。案の定旅の道程も複雑かつ困難が溢れ返るもので、綴られる文章も序盤から中盤にかけてカオスそのものであった。 本文に書かれている通り、そもそもイラクという国が大変複雑な国だ。シュメール人によるウル・ウルク・ラガシュといった世界史で誰もが覚えるであろう都市国家による支配から始まり、アッカドやバビロニア、アッシリアといったセム語圏の民族に統治が移り、続いてペルシア時代、イスラム教徒の侵攻、モンゴル遊牧民による破壊を経てオスマン帝国支配下に入る。ササン朝あたりまで農業面で重要視されていたイラク(特に南部)であったが、イスラムとモンゴルの侵攻によってその地盤を破壊され、オスマン帝国時代からは、中心地から地理的に遠かったために辺境として扱われ、支配が行き届いていなかったという。 もともとシュメールの都市国家からあぶれたアウトサイダーが割拠していた南部湿地帯は、本書で語られるマンダ教徒やユダヤ人、支配してきた王朝から爪弾きされた人々や、カルマト派のような各地で略奪を働く荒くれ者たちといった様々な人々が、理由は様々あれど逃げ込んできて定住してきた場所だった。オスマン帝国時代に辺境として定着したことによってその混沌としたごた混ぜ具合は更に加速し、今度はイギリス統治に反抗する人々や、共産党員まで逃げ込んでくるといった、もはや悪も正義もなく、ただ「従いたくない!」という反骨精神のみを共有した人々が集まってくるようになった。そんなアウトサイダーたちが民族や宗教の垣根を超えて身を寄せ合って生きてきた場所、それがイラク南部の湿地帯【アフワール】なのだ。 こう整理する目的で書いていてもわけがわからなくなりそうになるが、本書の序盤から中盤にかけてはイラクの成り立ちの複雑さや氏族の多様さの解説を丁寧にしてくれている分その情報量は脳みそを押し潰すかのようで、それに現地の治安問題や氏族間のやりとり、公安のマークなど、次から次へと襲いかかる困難な問題の対処や説明が加わってるためにかなり読みづらい。さらに高野氏とシェイフ山田二人が異国人であるために常に多くの人々から監視されている状態で不自由しており、いつもの軽快なユーモアもあまり見られず文章も重苦しいものになっている。毎年水量やルートの変わる湿地帯の作り出す変幻自在の迷路に迷い込んでいるかのようにその文章は混迷を極めている。 極め付けは2度の下見を経て本格的な旅に乗り出そうとしたところでのコロナパンデミックだ。これはもう読んでいるこちらですら、「あーもう終わったな。」と思ってしまうほどに絶望的なもので、高野氏とシェイフ山田の心境は本当に耐え難いほど辛いものだったと思う。ここで正直本を閉じようかな、と思ってしまったくらいだ。 しかしここから先は、カタルシスしか待っていなかったのである。 ソマリランドを超える程の情報量による読みづらさはあるが、終盤は開幕がウソだったかのように気持ちよく楽しく興奮しながら読める。もし序盤で諦めてしまった人がいるとしたら、ぜひもう一度トライしてほしい。3回目の現地入りからは、情報の渦が一気に整理されて収束し、いつもの高野氏の熱気の漲る冒険が戻ってくる。これまでよりも強烈なものとして。読後感はさながらサムペキンパーの映画を見終わったあとのようだ。 分厚い単行本に恐るることなかれ。ゆっくり読んで楽しんでほしい。シェイフ山田のキャッチーでわかりやすいイラスト群も必見だ。
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誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」著者のポリシーに感銘を受けた身として、とても興味深い内容であった。 まず、イラクという日本から見れば常に戦争をしているイメージのある国(実際はそうではない)であること。マイノリティの住む世界最古の文明、メソポ...
誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」著者のポリシーに感銘を受けた身として、とても興味深い内容であった。 まず、イラクという日本から見れば常に戦争をしているイメージのある国(実際はそうではない)であること。マイノリティの住む世界最古の文明、メソポタミア文明の興ったティグリス川、ユーフラテス川が舞台であること。 いずれも冒険心をくすぐられるだけでなく、現地民とのリアルなやり取りが読んでいてとても楽しかった。写真も随所に織り交ぜられ、イメージがしやすかった。
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イラクの湿地帯=アフワールについて書かれた本。世界史上にはレジスタンスあるいはアナーキー的な湿地帯が存在するらしく、その中の一つである中国の水滸伝になぞらえ「イラク水滸伝」と題されている。 「湿地帯の恐ろしさは、その境界があいまいなところにある。(…)鈍色の雲が地平線まで垂れ込...
イラクの湿地帯=アフワールについて書かれた本。世界史上にはレジスタンスあるいはアナーキー的な湿地帯が存在するらしく、その中の一つである中国の水滸伝になぞらえ「イラク水滸伝」と題されている。 「湿地帯の恐ろしさは、その境界があいまいなところにある。(…)鈍色の雲が地平線まで垂れ込めた空の下、どこまでも続く湿地とも荒れ地ともつかない土地を走っていると、なんだか世界の始まる前の原初の状態にいるような感覚にとらわれる。」 と書かれてるけど、回想やイラクに関する歴史について脱線が多い序盤は今どこにいるんだっけ?と自身が湿地帯に迷い込んだように感じることがしばしば…翌日とか何時とか、時間経過を示したり示さなかったりするし(ちまちま読み進めたのが悪かったのかも)。 第1章〜第3章 :2018年1月 イラク初訪問 第5章 :2019年5月 アフワール再訪 いよいよ舟造り 第6章 :2019年の秋 舟旅決行が山田隊長の誤診で中止 → 来春に決行の予定がコロナ禍で中止 2020年10月 マーシュアラブを知る 2022年3月 アフワール再訪 チバーイシュ町周辺でタラーデに 乗る(表紙の写真) ブリコラージュという単語が何度も出てくるけどその場しのぎかもしれない、でもその試行錯誤で最終目標としていた舟旅に漕ぎ着けたことがすごい。 あとがきにある通り「思いつくかぎり何でもやった」が故のボリュームで、イラクそしてアフワールの魅力が描き出されている。ゲーマルやマスムータを食べてみたいと思うと同時にイラク戦争などイラクの歴史もちゃんと勉強したいと思った。
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