2050年の世界 の商品レビュー
世界各国の現在の状況と、 重要事項数点、 そして、2050年の各国の予想。 面白く、勉強になる。
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2050年の世界とは。見えない世界を、できる限りのサイエンスの力で予測する。とはいえ、予測は当たらない。だからこそ、その輪郭を示し、それに備えることに意味があるとしている。 社会のあり方はどのように変わるのか、ベルリンの壁はなくなり、中間層の経済圏がどこの国でも出てくる。イン...
2050年の世界とは。見えない世界を、できる限りのサイエンスの力で予測する。とはいえ、予測は当たらない。だからこそ、その輪郭を示し、それに備えることに意味があるとしている。 社会のあり方はどのように変わるのか、ベルリンの壁はなくなり、中間層の経済圏がどこの国でも出てくる。インド、中国が、西洋の生活を羨ましく、そうなりたいというエネルギーが消費を促していく。 政治と経済は分離すべきという西洋の考え方を大きく飛ばして、中国は政治的な経済的成長を西側諸国に向かって伸ばしていく。権益取得、中国という国自体の繁栄のために、政治が経済を動かしていく。 各地域、各国の分析も非常に広いが、示唆に富む。日本は、経済成長を止めた、平均寿命が最も高く、清潔な都市、素晴らしいサービス水準、しかも高齢化と戦う最初の先進国だ。しかし、国民が、失われた20年の後、経済的な豊かさを放棄すれば、高齢化、つまり十人の労働力が七人の老人を支える構図を受け入れることで、別段困らないのではないかと記載されている。非常に面白く、日本はそれを受け入れそうな気さえする。インドは、自信を持った優秀な人材を多数輩出し、テック企業に供給する。国家の成長は確実で、周りのバングラ、スリランカなどが政治の問題でずっこけているがどう立て直すか。アメリカは、経済成長が先進国で唯一高い、それは人だと。優秀な人を作り上げるエコシステム、移民を惹きつけ続ける都市の魅力がある。経済的な立ち位置は、インド、中国の対等によって下がるが、引き続き中心にいるだろう。 地球への負担を減らす術は見つかる。これが著者マクレイ氏の主たるポイントの一つだ。ESGという言葉で投資行動は変わった。再生可能エネルギーの重要性も確実に増している。先進国が、老いることで消費量が減る一方で、若い成長国、アフリカなどが消費する。これをどのようにコントロールしていくか。そして、懸念点として、自然災害などによる、簡単には動かせないフィジカルな首都機能の低下を挙げている。もう一つの最大の課題は気候変動だ。貧困をなくせば、それだけエネルギーを使う人、家族が増えるからだ。気候変動という課題、2050年までに気温上昇を1.5度に抑えるという目標をどのように貫徹するか。一個人、一企業、国という単位では、到底難しい課題にリーダーシップが必要だと思う。国連でも、なんでもいい。ただ、日本という国の生活様式にヒントがあるとすればそれを輸出することも可能だろう。 要すれば、2050年の世界を予想することなんて最初から無理だ。でもそこに叡智を集めれば、そのより良い世界へのヒントが生まれてくる。AIもその一つだ。一方で、さらなるリスクとして、中東情勢の悪化、宗教対立、情報革命の罠などを挙げ、世界第3位の経済大国にインドがなることを前提に、その中で英語圏のトップであるアメリカが引き続き存在感を持つこと、アフリカが無視できなくなること、オーストラリアとニュージーランドが豊かな国として認められることになること、などを指摘している。 いずれにせよ、世界が2050年により良いところにあるように、我々世代は責任と決意を持って変える。その動きを、本当にやる。そして、多くの人に影響をもたらす動きを作り出す必要がある。
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日本はこれから先、ますます内向きな国家になっていくというくだりは非常に説得力のあるものだった。自分でも何となくそんな気がします。また各国や地域の深い考察は非常に勉強になり、今まで以上に世界という視点に関心が深まった。
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インディペンデント紙の経済コメンテーターである著者の近未来世界観。 ・ロシアはこの先更に弱体化するのは間違いないが、逆に中国はロシアより周到に、はるかに効率的に、経済・商業・政治の超大国として存在感を高めてきた。中国が力を入れているアフリカが今後大きく成長する(評論家が予想してい...
