不器用で の商品レビュー
小説の1ページ目をめくる瞬間というのは幾つになってもワクワクするものだ。それは新しい世界の扉を開ける行為であり、それだけで小説を読むという行為の20%ぐらいは達成してると言ってもいい。ニシダがX(旧Twitter)上で行っている「架空小説書き出し」というコンテンツはその1ページ目...
小説の1ページ目をめくる瞬間というのは幾つになってもワクワクするものだ。それは新しい世界の扉を開ける行為であり、それだけで小説を読むという行為の20%ぐらいは達成してると言ってもいい。ニシダがX(旧Twitter)上で行っている「架空小説書き出し」というコンテンツはその1ページ目という要素を抽出した贅沢な遊びと言えるだろう。そんなニシダが書き出しに留まらず短編小説集を出したと聞いて読まずにはいられないと思った。お笑い芸人の趣味の延長で書いた小説としては文章力が高く、夢中で読み進めては時々作者がニシダだということを思い出して少し驚く、みたいなことを繰り返していた。お笑い芸人としてのニシダ、引いてはラランドの活躍についてはここで書かずとも大衆の知るところになりつつあると思うが、元々はアマチュアでM-1の準決勝に行ったことで注目を集めたコンビである。漫才であろうとコントであろうと、基本的にお笑いには「オチ」がある。オチとは「責任」だ。3分ないし4分の短いストーリーに責任を持ち、客が納得する形で終わらせる役割を持つ。ニシダがネタを書いていないのは周知の事実ではあるが、お笑い人らしくこの本はオチが綺麗だ。それでいてこれから登場人物がどうなるんだろうと読者があれこれ想像する余地を残してくれている。また、登場人物の心情描写がリアルでまるで体験してきたかのような説得力がある。サーヤがピンで活動している時にニシダはファンの女と寝ているだけのキャラになりつつあるが、その行為は人の感情と向き合い続けるものであり、ニシダの血肉となって文章に宿る。これからもクズ芸人かつ小説家という左右の足につっかけと革靴を履いているようなちぐはぐな二足の草鞋で活躍し続けてほしい。
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ラランドだいすき!ニシダ本!読む!の勢いで読んだけど、作者を知りすぎていると、自分の想像で話を読み進められなくて思っていたより本を楽しめなかった気がした
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「不器用で」ってタイトルだけど、登場人物全員根本的にやさしいんだろうなって読んでて思った。打算的だったり自己中心的だったりしてもわざと人を傷付けたりはできない、みたいなのを感じた。面白かった。こんなにすらすら読めた本は久しぶり。
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比喩が多すぎて鬱陶しい。比喩がくどいため少し読みづらく、著者の自分に酔ってる感を感じ少しうっとするが、短編集のため短時間で1話を読み切ることができる。 1つ目の遺影を読み終えることはできたものの、あまり次の短編も読もう!という気にはならない。
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