インディペンデント紙の経済コメンテーターである著者の近未来世界観。 ・ロシアはこの先更に弱体化するのは間違いないが、逆に中国はロシアより周到に、はるかに効率的に、経済・商業・政治の超大国として存在感を高めてきた。中国が力を入れているアフリカが今後大きく成長する(評論家が予想している以上に)可能性(リスクは気候変動。アフリカはその要因にほとんど関与していないのに、他の地域より影響が大きい。他に宗教の対立や国同士の経済格差など)があり、そうすると発展途上国にとって中国のサクセスストーリーは中国の政治システムが優れているという明確なメッセージとなる。 更にロシアの弱体化に伴い、極東地域経済運営が困難になるのを見越して、中国はシベリア天然資源の確保を目指す手を既に進めつつある。 ・中東の人工増加は凄まじい勢いであるが、中東の重要性は下がる。その人工増加を経済的に中東が安定して管理するのは困難。それはヨーロッパに対する圧力となる。 ・アメリカの優位は揺るがない。1990年アメリカの経済規模はソ連の3倍。2020年にはロシア+旧ソ連諸国の10倍を越え、ロシアだけで見れば15倍。アメリカの先行きを楽観する確かな理由は三つある。1.アメリカは世界の才能を引き寄せる磁石であり続ける。2.社会、政治、経済の問題点は解決可能。3.唯一のライバル中国は急速に高齢化し活力を失う。 その優位の背景にある最も強大な力は人的資本の優位性。それと巨大ハイテク企業の存在。 ・金融危機の心配がある。しかもその参考になる前例がない。金利がこれほど長く、これほど低かったことは有史以来一度もない。考えられる説明はいくつかあるが、その答えは今は誰も解らない。 ・今後のテクノロジーのブレイクスルーはエネルギーの貯蔵と効率化。それと医療・バイオテクノロジー・農業。 ・民主自由主義が勝利すると思われていたが、中国型一党独裁経済自由化が成果をだし、ロシアは民主化から逆行し、独裁型政治に転換する民主的国家も増えている米国でトランプが一定の支持を得ているのも同様。ヒラリークリントンがトランプ支持者を「嘆かわしい集団」(実際その通りではあるが)と称して自分と異なる価値観をあざ笑ってしまうのも、埋めがたい溝の深さが見てとれる。 ・日本は恒例社会のパイオニアとして、国民は文化的な生活を維持することは出来るだろうが、経済の殆どの分野で最先端から遠ざかっていく。国の財政状態は最悪で、今後30年のどこかで債務を再構築することになる。日本社会は強靭だが、混乱と痛みを伴わずにこの問題を解決することはできない。 など、ここまで不安要素は山積みだが、それでも人類の歴史の中で生まれる時を選べるならば、今が最良。これほど世界が豊かで教育が行き渡っている時は無いと著者は述べている。
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未来予測本としてかなり面白かった。が、分量が多いので一度通しで読んだだけで自分の糧になったかどうか。 どちらかというと本棚に置いておいて、時折引っ張り出しては答え合わせをしつつ理解を深める、というような読み方の方が自分に合っていたかも知れない
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2050年。 今から四半世紀後の世界は。 人口が減る国、増える国。 ヨーロッパ、ロシア、中国は人口が減り、国の成長は次第にとまる。 一方で、アフリカやインドでは人口が増えていく。 国は発展し、生活レベルも向上。 しかしインフラの問題や、 気候変動の影響でどうなるのか。 高...
2050年。 今から四半世紀後の世界は。 人口が減る国、増える国。 ヨーロッパ、ロシア、中国は人口が減り、国の成長は次第にとまる。 一方で、アフリカやインドでは人口が増えていく。 国は発展し、生活レベルも向上。 しかしインフラの問題や、 気候変動の影響でどうなるのか。 高齢者の国、日本は。 他国のように移民を受け入れることはせず、 日本人同士でお互い助け合う。 内向きで穏やかな国になっていく。 日本はより日本らしくなる。 私たちの生活は、 どんなふうに変化していくんでしょうねえ。 スマホがなかった時代だって、 そんなに昔じゃない。 今、思いつきもしないものが 四半世紀後の私たちにとって 必要不可欠になっていたりして!
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2050年は今の社会の延長線上に存在する。その理由が分かりやすく、段階的に記されている。30年後は驚天動地の世界ではなく、一つ一つの事象を追って行けば、なるべくして成る未来を迎えるということ。
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2050年の世界情勢を、さまざまなエビデンスを基に予想していく内容でした 生きていれば終末期にあたる時代になるし、子供はちょうど働き盛りになるので、興味本位に読みました 結構、楽観的な予想をされているような印象を受けましたが、それなりに説得力を感じました 先進国は高齢化が...
2050年の世界情勢を、さまざまなエビデンスを基に予想していく内容でした 生きていれば終末期にあたる時代になるし、子供はちょうど働き盛りになるので、興味本位に読みました 結構、楽観的な予想をされているような印象を受けましたが、それなりに説得力を感じました 先進国は高齢化が進んで縮小に向かい、新興国のなかでも、アフリカやインドが人口動態が若くて今後勢いが出てくる、だけど、上手く活かせられるのかがカギを握る、特に教育とインフラとのこと 日本は内向化が進むとのこと、また高齢化社会のパイオニアとして、良い実例を築いていくようなことが書かれてました、団結したり助け合ったりする国民性が、高齢化社会にマッチするのでは?との見解でした 先進国は基本的に高齢化が進みますが、アメリカだけは例外で、人口は増え続け、才能あふれる人材を磁石のように寄せ付ける移民国家であり続けるようなことが書かれてました、また、非白人がマイノリティになって、より多様化が進み、より、強みが増していく、引き続きリーダーでい続けるしその必要があるようなことが書かれていました それから、気候変動にどのように立ち向かうのかがとても重要であること、中間層が増えるので、全体的には生活の質は上がるだろうけど、その分、環境負荷が増すので、葛藤になるような話もありました ツラツラ書いてしまいましたが、いずれも興味深い内容で、ぜひこのまま生き続けて、どうなるのか実感してみたくなりました
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
そうなるかもしれないし、ならないかもしれないっていう話。 当たる当たらないを抜きにしても、日本に居ると普段あまりニュースも入って来ない南アメリカやアフリカの情勢含めて、全世界的な30年後を予想しているだけでも興味深かった。 中国とインド。 p. 264 イエール大学ロースクール教授のダニエル・マルコヴィッツは、2019年の著書「能力主義の罠』で、エリート内の熾烈な競争が上位1%とそれ以外の人たちの格差が広がっている原因であるとして、強く批判している。 「「能力』は偽善と化し、偽りの偶像になりさがっている。……憎悪と分断を生むカースト制だ。新たな上流階級だと言ってもいい」 p. 336 理論上では、大規模な移住があれば人口の減少を遅くできる。だが実際には、そうはならないだろう。ほかの国々が混乱すればするほど、日本人は国境を閉じるのは正しい選択だったという確信を強くする。日本の社会には、お互いに困ったときは助け合い、助けられた人は労力でお返しをするという精神が根付いている。日本社会を一つにまとめる接着剤となってきたこうした社会契約は残る。
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2050年の日本、やはりこうなるのだと率直に思う。超高齢化、内向きで快適・清潔・安全に満足、経済規模は大きいものの国際社会では存在感が減じていく。財政赤字が膨らみ過ぎて何らかの形でデフォルトが起こり、痛みを伴う施策は不可避。異色の小国になるのか。 ビジネスの周囲も変わりきれない経...
2050年の日本、やはりこうなるのだと率直に思う。超高齢化、内向きで快適・清潔・安全に満足、経済規模は大きいものの国際社会では存在感が減じていく。財政赤字が膨らみ過ぎて何らかの形でデフォルトが起こり、痛みを伴う施策は不可避。異色の小国になるのか。 ビジネスの周囲も変わりきれない経営者、人事、従業員、企業文化。子供や自分も内向きで満足してしまっている。
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